【作品#0344】ランボー ラスト・ブラッド(2019) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

ランボー ラスト・ブラッド(原題:Rambo: Last Blood)

【Podcast】

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【概要】

2019年のアメリカ映画
上映時間は101分

※北米版では89分

【あらすじ】

田舎に戻ったランボーは、旧友マリアとその孫娘ガブリエラと共に牧場で暮らしていた。ある日、ガブリエラは自分を捨ててメキシコへ行った父親が見つかったとの連絡を受ける。ランボーとマリアの反対を押し切ってガブリエラはメキシコへ向かう。

【スタッフ】

監督はエイドリアン・グランバーグ
音楽はブライアン・タイラー
撮影はブレンダン・ガルヴィン

【キャスト】

シルヴェスター・スタローン(ジョン・ランボー)
パス・ベガ(カルメン)

【感想】

前作「ランボー 最後の戦場(2008)」以来、11年ぶりの5作目。5,000万ドルの予算に対して全世界で9,000万ドルの売り上げと寂しい結果となった。

前作のラストでアメリカに戻ったランボーは何と地下に大きなトンネルを作っていた。ランボーが戦ったベトナム戦争では、アメリカ軍による空爆や枯葉剤の被害を避けるために、ベトコンは巨大なトンネルを作りゲリラ戦で彼らと戦い、事実上の勝利を収めている。映画では「ランボー(1982)」で逃げ込んだ山から地上に抜けるルートとして、また「ランボー3/怒りのアフガン(1988)」でランボーがトラウトマン大佐を救出するルートとして、それぞれ地下トンネルが登場している。特に「ランボー(2008)」では、ランボーが陽のあたる場所にいることのできない人間であることを象徴していた。ベトナム戦争から40年以上の時を経てもなお、殺人マシンとして作り上げられたランボーの居場所は戦場にしかない。その戦場で目にした光景をアメリカに帰って自分の土地で再現しているのだからこれは恐ろしいし、ランボーにとって地下トンネル内が安寧の場所なのだとしたらやはり悲しい話である。

本作は誘拐されたガブリエラをランボーが救出に行き、その黒幕を皆殺しにするという映画である。大筋のプロットはジョン・フォード監督、ジョン・ウェイン主演の西部劇「捜索者(1956)」を思い出し、娼館に乗り込んで救出なんて「タクシードライバー(1976)」を思い出さないわけがない。

また、2010年代はメキシコ国境を超えて云々という映画も増え、本作の監督エイドリアン・グランバーグの監督デビュー作「キック・オーバー(2012)」も主人公がメキシコの刑務所に収監されるという話だった。それから、「ボーダーライン(2015)」やその続編、「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ(2018)」、また「クライ・マッチョ(2021)」辺りもアメリカとメキシコを行き来する物語であった。

旧友マリアの孫娘であるガブリエラは、ランボーによる再三の説得を無視して父親に会うためにメキシコへ向かう。ところがガブリエラの父親はランボーの言う通りろくでもない父親だった。子供を捨てるような人間に良い奴なんていないわけである。ランボーも自分を殺人マシンとして育ててくれたトラウトマン大佐を父親的存在として考えていたが、結局彼は何もしてくれなかった。特に「ランボー(1982)」でトラウトマン大佐は、ランボーの慕う友人の死を知らず、帰還したランボーからの連絡も忙しいとして相手にしていなかった。そんな経験から旧友の孫娘という血縁関係のないガブリエラにとってランボーは父親的存在になろうと努力したのだと考えることはできる。

そして、メキシコでは女性たちが薬漬けにされ、性奴隷として飼いならされてる。薬がないと生きていけない状態になった以上、自分の力でアメリカに帰るのは不可能である。これも、ランボーが殺人マシンとして作り上げられ、戦場がないと生きていけないような人間になっているところと重なる部分はある。

単身メキシコに乗り込んだランボーは、十分な準備もなく、多勢に無勢でリンチに遭ってしまう。ここで謎の女性が助けてくれるのだが、この展開もどこかかつてのハードボイルドな西部劇を思わせる。ただ、この女性はただ助けてくれるという役目しかないのは気がかりではある。

ついに堪忍袋の緒が切れたランボーは、生まれ育った地に敵をおびき出して血を血で洗う復讐劇を繰り広げることになる。ラストのアクションは、「ホーム・アローン(1990)」や「007/スカイフォール(2012)」を思い出させる。前作「ランボー/最後の戦場(2008)」で50口径の銃弾をこれでもかと浴びせまくったクライマックスほどではないが、殺し屋ランボーが生まれ育ったとも言える地下トンネルで暴れ回る様子はやはり彼のホームであると感じる。

ベトナム戦争の時代から大きく時を経ても、たとえどれだけ平和を訴えても世界から戦争や争いごとはなくなることはない。そしてその戦争や争いごとがある以上、ランボーはそこに居場所があるのだと思ってしまうのだろう。だからこそ、彼はベトナム戦争で経験した地下トンネルを作ってその中で暮らすことで落ち着きを得ていたのだろうし、彼が気兼ねなく暮らせる時が来てほしいものだと切に願う。傑作とまではいかないが、蛇足とも言われかねない続編にしてそれなりのものは作れたのではないかと思う。

 

【関連作品】

 

ランボー(1982)」…シリーズ1作目

ランボー/怒りの脱出(1985)」…シリーズ2作目

ランボー3/怒りのアフガン(1988)」…シリーズ3作目

ランボー/最後の戦場(2008)」…シリーズ4作目

「ランボー/ラスト・ブラッド(2019)」…シリーズ5作目

 

 

 

取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【予告編】

 

 

【配信関連】

 

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【ソフト関連】

 

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映像特典

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映像特典

├メイキング:『ラスト・ブラッド』を描く
├『ラスト・ブラッド』を彩る音楽
├予告編集
├キャスト・スタッフ プロフィール
├プロダクションノート

 

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収録内容

├上記BDと同様