苦しみのなければ・・・

■　今日の一曲。

ラフマニノフ　ヴォカリーズ

■　東日本大震災から9年半死者・行方不明者2万2000人超える
2020年9月11日 10時19分

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200911/k10012611951000.html

今日は9月11日です。東日本大震災、またアメリカの同時多発テロで犠牲になられた方々のご冥福を心よりお祈りいたします。

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「お前さまたちはなしてこげん苦しみば

主が与えたもうかと疑われるであろう。

ばってん、よう考えてみなされよ。

苦しみのなければ人と人とは、

心の底から結びつかぬものですたい・・・」

「苦しみはあの者たちの間に愛ば生み出しますけん。

苦しみのなければ・・・・・・伊藤さま、愛も生まれんですたい」

これは遠藤周作さんの小説「女の一生　一部・キクの場合」に登場する、長崎の大浦教会のプチジャン神父の言葉です。

この小説は幕末・明治のキリシタン迫害事件を背景に、恋してはいけない隣の集落のキリシタンの青年清吉を愛し、その愛を貫いたキクの一生を描いた物語となっています。

かなりの長編小説ですが、感傷的なメロドラマではなくて本当に心からいろいろなことを考えさせられる小説です。衝撃の結末まで一気に読むと、何とも言えない読後感に胸が詰まり、しばらく涙が止まりませんでした。

私は無宗教ですが、生きるとは祈ることなのかとふと考えさせられました。愛する人の苦しみを自分のことのように、あるいはそれ以上に受け取り、なんとか救ってあげたい、何かしてあげたい・・・そう祈る人の姿は本当に尊いです。

実はこの小説、10年前に買って部屋の片隅に10年間も積んだままだったんです・・・(;^_^A 今頃思い出して読んだところなのですが、もっと早く読んでおけばよかった・・・。

自然災害、戦争、病気・・・本当にこの世の中には受け入れ難い苦しみや悲しみが時として起こります。その意味がわからなければ、なかなか人はそれを受け入れることはできませんよね。でも、どこかで受け入れなければ前に進むことができない。作品を読みながら、いろいろなことを深く考えさせられました。

「苦しみのなければ人と人とは、心の底から結びつかない」

「苦しみは愛を生み出す」

24時間テレビや様々な支援を通して、結弦くんが私たちファンに伝えてくれた被災地の皆さんの懸命に頑張っていらっしゃる姿とか、結弦くんが怪我や病気で苦しんでいた時のファンの皆さんの心の団結とか・・・いろいろ振り返ると、辛いことなんてない方がいいに決まっていますが、それでも、苦しみあってこその『その先』だったような気がします。