アマチュア無線の裏側で

アマチュア無線の裏側で

1970から1980年代の忘れがたい記憶から

中高生にハムが爆増していた頃、さらに多かったのが鉄道模型の趣味で、私の小学生時代にも周囲にも数人がいました。私もまだ電話級の免許も取る前でしたが、兄がNゲージを買うというのでその電源コントローラーを作っています。その世界では「パワーパック」と呼ばれていましたが商標でしょうか?

内容は模型雑誌で見たHOゲージ用のコピーで、12V /3Aのトランスとセレン整流器、それに「レオスタット」と呼ばれる40ohm/50Wの琺瑯巻線型の可変抵抗器とスイッチだけ、つまり脈流です。私はラジオ製作を通じて平滑の事は知っていましたからここに電解コンデンサーを付けると電圧向上、つまりスピードアップするわけです。そこで友人たちにも「いい部品があるぞ」と教えたのですが、説明を尽くさなかったのは失敗でした。それは、NゲージとかHOゲージの車両は進行方向を電源極性で切り替えるので(Oゲージは交流饋電です)、電解コンの取付け場所を出力端子にしてしまうと・・・(以下略)

 

線路イコール電路なので、そこに金属を落としたら即刻ショートです。整流器が当時でも旧式なセレンだったのは、その対策でした。シリコンは短絡モードで一気に壊れるのに対し、セレンは蒸着フィルムキャパシタのような自己修復作用があり、少しずつ劣化する形で耐えるからです。なお、使用経験がある世代の人でさえセレン整流器を「大きな放熱板付き」と思っていますが、放熱目的ならあれほどの大袈裟な物は必要ありません。大面積の理由は整流面の電流密度の限界が低いからで、そもそもPN接合ではなくショットキーであって、セル当たりの電圧降下はシリコンより低いくらいです。ただしテレビに使われたような耐圧の髙い仕様は直列多段構造でしたから、そのような積層部品の電圧降下はそれなり大きな値になります。

 

さて、無線を始めてからNゲージにも触らなくなり部品転用を考えますが、12V /3Aのトランスはアマチュア無線用には中途半端に電圧が低くて使いにくくしばらく放置、その後他のトランスと組みにしてスイッチング電源・第1号になり、レオスタットの方は鉛蓄電池の充電とか低周波アンプのダミーロードに使ってきました。

 

なお上記の話はちょっと方向の違う次回への前振りです。

以前は「時計、業務日誌、無線検査簿、電波法令集または抄録」が無線局には法定で備付義務があり、落成検査では全部が揃っていることを必ず確認されました。しかし、これらの備品は何度かの省令改正を経て、アマチュア局では2009年までに段階的に免除されています。

 

私の電話級取得までの情報源はほとんど「子供の科学」誌、それもJA1HMN 野川氏の入門に徹した解説だけでしたから、その教え通りに完全に合法的な開局をしており、もちろん電波法令集も買っていました。法令集も全巻を揃えるのは大変ですが、ハムに必要な部分に限った抄録でも備付義務を果たすとされていたので、それはJARLが昔から安価に刊行していました。こういう働きは非営利的な互助組織あっての恩恵のひとつです。

ところがある時、同級生に法令集は買ったか?と尋ねると、「はぁ?わざわざ買うかよそんなモン」と言い返されてしまいました。これが実態でしたね。当時から落成検査も定期検査も免除されていたJARL認定10W局のところへは誰も「最新版の存在」を確かめには来ませんし、日常の運用で使うものでもないからです。むしろOMに開局指導を受ける機会があった者ほど「買わなくて済む」を実践していたかも知れません。

 

ハム・ジャーナル誌だったか、とにかくQ&Aで色々と法的な手続き・解釈について質問があった際、「みなさん電波法令集を利用していないのではないか」と回答された事があります。実際、何を変更したらどんな手続きが必要だとか、この資格でこの運用は可能か?などの電波法FAQは抄録を見れば大概わかります。ただし、回答者はこのコメントに「法定の義務なのに持っていないのはお見通しだぞ」というイヤミも込めていたのでしょう。

 

なお、これも私の駆け出し時頃の記憶ですが、「定期検査時の業務日誌の抄録提出廃止」とのニュースを見た事があります。「ログの抄録」とは私にはちょっと内容の想像がつきませんし、昔はもっと色々と文書関係の義務があったのかも知れません。

エレキーのように横往復をするものに複式電鍵があります。これは「往復ビンタ」式の全手動操作により全てのダッシュ・ドットを打ち出すもので、上下に揺れる船内で効果的なものとして日本で発展したとか聞いたことがあります。ただ、欧米の船舶局にも昔からVibroplex社のバグキーを用いる例はありましたから、横振れの動きそのものが日本独自なのではありません。

 

複式電鍵のメリットですが、まず高速打鍵が容易な事。次にCWの専門用語で「手崩れ」と呼ばれる、縦振れ電鍵ではしばしば陥るイップスの原因がない事です。なお、左右に高速でパチパチと打つのは難しく見えますが、やってみると案外簡単で慣れるのはバグキーよりも早いでしょう。ただしそれは了解度の質を問わなければ、の話です。複式電鍵に特有な問題とは、縦振れの「キーアップ」に相当する時間が短くなりがちなので「符号が粘る」、と表現された品位の低下です。その様子を「トロロツーツー」と表現した人がいましたが、いかにもトロロが粘ってきそうです。

 

複式で「粘り」を減らすテクニックはノブへの触れ方で調整するため修練が必要ですが、ハイモンド社は解決法の一策として、接点をマイクロスイッチにした複式電鍵のMS-2も商品群に揃えていました。これならスイッチ内のバネ反転の一挙動を介するので粘りにくくはなりますが、あの頻度でのオンオフに耐久性は足りたのでしょうか(汎用品だから交換すればいいのか?) それに私の自作経験からしても、マイクロスイッチの操作感で満足できた人は少なかっただろうと思います。

 

さて、自作パドルが不出来だった私は次に、複式電鍵こそエレキー・パドルそのもの、と考えました。ところが完全に買う気で店まで行って見てびっくり、ハイモンド社のFK-3というその複式電鍵、左右の電極が強固な構造部材で連結されており、左右独立の接点が必須となるエレキーには流用不可能なのです。エレキー専用のパドルが出回るまでにはまだ早く、FK-3に左右分離切断の大改造を加えたとか、接点を追加した人もいた、という話は後々になって知りました。そういう時代だったのです。

 

 

「エレキー」の登録商標に関する話は以前「カートランシーバーとエレキーと」で書いた通りですが、ここではそれを通称として使用するものとして・・・

 

エレキーも現在主流のアイアンビック方式は最初からあったものではなく、カツミ電機にせよハイモンド社にせよ、メーカーが上市を始めた頃のエレキーはシングルキー、つまり、ダッシュ・ドットの交互発生はできないものでした。そもそもまだダブルキー構造のパドルが国産品にありませんし、日本のハムは「スクイーズ操作」という事を知らなかったのです。

 

エレキーの自作はパドルの製作が勘所で、色々な工夫が雑誌記事でも紹介されていました。一例として、可動部に金鋸の刃を使ってスプリングを兼ねさせる、というものがありました。当然ながら鋸刃は非常に硬いものなので、そのままでは加工ができないが焼き鈍せば穴を開けることも砥石で歯を落とすこともできる・・・と、そこまで書いてありましたが、それでは鋸刃材である必要もないではないか、と思ったものです。なお、接点にはジャンクのリレーから外した物が使える、というアイデアは今でも妥当ですが、他にはマイクロスイッチそのものを使うという手も知られていました。

 

私が最初に作ったのは鋸刃の断片と小型でストロークの短いマイクロスイッチを組み合わせたものでした。もちろんシングルレバーです。しかし鋸刃では弾性と剛性のバランスが取りにくく、一度でも市販品を触ってしまうと著しく操作感に劣るのが嫌になります。それで自作品は実際のQSOには旧知の相手に試した程度で終わり、結局ハイモンド社のMK-703を購入するまでは縦振れ電鍵だけで通しました。

 

その最初のエレキー製作で使った電子回路の方は雑誌記事通りの簡単なアナログ発振式で、今で言う「長短点メモリー」のような品位の修正機能はありません。しかしそれはそれでリズム感を体得してしまえば無くても必ず何とかなるものです。

 

 

ハム用の機材、とはいってもアメリカではCBとかMARSとかへの流用もあるので、バンド追加対応はコリンズもドレークもスラグ・チューンの利点も活かして完全に仕様のうちです。国産でも真空管時代からいくらかは対応がありました。ただし、終段まわりの機構次第で送信の方は任意のバンドには出来ない機種もありますが(それでも27MHzだけは可能なのが多い)、受信の方には割にバンド変更の自由度はあり、短波放送帯の受信にも利用されました。

例えば八重洲では、FT-400/401の頃から既にアメリカへの輸出を考慮してでしょう。バンド変更・追加用のコイル類の販売はもちろん、何と水晶発振子の特注まで受けつけていました。これならメーカー仕様通りで安心な上に、価格も特に高くはなかったと記憶します。また、3.5MHz以下への改造は本来はFT-400/401の仕様外ですが、タンクコイルの巻線の余りを利用して1.9MHzを追加する改造もCQ誌やハム・ジャーナル誌で紹介された事があります。

 

さて、1979年を皮切りにした話題に、WARCバンドの追加開放がありました。従ってその過渡期の機器、例えばFT-101Zには前期・後期型でWARC有無の別があります。ただ、追加された10/18/24MHzはいずれも旧来の3.5-28MHzの範囲内にあるので、メーカーにとってはそれほど手間はなかったはずです。加えて、当時は法定の周波数測定装置をマーカー発振器、およびJJYの受信機能で果たしていましたが、それが長らく10MHzの受信機能だったのでこれは送信改造でそのまま10MHzバンド用になります。ただし後には全国的な入感状況を勘案して5MHzのJJY受信に変更された機種もあります。

 

WARCバンドの話のついでに。
私も誌上で見ただけなのですが、WARCでハムバンド拡張が議論されていたとき、外国のハムから「日本はハムの権利拡大案に全て反対した」と批判されたという話がありました。本当だとしたら、JARLはしばしば国際会議にオブザーバーの分際とはいえ派遣をしていますが、この時は何をしてたのでしょうか。以前、もしもJARLがロビー活動に長けていたら、とか、仲良し関係で丸め込まれたのでは、などと書きましたが、こういった噂からも感じていた事なのです。
 

前回「水晶発振は周波数の微調整までが自作の範疇」、とは書いたものの、それは用途指定の出来合いの水晶ならばちょっとLCで合わせられる程度の範囲です。昔々のハム達はそれで済まない量の変化を水晶片自体を取り出し加工して調整したのです。

 

私は特注&出来合いの利用できた世代ですが、雑誌には(ほぼ昔話として)水晶片の加工の話題が出る事がありました。FT-243型の発振子は開封すると水晶板が単体で取り出せるので、それを削れば周波数は上がります。一例として「ラジオの製作」誌のJA1ZB 松田氏の記事だったか、「フッ化水素酸によるエッチングは危険な上に失敗率も高い」とかありましたが、本当に危ないですし、そんな方法は多分ですが水晶のプロもやっていません。ハム界で一般的だった方法は砥石での研磨でしょう。

 

逆に周波数を下げるには「赤チンを塗り、下がりすぎるか発振しなくなったら洗ってやり直し」、が古くから知られた定法です。

なぜ使うのが赤チンなのか? 分かりませんね。それは誰も説明出来た事がありませんし、恐らく長い試行錯誤の歴史から経験的に残ったのでしょう。でも推測するのも面白いので、一応考えてみましょうか。


「赤チン」はそれ自体の説明が必要になってしまいましたが、昔の消毒薬だったマーキュロクロム水溶液の俗称で、見た目は完全に赤インクです。完全に家庭用常備薬で、「とにかく怪我したらこれ」だったのですが、水銀製剤なので環境の観点から製造が中止されました。

赤チンも塗りすぎると発振しなくなるのなら塗付量は最低限にすべきです。ところで水銀は比重が鉛以上という極めて重い金属で、その化合物も大きな比重となります。従って塗った後に残る固形分が重たく、塗布が少量でも効果が出せる・・ということかなと想像します。


ところが私が初めて新品購入したFT-243は開封して出て来たのは蒸着電極をワイヤーマウントした構造、つまり中身は既にHC-6/U世代と言う「なんちゃってFT-243」でした。しかも開封後からアクティビティが激減してしまいました。結局、水晶片だけ外せる形式のFT-243はハムフェアでジャンクを求めてやっと確認出来たのです。

1950年代に及ぶかという昔話の伝聞ですが、周波数がスポットで割り当てられた経緯から送信は水晶発振が必須でVFOだけでは不許可だったそうです。多分これと関係して、免許状には「水晶発振」は印刷済だった時代もあります。水晶振動子の入手もジャンク頼りですから周波数が適合しないのが普通で、やむなく水晶片自体を加工してハムバンド内に収めたそうですが、落成検査では(まだデジタルカウンターがないので)ヘテロダイン周波数計が持ち込まれて実際に合否判定アウトもあったのだとか。

 

私の駆け出し時代には「ハム用」の既成の水晶も既に部品店で購入できました。例として当時のVHF機はほぼ固定チャネル式で、そのチャネルの数だけ(しかも送信・受信で別の一組二個)水晶が必要でしたが、それには純正品よりも多少安価な社外品もありました。しかしそれ以外にも自作用として、逓倍してマルチバンドをカバーするとか、マーカー用とか、トランスバーターの局発用とか、ハムが自作によく使う周波数には定番があったからです。

 

アマチュア相手に特注を受ける雑誌広告も幾つもありましたが、雑居ビルの一角で営むような規模が多かったようです。まがりなりにも特注品ですから仕様のやり取りに始まり、製造から発送まで、という一連の作業が千数百円とかの製品1個にも要求されるアマチュア相手の仕事は大手には向きませんね。

 

私もたまたま散歩中に見つけた事業者があり、集合住宅の店舗エリアの一室でした。店主はかつて勤務した小工場が廃業するので最小限の設備を譲り受けて開業したそうで、一般にFT-243などの旧式なパッケージ部品を最後まで(2000年頃?)残して受注できたのは、このような古いルーツがある個人店だったようです。

その店は回路や負荷容量の指定はできなかったのですが、それは他店も大体同様、もしくは追加料金制でした。従って周波数の端数は成り行きになってしまいますが、そもそも部品店で売られた自作用水晶もそういうものです。つまり水晶発振は周波数の微調整までが自作の範疇だったので、デジタル周波数カウンタを自作派は早くから欲したのです。

DXに興味を持った覚えのある人なら例外なく、そうでなくともCQ誌を定期購読したようなハムなら大概は国際返信切手券(IRC)の事はご存じでしょう。それが近々廃止されます。

 

IRCの事は世間一般を見渡してもアマチュア無線家以外が話題にする事はほとんどありませんし、目に付くところで廃止計画がニュースになる事もありません。従って長期ブランク中の人がこれを見たら、それこそ寝耳に水ではないでしょうか。もっとも、その利用実績の低さと通信の電子化の進展からすれば当然と言えば当然です。

スケジュールとしてはIRCの販売は来月末(2026年9月30日)まで、有効期限は本年末(2026年12月31日)までと随分と猶予期間のない流れで、国際的に厄介者扱いなのを感じさせます。最後の価格改定は2023年で1枚180円となりましたが、しかしその時点でも既に購入できる所は極めて少なくなっていましたから、廃止に向けた実態は着々と先行していたわけです。

 

IRC一枚だけでは本当に最低限の返信費用しかカバーしないので、QSLカード請求用のSASE(Self-addressed stamped envelope)には複数枚を添付するのが通例でした。そういえば昔のハム・ジャーナル誌で、ブーベ島のQSLを得るのにIRCを都合20枚送ったがビューロー経由で届いた、なんて話も紹介されていましたっけ。

ところで、IRCには換金性がありますし、それどころか俗にいうgreen stamps, つまり米ドル紙幣の同封もあるのが悪い配達人達に知られてしまい、途中で抜き取られる事案が海外で多発しました。特にQSLマネージャーにはこの手の封書が集中するだけに紛失リスクも高く、雑誌のDX記事には「安全な送り方」の指南も見られたものです。しかし、SASEによるQSL請求は昔からすれば著しく少なくなって、それも昔話になりつつあります。

 

今は電子化が進み、DXペディションでは「手数料」をClubLog などを通じたウェブ上で払う手段も普及してきました。しかしネットショッピングを連想させる形態ですから、QSLを出す方も貰う方も「award申請の権利の販売」という感覚になりつつあるようで、そこにちょっと抵抗を感じなくもありません。

当ブログも開設から2年ばかりを経て、改めて振り返りをしてみます。

 

本年6月からアメブロもBOT対策されてアクセス統計の様相が変わり、そのアルゴリズムは非公表ですが「一気読み」はかなりの割合でBOT判定されている疑いがあります。しかしリピーター数は40から50名という推測は変わらず、1年前の振り返りから増加はしましたが、もう落ち着き傾向に入りました。私の方からは相変わらず誰にもどこにも当ブログの存在をアピールした事がないにしては、妥当以上の現状でしょう。本当に限られた数ですが、それでも単に日記を垂れ流す種類のブログよりは読まれている手応えはあります。

 

内容については、やはり参照が多いのはリグ談義、あるいは自作話といったテクニカルな要素のあるテーマです。考えてみれば、アマチュア無線の制度や事件に関する話題は「ああそうだったね、懐かしい」という種類のものなので、なるほど私と全く世代を同じにする人々だけにしか興味を持たれないような気はします。読者の年齢的にも50-60-70代がほとんどで、特に60代中心の山型なのがそれを裏付けています。

また、50代と40代との数のギャップが非常に大きく、アマチュア無線人口の著しい分断がここにあるという事がよく分かります。まして10代から20代は、他の目的での検索が偶然に当サイトのインデックスにヒットしただけなのでしょう(タモリ氏とか)。

 

誤字の訂正や思い出し事項の追記は随時行っていますが、特に一件だけ、パーソナル無線の投稿は削除しました。

この記事は昨年末の頃には検索流入によりアクセス数がコンスタントに最多になっていたのですが、私自身に運用経験がないために参照に値する内容はないと思い、一部の記述を他の記事に移した上で元の記事は削除と決めました。これにより直後はクリック頻度が3割くらい減りましたから、云うなれば都合の悪い情報をweb上に暴露されてしまった人々が実行する逆SEO対策も同然ですね。

私は「はじめに」で書いた通りで当ブログの目的は記憶の整理が第一であり、アクセス数には拘泥しないのですが、いざ当サイトを開かれて羊頭狗肉に思われるのは意外、がっかりされるのは存外という思いは持っているのです。

 

自作では感電が一番の危険ですが、その次は商用交流の扱いでしょうか。以前、同軸ケーブルに関する話は書きましたが、今回はそれ以外のことをいくつか。


ある電子工作系のYouTubeで「電源スイッチは片切ではなく両切にしましょう」という主張を見ました。日本の100Vプラグは接地側が一定しない構造なので、電源コードを抜かない限りホット側が半分の確率で常時接続になる。従って両方切断すれば安心だ、という意図で、これは良い着眼と指摘をしたものだとご満悦のようです。しかし・・・

小型の二極双投(DPDT)スイッチで両切りする配線は、必然的にホット・コールドの両ラインがすぐ隣に平行に並びます。密閉環境ならともかく、塵埃と水分がやってきそうな場所では最悪トラッキング現象で火が出る可能性があり、この人はその方面の事は知らないのでしょう。スイッチの素材は耐えても、そこまで来ている平行コードの塩ビ素材のところでこの現象は起こりえます。

また、初心者がこの両切り接続するとチョン付けイモハンダが外れて短絡、しかもヒューズをスイッチの下流に入れてしまうという「しくじり」も併用して、ヒューズを通らずショートという危険もあるかもですね。


ところで、電源トランス一次側の90-100-110Vなどのタップ、特に昔は90Vタップが普通にあったのは、電力事情が悪かった時代には100Vを大きく割り込む事が地域や時間帯によりあったからです。かつて「ラジオの製作」誌のJA1CNE 杉本氏の投稿で、テレビ(もちろん真空管式)の映りが悪くなったらヒータートランスを単巻接続にして100V側に挿入し、電圧を少し上げれば良いとありました。それを正しく100Vが届く環境で常時やってしまうとヒーター電圧過剰で寿命を縮めますから、真空管が安価だった頃ならではの工夫です。今は101V ± 6Vの範囲になければ電力会社に是正を求めることができます。


近年、「電源タップの寿命は5年・買い替え推奨」とかいう生活の知恵をあちこちで見ます。しかし検索してみると、ほとんどが延長コードメーカーの主張が元ネタのようです。壁のタップも同じ構造なのに、そちらの方はどうでもいいのですかな? そこはハムなら自己判断できると思いますが、ただし新品のプラグでも定格一杯の15Aでは接触抵抗でかなり発熱をするのは一度体感してみてもいいかも知れません。

なお、日本語の「コンセント」は英語で wall tap, wall socket, outlet などです。日常生活用語なのでどれか一つ、というものではありません。