西森大学文芸部 -9ページ目

パラレルの政治力学 5


連れてこられたのはお兄さんの部屋だった。テレビがある。
「あーテレビあるじゃん!政治家連中はそんなの聞いたことないって言ってたのに」
「今から君に見せるのは多少衝撃的かもしれないが、とりあえず黙って見ててくれ」
しばらくすると、ニュースが始まった。こちらの世界でもニュースの形式は変わらないらしい。まあほぼパラレルなんだからこれくらい当然か。
『ではニュース7です。一ヶ月後に政権合戦を控えた今、第24世界からの訪問者細川たかゆきさんの処遇が問題になっています。それについて表裏党は、「穏便に対処する」という文章でのコメントに留めましたが、現在自己満党は会見を開いています。その模様を中継でどうぞ。』
「政権合戦って何だ?処遇?俺明日帰るんだぞ?」
「いいから黙ってみてなさい!」
会見が始まった。党首の永井が出ている。
永井「いいですか、この世界で彼のみが持つ参政権は非常に危険なものです。場合によってはこの世界を暗黒に陥れるかもしれません。したがって、我々自己満党は、彼を殺して、体内から参政権を取り出し、それをバラバラにして海に撒くことが最も優れた解決法だと考えています。」
記者「あの・・・参政権って物体なんですか?」
永井「そうにキマっとろうがアホ!たぶん肝臓にあると思われます」
記者「科学的な根拠は・・・」
永井「それはただの根拠だろうが!行動しないと何も始まりませんよ!」
記者「記憶をなくして帰すというのは?」
永井「それじゃあただ問題を先送りにするだけで解決法にならんだろうが!」
記者「ではわれわれが細川氏に師事して投票権の概念を取り入れるのは・・・」
永井「そんな逃げ腰じゃ政治は務まらんだろうがぁぁぁ!いいから殺して参政権を取り出さないとダメなの!」
記者「しかし殺してしまってはパラレル世界のバランスに致命的なダメージを・・・」
永井「うーるーさーい!そうじゃないとだめなの!」

参政権が物体?永井が俺を殺す・・・?意味が分からんんあああああああああああ

パラレルの政治力学 4

で、その後にとんでもなく盛大な歓迎会を開いてもらった。俺はマジで国賓らしい。なぜそこまで歓迎するかはよく知らないけどまあ気分はよい。
その歓迎会が終わり、案内されたホテルへ行こうとすると、小山内が近づいてきた。ものすごい笑顔だ。
「では後で我々表裏党の歓迎パーティに来てくれ。党としても賓客を歓迎したいのでな。詳細はこれを見てくれ。」
小山内はそれだけ言って行ってしまった。
そこまでやるのは不思議だけど正直言って悪い気はしないよなあ。
さっきもらった紙には午後9時、コラプションホテルでと書いてある。今8時だからそろそろじゅんびしないと・・・。まずトイレに行くか。
「おい、おーい、君だ!」
めっきり人のいなくなったパーティホールの端っこで優しそうなお兄さんが俺を呼んでいる。
「はい、何ですか?」
「ちょっと来い!」
お兄さんはいきなり俺の手を掴んでものすごい勢いで走り出す。
「ちょ、何ですかいきなりぃぃ!」
びっくりして手を振り解こうとしたけどお兄さん華奢なくせにすごい力で・・・ぼく・・・もう・・・・・・・・・うわあぁぁあぁ!なんだ、何なんだ俺は!
「いいから!君は不用意すぎるんだ!」
「は?なに?」
「いいから黙ってついてきなさい!」

パラレルの政治力学 3

「この世界では18からは成年なのだよ。第24世界では成年のみ政治的権利を持つのだろ?ならここでも君は政治的権利を持つよ」
そ、そんなものなのか。しかしバカっぽい。あまりにもバカらしいのでちょっと話にノッてしまった。いつもこれで痛い目見るんだよなあ俺は。
「じゃあ、もし未成年がこの世界に来たらどうなるんですか?」
「そりゃあ、殺すでしょ。空間科学以外の科学の進歩は第24世界の方が早いからね。他にも世界があると知られると乗っ取られてしまう。」
は?殺す?分かった、分かったぞ。
「もういい、これは俺がカルトに巻き込まれてる俺の夢だ。そうなんだなおっさん!ほっぺたつねるから今のうちに消えな!」
「そんなことしたって無駄だよ、さっきバスで思いっきり頭打ったろ。」
そういえば・・・・・・。
「うぇ、あ、うるせー!嘘だー!」
全力でほっぺたをつねる。思いっきり頬を引っ張って思いっきり肩をひねる。これで痛さ倍増で今度こそここからおさらばだ。
しかしこうなった。
「痛ってえええええ!でもこれは夢だあぁぁぁ!」
「認めなさい。ではこの拳銃で頭を撃ってみるかい?」
小山内がニヤニヤした顔で銃を突き出す。てめえその顔いい加減やめんとその銃で顔吹っ飛ばすぞ。
「・・・・・・・・ごめんなさい・・・認めます。認めますから次のバスが来る時間を教えてください。早く帰りたいです。」
「明日の今頃かな。でもこちらとしては盛大に歓迎するから、いる間だけでもゆっくりしていってくれ。」
もう現実から逃げられないようだ。こうなると無駄に騒ぐよりは情報を集めていかに面倒なことから逃れて無事に帰れるかに集中した方がいいだろう。