【タイトル】
クライ・マッチョ(原題:Cry Macho)
【概要】
2021年のアメリカ映画
上映時間は104分
【あらすじ】
舞台は1978年。馬の調教師の仕事を失ったマイクは、かつての恩人からの依頼でメキシコにいる12歳の息子を暴力的な母親から救い出してほしいと依頼される。
【スタッフ】
監督はクリント・イーストウッド
脚本はニック・シェンク/N・リチャード・ナッシュ
音楽はマーク・マンシーナ
撮影はベン・デイヴィス
【キャスト】
クリント・イーストウッド(マイク・ミロ)
エドゥアルド・ミネット(ラフォ)
ドワイト・ヨーカム(ハワード)
【感想】
御年91歳になるクリント・イーストウッド監督、主演作。監督としては「リチャード・ジュエル(2019)」以来、出演作としては「運び屋(2018)」以来となり、彼の映画での乗馬シーンは「許されざる者(1992)」以来、29年ぶりである。また、N・リチャード・ナッシュによる脚本「Macho」は、1970年代に執筆され、その後イーストウッドやシュワルツェネッガーらが度々映画化しようとしては頓挫していた企画をようやく実現させたものである。ちなみにイーストウッドの映画で実話に基づかない映画は「ヒア アフター(2010)」以来となる。
よく言えば優しい、悪く言えば淡泊な映画である。ラフォが主人公について来る動機が弱いし、彼らが道中で出くわすトラブルもあっさり解決するのでパンチはない。トラブルがあると、レストランの女性に助けてもらい…というのも彼の得意とした西部劇を思わせる。
白人の老人と、アメリカとメキシコのハーフの少年のロードムービー。イーストウッドとマイノリティの少年と言う組み合わせは「グラン・トリノ(2008)」を想起させ、イーストウッドと動物という組み合わせは「ダーティ・ファイター(1978)」「ダーティ・ファイター 燃えよ鉄拳(1980)」でのオランウータンを想起させる。主人公、ラフォ、マッチョ(ニワトリ)という組み合わせで道路を歩いていく後ろ姿は何ともシュールで印象的である。
恩人ハワードへの恩返しの一環で、主人公はメキシコにいる彼の息子を取り戻しに行くのだが、90歳を過ぎたおじいさんにお願いすることではないだろう、というのは目を瞑るポイントだろう(何せイーストウッドだから)。実はハワードの依頼が金目当てでもあったことが分かっても、主人公はラフォに真相を告げずにアメリカへ連れ帰ろうとする。どっちもどっちな両親だが、主人公はラフォの母親を自分の目で確かめていたし、彼の選択は間違っていないだろう。
イーストウッド演じたマイクというキャラクターもイーストウッドらしくて良い。全く物怖じせず、時に交えるユーモアは「運び屋(2018)」の主人公を思わせ、90歳も超えると怖い物なんて何もないのだろう。メキシコの警官に捕まって、言葉が通じないと分かると、英語でひたすら悪口を言いまくるところは面白い。
毎年のようにイーストウッド監督の新作を見られている訳だが、90歳を超えてなお監督、主演を兼任する映画人なんて世界を見渡してもイーストウッドしかいない。映画としての物足りなさがあるのは確かだが、彼の新作を見られただけでも満足感があるのも確かである。
取り上げた作品の一覧はこちら
【配信関連】
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(英語/スペイン語/アメリカ手話)
<Amazon Prime Video>
言語
├日本語吹き替え
【ソフト関連】
<BD>
言語
├オリジナル(英語/スペイン語/アメリカ手話)
├日本語吹き替え
映像特典
├メイキング・オブ クライ・マッチョ
├マッチョと馬たち
<4K Ultra HD+BD>
収録内容
├上記BDと同様