■修理のいきさつ

Panasonic レコーダーDIGA DMR-XP12は2008年製で12年前のモデルです。退役したのは2014年ですが、その理由はDVD-RAMドライブの故障です。

 

直前の記事で、テレビ画面に止まっていた蚊を叩いたら シャープの22型液晶テレビLC-22K30が故障したと書きました。ちなみに蚊には逃げられました。そんな不要な情報はともかく、テレビがないと家族に叱られるので急造テレビを組み上げました。その急造テレビが、フルHDのDELLモニター(U2211HI)+DVDレコーダー(DMR-XP12)の退役コンビです。

 

組んでみると、シャープの22型テレビはTN液晶のようで、デルのVA液晶の方がきれいです。また、(DMR-XP12を含む)一般的なDVDレコーダーはRCA接続(いわゆる赤白ケーブル)なので、イヤホン端子からスピーカーに繋いでいたシャープのテレビよりも明らかに高音質です。なんてこったい、こんなことならはじめから...

 

急造テレビとはいえ、レコーダーを繋ぐと録画したくなります。録画すればDVDに焼きたくなります。6年前の録画番組リストを見るとそれも救い出したくなります。ということで不満が高まっていき、1日で我慢の限界を突破しました( なんて短気な!)。 新型コロナで自宅にいる時間が長いこともあるかもです。

 

DMR-XP12のDVD-RAMドライブがVXY2009であることは既に調べが付いていました。しかし、このドライブはそこそこ高いのです。中古で7000円ほど、新品ですと10000円以上します。そして、純正ドライブしか認識しないことも確認済みです。また、乾式クリーナーでは復活しないことを退役前に既に試しています

 

12年前のレコーダーに1万円を出すくらいなら4KチューナーのBlu-rayレコーダー購入の足しにしますよ。PanasonicのDIGAはBlu-rayレコーダーも含めてこの酷使したドライブ以外は壊れていませんのでDIGAを買うでしょうが。

 

何にしても、コストを掛ける気がしないので、万事休すか...

いや、こうなったら分解しかないっしょ (またか!毎度か!)。

 

■修理方針

おそらくクリーニングしても駄目だろうということから、「レーザーを調整すれば直るんじゃね?」というのが今回の方針です。それは6年前からわかっていたことさ...

 

6年前にやらなかった理由は、面倒だからというのもありますが、レーザー調整のハードルが高いことです(何度かDVDドライブで失敗しています)。更に、DVDやBlu-rayのレーザーは失明レベルの危険なレーザーです。そういうわけで、ドライブの破壊や失明リスクを負いたくない方はくれぐれも分解などなさらぬように

 

■分解と調整の手順

テレビとは違って「高圧部分がありますのでサービスマン以外は分解するな」とは書かれていません。「安全だから好きなように分解しろ」という意図だと一方的に解釈して分解に掛かります(素人による分解が安全だなんて考えているメーカーは存在しません。前述のように危険なレーザーがあり、安全などではありませんのでお間違いなく)。

裏側の銀色のねじ3本と両側各1本の黒いねじの合計5本を外すと上蓋が外れます。HDDは日立のSATA、7200回転250GBです。DVD-RAMはVXY2009です(写真のドライブのやや右側に「VXY2009」のハンコが押されているのが見えます)。アナログ音声出力の手前には金色のコンデンサがありました。購入時に音質がどうのとカタログで読んだ記憶があるので、オーディオ用コンデンサでしょう。

VXY2009を外したところです。フィルムケーブルと普通のケーブルを抜き、3本のねじを外すと外れます。赤色と黄色の英語の注意書きにあるように危険なレーザーへの注意が書かれています(英語且つ専門用語で書かれても知らんがなですが、危険なのでよく読みましょう。私は「危険なレーザーらしい」程度しか読んでないけど)。左右3本ずつの6本のねじを外すとドライブの上蓋が外れます。

内部はこんな感じです。この状態でレンズの掃除ができるので、アルコールと綿棒で掃除しておきましょう。上側がトレーが出る本体前面側です。写真右下の黒い部品に白い筒状の部品が付いている部分は外れやすいので注意です。上蓋のレールに合わせて取り付けないとDVDを入れた時にこの部品がとれて円盤を傷つけますし、中でカラカラと飛び回るのでまともに再生できません。要するにそれをやらかして2,3度分解し直したわけです。分解したい変態のみなさんは私の過ちを繰り返さぬように。

トレーも外した状態です。真ん中やや左に見えるのが問題のレーザーです。Blu-rayではないのでレーザー部品は1つだけです。写真上の上下にある「金属棒」は埃まみれだったのでティッシュで拭いてクラリネット用のグリスを差しておきました。おそらく用途として間違っているでしょうが、グリスなしよりはマシなんじゃないかと。まじめな人は金属シャフト用のグリスを差しましょう。

そのレーザーを回転モーター側から見たところです。赤い矢印とその上にプラスねじみたいなものが見えますが、これがレーザー調整のねじです。結果的にわかったことですが、矢印の側(下側)のねじがDVD-RAMのレーザー調整ねじです。上側のねじを調整後にDVD-RWの読み書きができるのは確認しましたが、DVD-RAMは不良のままでした。つまり、上側のねじはDVD-RW用かCD用の調整ねじと推察できます(この推察は違うかも知れません)。

矢印で指している下側のねじをなるべく細い精密ドライバーで7,8度くらい時計回りに回したところ、一旦DVD-RAMを認識するようになりましたが、すぐに駄目になりました。そこで、もう一度10度弱時計回りに回しました(合計15度程度です)。その結果、画面のように書き込みできるようになりました。すっかり忘れていましたが、この機種はDVD-RAM以外はAVCRECが使えなかったのでDVD-RAMを重宝していたのでした。

 

■結果

既に書きましたように、VXY2009は読み書きできるまでに復活しました。2014年以前の完全に壊れる以前の状態には戻りましたが、円盤を認識しないこともあります。その場合は入れ直せば認識するので、HDDの中身が取り出せる程度に騙し騙し使えるレベルといったところでしょう。もっと回せば完全に戻るのかも知れませんが、レーザーの劣化は変わらない事実でしょうし、やり過ぎると焦げるようですので、こんなところでやめておくのが無難かと。

 

(2020年5月22日追記)

私が見てわかる限りは完全に快調な状態になってしまいました。DVDドライブがなじむなんて話は聞きませんしそのようなことはないと思うのですが、どうしてしまったのでしょう?

 

しつこいようですが、DVDレーザーは危険ですので、私は改造ないしは修理を推奨はしません。しかし、12年も前の機械に1万円も出すのもどうかとも思います。出費をしたくなく、自分の労力を使うのは構わないし、リスクを負うのが好きな人ならありかも知れないという程度のことです。少なくともHDD内の録画番組の書き出しが終わるくらいまではDVD-RAMドライブが生きていてくれればめっけもんかなというつもりでしたら試してみる価値はあると私は思います(これは私見です、やるのは自己責任です)。もっと安全で手軽で安い方法としては、オークションでDVDの死んでいない中古の同機を探し、ドライブを移植するのが良策だと思います

 

今回はたまたまうまくいっただけかも知れませんし、いつまで使えるのかも疑問です。過度な期待を抱いて結果について私に文句を言いませんように。また、どうしても分解したい場合は失明リスクも含めてくれぐれも自己責任でお願いします。電源を入れなければレーザーは出ませんので、蓋をしない状態で電源を入れないことだけ気をつけておけば良いのですが。

 

■難易度★★★★☆

所要時間は小一時間です。今回は運が良かっただけでレーザーの調整は難しいと思います。また、初見では組み直すのがそれなりに面倒です。本来私のような素人が手を出す領域ではないように思えますが、どなたもVXY2009のレーザー調整を記事にされていませんでしたので参考までに成功例として記すことにしたのみです。

 

(追記情報:2020/6/2)

VXY2009の互換品についてです。VXY1996は調べた限りでは完全互換のようです。一方、VXY2013は新しいのに安いみたいですが、こちらは互換性の問題ありのようです。AVCRECの記録・再生ができないとか。私の場合は12年前でさえAVCRECが目的でPanasonicを選びましたから、それが不可なら魅力8割減になってしまいます。新品・中古の交換ドライブをお求めの際はよく調べた方が良さそうです。ちなみに調整したVXY2009は10日ほど経ちましたがきわめて好調です。問題が発生したらたぶん追記します。