広報と広告について改めて考える | IT企業のPR

広報と広告について改めて考える

広報に携わる人は、「広告」と聞くと、雑誌や新聞でのイメージ広告や記事広告、オンライン上でのバナー広告、電車や駅構内などの交通広告など、企業がお金を払って主観的に伝えたいメッセージやブランドイメージを伝える媒体として認識している人が多いと思います。そして、「広報」は記者を始めとする第三者から見た客観的な企業の評価や信頼性を高める活動であるのに対し、「広告」はメディアの有料スペースを購入して企業の主観的なメッセージをいつでも伝えることができる活動として、広報と広告を完全に立て分けるのがこれまでの一般的な考え方だと思います。しかし、最近この考え方を改めなくてはいけなくなりつつあると考えています。

たくさんの情報が溢れている中で人々のアテンションを得るには、客観的であれ、主観的であれ、情報を受け取る側の関心をひくコンテンツの中身が重要であることを考えれば、従来のメディアリレーションによって獲得したメディアでの掲載記事であれ、企業側が有料で作成した広告であれ、そんなに違いがないように思います。また、中立性があると言われているメディアの掲載記事も、企業が渡航費や宿泊費を払って記者を海外の自社イベントに招致して、記事を書いてもらったりしているケースもあれば、メディアの記者との関係性が深い広報代理店と契約して、結果的に記事掲載を得ていることを考えれば、必ずしも中立性があるとは言えないと思います。

つまり、従来のような広報と広告という立て分け方ではなく、両方をうまく使い分けて、伝えたいメッセージとコンテンツの内容によって、どちらを使うかという判断が重要になるのだと思います。ただ、広告と言っても従来のような見たくもないのに突然目の前に割り込んでくるインタラプション広告や、雑誌・新聞のイメージ広告は基本的にスル-しているので、個人的に使いたくありませんが、ソーシャルネットワーク上で波及力の高いメディアの記事広告やFacebook広告、Twitter広告はコンテンツと組み合わせて戦略的に使っていきたいと思います。先日、GMがFacebookの有料広告に効果がないとアナウンスして話題になっていましたが、それに対してフォード社がコメントしたように、「Facebook広告が効果を発揮するのは、魅力的なコンテンツや技術革新と組み合せられた時」なのだと思います。

また、Jeremiah Owyangによると、「あらゆるブランドがソーシャルネットワークを使って最新の製品をプロモートしているので、ソーシャルネットワークのスペースが飽和状態にあり、その結果、ソーシャルネットワークはコンテンツを可視化させる広告によって今後マネタイズができるだろう」と言われています。そして、ペイド、オウンド、ア-ンドのチャンネルが融合していること、また目立ちたければ、広告でコンテンツを増強していく必要があることを述べています。

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こうしたトレンドを考慮すると、従来のように広報と広告を立て分けるのではなく、両方を融合させた考え方が必要になってきていると思います。