IT企業のPR -4ページ目

編集記事とそれほど変わらないスポンサー記事が求められる時代

東洋経済オンラインに「既存メディアは、やがてネットに敗れ去る」という記事が掲載されていました。自分の関心のあるトピックであるために、早速読んでみました。夏野剛氏と堀江貴文氏による対談形式で、新しい経済メディアのあり方について書いてあり、経済記者の特徴とかオンラインメディアの課題とか個人的に興味がある内容が書いてあり、最初から最後まで一気に読みましたが、最後に行ってから「NewsPicks」を展開しているUZABASEのスポンサーコンテンツであることが分かりました。つまり、UZABASEがお金を払って作られたスポンサー広告であるわけですが、従来の記事広告にありがちな嫌味というか胡散臭さがなく、純粋にコンテンツとして有益な内容でした。

Brand Contentその証拠に左側のキャプチャーしたこのスポンサー記事のFacebookやTwitterでのシェア数を見てください。本日20日の午後11時現在でTwitterのツイート数「143」であり、Facebookの「いいね!」数が「402」で、普通の記者が編集記事として書いた記事と同じぐらい、もしくはそれ以上にシェアされていると言えると思います。自分自身もこのスポンサー記事の内容が自分にとって価値があると思ったので、早速Twitterでシェアしました。


このように、以前もブログで書きましたが、たくさんの情報が溢れている中で人々のアテンションを得るには、客観的であれ、主観的であれ、情報を受け取る側の関心をひくコンテンツの中身が重要であることを考えれば、従来の記者へのメディアリレーションによって掲載された編集記事であれ、企業側が有料で作成したスポンサー広告であれ、そんなに違いがないように思います。つまり、従来のような広報と広告という立て分け方ではなく、両方をうまく使い分けて、伝えたいメッセージや目的によって、どちらを使うかという判断が重要になるのだと思います。

また、日本では「広告」とか「PR」という言葉は、これまでの経緯からどちらも「企業がお金を払って一方的に言いたいことを言っている広告」というようなニュアンスにとられてしまっているため、読者はこれらの言葉を見た瞬間反射的にかまえてしまっているのが現状だと思います。そのためか、今回紹介した東洋経済オンラインのスポンサー広告も、「広告」という言葉を使わず、「ブランドコンテンツ」という言葉が使われていますし、最近いろんなところで見かけるスポンサー広告に類するものは「Sponsored」とか「(企業名)からのおすすめ」などと書かれていて、「広告」という言葉が見当たりません。これも読んでもらうための工夫だと思いますので、コンテンツの内容に透明性があり、価値のある内容であれば、ステマに値するものではないと思います。

また、今日読んだ記事で『広告は「at」から「for」へ』ということについて書いてありました。つまり、『従来のマーケティングは「人に向かって(at)」行うものだったが、いま必要とされるのは「人のために(for)」という発想だ』というのです。そして、『「for」という言葉には、その人にとって有益であり、時間を無駄にしないようなコンテンツを提供するという意味を込めている。そのブランドと親和性が高い人を見つけ、その人にとって意味あるコンテンツを提供することがコミュニケーションにおいて重要になっている』と書いてありました。

これは今後、企業がコミュニケーションしていく上でとても重要なことだと思います。

ターゲット顧客の課題とニーズを徹底的に把握する

クライアントのPRプランを作る際に、クライアントが対象とするターゲット顧客がどのような問題とニーズを抱えているのかできるだけ詳しく情報を把握する必要があります。企業の存在価値は顧客が不便に思っている課題を解決したり、ニーズを満たしてくれることであり、それが明確になければ存在価値がないと言えると思います。

そのために、よく企業の担当者にターゲット顧客が抱えている課題やニーズについていろいろ質問するのですが、たまになぜそれらの質問がPRプランに関係があるのですかと逆に質問されることがあります。なぜそのような質問をされたのか聞いてみれば良かったのですが、その担当者はターゲット顧客の課題とニーズを把握することがPRプランとは関係ないと認識されていたようでした。

また、記者発表会などで使われるプレゼンでも、新製品やサービスがターゲット顧客のどのような課題を解決して、どのようなメリットがあるのかはっきり説明していなかったり、それがスッポリ抜けていることがよくあります。新製品の機能をえんえんと説明されても、それらがターゲット顧客のどんなことを便利にしてくれるために開発したのかきっちりと説明してくれないと、「何のため」の新製品・サービスなのか良く分かりません。

ですので、ターゲット顧客が抱える問題点、ターゲット顧客の要望・ニーズをきっちりと把握して、企業はそれらに対してどのようなバリューが提供できるか伝えることが非常に大切だと思います。

また、担当者に聞いても分からない場合があるので、世の中のトレンドや外部の人の意見などをもとにターゲット顧客の要望・ニーズを推測することも大切だと思います。

例えば、自分は以下のような問いを考慮しています。

● ターゲット顧客が現在直面している課題は何か
● どんなことにターゲット顧客はフラストレーションを感じているか
● ターゲット顧客が現在使っている製品・サービスにはどんなものが欠けているのか
● ターゲット顧客はどんなリスクに直面するのを恐れているか
● ターゲット顧客の業務上で頻繁に発生している問題は何か
● どうなればターゲット顧客の仕事や生活が楽になるか
● ターゲット顧客はどのような効果を期待しているか
● ターゲット顧客はどのような価値を提供する会社となることを望んでいるか
● ターゲット顧客はどのようなことを目指しているのか

シェアされやすい広告について考える

最近、広告についてもっと学ぼなければと思っています。PR業界の人は分かると思いますが、これまで「PR(広報)」対「広告」という対立関係で考えがちで、特にPR業界の人は広告を毛嫌いするひとが多いのではないでしょうか。その理由として、PR(広報)を実践することで実現した主要メディアでの掲載記事や、インフルエンサーや業界団体などを活用した第三者的な情報発信のほうが、メディアの有料スペースを使って企業の情報発信ができる広告より価値があると考えられてきたからです。

しかし、いまインターネット上では、広告であってもコンテンツが面白ければ多くの人に共有されている時代であり、場合によってはPR(広報)による従来のやり方よりも企業やサービスの知名度をあげるのに大きく貢献しているケースを耳にするようになりました。そういった意味から、PR業界で働く人は広告の効果的な活用方法についてもっと学ぶ必要があると思います。

昨日参加した「コンテンツマーケティングセミナー」でLINE広告事業部チーフプロデューサー、谷口マサトさんが言われていましたが、最近「広告をコンテンツでバズらせる要望が増えている」そうです。そのためには、広告でありながらも人々にシェアされるにはどのような要素が必要なのかということについて考える必要があります。

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谷口さんのお話の中でなるほどと思ったのは、「広告の中に冷めた第三者の目線を入れると現代風のシェアされやすい広告になる」という点です。これまでの従来型の広告は基本的に信用されていないため、記事広告のように自社サービスの良い点を自らあげつらっても、胡散臭さがありました。こうした自らをすごいすごいというような自画自賛の広告でなくて、冷めた第三者目線を入れた構成にするとシェアされやすくなると解説していました。具体的には、コンテンツ化した広告ですが、従来の広告のようにコンテンツと広告を紛らわしく混ぜるのではなく、「コンテンツと広告を独立して表現する」ことが大切であると言われていました。これについては、以下のサイトで詳しく解説されています。

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谷口さんがやられているのは、かなりレベルの高い技だと思いますが、広告であるということが分かっていてもコンテンツがおもしろいからシェアしたい、有益な情報だからシェアしたいと思わせるものを展開していく知識やスキルを磨いていくことが今後大事になると思います。

私たちが情報を入手する際に使うデバイスとして、スマホが主流になるにつれて、消費するコンテンツのサイズもだんだんと小さくなってきています。スマホの小さなスクリーン上でアテンションを得るには、人々にシェアされやすい小さいコンテンツや、適切なターゲットのニュースフィード上に関連性の高い広告を表示させるFacebook広告のようなテクノロジーを用いていくことも必須です。

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