【作品#0333】ランボー 最後の戦場(2008) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

ランボー 最後の戦場(原題:Rambo)

 

【Podcast】

 

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【概要】

2008年のアメリカ/ドイツ合作映画
上映時間は90分

※エクステンデッド・カット版は99分

【あらすじ】

タイで静かに暮らしていたジョン・ランボーのところへ、軍事政権が少数民族を虐殺している隣国ミャンマーへ医薬品や本の支援をしたいというNGOの団体がやって来る。

【スタッフ】

監督/脚本はシルヴェスター・スタローン
音楽はブライアン・タイラー
撮影はグレン・マクファーソン

【キャスト】

シルヴェスター・スタローン(ジョン・ランボー)
ジュリー・ベンツ(サラ・ミラー)
マシュー・マースデン(スクールボーイ)
グレアム・マクタヴィッシュ(ルイス)

 

【感想】

前作「ランボー/怒りのアフガン(1988)」以来、20年ぶりとなったシリーズ4作目。主演のシルヴェスター・スタローンがシリーズで初めて監督を務めた。また、シルヴェスター・スタローンが「ロッキー」シリーズ以外で監督を務めたのは「ステイン・アライブ(1983)」以来となる。
 

非常にテンポの良い作品。上映時間は90分だが、エンドクレジットが流れてくるのは上映時間が80分を回った頃である。

 

前作同様にタイで静かに暮らしていたランボーを再び戦場に引きずり込むのは、またしてもアメリカ人である。NGOの団体は、軍事政権のミャンマーで迫害を受けるカレン族を支援したいというのだ。ランボーはマイケルの依頼を断ると、今度はサラが執拗に依頼をし続け、ランボーが根負けするような感じになっている。

 

このNGOの団体は理想主義者で、ランボーは現実主義者なので彼らは正反対の存在と言える。理想主義はある程度必要なものだと思うが、向こう見ずな理想主義は却って危険であり、現実を語る人間に耳を傾けない頑固な人間も多い。ランボーが言うように、武器を排除できなければカレン族に薬を支援したところで何も変えられないのだ。

 

危険を負いながらも目的地近くまで送り届けたランボーは悪夢に苛まされる。その悪夢の場面では本作と過去3作品の映像がフラッシュバックと言う形で使用されている。その場面の終盤で使用される映像は、「ランボー(1982)」の別エンディングの映像である。当初「ランボー(1982)」の結末は、説得に来たトラウトマン大佐に銃を握らせたランボーが自分を無理やり撃たせて死んでしまうというものだった。ところが、試写で「あまりにも可哀そうだ」という声が多かったために、ランボーがトラウトマン大佐の説得に応じて投降するというエンディングに切り替えられたのだ。つまり、ランボーにとっては、もし当初の結末通りだったらこんな悪夢に苛まされなかったはずなのである。映画製作の過程と、PTSDを患い続けるランボーというキャラクターを重ね合わせた見事なシーンである。

 

静かな生活を送っていたランボーはまたしてもアメリカ人によって戦場に駆り出されることになり、ついにその怒りがラストで爆発する。50口径の銃弾をこれでもかと的に浴びせまくる。50口径(=12.7mm弾)で人が撃たれるとどうなるのかがリアルに表現されている。頭も脚もいとも簡単に吹き飛んでしまうのだ。特に「ランボー/怒りの脱出(1985)」や「ランボー3/怒りのアフガン(1988)」で表現してきた大味な、いかにも80年代っぽいアクションを否定するかのように、リアルな表現に徹している。

 

そしてこの大殺戮が終わると、ランボーとサラは見つめ合う。「これが現実だ」と言わんばかりの表情をするランボーに対し、サラは涙を流すしかない。サラやマイケルは、カレン族支援のために理想を信じてミャンマーまでやって来た。ところが、無理を言って行った支援活動が原因で捕まってしまい、彼らを助けるために多くの命が失われた(IMDBによると本作では466人が死んでいるらしい)。理想主義者にとってこれほど強烈な現実はないだろう。

 

大暴れしたランボーはアメリカの地を20年以上ぶりに踏むことになる。あれだけのことをしたらいくら隣国とはいえタイで暮らし続けることはできないだろう。自分を殺人マシンとして作り上げたアメリカに戻って来たランボーの表情はどこか清々しいものを感じる。ところが、一度殺人マシンとして作り上げられ、ベトナムで経験した忘れ難き戦争体験はランボーが死ぬまで蝕み続けるだろう。だからこそ、邦題にこそ「最後の戦場」と付けたが、まだ何も終わっておらず、次回作「ランボー ラスト・ブラッド(2019)」が作られることになる。

 

【エクステンデッド・カット版】

 

劇場公開版より9分長いバージョン。よく見比べないと気付かないが、単に9分追加したのではなく、ごく一部のカットは削除されている。また、追加された9分はどこかにまとめて追加されているのではなく、あちこちに散りばめられている。ただ、序盤のサラがランボーに依頼する場面は大きく肉付けされている。また、同じセリフでも表現が変更されている箇所もあり(意図は不明だが)、劇場公開版とは別物として考えた方が良いと感じる。

 

【音声解説】

参加者

├シルヴェスター・スタローン(監督/脚本/ジョン・ランボー役)


シルヴェスター・スタローンによる単独の音声解説。劇中、多くを語らないジョン・ランボーの心情などについてどう考えてどう表現しようとしたかを語ってくれる。撮影時の苦労、使用した武器、内容するテーマなど、1982年からジョン・ランボーを演じる本人による言葉の重みは違う。スタローンの映画人としての拘りも聞くことができる。

 

【関連作品】

 

ランボー(1982)」…シリーズ1作目

ランボー/怒りの脱出(1985)」…シリーズ2作目

ランボー3/怒りのアフガン(1988)」…シリーズ3作目

「ランボー/最後の戦場(2008)」…シリーズ4作目

ランボー/ラスト・ブラッド(2019)」…シリーズ5作目

 

 

 

取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【予告編】

 

 

【配信関連】

 

<Amazon Prime Video>

 

本編

├劇場公開版

言語

├オリジナル(英語/ミャンマー語/タイ語)

 

<Amazon Prime Video>

 

本編

├劇場公開版

言語

├日本語吹き替え

 

【ソフト関連】

 

2023年5月現在、劇場公開版とエクステンデッド・カットの両方を収録したソフトは発売されていない。

 

<DVD>

 

本編

├劇場公開版

言語

├オリジナル(英語/ミャンマー語/タイ語)

├日本語吹き替え

映像特典

├予告編

 

<DVD(エクステンデッド・カット)>

 

本編

├エクステンデッド・カット

言語

├オリジナル(英語/ミャンマー語/タイ語)

映像特典

├フォト・ギャラリー

 

<BD>

 

本編

├劇場公開版

言語

├オリジナル(英語/ミャンマー語/タイ語)

├日本語吹き替え

音声特典

├シルヴェスター・スタローン(監督/脚本/ジョン・ランボー役)による音声解説

映像特典

├メイキング

├削除されたシーン

├予告編/TVスポット集

├スタッフ・キャスト プロフィール

├プロダクション・ノート

 

<BD(エクステンデッド・カット)>

 

本編

├エクステンデッド・カット

言語

├オリジナル(英語/ミャンマー語/タイ語)

映像特典

├メイキング“地獄への道と帰還”

├フォト・ギャラリー