林田学監修:適格消費者団体の動向 -8ページ目

林田学監修:適格消費者団体の動向

元政府委員・薬事法ドットコム社主の林田学です。適格消費者団体の動向についてお伝えしていきます。
適格消費者団体は、景表法・特商法に関して消費者庁を補完する役割を果たしており、その動向は重要です。

1.消費者団体

埼玉消費者被害をなくす会

2.概要

 

「埼玉消費者被害をなくす会」が、「株式会社エムアンドエム」に対して、9月27日、除毛系ローションのオファーを改めるように差止請求しています。

  1. 980円だけで買えるように見えるが実は定期で6回縛り。

  2. 申し込みボタンの下に「※お申込みには条件があります。詳しくはリンク先の募集概要をご確認ください。」という打消し表示があるが、無効。なぜなら、申し込みボタンに比べて字が小さく目立たないし、そこに書いていることも6回縛りには触れず抽象的。

1.消費者団体

 消費者被害防止ネットワーク東海

2.概要

 

「名古屋市最多のインプラント治療」と称する「ひらい歯科」のHPに、適格消費者団体・消費者被害防止ネットワーク東海が是正を申し入れ、解決しました。

 

 1.「名古屋市最多」という表現

 >>医療広告ガイドラインによると、「国内No.1」、「シェアNo.1」、「満足度No.1」といった広告は、仮に事実であったとしても、比較広告として禁止されています。
 

 >>「名古屋屈指」に是正

 2.ビフォーアフター写真

>>「個々の患者の状態等によって当然に治療等の結果は異なるものであることを踏まえ、誤認させるおそれがある写真等については医療に関する広告としては認められない」とされ、広告が原則として禁止されています。


しかしながら、「術前又は術後の写真に通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項や、治療等の主なリスク、副作用等に関する事項等の詳細な説明を付した場合」といった例外要件を満たした場合には、広告ができるようになります。
 

>>例外(限定解除)に該当するように、治療内容・費用・リスクが記載された。

 3.予防歯科・審美歯科

>>「予防歯科」、「審美歯科」というタイトルのページがありました。
医療法においては、広告可能な診療科目が限定されており、予防歯科、審美歯科という名称は含まれていません。しかしながら、例外要件を満たした場合には広告可能とされています。
 
>>予防歯科」という記載は「検診・予防」に表現が変更され、「審美歯科」という記載は「審美治療」に表現が変更された。

1.消費者団体

 埼玉消費者被害をなくす会

2.概要

 

2019年5月10日付け「再お問合せ兼申入書」にて、モイスト社が販売する雑穀麹の生酵素に関する広告表示の一部表記が特定商取引法に違反するとして、当該表示の削除を求めていたが、削除が確認できたため申入れ活動を終了。

1.消費者団体

 埼玉消費者被害をなくす会

2.対象

 モイスト社 雑穀麺の生酵素チャレンジコース

3.タイムライン

1) 2019年5月10日 申し入れ → 5へ

2) 同年5月15日回答 → 指摘箇所の削除

4.概要

 

「初回500円定期縛り」の元祖とも言えるモイスト社。

「申込即定期縛り」を改定するよう指導された後も、そのバリエーションを作って行った感があり、時期的に解約を困難にする本件設計もその一つと言えるが、結局、目をつけられ、削除に至った。

 

5.詳細

 

1)雑穀麺の生酵素チャレンジコース

自動定期で縛りなし。初回500円で2回目以降3,960円。

解約するには発送日10日前までの連絡が必要。

 

2)しかし、2つ問題がある。

一つは、「※毎月お届けするコースです」との表示はあるものの初回購入で定期になることがわかりにくくなっている。

もう一つは、時期。

申込から発送が10日以内で、2回目以降は初回発送後30日~40日以内という設計で、解約は発送日10日前までの連絡が必要という設計。 これだと、まず、初回購入の解約は不可能。

なぜなら、(大掴みに言うと)8月1日に申し込んだ場合、初回発送は8月10日で、その初回発送日の10日前までに解約の連絡をしなければならないが、それは8月1日までということになり、申込日解約という通常ありえない事態になる。

また、3回目以降の発送は「初回発送後30-40日以内」なので、すべて9月10日頃になるはずだが、そうなると、その前10日前までの解約というのが不明確で、「顧客の意に反する」ことになる。

 >>>

 

 

1.消費者団体

 消費者機構日本

2.対象

 大東建託株式会社

3.内容

大東建託株式会社(建築請負事業者)は、申込日に期限を設けず、建物新築工事を申込後、契約に至らなかった方に対し、受領した申込金を返金(地盤調査等の費用がある場合はその額を控除)することを表明しました。

 

 >>

 

 

1.京都消費者契約ネットワークが、アフィリエイトサイトにおいて、水素水の薬効(ガンが治る、免疫力が上がる等)をうたっていた6社(①メロディアンハーモニー、②健康家族、③伊藤園、④トラストウォーター、⑤マハロ、⑥アビスト)に関し、アフィリエイトサイトの表示を止めるように請求した。

 

2.そのロジックは以下のとおり

i.2016年6月30日の消費者庁発「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」によると、アフィリエイトサイトの 景表法の責任は広告主が負う。

ii.医薬品的効果をうたっていると、消費者は医薬品と誤認するので、その点で景表法に違反している。

iii.よって、広告主は、第三者をしてこのような表示をさせてはならない義務を負う。

>>> 2017年8月25日 差止請求書

 

3.①②は「健康オタクの水マニアが教える自分に1番合っている水が見つかるサイト」、③④は「水素水ガイド」、⑤⑥は「水素水効果ガイド」というアフィリエイトサイトとつながっていたが、結局、各々その使用を止め、決着した。

 

4.しかし、①②は自社サイトでの薬効表示により措置命令を受けている。

>>> 2017年3月3日 措置命令データブック

 

 

 

1.特定適格消費者団体 京都消費者契約ネットワークがサンクロレラ社に対して、クロレラチラシの配布の差止を求めた。

 

2.京都地裁2015年1月21日判決は、サンクロレラ社とクロレラ研究会は同一と認定した上で、クロレラチラシはクロレラの薬効を標榜しており、消費者は医薬品と認識するが、実際には医薬品ではないので、そこで誤認を生じさせるとして、差止を認めた。

 

3.その後、サンクロレラ社は控訴しつつ、自主的にクロレラチラシの配布を中止

 

4.その後、大阪高裁は、消費者契約法12条「勧誘」にチラシの配布は入らないとして原告敗訴の判決

 

5.しかし、最高裁は「勧誘」にチラシの配布が入らないとは言えないとして、再び原告勝訴の判決

 

1.消費者団体

消費者支援機構関西(KC's)

 

2.概要

 

1)2017年11月7日、消費者庁は「葛の花由来イソフラボン」を配合した機能性表示食品の広告を行っている16社に対し、優良誤認表示を行っていたものと認定し措置命令を下した。

>>措置命令データブック

 

2)新しく制定された日本版クラスアクション制度に基づき、2018年3月5日、特定適格消費者団体の消費者支援機構関西(KC's)が、消費者に代り15社に対し返金請求を行った(除外された1社はニッセンで自主的に実施済)。

>>返金申請内容

 

3)Nalelu社以外は「消費者の返金請求に対応する」と回答したがNalelu社は回答拒否。