しんりの手 :psych NOTe -11ページ目

一目惚れは匂いが影響か

  scent 人を好きになる時の表現で「化学反応を感じた」というのがある。これは実際に人と会う時に人間の嗅覚で起こっている反応なのかもしれない。

このニュースによると、人には嗅覚と味覚の遺伝子が1000ほどある。そのほとんどは人類を通して同じ働きをしていると考えられるが、その中の50だけは人によって全く違う。この50の嗅覚味覚遺伝子がオンになっているかオフになっているかの組み合わせは一人一人違うというのだ。この嗅覚味覚遺伝子の組み合わせが違うことにより味も匂いも人により感じ方が違うだろうとこの研究者は言っている。

ふーん、これは色視覚障害に似た話だな。色の認知は3種類のコーン(円錐体)で判別される。これが1種類とか2種類のコーンしかなかったりすると色の見え方が変わったり、色を判別できなかったりする。珍しい例では人間でも4種類のコーンを持っていて、一般人よりも色の判別を細かくできる人もいるそうだ。嗅覚味覚でも人により知覚に違いがあるというのはこれに似た話なんだろう。

この研究者はこの嗅覚味覚の違いが人の好みに繋がっていると考えている。つまりある人にとっては好きな匂いでも他の人にとっては嫌いな匂いというのがある。更にこの考えを食品業界に応用できると考えている。食品の開発というのは少数の人による味覚試験で生産するかボツにするかが決められている。しかし人によって味覚が違うのなら、この一部の少数の試験者にとっては嫌いな味でも一般消費者の中にはその味が好きな人も多いかもしれない。なのでこの遺伝子の解明は食品業界の発展に繋がるだろう。

僕の感想としては人の好みが匂いの遺伝子によるかもしれないというのが面白いと思う。一目惚れ、とか化学反応を感じた、とかは見た目とか喋り方や仕草だけのものかと思っていたけど、匂いで判定しているかもしれないというのは興味深い。もっと研究されて欲しい分野だ。

元のニュース:http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/3153475.stm

卒業式のある一日

卒業式が無事に終わった。僕の親しい友達TはGPA(成績平均点)4.0で卒業した。つまり全てのクラスの成績がA(最高)だった。式典では僕はこの友達Tの家族と一緒に座っていたんだけれど、オーケストラが威風堂々を奏でている時に母親は涙ぐんでいたな。彼はこれから大学院を経て医師になっていく。

そんな風景を見ながら、大学卒業後の成功は何を見れば予想できるのかな、なんてことをぼんやり考えていた。僕の友達Tは大学院でもその後も普通に成功するだろう。学業はできるし、奨学金で全ての学費や生活費を賄っていたし、部活動を組織してタフなスポーツを教えていたりもした。医者は彼の性格によく合っていると思う。

医学部ではひたすら暗記して、いくつもの試験を通過していかなくてはいけない。まさに学校の延長だ。暗記が大事というのは医療現場でも見れる。患者の症状を特定するのに医師がいちいち医学書を紐解いていたら患者も心もとないだろう。実際にそういう心理学の研究もあるので機会があったら紹介します。

心理学の研究で成功するには医学部と違う要素が必要になってくる。良い生徒でいることと、良い研究者になることと、良い先生になることはそれぞれ3つの別の視点だ。一つに良くても別のに駄目だという人は多々いる。心理学の場合は更に良いカウンセラーになること、というのもあるか。

そんな適正を進路を決める時に知れたら本人も周りも幸せだろう。悪い教師や医師に当たると生徒や患者も可哀想だからな。現在使われている職業適性は能力を測るものばかりで、対人関係などをあまり反映していないものが多い。将来もっと対人関係も測れる職業適性ができると良いな。そんな事を考えた卒業式の一日。

検索キーワード: 意思決定 医療心理 進路 職業 適正 

小休止

卒業式の準備や出席などのため今週は更新できません。悪しからず。人が巣立っていくのを見るのはすごく嬉しいもの。自分の卒業式なら更に嬉しいんだけどね。

恐怖を増幅する薬で恐怖を克服

fearofcats 恐怖症の治療として、現在使われている行動療法よりも何倍も早く恐怖を拭い去る療法が使われるかもしれない。

恐怖症とはある刺激が身体などの危険に繋がるわけでもないのに嫌うこと。例えば狭い場所や特定の動物を嫌悪し、接触を極力避けようとする。この療法の一つとして行動療法というのがあって、恐怖の対象物に対しての接触を徐々に増やしていく方法がある。この記事によると、行動療法の今後の課題は期間を短くすることだそうだ。例えば16週間かけて徐々に恐怖を減らすとする。すると患者は16週分の診察費が負担になるし、第一、恐怖対象に曝されに16回も通うなんてとても嫌~な体験だ。最後まで続かない患者も多い。

恐怖を拭う期間が実験条件により4倍も違う方法が示された。まだマウスでの実験段階に過ぎないのだが、恐怖をより感じる薬(!)を投薬してから恐怖に曝すという大胆な方法で4倍も早く恐怖を取り除いたという。

実験では、まずはマウスに恐怖を植え込む。パブロフの犬のように古典的条件付けを使い、肉体的に嫌な電気刺激とある音信号を関連付けさせる。この訓練を経て、このマウスは恐怖症を持つ:つまりこの音信号自体は危害を加えないのに音信号まで嫌ってしまう。

この恐怖症を克服させるのに2種類の薬の効果を比べた。薬Aは恐怖対象を嫌だという気持ちを緩和する薬(刺激遮断薬プロプラノロール)。薬Bは恐怖対象をもっと嫌だと感じさせる薬(刺激活性薬ヨヒンベ)。実験ではマウスにどちらかの薬を与えて、そしてあの恐怖対象に仕立て上げられた音信号をマウスは聞かされる。結果は意外にも恐怖を増幅する薬Bを与えられた群のマウスの方が4倍も早く恐怖感を示す反応が失われた。

ほう、この結果は僕が予測したのとは逆だな。より強い刺激により記憶の書き換えがより早く行われるのかな。人間に早く応用できることを期待します。
ところでこの実験には統制群は無かったのかな。

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元の記事:Terror is the best remedy for phobias. New Scientist. 10 April 2004

検索キーワード: 行動療法 Behavioural therapy 不安障害 anxiety disorder phobia fear terror classical conditioning propranolol yohimbine

25%脂肪と75%無脂肪

fat-free-milk 同じ意味の言葉でも表現の仕方で人の受け止め方は大きく変わる。商品の宣伝では消費者により受け入れられる表現を使って、商品を良いイメージとして受け止められようとしている。これはそんなことに関わる論文。

この研究者は、ある食品を説明するのに同じことを意味する2つの表記の受け取られ方の違いを調べた。Aは25%脂肪と表記し、Bは75%無脂肪と表記した。両方とも同じ意味のはずなのだが、消費者(この場合は被験者)の感じ方は違った。Bの75%無脂肪の方がより健康的だと感じたのだ。この食べ物がどのくらい健康的かを48人の被験者に聞いたところ、Aの25%脂肪という表記の場合、感受健康指数(0から1.0の評価)はたったの0.36だった。Bの75%無脂肪ではぐんと上がって感受健康指数は0.64だった。

このことから脂肪などの否定的に受け止められやすいものに関しては「無い」という表現で打ち消す方が効果的なことが予想される。

同じことを5%脂肪と95%無脂肪で比べたが、同様の結果が出た。感受健康指数は5%脂肪の表記では0.89だったが、95%無脂肪では更に上がり0.97だった。この研究者はこの結果を裏付けるために別の方法で同じ内容を実験した:つまり健康を意味する言葉と不健康を意味する言葉とそれぞれの条件(25%脂肪、75%無脂肪など)がどのくらい関連しているかを反応時間の実験で調べた。こちらの実験でも同様の結果が出た。同じ内容を意味するものでも、脂肪と書かれている物は不健康な言葉との関連付けが速く、無脂肪とかかれているものは健康的な言葉との関連付けが速かった。

ふーん、面白い実験だな。でもこれって結局、消費者は欺かれるだけだよな、表記方法に。こんな実験がアメリカ人を肥満にさせていくんだろうか、なんてことをふと考えてしまったよ。

元の論文:Anthony J. Sanford, Nicolas Fay, Andrew Stewart, and Linda Moxey (University of Glasgow, Scotland) Perspective in statements of quantity, with implications for consumer psychology. Psychological Science. Vol. 13 (2). March 2002.

近視は生活習慣から

myopia 近視になるのは生活習慣のせいだという記事。

近視は遺伝か生活環境によるものかというのが議論されているらしいが、生活環境の要因が強いということをこの記事は紹介している。これによると、同じインド人種でも、シンガポールに住んでいると70%が18歳までに近視になるのに対し、インドに住んでいると10%だけが近視になる。他の研究では、イスラエル人で読みが中心の学校に通う生徒は80%が近視なのに対し、普通の市立学校の生徒は30%だけが近視だ。

生活環境にはいろいろな要素がある。長時間読むことが近視になる一番の要因だとは思われているが、他の生活環境の要因の可能性もあり、原因の特定はまだされていない。ただ、スポーツをする子は近視にはなりにくいという研究結果がある。

目の発達は、小さい頃にどんなものに焦点を合わせる時間が長いかでかなり変わってくる。読む時間が多ければ焦点の発達が変わってくるし、運動中に奥行きの焦点を変える時間が長ければそれも発達に関わってくるのは当然だな。

あとこの記事では東アジアの人は近視の人が多いイメージが欧米にはあると書いている。そんなイメージは嫌だな。僕は幸い目が良いのだけれど、やっぱり子供には運動してもらいたいね。目のためにも体のためにも。

元の記事:Blame lifestyle for myopia, not genes. New Scientist. 10 July 2004.

意外に背が低いカルメン・エレクトラ

mattleblanc 今週中に終わらせるべき仕事が片付いたんで、今日は久しぶりにジムに行った。僕はテレビを持っていないので、ジムで走っている時間がほぼ唯一のテレビを見れる時間だ。今日は木曜日だったんで「ジョーイ」が放映されていた。この番組が始まって8ヶ月くらい経つのに見るのは初めて。基本的にはフレンズ路線を踏襲している感じ。ただ新しい俳優陣はみんな痩せてんね。以前に記事を書いたけど、最近のメディア界の傾向は痩せてる人を使う方向にあるというのを改めて感じたよ。特にがたいのいいジョーイ(マット・ルブランク )の隣に映ると差は歴然!

ジョーイとの差と言えば、カルメン・エレクトラ って意外に背が低いのにちょっとびっくり。今週のエピソードでは彼女がゲスト出演していたんだけれど、ジョーイより10cmは低い。ジョーイも背が低いネタをよく使っていたんで僕の中では彼の身長は170cmくらいの印象。だからカルメン・エレクトラは160cmくらいか。アメリカでホットな女の子というと背が高い人が多いんで、カルメン・エレクトラもなんとなく175cmくらいあるんじゃないかと勝手に思い込んでしまっていたよ。それにしても彼女ももう若くないはずなのにホットだな。

科学コンクール

年度末で忙殺されてます。そんな中、市の中学生と高校生の科学コンクールの審査員みたいなことをしてきた。最近の高校生はよく学んでいるね。

応募作を読むまではかなり否定的な気持ち。こんな忙しい時期にやるなよ、なんて思っていた。でも応募作の質の高さと、生き生きとした高校生達に直接会ってそんな気持ちも吹っ飛び、かえって気持ち良くさせてもらったよ。

僕が審査に関わったのは心理学の分野だった。例えば一人の子は認知心理学の実験の発表をしていた。斜体や太字を使った科学的な文は読みやすいか、という実験を40人も被験者を使い、F検定までしていた。手直ししたら心理学雑誌に発表できる実験だよ。しかもこの子は自身でやった分量が100%で、親と先生の分量が0%と書いてあった。最近の子は進んだ勉強をしてるんだな。

ま、中には高校生らしい子もいて、「研究方法が分からなかったので先生に聞いたけれど、先生も知りませんでした」と正直な告白を書いている子もいた。んん。かわいい。

質はさておき、高校生って素直で良いね。自分の知りたいことを自分で実験して検証しているのが応募作を読むと素直に伝わってくる。新鮮で読んでいて気持ちよかったよ。大学院生になると自分の知りたいことを研究している人は減って、教授の研究の延長をしているだけの人が多い。そんな状況に慣れた僕等に新鮮な空気を吹き込むティーンエイジャーの活気に触れて、初心を思い出したよ。高校生、ありがとう。

テレビを見るといじめっ子に

childrenwatchingTV
テレビをよりたくさん見た子はその後いじめっ子になりやすかった、という研究が発表された。

4歳児1266人を追跡調査し11歳になるまで観察した。その結果13%の子がいじめっ子になったと判定され、この子達はよりテレビを見ていた。それに比べて、親が本を読んであげたり、ピクニックに連れて行ってあげたりする家庭の子供はいじめっ子にはなりにくかった。

以前からテレビを見ることの悪影響は言われている。テレビを見るとより肥満になりやすく、注意散漫になり、攻撃的になりやすい。いじめっ子になったり攻撃的になったりするのはテレビで暴力を見ることにより、暴力に対しての過敏さが失われてしまうからだと考えられている。

僕は基本的に子供にテレビを見せないことに賛成。でも実際に子供の前ではテレビを親も見ないし、子供にも見せないって生活は難しそうだな。僕の知っている家庭では一家庭しか実践していない。その家庭の子供達は精神的にすごく順調に育っているように見える。そういう地道な努力で子供を育てるやり方には本当に尊敬してしまうよ。

ニュース元:CNN:Kids who watch TV more likely to bully
研究者:Frederick Zimmerman (U of Washington) Archives of Pediatrics and Adolescent Medicine.

幸せを感じるメキシコ人

happiness
昨日の記事 でテキサスの町が幸せな町として数多く選ばれていると書いた。その理由の一つはメキシコ人が多いからかも知らない。

雑誌「メンズ・ヘルス」が101の町の幸福度をランク付けした。これによると1位、2位はテキサス州のラレード、エルパソで他にはカリフォルニア州の町などが上位に来ている。これらのテキサス州とカリフォルニア州の町々の共通点は、メキシコとの国境に接していて、メキシコから来た移民が大多数を占めていること。

メキシコ人はとても幸せを感じる民族だ。上の画像は「とても幸せ」と言う人の割合を国ごとに示した地図だ(出所は昨日の統計とは違う)。濃い色の方が幸せ人が多い。これを見ると、メキシコは世界の中でも最も幸せを感じる人の多い国だ。人口の50%以上が「とても幸せ」と答えている。

それに比べて日本で「とても幸せ」と答えた人は20%以下だ。寂しいな、この結果は。この理由としてまず、アジア人は「幸せだ」と表明することに謙虚なので、この数字の違いが直接、幸福感だとは言い切れない。

それを差し引いても、豊かな町というのも幸福度は低い。それは豊かな町には貧困層も住んでいるので、この貧困層が幸福感を引き下げている可能性がある。実際にシカゴは貧しい人が多く、昨日紹介した統計では幸せ度74位(101中)だ。ニューヨークに至っては91位だ。

豊かな町が幸せではないもう一つの理由は比較意識だ。幸せ感というのの最も大きな要素は他者との比較意識だ。金持ちを近くでたくさん見ると、自分は幸せではないと感じてしまう。

僕としては、金持ちにならなくても良いけど幸せを感じる人生を過ごしたいね。

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関連するウェブ:

直接は関係ないけどフィラデルフィア繋がりで「背の低いグラスだと飲みすぎに?」(メーカ研究員の週報


画像元:New Scientist 2003年10月4日号
データ元:101 cities on depression