ひさびさの大型ファンタジー小説を読み始めています。
日本では、「ゲーム・オブ・スローンズ」や「七王国の玉座」で知らているジョージ・R・R・マーティン著の「氷と炎の歌」シリーズ以来の大作かもしれません。まだ判断できかねていますが、少なくとも読み応えのある物語です。
「フォース・ウィング-第四騎竜団の戦姫-」レベッカ・ヤロス作
原題は「Fourth Wing 」と二単語なので、「戦姫 」を追加している日本語の題名は、少しばかり訳しすぎかもしれません。主人公は、生まれつき体の弱い少女なので、少女が最終的に「戦姫」に成長するというのが分かってしまうというのは、「ちょっと」という感じです。少女の年齢は20歳。なので、「少女」と呼ぶには、妙齢です。「F1層」では通じないし、先斗町でお酒を飲み歩く若い女性の小説「夜は短し、歩けよ乙女」では「乙女」と称しているので、ここでも「乙女」としましょう。 乙女の名前は、ヴァイオレット・ソレンゲイル。その乙女のその後の行動から「ヴァイオレンス」と仇名されることもあるので、単なる「戦闘好きな乙女」で終わるのかどうかは、ご自身で当本を手に取り、お読みください。
「ウイング」は航空自衛隊でいうところの「航空団」。首里基地や小松基地などの基地単位に展開する戦闘単位です。その一つ上の単位は「航空方面隊」。小説「航空自衛隊 副官 怜於奈」に登場する主人公の斑尾怜於奈さんは、「南西航空方面隊」司令官付き「副官」となります。 一つ下の単位は「飛行隊(スコードロン)」で、さらにその下の単位は、4機(フライト)もしくは2機(エレメント)の「編隊」となります。編隊を率い、目標を捜索し、主に攻撃を行う「長機(リーダー)」と、長機の後方や斜め上方に付き、主に周囲の監視と援護を行う「僚機(ウィングマン)」の2機「編隊」は、旧ドイツ空軍で確立された「ロッテ戦術」(Rotte:一団) が基本となっています。1936年から始まったスペイン内戦での実戦経験より、3機よりも優位性が高いということで、第二次世界大戦を経て各国空軍が採用しています。太平洋戦争中の海軍航空隊や陸軍航空隊は、戦闘機の能力やパイロットの技量が優れていたため、戦局が悪化するまでは「全機攻撃」の思想のもと、3機が基本でした。本作でも、2騎を基本に行動します。
シリーズ始まりの舞台は、隣国ポロミエル王国との戦いに明け暮れる王国ナヴァールにあるバスギアス軍事大学。ポロミエルではグリフォン、ナヴァールでは竜が主力の航空戦力。軍事大学は、竜に乗る騎士たちを育成する場となるため、決してほのぼのとした学園生活とはなりません。主人公は、本が大好きで、書記官科への入学を望んでいましたが、ナヴァール軍の司令官である母によって、騎手科への入学を強いられます。
主人公のヴァイオレット・ソレンゲイルは、生まれつきの虚弱体質だけでなく、関節が外れやすいとか、骨が折れやすいとか、常に魔法による治癒が必要な乙女です。入学に当たり、戦場で活躍している姉からもらった、竜の鱗で作られた防御用コルセットと、6年前の反乱鎮圧で死亡した兄ブレナンの助言が書かれた日記から、生き抜くすべを大いに学びます。読書好きなので、各戦地から送られてくる公開された戦闘詳報を読み込み、軍事史にも知悉。現時点では、トリッキーな戦術が得意のようです。利用できるものは、すべて何でも利用する。もちろん、ルールの抜け道すらも。そして、学園での生き残りをかけた軍事訓練が続く中、希少な仲間に支えられながらも、常に自立を心がけ、強い女性へと成長します。
本世界では、竜が主役。竜に乗るためには、竜に気に入ってもらわなけらばなりません。竜が騎士を選び、気に入られない騎士はその場で焼き殺されてしまうこともあります。ただし、一度選ばれて、結ばれた絆は強いものです。まあ、この辺は、「アバター」を想起するところです。 ただし、こちらでは新たな魔法を付与されたりと、絶大な絆です。あと、本作品での竜の食生活とか、食物連鎖などを気にするのは野暮というものです。
本小説は、アメリカでは「ロマンタジー 」と呼ばれています。死と隣り合わせの世界であるがために、恋愛(ロマンス)は激しく情熱的に描かれており、実に「ロマンス+ファンタジー」な作品です。常に気にかけてくれる一つ年上の幼馴染の存在と反乱軍指導者の息子という絶対に恋人にしてはいけない存在(反乱軍指導者を処刑したのは司令官である母)との間に立つ乙女の運命は、乙女自身が切り開いていきます。
最後に、この作品は最後まで予想だにしない展開をしてくれるので、「氷と炎の歌」シリーズ以来の興奮を味わっています。

■AIが生成した「竜に乗る乙女」

さあ、今日も地図を広げて、
竜に乗って冒険にでかけましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。




























































