NGOピースウィンズ・ジャパン スーダン駐在スタッフのブログ ナイルでまいる!南スーダン“こにょこにょ”レポート -3ページ目

最前線からお送りする洪水支援の現場!

私たちが滞在しているジョングレイ州は
現在過去最大規模の洪水被害に見舞われています。


今回私たちピースウィンズジャパン南スーダンチーム(以下PWJ)も
他の援助機関と協力しながら、洪水支援に参加してきました。


私たちはアユッドというジョングレイ州の内陸部に遠隔事務所をおいておりますが、
入手した情報によると、そこでは3000人近くが洪水の影響を受けている一方、
ほとんどの援助機関が現地入りできていないという状況でした。


そこで、今回我々は9月14日から16日にかけて
他のいくつかの機関と連携をしながら、アユッドに支援物資を届けてきました。

今回の記事では、まずアユッドの洪水現況をご報告したいと思います。


まず、ジョングレイ州では雨季に入ると道が泥沼化するので、
アユッドへのアクセスは、飛行機でしか出来ず、さらにその飛行機も

滑走路がぬれているため着陸できない状況が続いていました。


そこで今回は国連WFPのヘリコプターに乗って現地に赴いてきました。

こちら上空からみたアユッドの町並みです。



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町の中央道路、そして道路沿いにある中心街も全て水浸しです。
さらに、周りの草原部も全て水浸しなのが確認できます。


続いてこちらが飛行機の滑走路から町に続く道です。
飛行機や滑走路を利用するほぼ全ての人が利用する道がこの道です。
もちろん普段は完全に乾いていますが、
今回は大部分が30cm-50cm程度浸水していました。



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続いて中心街の写真



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こちらも大部分が浸水しています。
各々が簡単な土手を作っているので、
店内までの浸水は防いでいましたが、今後の増水次第では商店も水没の恐れがあります・・。


続いて町の中心部の近くにあるPWJオフィスまでの道です。



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オフィスまで行くにはこの道を通る以外に無く、
オフィスが文字通り「陸の孤島」と化しています。


普段滑走路からオフィスまでは徒歩30分程度でつくのですが、
このときは、所々裸足になって膝上まで水につかりながら行ったので、
1時間以上かかってしまいました。



そしてオフィスの中も浸水。。。
(周辺に簡単な土手を作っていたので、大規模な浸水にはなりませんでした。)



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現地市長によると、
ここからさらに奥に入ったほかの郡では被害が更に深刻だということで、
多くの方が未だ避難されているそうです。


ちなみにびっくりしたのが、
私たちが2泊3日滞在していた中で、幸いその間は雨が降らなかったのですが、
3日目に水位があがっていたのです。


原因を聞いたところ、
「きっと隣の郡や、他の地区で降った雨が流れてきたんだよ。」
ということでした。


洪水被害の広域さ、大きさを思い知らされる事実でした。


次回は私たちの実施した支援についてお送りしたいと思います!



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ほしい!」を始めま
した。
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報告:サトシ

動物ばんさい②

またまた南スーダンで見かける動物たちを紹介したいと思います。

まずは、ヒヒから。

NGOピースウィンズ・ジャパン スーダン駐在スタッフのブログ ナイルでまいる!南スーダン“こにょこにょ”レポート-ヒヒ

南スーダンで見かけるサルの類は2種類あって、1種類はサバンナモンキーの仲間で比較的人間に近付いて来ます。首都のジュバの外国人もよく来るようなレストランでも、普通にテーブルの横でドカッと寝ころんでいるのを見たこともあります。よくあることらしく、サルが真ん中で寝ているのに店の人も客も全く気にするそぶりも無いので、ひょっとすると他の人には見えていないサルの霊なのではないかと心配になったくらいでした。
さて、この写真で凛々しい姿を見せているのはヒヒ系のサルです。余り近づいてくることはありませんし、町の中で見かけることはありません。林の中などに棲息していますが、道の脇などにもよく現れるところを見ると、時には人からエサをもらったりしているのかもしれません。というよりも、この強そうな風貌からすると人から食べ物を奪い取ったりするのかもしれませんが、対する南スーダン人も相当強いので勝負は五分五分で、勝ったり負けたりしながら長年戦っているのではないでしょうか、と勝手に想像したりしております。ところでこのヒヒ、お母さんのお腹に小さな子供がしがみついている、とても微笑ましい姿を見かけることもあります。

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NGOピースウィンズ・ジャパン スーダン駐在スタッフのブログ ナイルでまいる!南スーダン“こにょこにょ”レポート-へび1

ヘビは時々、敷地内に入ってきます。特にアユッドというところにある、超僻地の事務所ではよくテントの中にまで入ってくるので、とても驚かされます。いつの間にかテーブルや棚の足などをつたって、上まで登ってきていることもあり危険です。ある日、テーブルの上で畳まれていたタオルを何気なく持ち上げたところ、その中に隠れていたヘビがボトッと落ちてビックリしたこともあります。棚の上に置いてあったUSBケーブルを取ろうとしたら、その横にちょうど同じくらいの太さの赤ちゃんヘビが居て動きだしたのでビックリしたこともありました。
毒ヘビもけっこういるようで、亡くなる方も少なくないようです。

NGOピースウィンズ・ジャパン スーダン駐在スタッフのブログ ナイルでまいる!南スーダン“こにょこにょ”レポート-はげたか

こちらも、その辺りに普通にカラスのように見られるハゲタカの仲間です。ケニアのサファリで見かけると、「おお、これが有名なハゲタカかぁ。」と感慨深いものもあるのですが、南スーダンでは町で普通にゴミをあさっています。他の動物の死肉をむさぼるその生態によって悪いイメージがあるこの動物ですが、よく見ると写真のようにクリクリとした眼をしていてかなりかわいい顔をしています。ちなみに、遠隔地事務所のあるアユッドというところは、世界的に有名な「ハゲワシと少女」という写真が撮られた場所です。

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NGOピースウィンズ・ジャパン スーダン駐在スタッフのブログ ナイルでまいる!南スーダン“こにょこにょ”レポート-オオトカゲ1

これを最初に見た時はとても驚きました。大きいものは1mを超える、オオトカゲです。現地ではウォータードラゴンという風に呼ばれていますが、正式名称はわかりません。僻地での井戸掘削事業のため、トゥクル(伝統的な藁ぶきで泥壁の小屋)に泊まっていたときのこと。早朝目覚めて、小屋の小さな扉から外に出てみると、目の前を巨大なトカゲがのそのそ歩いていました。その光景があまりに非日常だったので、寝ぼけていたことにしてまたもうひと眠りした方しようかと、思わずもう一度ベッドに戻りそうになりました。しかし、このチャンスを逃してはいけないと、カメラを持ってきて撮影を敢行。大きい割に臆病者の、逃げ回るオオトカゲを追いかけながらの撮影でした。
(動画:http://www.youtube.com/watch?v=tkCNW9949oE
名前の通り水際に居ることが多く、器用に泳ぐことができるようで、事務所の敷地が大雨によって浸水した際に、このトカゲが体をくねらせて泳いできたのを見た同僚は、「ワニだー」と勘違いしてビックリしたそうです。まぁここまで大きいとワニと思っても仕方ないところです。
ディンカ族はこのトカゲを食べるようで、「このトカゲの肉はスウィートだ。」と話していました。現地の人々の貴重なタンパク源となっているようです。
ある日、このトカゲも事務所に入ってきたことがありますが、あっと言う間に現地のスタッフによって叩き殺されてしまいました。こういう時の現地の人々の対応は、容赦がありませんが、危険と隣り合わせの自然の中で生きていくには仕方ないことなのかもしれません。

ということで、また次回の動物ばんざいシリーズをお楽しみにー。


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動物ばんさい①

ご想像通り、南スーダンには様々な動物がいます。さすがアフリカだという動物たちから、これじゃあ日本と全然変わらないね、というものまでたくさんです。

生活の中での現れ方もいろいろで、夜中にビーチサンダルでペタペタ歩いていて、何気なくライトで地面を照らしてみると、たくさんのサソリが歩いていてビックリしたり、白昼の事務所に大きなヘビや大トカゲが侵入してきて大騒ぎになったり、夜中に事務所でパソコンを使っていると建物の中を飛んでいたコウモリが柱にぶつかって目の前にボトッと落ちてきたり、運転している車の目の前を大きなヒョウが横切ったり、とバラエティに富んでいます。

ここでは、写真と共にそういう南スーダンで見かけた動物を紹介してみたいと思います。なお、写真に撮れたものはほんの一部で、上記のヒョウやヘリコプターから見つけたキリンの親子などの撮影には失敗しました。


$NGOピースウィンズ・ジャパン スーダン駐在スタッフのブログ ナイルでまいる!南スーダン“こにょこにょ”レポート-コウモリ
蚊帳にぶら下がるコウモリ

蚊帳にぶら下がるコウモリです。日本と同じく、夕方になるといっぱい飛んでいます。事務所や住居棟のどこかから侵入してきて、よく飛び回っています。ぐるぐると建物の中をお飛び回りになられるので、気になります。結構お鈍いようで、たまに柱や壁に激突なさることもあり、やっぱりどうしても気になります。あまりに視界にチラチラはいって来られるので、少しイラっときて棒を振り回すと簡単に撃墜されたりもします。あとは、糞を撒き散らすので衛生的にはかなり悪いようです。病気も媒介するので、あまり同棲相手としては好ましくはありません。

NGOピースウィンズ・ジャパン スーダン駐在スタッフのブログ ナイルでまいる!南スーダン“こにょこにょ”レポート-カエル
極小カエル

雨季になると、そこらじゅうからカエルが出てきます。それほど大きなものは見たことがありませんが、事務所の敷地にとても小さなカエルがたくさん発生します。写真のように人の爪くらいの大きさしかありません。最初は虫かと思いましたが、よく見ると立派なカエルでした。カエルであるということは既に成人男性(オスメスわかりませんが)であり、こんな極小でも子供ではありません。こういう小さいおっさんがぴょんぴょん地面を飛んでいるため、歩く際にはいくら気をつけても殺生を避けることが難しいです。

NGOピースウィンズ・ジャパン スーダン駐在スタッフのブログ ナイルでまいる!南スーダン“こにょこにょ”レポート-ハリネズミ
??


栗のイガではありません。住居であるテントへ暫くぶりに帰ってきた時のこと、中に入ってみるとどうもなにやら臭い臭いが。おかしいなぁ、といろいろ調べてみると、この写真のようなものがコロリと転がっていました。それまでに他の国で何度も見たことがあったので、すぐわかりました。これは、ハリネズミなのです。隣に置いたペンと比べてみるとわかるように、これは小さく子供です。じっと見ているとモゾモゾと動き出して、鼻がでて手が出て足が出て、トコトコと歩き始めます。あまりにかわいいので、バケツで2,3日飼っていましたが、何をエサとしてやってよいのかわからず、逃がしてあげました。

NGOピースウィンズ・ジャパン スーダン駐在スタッフのブログ ナイルでまいる!南スーダン“こにょこにょ”レポート-レインボーアガマ2
トカゲ オス

NGOピースウィンズ・ジャパン スーダン駐在スタッフのブログ ナイルでまいる!南スーダン“こにょこにょ”レポート-レインボーアガマ1
トカゲ メス


南スーダンではいたる所で見ることのできるトカゲ、レインボーアガマの仲間です。その辺りの木の幹や壁を超スピードで走り回っています。結構大きなトカゲで、30cm位はあります。オスはド派手な色をしていますが、これはメスを惹きつけるためのもので、いわゆる警戒色で無く、毒は持っていません。南スーダンのヌエル族はこのトカゲは非常に長生きで、100年以上も生きると信じているようですが、時々テントの横でひっくり返って死んでいます。そういう時は、たまたま100年目だったのかと土に埋めてあげています。このトカゲの面白い特徴として、人などが近付くと警戒してピューっと逃げた後に、止まってピョコピョコと腕立て伏せのような動きをします。とてもかわいいです。ちょっとでも視点を動かして遠くを見て状況確認しようとしているのかな、とも思いますが、その動きの意味はわかりません。

まだまだ動物の写真があるのですが、結構長くなってしまうので、それらはまた別の機会にご紹介したいと思います。


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緊張と緩和と畏怖と享楽

今朝、セキュリティガードが今住んでいるテントのすぐ横にある木の板を除けたら、毒ヘビが3匹も出てきた。南スーダンの僻地にいると、ヘビなどしょっちゅう出てくるので、馴れてしまった。ヘビが出たー!と大声を出すガード達の脇で「そうかそうか」と言いながら紅茶をずずずと飲んでいた。

NGOピースウィンズ・ジャパン スーダン駐在スタッフのブログ ナイルでまいる!南スーダン“こにょこにょ”レポート-南スーダンのヘビ(これはテントの中に出たもの)

南スーダンのヘビ(これはテントの中に出たもの)

前から気付いていたことだが、こちらの人はヘビが出ると非常に嬉しそうである。最初は何をそんなに嬉しそうにしているのかと思っていたが、最近はその喜びでヘビが出たんだな、と分かるようになった。しかし、棒でヘビを叩き殺す時には真剣そのもの。というより、怖がり過ぎてかなりへっぴり腰の、おっかなびっくりで上手く叩けなかったして見ていてイライラしてしまったりもする。こっちが手伝ってやろうと、別の棒を持って近づくと「危ないからダメだ!」と怒られる始末。それでもこうやって押さえたらいいんだろう、と棒で押さえつけてみせると、安心して叩きだしたりして、地元の人々はヘビに対してかなりの恐怖を抱いているようだ。

ではなぜ、ヘビを見つけた後や、ヘビを殺した後でとても嬉しそうな感情が生まれるのだろう。人と言うのは心の奥底で、何かが起こることを期待しているのかもしれない。例えそれが悪い出来事であったり、災難だったとしても、それによって何かが変わるかもしれないという事に内心期待するような潜在意識があるのかもしれない。大きな台風が直撃するというニュースを聞いて、あぁ怖いという思いと同時に、何故か楽しくワクワクするような気分になったという体験は誰にでもあるのではないだろうか。

さだまさしの「遥かなるクリスマス」という歌にこういう一節がある。
「世界中を幸せにと願う君と いえいっそ世界中が不幸ならと願う僕がいる」

そして、この僻地で今たまたま読んでいる坂口安吾の短編集の中にも、あちこちが空襲を受けて命が危ないにも関わらず、町が焼けて人々が死んでしまうことをどこかで望んでしまう人々の話があった。退屈で平和な日々から離れられる術である戦争という非日常を望む心が奥底にあるのである。

災難や悪いことが起こることにより、日常から非日常への変化が生ずる。つまり、命を脅かす可能性のある事柄(例えばヘビが現れる等)によって、退屈な日常を打破するきっかけを期待する自分が何処かに潜んでいるのである。不幸があってこその幸せで、緊張があってこその緩和であるということを知っているからこそ、その内なる期待が在るのだと思われる。

さて、ここジョングレイ州は毎年のように部族紛争が頻発することで有名で、毎年数多くの人々が亡くなっている。主に紛争を起こしているのはヌエル族とムルレ族の敵対なのだが、ゲリラ戦が得意なムルレ族の攻撃がいつあるかわからないという状況下にあるヌエル族の間で、彼らが大好きなネタがある。いわば鉄板のネタである。

何か不審な物音が聞こえた時、なぜか仲間が一人見当たらない時、それは使われるのである。

「ムルレじゃないか!!?」

これで皆大笑いである。日頃あれだけ恐ろしいと思っているモノが、逆に面白いネタとなるのである。一瞬人をぎょっとさせ、その後はそれが安堵と共に楽しさになるという感じであろうか。直接は知らないが、おそらくムルレ族側でも同じようなことを言っているであろう。緊張と緩和、そして畏怖と享楽は表裏一体なのだ。

お化け屋敷やジェットコースターに人々が訪れるのも、皆が同じような効果をそこに求めているからなのかもしれない。人というものは、その人生を通じて享楽を求めるが故に、常に日常の軌道を外れるような畏れや緊張をどこかで求め続けている、おかしな生き物なのかも知れない。

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墾田永年私財法??

突然ですが、墾田永年私財法という昔の法律をを御存知でしょうか?奈良時代に発布された、自分で新しく開墾した土地はそれ以後ずっと自分のものとなるという法律です。日本史でこれを習った時には、面白い法律だなぁ、と感じた覚えがあります。
$NGOピースウィンズ・ジャパン スーダン駐在スタッフのブログ ナイルでまいる!南スーダン“こにょこにょ”レポート-PWJ遠隔地事務所
PWJ遠隔地事務所


南スーダンのかなり僻地、アユッドというところにPWJの遠隔地事務所があります。去年までは町(村)の外れの原っぱにポツンと建っていた事務所ですが、最近その原っぱにぽつぽつとイバラで柵を作って家を建て始める人達が出てきました。その辺りのイバラを切ってきて、ただ並べているだけです。家はこちらの伝統的な草ぶき屋根に泥壁の「トゥクル」です。
$NGOピースウィンズ・ジャパン スーダン駐在スタッフのブログ ナイルでまいる!南スーダン“こにょこにょ”レポート-作りかけのトゥクル 
伝統的な家「トゥクル」

見ていると、どうも適当に柵を作っているだけのように見えるので、気になって尋ねてみると正にその通り。この辺りは「先に取ったもん勝ち」だそうです。この辺がいいかな、と決めてそこを囲ってしまえばそこが自分の土地になってしまうとは、日本史で習った「墾田永年私財法」のようでロマンがあります。子供の頃に自分たちの基地を作ったようなイメージで、なんと面白いではないですか。

南スーダンでは首都や他の大きな町以外では、土地の所有が明確になっておらず、なんとなく勝手に住み始めた集落が村になり、町になっているようです。といっても、こういう途上国ですから政府がいきなり「ここは政府の土地だ」と言いだして一晩のうちに強制退去されることもよくあります。我々が働くジョングレイ州の州都ボーは、そこそこ大きな町なのですが、そういう町でも、住宅(ほとんどトゥクルですが)が立ち並らぶ地域に、ある日突然六車線分くらいの直線の空白地(道)が現れて、そこにあった家々が消えてしまっていることが何度かありました。突然前触れ無しにブルドーザーが急に来て、全部壊していったそうです。

$NGOピースウィンズ・ジャパン スーダン駐在スタッフのブログ ナイルでまいる!南スーダン“こにょこにょ”レポート-ある日いきなり壊された家(ボータウン)
ある日いきなりブルドーザーで壊された家々(ボータウン)

ですので、このアユッドの新しい家もいつか取り壊されてしまうのかもしれません。でも、壊されてもイバラの柵とほとんど自分の手造りのトゥクルですから、きっと逞しい南スーダンの人々は、すぐ他の場所に移ってまた新しい家を作ることでしょう。

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ある日突然、お給料が米ドルに?

9月2日、南スーダン共和国の労働省から「全てのNGO、民間企業、国際機関は
現地スタッフの給与をアメリカドルにて支払うこと」という通達が届 きました。
一部のメディアによると、現在南スーダンはポンド安が急激に進んでおり、市民
の生活を圧迫していることが、この背景にあると報道しておりました。

私が南スーダンに赴任した昨年8月は、1ドル=約3ポンドでした。今年の8
月、1ドル=約5.5ポンドなので、この1年で約2倍ほど南スーダンポ ンド
安になったことになります。日本でしたら、自国通貨安は輸入産業が利益をあげ
れるなど比較的良いニュースともなるのですが、南スーダンでは、 市民の生活
に悪影響を及ぼす、とても悪いニュースになります。ポンド安が最も影響を与え
る1つの例が食生活・ガソリンです。
独立して間もない南スーダンでは、国内産業がまだまだ育ってません。PWJの
オフィスのあるジョングレイ州で普段食べる鶏・野菜、そしてジュース やビー
ルなどの飲料まで、隣国のウガンダから輸入しています。なので、スーダンポン
ドが約二分の一になると、生活費が約2倍になり、家計を圧迫し てしまいます。

日本では、自国通貨が2分の1近くになったり、生活用品が2倍近くになるなん
てことはあまり考えらません。
ここに来て、生活に必要なものがいつも変わらず、普通に手に入るということは
素晴らしいことなんですね。

この様な背景もあり、国連スーダンミッションでは、「給与をアメリカドルで支
払って欲しい!」などの理由により、首都のジュバでは現地職員による デモや
ストライキが起きたとの報道もありました。しかしながら、多くの州では、アメ
リカドルを交換できない州もあり、実務的にも問題点は山積みで す。

緊急援助業界に入って1年、毎日驚くことばかりです。

もし、このブログを見て、知りたい事や質問がありましたら、是非、コメントを
頂ければと思います。出来る限り、このブログを通じてお伝えしていき たいと
思います。

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報告:景山

7/20朝日新聞オピニオンに、PWJ石川が掲載!

少し前の事になってしまいますが、7月20日(金)朝日新聞13面オピニオンに
て、PWJ南スーダン現地事業代表の石川のインタビュー記事が掲載 されました。

本ブログでは、これまでご紹介してこなかったので、ここでご紹介させて頂きます。
記事の中で石川は、南スーダンに派遣されている自衛隊の施設部隊との情報のや
りとりなどを例に挙げ、NGOとしての立場から、今後のPKOの現場 で自衛隊とNGO
の連携の可能性について見解を述べています。

▼記事はこちらから(外部サイト)
http://www.asahi.com/news/intro/TKY201207190539.html?id1=2&id2=cabcahca

南スーダン駐在員の生活 ~住居編~

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以前、このブログの読者に、将来国際協力の現場で働きたいという学生の方がい
らっしゃいました。
折角の機会ですので、これから数回に分けて、駐在員の生活や町の様子、食事な
どを紹介させて頂きたいと思います。

一つ目の写真が、オフィス兼宿泊棟です。NGOはお金を持っているというイ
メージを持たれており、外観でNGOだと分かってしまうと、強盗などの 被害
に合いやすいため、見た目は民家と変わらないようにしてあります。なので、ご
近所さんも同じような家に住んでいます。ちなみにこの辺は、ジョ ングレイ州
でも高級住宅地です。東京などの都会と違い、高い建物がなく、視界を遮るもの
がないので、空が良く見えます。正面にキッチン・左に宿泊 棟、右がオフィス
になっています。

電気は発電機と太陽光発電を使用し、ガスは首都のジュバからガスボンベを購入
します。なので、週末など時間のある時は、料理ができます。現在、南 スーダ
ンの駐在員は全員男性なので、簡単に作れるカレー、シチュー、スパゲッティ、
リゾットなどが流行っています。食材が限られていることから、 どうしても、
食べることができる料理が決まってしまうので、駐在員が日本に一時帰国した際
に買ってくるラーメンがとても楽しみです。

二つ目の写真は駐在員の部屋です。雨期は、マラリアの原因にもなる蚊が大量に
発生します。二枚重ねのズボンの上から刺される程なので、寝ている間 に刺さ
れないように、ベットには蚊帳がついています。南スーダンジョングレイ州は、
首都のジュバと比べるとまだまだ田舎なので、虫や動物が部屋に も入ってきま
す。特に困るのがネズミです。夜行性なのか、私が熟睡している夜中の3時位か
ら活動しだし、貴重な日本食を食べてしまたり、洋服のな かに忍び込んだり、
とても騒がしく眠れません。なので、ネズミ対策として、猫を飼い始めました。
始めは、なかなか人に懐かなかった猫も、今では ピースウィンズの一員です。
ネズミだけではなく、オフィスに入ってくるトカゲ・カエル・羽虫などを食べて
くれ、大活躍です。

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報告:景山

アユッドタウンの緊急シェルターが完成!

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弊団体の”現地活動ルポ”が更新されました。
http://www.peace-winds.org/jp/act/sudan/120904_1800.html
以下、記事からの抜粋です。

ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、今年5月から避難民へ提供する緊急シェル
ター(簡易住居)の建設をアユッド郡で始めました。雨期が始まる 直前という
こともあり、資材の輸送にはとても苦労しましたが、現地スタッフと避難民と協
力し、6月下旬に82棟全ての建設を終え、7月下旬につい にプロジェクトが終了
しました。

アユッドタウンに逃げてきた避難民の多くは、隣のウロール郡の出身者が多く、
今年2月に同州で民族同士の争いが起きたために、家財道具などを一切 持たず、
隣の郡に避難してきました。南スーダンでは、本格的な雨期が始まると、豪雨と
嵐に見舞われてしまうため、雨風を凌ぐことができる住居が必 要でした。

雨期に入り雨が降りだしていたこともあり、多くの避難民は疲れた様子を見せて
いましたが、シェルターが完成していくにつれ、人々は活気を取り戻し ていき
ました。牛肉を焼いている家族もあり、子どもたちは元気いっぱいに走り回り、
キャンプのいたるところで笑い声が聞こえるようになりました。

逃げてきた人々は、草を刈りこんで小さなテントを作って住んでいましたが、ス
ペースはとても小さく、寝ていると足が出てしまうくらいの大きさでし た。雨
が降りだすと、この小さいテントに5人くらいが丸まって雨が過ぎ去るのを待ち
ます。雨の日に、家の中を見せてもらうと、いたるところで水が 滴り落ちてい
ました。

簡易住居の建設は、支柱となる木材を集め、基礎となる穴を掘り、立てた柱にビ
ニールシートを釘で打ち付け、屋根と壁を作っていきます。雨が降って くる前
になんとか完成させたいという思いから、ハイペースで建設にあたりました。

大人が、穴を掘っていると、子供も手伝いたくなってくるのか、いたるところで
小さい子供が穴を掘って遊んでいました。

避難民の人々は、現地スタッフや私を見ると、とても嬉しそうに、口々に「シェ
ルターができてとても嬉しいです。これで安心してこどもたちと過ごす ことが
できます。」と簡易住居完成の喜びを伝えてくれました。

アユッド郡の避難民に対するシェルター支援は一段落しましたが、ジョングレイ
州の各地では、民族間の衝突が引き続いており、今なお予断を許さない 状況が
続いていることから、PWJは今後も必要な対応ができるように備えを続けていき
ます。

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報告:景山

ピースウィンズの井戸掘削事業について

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ここで改めて、、南スーダン共和国ジョングレイ州における水・衛生分野の活動
についてお話したいと思います。

約20年間にわたる内戦は、2005年1月の包括和平合意により、ようやく終わりを
迎えました。しかしながら、未だ地域によっては部族間の闘争 や、スーダン・
近隣諸国からの帰還民を受け入れるなど、多くの不安定化要素が存在しておりま
した。こうした状態を持続可能な和平へと結びつけるた めには、外部からの支
援が必要です。長期間にわたる紛争の結果、経済状況は非常に厳しく、多くの地
域で水、食糧、教育といった基礎的なニーズが満 たされていません。
ピースウィンズ・ジャパンは、こうした状況を鑑み、2006年にもっとも基本的な
ニーズに対処するため、水、衛生分野の支援を実施しました。対象 地域となる
ジョングレイ州出身の難民の人口は約6万5千人ともいわれており、同州は南スー
ダンの中で最も大きな州ですが、交通アクセスが非常に悪 いため、援助機関数
が他の地域に比べて少なく、人道的介入が必要とされていました。2006年時点で
は、水・衛生分野の支援を大規模に実施してい る団体はボー郡に存在しておら
ず、国連難民高等弁務官等の国連機関も、ボー郡におけるニーズの高さと、その
ニーズに対する支援の不足を指摘してお りました。また、PWJは、これまでシエ
ラレオネのコノ地区にて、帰還民支援の一環として井戸建設及び衛生施設建設を
実施してきた経験があり、南 スーダンではそれを応用できたことから、ジョン
グレイ州での支援を開始しました。

前事業期間である2012年3月までにはジョングレイ州北部のアユッド郡にて井戸
の掘削事業・公共トイレの設置を行いました。アユッド郡は州都の ボー郡より
より、ランドクルーザーでオフロードを7時間程度で、距離が離れており、ま
た、反政府活動による治安の悪化により、南スーダンの中でも 特に基本的社会
インフラが整備されていない地域になります。当然、浄水場などないために、井
戸水がない村では池の水を飲むことになります。写真 は、村人の飲み水です。

アセスメントを行う際に、飲み水を見せてもらうようにしているのですが、水を
すくったコップの底が見れない程濁った水を飲んだりしております。こ のスラ
イドに写っている写真が、村人が飲んでいる水です。当然、衛生的にも悪く、週
に一二度は下痢症に悩まされているという話を聞きます。

村人は洋服をフィルターにして飲むというのですが、安全な水が必要なことは明
白です。もし、調査が行われれば、安全な水がないことによる乳幼児死 亡率は
かなり高いのではないかと思われます。

また、トイレがないことによる衛生面の悪化も大きな問題です。トイレがないの
で、木の下で用を足すことになるのですが、雨期の間アユッドは一面が 洪水の
ようになり水が溢れます。すると、汚物などもその雨水みまざり、溢れている水
の中で細菌が繁殖してしまうようです。雨期に二、三週間アユッ ドに滞在して
いた同僚が、蚊に刺された傷口から菌がはいってしまい、足が腫れ上がってしま
うなんてこともありました。この様な状況を改善するべ く、アセスメントを行
い、契約を結んだ掘削会社と調整をし、井戸・トイレの維持に関するワーク
ショップを開催した後に、井戸・トイレを届けまし た。

ジャスト・ギビングでチャレンジ「南スーダン共和国をもっと多くの人に知って
ほしい!」を始めました。
http://justgiving.jp/c/8412

皆様から応援の頂けると嬉しいです!!

報告者;景山