西森大学文芸部 -8ページ目

パラレルの政治力学 8

「なら戦争なんてやらなきゃいいだろう。」
「伝統も生きているんだ。確固たるプロセスを踏まなければ伝統を止めることはできない。君の世界でもそうだったろう?話し合って仲直りでは済まない事なんだ。君がこの世界に一石を投じるんだ。」
そんなこと言われても俺に何ができるんだよ・・・。
「・・・ところでさ、パラレル世界がいくつもあるなら全部で俺は何十人もいるの?」
「特殊条件の影響で生まれなかったり、進化できなかったりしたのを除いてもそんくらいはいるな。」
「そりゃ残酷な現世だ。」
「全くだ。」
余計な御世話だ。もういい、話を変えよう
「で、あんたの正体は?」
「僕は・・・ちょっと待て。おかしな物音がする。表裏党員がここを突き止めたかもしれん。」
今度は何なんだよもう。
「俺こんな世界のために廃人になんてなりたくないぞ!」
「とりあえず逃げろ!バスが来るまでは何とか逃げるんだ!」
お兄さんの部屋はアパートだったが、なぜか隠し通路があった。こいつ何者だ?
「よし、ここを通って行けばしばらくは時間が稼げるぞ。」
狭いし生ごみくさいが仕方ない。黙ってついていく・・・月の光が見えてきた、そろそろ出口だな。
「よし脱出成功だ!」
これは無事に帰れるかもしれない。今度は希望の光が見えてきた。
が、その光はたくさんの自己満党員が銃を構える音で一瞬にして断たれた。

パラレルの政治力学 7

それで?」
「おそらく奴らは君の投票権を使って永久独裁政権を作り上げようとしたんだな。君を持ち上げていい気にさせといて誘拐したあとマインドコントロールでもする気だったんだろう。」
「そ、それも十分アホらしいじゃないですか。俺の力だけで日本を支配できるって言ってるようなもんですよ?」
「ほかに投票権持ってる奴いないんだからそうなるだろうが!細川君、君は自分の力をあまりにも過小評価しているが、君の一挙手一投足が直接的にこの世界の日本の未来に関係してるのだよ。」
「でも、俺にはそんなプレッシャー耐えられない・・・。」
「細川君、強力な力を持ったものは同時にそれを有効に使う義務を負うんだ。」
「そんな・・・。てかいい加減自己紹介くらいしろよ。あんた誰なんだよ。財前教授か?」
「しーっ、それは後で話す。」
突然テレビが騒がしくなった。緊急速報があるようで、番組も特別編成になった。そんな時の慌てっぷりもうちの世界と一緒なんだな。
『速報です。東京都西部で極端な放射能反応がありました。原因は不明ですが・・・」
正体不明のお兄さんの顔が蒼白になった
「まずいな」
「何で?」
「原発が暴走し始めた」
「は!?」
「この世界では兵器開発こそ君たちの世界に劣るが、それ以外ではこの世界では全パラレル世界で最も進んでいて、原発は完全にオートメーション化されているんだ。しかしプログラムの高度化に熱中しすぎたせいで、制御の技術はカスのまんまだ。」
「でもうちの世界にはこんなのないぞ。そもそも小山内が空間科学以外は第24世界の方が進んでるって・・・」
「パラレルなんてふざけた現実発見できるならこれ位できて当然だろうが!おそらく明日には政権合戦の雰囲気に反応して暴発する。やはり君がこの世界を救うカギのようだ細川君。」
・・・俺はターミネーターか?

パラレルの政治力学 6

「あああああもう何なんだよこの夢ふざけんな!」
「細川君落ち着きなさい!これは夢じゃない。現実だ。」
「じゃあ何なんだよ今のコントは!90年代でも放送コードに引っ掛かるだろうが!」
「それでも放送されたんだ!これはコントじゃない!いいかい、この世界には投票権というものがないんだ。5年に一度日本国内で大戦争をして勝った方が次の戦争まで独裁を続ける、それが政権合戦だ。山ほど人死にも出る。本当に愚かしいよ。」
「それがこの世界の『特殊条件』か?」
「いいや、それは第24世界、すなわち君の世界の『特殊条件』だ。ほかの世界にそんなのはない。」
「で、でもそんな分かりやすい事で大騒ぎしないでも・・・」
「唯名論だ細川君。最初からこの世界にそんなものないんだから気付きようがないだろ!自己満党は投票権というものは君の体の中に物体として存在すると思い込んでいるんだ。あり得ないどころか想像もつかなかったものが突然現れたものだから、ああいう突飛な発想になる。」
「でも結局何の根拠も示せなかったのによくあんな結論になったもんだ」
「党の名前を見てみろ」
「あー。」
「な。」
「そういえば他に政党ってないの?」
「他のは残りカスと変態みたいなもんだからどうでもいい。」
「そうか・・・。待て、じゃあ表裏党もあのパーティで俺を・・・」
「いや、奴らは違う。奴らは君の世界でいう与党だからあらゆる機関を使って投票権の情報を集めることができたんだ。だから真実に近い情報を持っている。」