このブログを書いていく過程で、アメリカの大学・院に関わる様々なデータを取り上げてきました。アメリカ人は概してデータ好きで、大学についてのデータも少し検索してみるだけでいろいろと見つけることができます。この記事では、それらの中から主なものを10個、ご紹介します。

 

昔の記事で取り上げたデータもそのまま再掲していますので中には古くなっているものもあります。興味のあるデータについては是非、最新のものを探してみてください。

 

  1.1年制MBA課程の学費

(元記事:アメリカの1年制MBA

 

出所:Poets&Quants - The Top One-Year MBA Programs In The United States (poetsandquants.com)

 

ランキングはこの記事を書いているベンダーのもの。1年制MBAについては元記事を見て頂ければと思いますが注目すべきはその学費。もはやとんでもない水準になっています。

 

  2.オンラインMBA課程の学生数

(元記事:アメリカのオンラインMBA:ポスト・コロナの衝撃


出所:Poets&Quants | In U.S., Online MBA Students Now Exceed Full-Time MBAs (poetsandquants.com)、データ出所AACSB(2020-21年度のデータ)

 

MBA課程の種類別の学生数。上記によれば最も多いプログラム形態はパートタイムMBAであり、それに続いて米国ではオンラインMBAの履修者数がフルタイムを上回っています。

 

  3.統計学の学位取得者数の推移

(元記事:アメリカの統計学修士課程

 

出所:アメリカ統計学会(https://ww2.amstat.org/misc/StatBiostatTable1987-Current.pdf)

 

統計学の学士号・修士号・博士号の取得者数の推移。修士号が学士号より多く、修士号取得者はこの20年で4倍を超えるペースで増加。一方学士号取得者は2010年以降、さらにその倍のペースで急増しています。

 

  4.ロースクール所在地域別の司法試験合格者数(日米)

(元記事:ロースクールの政策論:日米の弁護士・ロースクールの分布を比較してみる

 

出所:http://www.moj.go.jp/content/001269385.pdf

平成30年司法試験法科大学院等別合格者数から集計。人口当たりは1番目の表にある値から計算。

 

出所:https://www.americanbar.org/content/dam/aba/administrative/legal_education_and_admissions_to_the_bar/statistics/2019-bar-data-consumer-info.xlsx

2016年卒業生の大学院別Ultimate Bar Passage Outcomes から集計、人口当たりは2番目の表にある値から計算。

 

出身ロースクールの所在地別に集計した司法試験の受験者及び合格者数の日米比較。日本は圧倒的に関東と近畿に集中。一方、アメリカはかなり分散しています。

 

  5.Ph.D取得者の分野別職業分布

(元記事:Ph.Dの生きる道

 

出所:Occupations of Humanities Ph.D.'s | American Academy of Arts and Sciences (amacad.org)

 

Ph.D取得者の職業を分野別に比較したもの。人文系はアカデミック(Education-Postsecondary Teaching)が多くを占めますが社会科学だと4割が専門職(Sciences & Engineering)。理系はアカデミック以外の就職の割合がさらに高くなっています。

  6.専攻別年収ランキングトップ15 

(元記事:アメリカの専攻別年収ランキング(2023)

 


出所:2023 College Rankings by Salary Potential | Payscale

 

アメリカの大学における2023年のMid-Career Pay(職歴10年以上の卒業者の年収の中央値)の上位15専攻。1位「Petroleum Engineering」のMid-Career PayはついにUSD200Kを超えました。似たような名前の専攻がたくさんありますので、解釈には注意が必要です。上位は理系中心ですが、ビジネス・経済関係からは「Applied Economics and Management」「Managerial Economics」がランクインしています。

 

  7.文系専攻の卒業者年収・満足度・卒業者数増減率の分布

(元記事:アメリカの大学で人文系専攻の卒業者数が急減:文系専攻の「価値」と「満足度」

 

出所:「Mid-Career Pay」と「% High Meaning」はPayscale(2021-22)、卒業者数の変化率はこちら。詳細な注は元記事を参照。

 

文系の各専攻について、「Mid-Career Pay」「% High Meaning(「自分の仕事が世界をより良い場所にするために貢献している」と答えた者の割合)」「最近10年間の卒業者数の増減率」を散布図にまとめてみました。「Mid-Career Pay」「% High Meaning」は先ほどの専攻別年収ランキングより古いデータですのでご注意ください。必ずしも年収が低い専攻ほど学生が減っているわけでもなく、「% High Meaning」が比較的高い専攻の中には年収が低くとも学生数を大きく増加させているものもありました。

 

  8.理系専攻の卒業者数(日米)

(元記事:「DX担い手、米の1割」は本当か?

 


(Note) Data included in another category
出所:https://stats.oecd.org/Index.aspx?DataSetCode=EDU_GRAD_FIELD
2018年の専攻別卒業者数(Short-cycle tertiary education、Bachelor’s or equivalent level, Master’s or equivalent level、Master’s or equivalent level, long first degree (at least 5 years)、Doctoral or equivalent levelの合計)。

 

理系専攻の卒業者数の日米比較。全卒業者数に占める割合で見ると日米で理系卒業者数に大差はありませんが、分野別の分布は大きく異なっており、日本は工学系の割合が圧倒的に高いのに対し、米国は「自然科学・数学・統計学」や「ICT」の割合が高くなっています。

 

  9.女性の博士課程進学者割合(国際比較)

(元記事:アメリカの女性プロフェッショナルのキャリア

 

出所:OECD Education At a Glance 2018 (https://www.oecd-ilibrary.org/education/education-at-a-glance-2018_eag-2018-en)

 

各国の博士課程進学者に占める女性の割合。日本は韓国、中国、サウジアラビア、ルクセンブルグ、インドネシア、コロンビアの後塵を拝してぶっちぎりの最下位。恐ろしい現実としか言いようがありません。
 

アメリカの専門職大学院における、個々のプログラムの女性比率についてもデータが取れているものがありましたのでご紹介します。

 

(1)NYU-Stern Tech MBAのプログラムの学生構成 

(元記事:アメリカの1年制MBA

 

Class Profile - NYU Stern

 

(2)MIT-Sloanビジネス・アナリティクス修士課程の学生構成 

(元記事:アメリカのビジネス・アナリティクス修士課程

 

https://mitsloan.mit.edu/master-of-business-analytics/admissions/class-2020-profile

“Class of 2020 Student Profile”より。

 

NYU-Stern Tech MBAとMIT-Sloanビジネス・アナリティクス修士課程の学生構成。テック系やデータ分析キャリアというといかにも男性が多そうですが、これらのプログラムの女性比率を見るとそれぞれ51%、40%と、多くの女性がこうしたキャリアに参入していることが分かります。

 

  10.言語別の外国語履修者数

(出所:アメリカで人気の外国語

 


出所:Modern Language Association "Enrollments in Languages Other Than English in US Institutions of Higher Education, Fall 2021" 

(https://www.mla.org/content/download/191324/file/Enrollments-in-Languages-Other-Than-English-in-US-Institutions-of-Higher-Education-Fall-2021.pdf)

 

アメリカの大学における外国語の履修者数のデータ。スペイン語が全履修者の半数程度を占める。外国語履修者はこの10年程で大きく減っていますが、日本語を見ると2013年以降はほぼ横ばいとなっており、相対的にはかなり健闘しているのではないかと思います。