先日、

http://ameblo.jp/pointbankinfo/entry-12253363752.html

で紹介しましたオンキヨーのGX-77Mを散々迷ったあげくに結局買いました。ということで、「発売から何年経っていると思っているのか?」と言われそうですが、10年来欲しかったスピーカーですので、今更ながら私の都合によりレビューを書くことにします。

 

他の事情では、ひかりTVショッピングで実質6000円~7000円程度で購入したわけですが、価格からしてそろそろ終熄しそうな予感がするのでそろそろ買い時かと思ったわけです。

 

上の記事で白色(GX-77M-W)を掲載したようにそれを購入しようと思っていたのですが、本品ではないオンキヨーのフルレンジスピーカーの白色の汚れが目立ったことを思い出しまして、黒色(GX-77M-B)にしました。食堂に置いていたので汚れが目立っただけで、パソコンモニターの横で普通に使うのでしたら白色でも問題ないかも知れません。

 

↑購入したのは黒色(GX-77M-B)ですが、白色(GX-77M-W)はこんな感じです。

 

■見た目のレビュー

 

まず、到着して箱の大きさに驚きました。大きなスピーカーを購入した覚えはないのですが、箱に入れると結構な大きさです。左端に写っているのは12cmの普通のCDです。

上記の記事でも「同軸スピーカー好きだ」と書きましたが、やはり同軸のTEAC LS-301との比較です。両方とも10cmウーハーなのでユニット自体の大きさはほぼ同じに見えますが、箱の大きさが違います。

カバーを外した状態です。どちらも同軸ですが、構造の違いが見て取れます。どちらも10cmユニットなのでウーハーの振動板の大きさは変わりませんが、固定方法や箱の大きさが大きく違います。ぶっちゃけ、6本のネジでアルミパネルに止めてあるLS-301と比較すると、プラスチックむき出しのGX-77Mは安っぽい。

横向きです。奥行きはあまり変わりません。曲面加工のLS-301と比較すると、同じくMDFではあるがGX-77Mは平面なので加工を簡略化した感があります。

右側(R)の裏面です。光デジタル1系統、アナログ2系統の入力とウーハー出力、左側のスピーカーへの出力端子、電源スイッチがあります。なお、左側(L)には機械部分がありません。付属品は金メッキが施してあります。高品質なケーブルかというと微妙な感じですが、3.5mmステレオプラグの配線つきなので、最新のiPhoneのようにイヤホン端子がないスマホ以外ならそのまま使えます。

 

■音質のレビュー

 

パソコン(DELL Latitude E7240)からNFJのFX-AUDIO D302JのUSB入力(88.2kHz 24bit,96Hz 24bit)を用いています。TEAC LS-301と比較し、TEAC LS-301はFX-AUDIO D302Jのスピーカー出力、ONKYO GX-77MはFX-AUDIO D302Jのヘッドフォン出力から入力しています。したがって、ONKYO GX-77Mの方が引き回している分不利な環境ではあります。ちなみに、DELL Latitude E7240から96kHz,24bitで直接入力もしてみましたが、それよりは遙かに高音質です。なお、ONKYO GX-77Mは、それほどエージングしていませんので、変化があれば追記します。

 

始めに総評を書いてしまいますが、超高音以外はTEAC LS-301の方が上です。一番違いを感じるのはヴォーカルのリアルさです。TEAC LS-301は、発売当初は3万円くらいしていましたし、アンプも必要ですので、本来は5万円コースのスピーカーです。一方のONKYO GX-77Mは当初から2万円でアンプも必要ありませんから、価格相応というところです。

 

■短所

 

以上のように比較して粗がわかってしまったので、ONKYO GX-77Mの短所から述べておきます。

 

1つ目は、上で書いたようにヴォーカルの問題です。TEAC LS-301はリア(背面)バスレフですが、ONKYO GX-77Mはフロント(前面)バスレフです。フロントバスレフは設置場所を気にしなくても低音にはそれほど影響しませんが、一方の短所としてユニットに近いところから低音が出るので、TEAC LS-301よりも音が濁る影響があるように聞こえます。ただし音量を上げた場合の話です。

 

2つ目ですが、箱鳴りです。上の右の裏側の写真をご覧いただくとわかりますが、箱板のMDFは5mm程度の厚さしかありません。音量を上げれば箱鳴りします。箱鳴りの仕方も、ギターの響きを取り入れたD-TK10のような高級スピーカーではないのであまり良い響きではありません。どなたかが書かれていましたが、「ニアフィールドスピーカーだ」というのを私も感じます。

 

■長所

 

同軸で時間軸も揃っているように見えますから、非常に定位の良いスピーカーです。また、ウーハーが10cmなので、比較的反応の速い音です。ツィータは100kHzまで出ますので、高音の伸びは申し分ありません。また、変な共振帯域も感じられません。

 

ニアフィールドでそこそこの音量で聞く限り、非常に完成されたスピーカーです。定位が良いので、3wayの大型スピーカーを近くで聞く場合のように音がバラバラになることがありません。ハイレゾ対応のニアフィールドスピーカーとしては10cmの同軸2wayが最適だと思います。そのアクティブスピーカーが数千円で買えるというのは、評価すべきだと思います。できの良い8cmフルレンジでも可能かも知れませんが、70Hz以下も40kHz以上も厳しいでしょうから、ナローレンジにならざるを得ません。また、どうにかハイレゾが出せそうなフルレンジユニットは高価なので却って高くなります。だから10cm同軸が最適だと思うのです。

 

■その他雑感

 

背面の発熱からしてアナログアンプ(おそらくAB級)だと思いますが、十分な音質があります。ホワイトノイズなども気になりません。Phones端子がどこまで使えるかはわかりませんが、イヤフォンで少し聞いた程度では、普通に使える程度の音質はあるように思えます。なお、光デジタル入力はD/Aコンバーターが2003年以前のもののはずなので古すぎて期待できませんが、まだ聴いていないので何とも言えません。皆さんの評価では、良質な音源ボードならアナログで入力した方が良いようです。

 

スピーカーカヴァーは外した方が遙かに良いと思います(大抵のスピーカーはそうですが)。ヴォーカルや高音の鮮度がまるで違いますので、ハイレゾでは特に違うと思います。上の短所では、ヴォーカルが悪いと書きましたが、ニアフィールドでは十分使えます。小口径なので定位は良いですし、近くで聴けば十分な表現力があります。

 

製品の大きさですが、TEAC LS-301も10cmスピーカーとしては特別大きくはないですし軽いスピーカーです。そして、ONKYO GX-77Mはそれよりも1回り小さいので、これ以上小さくするのは音質的に厳しいと思います。しかし、モニターの横に置くとなると結構大きいと思います。ニアフィールドスピーカーとしては限界に近い大きさがあります。TEAC LS-301もニアフィールドに置けないことはないですが、LS-301は無理だが、1回り小さくほぼ直方体のGX-77Mならギリギリという環境も結構あると思います。そういうギリギリの大きさの製品です。前面バスレフなので置き場所もあまり選びません。

 

周波数帯域は40Hz~100kHzとなっていますが、きちんと鳴るのは70Hzくらいまでです。50Hzも聞こえますが70Hzと比較すると体感的に1/3~1/4くらいです。30Hzは音量を大きくすれば一応聞こえるという程度で事実上聞こえないでしょう。殆どの音楽では問題ないのでニアフィールドスピーカーとしては十分だと思いますが、40Hz以下の重低音はありませんので期待しない方が良いと思います。だからウーハー出力端子がついているわけです。

 

ツィータは主張はしないが伸びる音です。「ヴァイオリンの倍音がすごいぞ」などと主張する感じではないのですが、フルレンジには出せない倍音をさりげなく出してくれます。おそらく聞き飽きるタイプの音ではありませんので、秀逸な音だと思います。

 

■蛇足

 

周波数帯域が40Hz~となっているように、10cmの割には低音が出るスピーカーです。そういうスピーカーは周波数帯域全体の能率を悪くして、もともと少ない低音の能率に合わせることで低音域まで伸ばしていることが多いわけです。アクティブスピーカーの場合ではアンプで低音を調整している可能性もありますが、一般的にはその代償として、私の感覚では低能率にして低音を出すほど鈍重な低音になるように聴こえます。

 

GX-77Mの音から判断すると、能率が85~86dBくらいあれば良い方かなという感じの低音です。私の低音の好みは、できれば93dB以上ある軽い振動板による非常に反応の速い低音なのですが、それとはだいぶ離れた音です(そんな能率の10cmスピーカーは見たことありませんし、そんなことをしたらたぶんスコーカになってしまいます)。オンキヨーの小口径スピーカーで最も能率が低かった頃は81dBとか82dBだったのですが、それほどは鈍重な音ではないので良しとします。10cmスピーカーに多くを求めてもバランスをとるのが難しいですし、能率とキレの良い低音を求めるなら最低でも16cm以上のスピーカーを使うべきだと思いますので、10cmに求めてはならないわけです。あくまで音の好みは私の趣味の問題ですし。

 

追記:数時間で低音の反応は良くなってきました。

 

最後に要らぬことを書きましたが、非常に完成度の高いユニットであり、スピーカーとしても完成度の高い製品だと思います。ユニットの大きさはラジカセクラスですが、音質は遙かに上です。発売当初の2万円でも妥当な価格だと思いますし、数千円ならもちろん十分安くて使い道のあるスピーカーだと思います。