予備校帰りに、近所の公園でクロヤマアリが盛大に巣の拡張を行っているのを見た。
おぉっと、これは・・・思わず立ち止まり、しばし観察。
ん~もう巣の入り口にオスアリが・・・ん?これオスか?
確かに羽はついてる。でも体格は周りのクロヤマアリよりは大きい。女王か?と言われてもなんだか細身で、あの卵詰まってるデカい腹がない。しかも色は真っ黒。クロヤマアリというより、クロオオアリのワーカーがなんかの間違いで羽を持ったって感じ。
写真をとってよく見てみた。
!、こ、このアリは・・・!!
コイツがいるってことは・・・
やっぱりか・・・こりゃあクロヤマアリの巣じゃない。
確かに周囲で働いてるのは全てクロヤマアリだけど、この巣の正規メンバーは写真のコイツらだ。
オレも生まれて初めて見たよ。これ、サムライアリだ。
最初の写真が、サムライアリの女王。口をよく見てほしい、ギザギザも何もない鎌のような形をしてるでしょ。
これがこのサムライアリの大きな特徴。
2枚目の写真はオスアリ、羽と足と触角が白く、非常にきれい。
そして3枚目の写真は、サムライアリ本来の働きアリ。
サムライアリは巣を乗っ取るタイプのアリの中でも、さらに珍しい「奴隷狩り」をするアリ。
クロヤマアリの巣に大挙して押し入り蛹やらなんやらを片っ端から担ぎ出す、サムライというよりは恐怖の武装強盗集団。
結婚飛行の時期と奴隷狩りの時にしか地上に姿を現さないから、ちょっと珍しいね。
今回はその結婚飛行の時って訳か・・・
なぜ鎌状の牙をもっているかというと、それはこのアリがこの「奴隷狩り」に異常なまでに特化した種だからに他ならない。この鎌は、コロニー襲撃の際に抵抗するクロヤマアリを虐殺するための武器、及び獲物を抱えて運ぶのに特化した道具としてのみ機能してる。
逆に言えば、巣を掘ることはおろか、幼虫を育てることもできなければ自分でエサを食べることすらできない。
自分たちで巣を成り立たせることの一切を放棄し、自分たちの代わりに世話をする連中を捕えることのみに進化の重きを置いて繁栄してきたため、こんな物騒な生活様式をとるようにようになったんだろう。
結婚飛行を終えた女王は、単身でクロヤマアリの巣へ乗り込み、コロニー制圧ミッションを遂行する。
他の1から巣を立ち上げるアリと異なり、サムライアリの女王は腹に最低限の栄養しか溜め込んでいない。
その為女王とは思えないスピードで走ることができ、その巨大な顎で襲い掛かるクロヤマアリを払いのける。
そしてクロヤマアリの女王を抹殺。その臭いで自分を元のコロニーの女王と思い込ませ、巣を丸ごと乗っ取ってしまう。正に超武闘派の女王なのだ。
まんまと巣を手に入れた女王はもう卵を産むだけ。世話も何もかもクロヤマアリがしてくれる。
巣の中にはどんどんサムライ兵士が育っていき、本来の女王がいなくなった奴隷たちは少しずつ死んでいく。
そして巣の中の奴隷が足りなくなってしまったとき、この自堕落な生活を送っていたサムライアリは大鎌を振りかざし、クロヤマアリの巣に乗り込み略奪の限りを尽くす。
まったく、とんでもない連中だよなぁ・・・ただのニートの方がよっぽどましな気がしてくる。
さすがにコイツを飼うために、今絶賛拡大中のクロヤマコロニーを襲撃させるのは辛い。ってかそんなことして今の働きアリが居なくなったらどうすりゃいいんだ・・・
あ、公園にケース置いといて、近くの巣から奴隷狩りするとこも観察しちゃえばいいのかw帰って来るもんなwww
では今夜はこの辺で・・・