孤高のアーティスト

トロント出身の偉大なピアニスト、グレン・グールドの演奏です。私はなぜかこのピアニストの演奏を聴くと、胸が詰まって涙が止まらなくなるのです・・・。

ピアノの中に溶け込もうとするかのような自分の世界に入っていく没入の仕方が、結弦くんがスケートに没入していく時の限りなく澄み切ったクリスタルのような純粋さと、私の中ではどこか重なる部分があるのです・・・。

職人が自分の世界に没入して作品を創出する時の様子というのかな。他を寄せつけない孤高の世界。そうして創り出された音が、バッハの宇宙的な世界観と溶け合って胸に響くのです。

人とほとんど交流を持たず生涯独身で、真夏でも手袋とマフラーを手放さなかったとか、異様に低い椅子（お父様手作りの特製椅子)に腰かけて背を丸めて鍵盤に近づくように歌いながら弾くとか、数々のエピソードが残っている神秘的なピアニストです。

そんな彼は31歳を過ぎてからはコンサート活動も一切やめてしまい、録音活動のみに専念するようになりました。

グールドは天才、異端、革命児、孤高のピアニスト等々、数々の異名を持ち、レコーディングは特にバッハの『ゴルトベルク変奏曲（BWV 988）』が名盤中の名盤で、スティーブ・ジョブズのお気に入りのCDでもあったそうです。

録音中に歌ってしまうグールドのハミングも入っていますが、不思議とそれは気にならないんですよね・・・。私がバッハ好きになったきっかけとも言えるCDです。

バッハ:ゴールドベルク変奏曲(81年デジタル録音) [ グレン・グールド ]

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1,639円

坂本龍一さんもグールドに大きな影響を受け、

”ぼくは夢中になるととことん真似をしたくなる人間なので、すぐにピアノの弾き方も猫背になり、指に顔を近づけてうなりながら弾くようになった。ピアノの先生にはすごい剣幕で「背中を伸ばしなさい坂本くん！」と叩かれました”

などと語っておられます。

GLENN GOULD GATHERINGグレン・グールド生誕85周年記念！坂本龍一がキュレーターとなってイベント「Glenn Gould Gathering」を12月に開催！

www.gggathering.com

グールドを思う時、私の心の中には「唯一無二」の文字が浮かび上がります。天才が丹精込めて創出した音の芸術は、いまだに多くの人々の心を惹きつけてやみません。

結弦くんのスケートも然り。時代がどう変わっていこうとも、五十年、百年経っても、いつも誰かがどこかでその映像に心打たれ、涙することでしょう。

それくらい価値のあるものを、結弦くんは人類にプレゼントしてくれているんですね。だから同じ時代に生きる私たちは、彼を大切にしなくてはならない。心からそう思います。

想像を絶する苦悩の中から、あれだけの演技を生み出し、私たちに見せてくれる結弦くん。それは暗闇の中で一粒の砂金を見つけるに等しいほど難しいことでしょう。

結弦くんの演技を見させていただく時、光だけでなく、そうした影の部分に思いを馳せることも大切ですね。

結弦くん、いろいろ心を痛めたり余計な注意を払わなくてはならないことだらけで大変な毎日かもしれませんが、ファンの皆さんもそれぞれが精一杯できることをやってくださっていますし、結弦くんの幸せを祈る思いはどんな時も失われることはありません。

ファンの気持ちは時に重過ぎることもあるかもしれないけれど、私も含めてファンの方は皆さん、結弦くんへの感謝の気持ちをひとときも忘れることはないでしょう。

■　田村岳斗コーチ特別インタビュージュニア新時代～羽生選手の最優秀選手賞受賞まで19/20シーズン振り返り
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部

”僕の中では、ジョーダン、タイソン、ロナウド、イチローさんと同じ並びの中に羽生選手がいます。何年もトップの座にいて、そこから上を目指して自分で目標を見つけて、努力をできるからこそ、今回の最優秀選手というのも納得です”

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