青い手紙 6
「おじゃまします」と、少なくとも、部屋の奥まできこえる程度の音量の声で私は言った。
部屋は、六畳ほどの広さだった。
玄関の左手には申し訳程度のキッチンがあった。部屋の中ほどの左側には窓があった。右手には押入れがあり、玄関から反対側の奥には、小さな箪笥のようなものがあり、左手の奥には風呂場とトイレに続くと思われるドアがあった。
箪笥の前には小さなテレビと、小さなテーブルがあった。テーブルの上には電話があった。
テレビには電源は入っていたのだが、画面に映像が映っているだけで、音声は全くきこえなかった。
部屋の中央には車椅子があった。
車椅子は玄関に対して背を向けていた。かすかに、人間の頭部が車椅子の背もたれの上部に見えていた。
「畠山さん」と、私は声をかけてみた。
車椅子に腰かけている人物の頭部は全く動かなかった。
嫌な予感がした。