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狙撃者がいる 片岡義男


創作ラボ2-狙撃者がいる






以前にもブログには書いたと思うのですが、片岡義男氏の文体はハードボイルドです。


むだな形容詞をはぶき、登場人物の内面を描く表現を抑え、客観的に人物の動きを描写することによって、人物の内面を読者に伝えるのが片岡氏の文体です。


いうなれば、写真を見ているように書く文体です。


とても、ドライで、ライトです。


このような文体こそは、ハードボイルド的小説にはうってつけです。


しかし、片岡氏の大量の小説群の中では、明らかにハードボイルドと思われるようなタイトルの小説は多くはありません。


『狙撃者がいる』というタイトルは、どのような内容なのかは、容易に想像できます。


主人公は、美しく若い女性です。


チャンドラーのような本格的な、ある意味、文芸的な文体のハードボイルドでありません。


片岡氏の文体は、ドライで、重くないから、読んでいて、楽しいのです。








マルタの鷹 DVD

『マルタの鷹』のDVDを見ました。


この映画の原作は、ダシール・ハメットの、『マルタの鷹』です。


1941年の作品で、主演がハンフリー・ボガートです。


ハンフリー・ボガートの初めての主演作品になります。


この時のボガートの年齢が41歳です。翌年には、『カサブランカ』が公開されています。


原作はまだ読んでいないので、ストーリーを理解しないままに見ました。


主人公の、探偵、サム・スペード役を演じているボガートはなかなかハートボイルド風です。


この映画ではボガートの笑うシーンが見られます。


『カサブランカ』では、彼が笑うシーンはあまりなかったように思えます。


ストーリーが複雑で、よく分からない部分もあるのですが、現代の派手なアクションを見慣れている者からすれば物足りない部分もあるのですが、当時としては、娯楽性はあったと思います。


サム・スペードと、フィリップ・マーロウのボガートとでは少し印象が違うのですが、個人的には、マーロウ役のボガートのほうが好みです。

青い手紙 6

「おじゃまします」と、少なくとも、部屋の奥まできこえる程度の音量の声で私は言った。

部屋は、六畳ほどの広さだった。


玄関の左手には申し訳程度のキッチンがあった。部屋の中ほどの左側には窓があった。右手には押入れがあり、玄関から反対側の奥には、小さな箪笥のようなものがあり、左手の奥には風呂場とトイレに続くと思われるドアがあった。


箪笥の前には小さなテレビと、小さなテーブルがあった。テーブルの上には電話があった。


テレビには電源は入っていたのだが、画面に映像が映っているだけで、音声は全くきこえなかった。


部屋の中央には車椅子があった。


車椅子は玄関に対して背を向けていた。かすかに、人間の頭部が車椅子の背もたれの上部に見えていた。

「畠山さん」と、私は声をかけてみた。

車椅子に腰かけている人物の頭部は全く動かなかった。

嫌な予感がした。

三つ数えろのDVD

『三つ数えろ』のDVDを見ました。


原作は、レイモンド・チャンドラーの、『大いなる眠り』だが、なぜ、映画のタイトルは、『三つ数えろ』なのかというと、映画の中で、マーロウ役のハンフリー・ボガードがこのセリフを何度か言っているので、そのまま映画のタイトルになったらしい。


主演は、ハンフリー・ボガードなのだけれど、ボガードは背が低いので、原作のマーロウは背が高いという設定になので、背の高さに関してはイメージがちがうのだが、ハンサムでハードボイルドという部分においては、マーロウのイメージとは大きく離れてはいないと思う。



映画の『ロンググッドバイ』は、1970年代の設定だったが、『三つ数えろは』は、チャンドラーがまだ生存していた1946年(昭和21年)の公開ということで、まさに、マーロウの生きた時代そのままの時代設定です。


原作と、映画とは設定が少し違うところもあるのですが、ほぼ原作に忠実に描かれていると思う。


ストーリーが込み入っているので、分かりにくい部分があると思う。マーロウの行くところには死体が転がるのだが、依頼主である、将軍の運転手が車ごと海に落ちた事件は、他殺である可能性があるのだが、この犯人は映画の最後になっても分からない。


この映画の中では、マーロウはタフな活躍をして、殴られたり、あるいは、銃撃戦で、一人殺害したりする。


カーチェイスとかはないのだが、活劇風な味付けもあるので、作品が公開された当時としては娯楽的で大衆受けしたと思う。映画の、『ロンググッドバイ』とはずいぶん雰囲気が違う。


モノクロではあるが、『三つ数えろ』のほうが原作の雰囲気をうまく伝えているように思う。


主演のハンフリー・ボガードの演技力と、存在感、そして、依頼主である将軍の二人の娘役の女優、ガイガーの書店の向かい側の書店の店員の女優などの演技と美貌が、古き良き時代のハリウッド映画の醍醐味を思い起こさせてくれる。


ハンフリー・ボガードといえば、『カサブランカ』というわけで、カサブランカのDVDも見ています。




ロンググッドバイのDVD

最近、レイモンド・チャンドラー漬けになっている。


小説は、順調に読み進んでいるのだが、映像になっている作品も見てみようと思った。


ネットで、普通に手に入るチャンドラーの原作のDVDは、『ロンググッドバイ』と、『三つ数えろ(大いなる眠り)』の二作品だろうと思う。



それで、『ロンググッドバイ』と、『三つ数えろ』のDVDを購入した。


まずは、ロンググッドバイを見た。


原作の時代は、1950年の後半なのだが、映画のほうは、映画が撮られた1970年に設定されている。


この時代設定に少し、違和感を覚えた。さらには、マーロウのキャラクターにも違和感を覚えた。


探偵映画といえば、ジャック・ニコルソン主演の、『チャイナタウン』のイメージが強すぎて、そういう雰囲気のものを期待していたが、どうも違う。



マーロウは、背が高くて、ハンサムでタフであるというのが、原作のイメージなのたが、映画の中のマーロウは、よれよれのスーツを着て、あまりぱっとしない風采で、タフなところはなくて、くだらないジョークばかり話して、どう見ても、多くのチャンドラーファンからは批判されそうだ。


1970年代の時代設定なので、二十四時間営業のコンビニがあったりする。マーロウの探偵料金は、一日に50ドルになっている。原作では、25ドル。


派手なアクションシーンはあまりなくて、全体的には、ハードボイルドという感じではない。


原作とは、設定も違う。原作どおりに、映画化するのは難しいだろう。


映画は、イメージが固定化されるが、小説は、読み手によって、言葉からイメージされる映像は違ってくる。


百人の読者がいれば、百人のフィリップ・マーロウがいる。


『チャイナタウン』のDVDがほしくなった。


続けて、『三つ数えろ』のDVDを見ようと思う。