【水の都「広島」】 | pocopanのブログ 「地図がいっぱいある暮らし」

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地図を眺めれば、家にいながら「冒険」の始まり。
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広島といえば原爆ドーム。人手に渡ってしまった両親の実家は山口県にありましたが、帰省の際はもっぱら通りすぎるだけで、自らの足で広島の街を歩いたことは一度もありません。修学旅行で広島に行ったことがある家内は、原爆ドームと資料館をもう一度観たいと訴えていましたが、わざわざ立ち寄るほどの動機はありませんでした。

先日の地図ラーの会の「地図だらナイト」でのテーマが「推し橋」。このとき十字のかたちをした小名木川のクロスバー橋の話が出ました。十字や目黒川のK字の橋はあっても、T字の橋はなかなか聞かないなと思っていたところ、なんと原爆ドームの近くにあるという話が出てきました。その橋は相生橋というらしく、そのT字自体が原爆投下の目標になったのだと聞き、これはちょっと見ておきたいと思いました。

先日、山口県の老人ホームで暮らす母が入院したということで、急遽お見舞いに出かけることになり、この機会に広島に寄ってみようと思い立ちます。金曜日に休みをとり、早朝の新幹線で新山口駅へ。ローカル線を乗り継いで病院へ向かいます。とりあえず元気そうな母の姿を確認し、山陽本線で新山口駅へ。その日のうちに新幹線で広島まで戻り、この地で二泊することにします。

広島は市内に6本の美しい川が流れることから「水の都」と呼ばれていますが、ホテルへ向かう道すがら、横切るいくつかの川は清潔そうでお洒落な印象。そもそも、この辺一帯の三角州が大きな島に見えたことから「広島」と名付けられています。ホテルは、京橋川に架かる柳橋近くで、駅から徒歩10分程度のところにありました。

「エンホテル広島」に宿泊しての印象は、まさに穴場のホテルでした。価格も安く、従業員はみな笑顔で対応。四角形の中央に吹き抜けがある建物で、回廊とエレベータの周囲に客室がある構造。割り当てられた部屋は京橋川を見下ろす部屋で眺めは抜群でした。翌朝の朝食はビュッフェ形式で一人1500円。少食の老夫婦には親切な小さなお盆と小皿での盛り付けで、美味しい料理を堪能することができました。

まずは、帰りの切符を確保するため、広島駅へ。土曜日にもかかわらず通学する女子高生たちの白いセーラー服が眩しいこと。切符を無事に購入し、原爆ドームへ向かおうと、バス乗り場を探しますが、駅前が工事中のため、案内板が良く分からず、仮設タクシー乗り場へと足が向かってしまいました。

原爆ドームは圧倒的な存在でした。相生橋も見学。思わず、上空を見上げてしまいます。平和記念資料館にも足を伸ばしますが、とても言葉では感想を伝えることができません。自分の目で確かめて欲しいところです。まだ午前の10時くらいですが、広電と呼ばれる路面電車に乗り、休憩のため一度ホテルへ戻ります。

午後3時に活動を再開。京橋川に沿って歩きます。京都鴨川のテラスのような喫茶店が立ち並び、お客たちが談笑しています。異世界な空間に見ているだけでも癒されます。水の都ともいわれるだけの景色です。

縮景園は見事な回遊式庭園。広島藩浅野氏の別邸ということで、安芸藩は浅野家だったのかと一瞬驚きますが、有名な忠臣蔵の赤穂藩浅野家は別家なんですね。太閤検地を実施した浅野長政の子孫ということで、実直にかつ地道に領地経営を行い、明治維新後も華族として活躍します。

縮景園からタクシーに乗り、鯉城とも呼ばれる広島城へ。堀に囲まれた平城なので、秀吉没後の築城かと思いきや、毛利輝元のお城ということで、驚くことばかり。天守閣自体は明治以降も現存していましたが、原爆により完全倒壊します。原爆投下時の広島城には空襲警報を発令する中国軍管区司令部が置かれていました。原爆投下の前日の夜には中国方面に対する数度の大規模空襲があり、総員徹夜で対応。早朝の7時過ぎに飛来した一機の気象観測機B-29(広島上空の天候を伝える)に対しても空襲警報を発令し、市民も防空壕に避難しますが、すぐに解除。このときの気象観測機の報告を受けたエノラ・ゲイ号は目標を広島に決定し、爆撃投下目標地点である相生橋を目指します。このエノラ・ゲイ号を含む三機のB-29に対しても空襲警報が発令されますが、市民への伝達が間に合わず、元安橋上空で原子力爆弾が爆発します。地下にあった防空作戦室自体はかろうじて残り、被爆の第一報を送信したそうです。さて、青い空を背景に天守閣を仰ぎ見つつ、堀の向こう側にあるサッカー場「エディオンピースウイング広島」から聞こえる熱狂的な歓声に耳をすませ、平和を噛みしめます。

京門口にある喫茶店「からはし」で生ジョッキとランチのセットで夕飯とした後は、広電の八丁堀駅へ。広電は基本的に東西に延びていますが、ここでは北へ向かう線路があることに気づきます。ポイントはどうやって切り替えているのかと思って調べてみたら、ポイントの手前での路面電車の速度で切り替えていることがわかりました。ポイントの手前の架線の前後に2点のスイッチがあり、10秒以内に2点を通過すれば直進、11秒以上掛けて通過すれば分岐、ということで半自動になっているとのことです。

翌朝の5時にはチェックアウトし、始発の「のぞみ」東京行きで帰宅するのでした。

■周辺図

●原爆ドーム


●平和記念公園


●京橋川


●縮景園


●広島城




さあ、今日も地図を広げて、
平和を祈りながら、冒険にでかけましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。