しんりの手 :psych NOTe -10ページ目

脳は本当に必要なのか?

hydrocephalus

「脳は本当に必要なのか?」などと書くと何を当たり前の質問をしているのか、と思われるだろう。しかしこの優秀な大学生Aは脳組織が5%しかない。通常、脳心室(ventricles)と皮質表面(cortical surface)の間の頭脳組織は4.5cmの厚みがあるそうなのだが、この大学生Aはそれが1mmにも満たない。なのに彼のIQ(知能指数)は通常よりはるかに高い126で、数学の第一級栄誉をもらっている。そして特に目立った知的障害や社会的な傷害は認められない。つまり彼は通常の人間の5%にあたる脳しか使わずに正常に生きているのだ。


上記はアメリカの権威ある科学雑誌「サイエンス(Science)」誌のある記事の要約だ。漫画「北斗の拳」でケンシロウが言う「(通常の)人間は脳の5%しか使っていない」という台詞などの元の引用はこの記事なのかもしれない。しかしこの大学生Aが5%にあたる脳しかなくても普通に生きているからと言って、他の大多数の人間が脳の95%を全く使っていない訳ではない。CTスキャンなどを使うとこの大学生Aは5%に当たる部分しか反応が無いようだが、一般人の脳をスキャンすればほぼ100%が使われているのが分かる、同時にではないとしても。


実のところこの大学生Aの存在はすごく不思議で、心理学でもよく分かっていない事象だ。彼は水頭(hydrocephalus)と診断されていて、この病気の他の患者でも頭脳組織が著しく少ないのに平穏に日々生活している人が何人もいる(僕が見たビデオでは少なくとももう2人)。このビデオもサイエンスの記事も20年以上前(1980年)のものなのだが、彼らはその後どうなったのだろう?この事象は世間からあまりにも無視されているので新しいニュースが聞けなくて残念だ。無視され具合の目安としてGoogle Japanで「脳は本当に必要なのか?」(サイエンス氏の記事のタイトルの日本語訳)で検索すると0ヒットだ。「"Is your brain really necessary?"」(記事の原文タイトル)で検索すると3件のヒット。Googleの英語版で検索すると800件ほどヒットがあり、もう少し詳しい解説も読める。


現在の心理学でのこの事象の解釈としては、水頭などの病気で脳の大部分が占有されてしまっている場合、それが脳の発達時期であれば、頭脳組織は空いている空間に通常とは形を変えて成長していくのだと言われている。ただその密度が20倍(100%/5%)になって一般人と全く同じになるとは考えにくい。


もう一つは、大学生Aたちは今のところ正常に生きているが、やはり何らかの欠陥があるのかもしれない。つまり頭脳組織5%だけではやはり足りないのかもしれない。ただこれは未確認だし、前述したとおり話題にならない分野なので僕は知らない。うん、改めて思うけど脳とか心理学って謎に満ちていて勉強する余地が有り余ってるよな。


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先月まで休止中だったこのブログを折角、復活させたんで、別館である「しんりの手FC2 」とは差別化していこうと思ってます。「しんりの手FC2 」では新しいニュースを紹介。ここアメブロでは古いニュースや心理学の教科書からの焼き直しなどを紹介していく予定。今後もよろしくお願いします。


元の記事:Liwen, R. (1980) Is your brain really necessary? Science Vol.210, 1980. December 12. p.1232-1234.


画像引用元:http://www.doereport.com/generateexhibit.php?ID=3446

右上の脳が正常の脳で、右下の脳が中程度の水頭の脳。大学生Aはこれよりも脳が少ないと思われる。

覚醒指圧のポイント


acupressurelocations

前回、紹介した指圧のポイントです。太字が示す5点が覚醒のポイントで、薄い文字がリラックスの5点だとのこと。とりあえず僕は指の水かきのポイントを試しているけれど、今のところ効果を感じ取れていない。


画像引用元:The Journal of alternative and complementary medicine volume 11, number 4, 2005, pp.673-679.

眠気覚ましには覚醒指圧がリラックス指圧よりも効く

acupressure
指圧の種類によって眠気覚ましの効果がどのくらい違うかを調べた。比べたのは覚醒させる指圧と、リラックスさせる指圧。実験の結果、覚醒させる指圧をした群の方が眠気が少なかった。つまり実際に覚醒効果があった。


生徒39人に被験者になってもらい、丸一日の授業に3日間出席してもらった。この生徒たちには事前に自分でできる指圧を教えておいた。2つの群に分け、一つには覚醒指圧の点穴を5箇所教え、別の群にはリラックス指圧の点穴を5箇所教えておいた。そしてこの3日間の間は、昼食休憩のときに自分で指圧をしてもらった。眠気は自己申告で、一日に2回眠気を記録してもらった:朝(授業前)と夕方(授業後)。


この結果、覚醒指圧の群のほうが眠気が少ないと申告した。2つの群の違いは統計的に優位の差だった。この研究者は今後、自己申告の眠気の違いだけでなく、実際にパフォーマンス(成果)にも違いが現れるのかを研究したいと思っている。


ふーん、指圧ってこうやって科学的に効果が示されているんだな。その覚醒の5箇所のポイントを教えてほしいよ。論文に載ってるのかな。早速チェックしよう。

ただ疑問はまだある。これは盲検法をとったんだろうか。被験者である生徒が指圧の効果を知っていてはプラシーボ効果が出てしまう。つまりこの指圧は覚醒効果があるんで眠気が覚めますよ、と教えられていれば眠気を自己申告する際に「眠気が覚めた」と感じやすくなってしまう。その辺も論文を読むときに確認してみよう。
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検索キーワード:心理学、double blind experiment, acupressure, Richard E. Harris Ph.D., University of Michigan, stimulation, relaxation, journal of Alternative and Complementary Medicine,


元のニュース:

ミシガン大学「Staying alert during class: Self-applied acupressure may reduce sleepiness, U-M Health System study finds 」

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引越し先のFC2に書き込みにくい状態が数週間続いているんで、諦めてアメブロに戻ってきたよ。もともと引っ越した理由の一つが、当時のアメブロだと書き込みたい時にアクセスできない状態が続いてたからなんだよね。節操が云々よりも、とりあえず書き込める場所がほしいんでアメブロに書かせてもらいました。


引っ越しました

FC2に引っ越しました。

http://psychnote.blog11.fc2.com/


移転先のデザインなどをちゃんと整えてから正式に告知しようと思ったんだけど、何ヶ月たっても満足に至らなそうなんでもう諦めたよ。アメブロ、FC2どちらのブログに対しても改良すると良さそうな点などの提案があれば教えていただけると嬉しいです。今後も代わらずよろしくお願いします。


引越し準備中

sinrinoteFC2
 このブログをアメブロからFC2に移そうと思ってます。
しんりの手 fc2

大学院も夏休みに入ったんで、心機一転で新しい環境で始めたくなったんでね。

別のブログ環境を使い始めてやっとアメブロの良さが分かったんだけど、アメブロは僕みたいな初心者にとってはとても使い易いところだったな。画像やリンクの貼り方とかはアメブロが一番分かり易い。他にもブログの管理画面の階層表示や呼称が初心者にも分かり易いように良く工夫されていたと思う。ただ慣れてきてブログを拡張しようと思った時に制限がいろいろあるのは玉に瑕。

アメブロは良かったけれど、他のブログでも使い易さというのはもっと重要視されて良いと思うよ。個人的にはライブドアのブログは使いにくいと思った。記事を書く方にとっても使いにくいし、読む方にとっても使いにくい。特に記事をページの一番下まで読んだ時に、それよりも過去の記事に進むボタンが無いのは僕にはとても使いづらい。

ウェブやブログの使いやすさは心理学でもよく研究されている。心理学を専攻した友達がeBAYなどのウェブ・サイトを使いやすくする職に付いたりしている。ライブドアは心理学の専門家を雇うほど使いやすさを重要だなんて考えちゃいないんだろうな。
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検索キーワード: 心理学 認知心理学 ユーザビリティー 使いやすさ ユーザー・センタード 使用者中心 ユーザー・フレンドリー 

人口網膜で盲目が見えるように

mark humayun 網膜にまつわる病気で盲目の患者に人口網膜の手術を行ったところ6人全員が光などを感受できるようになった。ただし精度は悪く、まだ字が読めたりするレベルではない。

アメリカでは6百万人が盲目だ。全世界では2千5百万人が盲目。これらはRP(網膜色素変性症)やAMD(年齢に伴う黄斑変性症)などの病気のためだという。どちらの病気も問題は網膜だ。 そこでこの研究者は患者の頭にビデオカメラを付け、その信号を網膜代替機に送る手術を6人の盲目患者に施した。結果、6人全員が、光を感受できるようになった。

まだ精度は悪い。濃淡の対比が強い物体の場所を見分けられる程度だ。でも物体の動きなどもリアルタイムで感受できる。これはこの機械のお陰だ。なぜならこの機械の電源を切ると彼等は光を感受できなかったからだ。

以前からこの医療の発展は大きく取り扱われてきていたけれど、ようやく患者に付けるまでのレベルに達して、結果が出てきたんだな。今はまだ精度が低いけれど、精度は今後、どんどん上がっていくと思うので文字が読めたり顔を識別できるくらいまでになってくれると良いね。楽しみな研究です。

ところでこういう研究も心理学の一端だ、又は心理学と関係が深い。心理学は脳に入ってきた情報をどう処理するかの学問なんで、目から脳に入ってきた情報の処理の学問も心理学の範疇だ。知覚心理学とか認知心理学と呼ばれる。

元のニュース:  University of Southern California

暴力映像はCMの広告力を損なう

bradbushman 番組中に暴力や性描写などがあると、その後に見るテレビCM(コマーシャル)の記憶が悪いという結果が発表された。

この研究者(ブラッド・ブッシュマン、写真)はテレビ番組に暴力やセクシーな場面があるかないかでその合間に流れるテレビCMの記憶が視聴者に残る具合が変わるかを調べた。324人の被験者、年齢は18歳から54歳の男女、を無作為に割り振って調べた。テレビCMの内容はソフト・ドリンク、コーン・フレーク、洗濯洗剤など。テレビ番組を見た直後にCMのブランド名を答えさせた。被験者はブランド名を問われることを知らなかった。更に翌日にも電話でCMのブランド名をどのくらい思い出せるかが確認された。

結果は暴力やセクシー映像が無いテレビ番組中に流されたCMのブランドの方がより多く思い出された。これはテレビ番組を見た直後でも翌日に問われたのでも同じ結果だった。同じ傾向が全ての被験者群に見られた。つまり男でも女でも暴力映像を好む人も好まない人も、いずれの群も暴力や性描写があった場合にはCMのブランド名をより思い出せなかった。

理由としてこの研究者は2つ考えている。関心がより暴力や性的な物の方に行ってしまうのでCMに関心が向きにくい。それと、暴力や性描写は思いを馳せやすいので、CMを覚えていないのだろう、と。

これは面白い実験だな。基本的には暴力や性描写をテレビから減らすのには賛成。なのでこんなニュースを見て広告主の人がテレビ番組を変えてくれるのは良いと思う。それに僕自身としても暴力やセクシーな映像などには頭を占領されて他のことを忘れてしまいがちだ。実験をもう少し詳しく知りたいので元の論文もそのうちに読んでみます。あとこの研究者の写真はインパクトがあるね。暴力を研究するには自らを暴力環境に置くってことでよろしいですか。
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元のニュース:APA Online
研究者: Brad Bushman & Angelica Bonacci (Iowa State University)

関連ニュース(あんまり関係ないけど):セクシーな広告は若者には不人気?livedoor news 

検索キーワード:implicit memory violence sexual content tv

SUVは歩行者を2倍殺す

dummy 車の種類によって、事故になった場合の歩行者の致死率が大幅に違う。SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)は普通車に比べて2倍の致死力がある、という記事。

アメリカでは年間4000人もの歩行者が交通事故に巻き込まれて死んでいる。そこでこの研究者は車の種類によって歩行者が死ぬ確率が違うかを調べた。条件を揃えるために一台の車が一人の歩行者に衝突した場合の1000件中の致死率で比べた。すると、普通車では1000件中45件で歩行者は死に至った。ミニバンでも45件。それがSUVになるとぐんと跳ね上がる。小型SUVで77件。大型SUVでは115件。大型のバンでは132件が致死の事故だった。

アメリカ人てSUVやトラックが好きなんだよな。というかああいうどっしりした車が本当によく載られている。で友達にそういう車を買う理由を尋ねると、事故にあってもあたり負けしないんで自分は助かるから、と答える友達が多い。これってすごく個人主義的で僕は嫌いだ。相手より重量で勝ることによって、相手を殺してでも自分は生きようというのはとてもアメリカ人的だと思うよ。日本ではどうなんだろう。

人間の心理としては自分が生きられる確率が高いのを選ぶのは当然のことなんだけれど、そんな事をし続けていたら社会がどんどん変な方向に言ってしまうんではないかと心配だ。国の間で言えば相手より強い武器を開発していくのも同じ流れだと思う。でも平和な社会というのは別の方法で作られるのだと僕は信じている。例えば現在の社会階級はケンカの強さで決まるわけではない。成熟した社会は強さを追い求めるものではない。
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元の記事:New Scientist. 13 December 2003. p.23. Pedestrians at risk from sports utility vehicles

アルツハイマー病の自覚があれば判断能力も維持

diagnosisalzheimer アルツハイマー病になると物事の判断ができなくなってくる。物事を判断する能力が著しく劣ってしまうため、治療に対する判断もできない。この判断ができるかどうかの判定として、自身の病状を認識できるかが大きな目安になると言う。

この研究者はアルツハイマー病の重度の測定として2つの試験方法を提案している。
一つ目は以前から使われているMMSE(健忘症テスト)だ。MMSEの解説はこちら 。これが19点以下だと物事の判断能力が著しく劣っている。

二つ目の方法として、自身がアルツハイマー病であるという自覚があるかが判定材料として使えると言う。MMSE健忘症テストの結果とは相関しないで、自身の病状の自覚があればアルツハイマー病の治療方法の判断で適切な判断を行えたと言う。

こういう研究は大好き。昨日の記事で「老人は騙されやすい 」というのを書いたけれど、騙されやすい人を家族が判別できれば対策がしやすいと思った。今回のこの研究者は周りの人間が病状の深刻度を手軽に判別できる方法を提示しているので、これは使えると思うよ。ぜひ今後、この自覚度判定がどのくらい使えるかを見ていきたいね。
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追記: この研究者のDr. Jason Karlawishにメールしたところ早速、論文を送っていただきました。ありがとうございます。良い日本語が思い浮かばないけどapproachable(話し掛けやすさ)というのは大事だな、と思ったよ。僕も気をつけよう。
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元のニュース:WebMD Health

検索キーワード: 心理学 認知心理学 発達心理学 MMSE Mini-Mental State Examination Alzheimer's disease

老人は詐欺に騙されやすい

matchstickmen 老人の方が詐欺に引っかかりやすい。経験から知られていることが心理学の実験でも支持された。

この研究者は24人の老人(平均年齢75歳)と24人の若者(同19歳)の記憶実験を比較した。まずは2単語からなる言葉(例えばknee bone、日本語で言えば膝、骨などの関連ある言葉の組み合わせ)をいくつも記憶させる。そして試験の段階ではやはり2単語からなる言葉が示されてそれが記憶した言葉だったかを答える。ただし引っ掛け問題としてknee bend,膝、屈曲など最初の単語しか合っていない物が混じっている。

その結果、老人群は10倍も誤った組み合わせを覚えた単語だとして受け入れてしまった。これは若者が10倍も正確な記憶を持っていたわけではなく、若者はあやふやな記憶の問題をパスする(飛ばす)という選択肢を選べたのに対し、老人はパスという選択肢をほとんど選べなかった。これが若者よりも老人が10倍も誤った記憶を受け入れてしまう結果に繋がった。

この実験が指し示すことというのは、老人が詐欺に対して弱いということだと言う。例えば悪意のある業者が老人の客に対して、「見積もりよりも高くなる可能性があるって言ったでしょ。高くなっても払うって言ったんだから払わなきゃ。」なんて嘘を言ったとすると、老人は誤った記憶を受け入れてしまいやすい。

ふーん、内の家族にも注意するように言っておこ。この研究者も言っているけれど、全ての老人が誤った記憶を受け入れやすいわけではなく、個人差が大きいらしい。そして詐欺師は引っかかりやすい人の名簿を売買しているとのこと。引っかかりやすい人を判別できるテストがあれば、家族も事前に危険性を知れて、事前に対策を立てたりできるだろうな。

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元のニュース:APA press release

研究者:Larry Jacoby, Anthony Bishara, Sandra Hessels (Washington University). Journal of Experimental Psychology: General. 134(2).