受信機より送信機の方が簡単? | アマチュア無線の裏側で

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1970から1980年代の忘れがたい記憶から

自作なら「受信機より送信機の方が簡単」、とは私の駆け出し時代には既に常識とされていました。AM/CWなら本当だと思いますが、SSB時代になつて送信機と受信機が似た構成になってからも同じように言われ続けているのです。メーカー製なみの性能を求めれば正しそうですが、SSBでは「とりあえず実用になる」程度なら実は受信機の方が簡単なのではないか、と私は昔から思っています。

 

理由は第一に、受信機は大体ゲイン過剰だからです。従って、本来あるべきより少々ゲインの足りないステージがあっても問題ないどころか気付きもしませんが、送信機だったらその少々でもパワーが出ないとの騒ぎになります。また受信機ではメーカー製だろうとアンテナとのインピーダンスマッチングはあまり取れていませんが、その程度のロスも問題としないのです。

 

次に、送信機は自分だけの都合では済まずに電波の質が求められるからで、とりあえず遊ぶ程度のつもりでも不要輻射や歪んだ音は即刻叩かれてしまいます。また安定度では時間とともにパワーが落ちるとか逆に暴走するとか、歪が増大するとか、どれも非常にありがちなパターンです。もし、レベル配分が多少変なことになっても吸収できるだけの余裕が各ステージにあれば歪もパワーも問題解決は近いのですが、初心者が真似するような参考回路に普通はそういう配慮はありません。特に終段など、精一杯のギリギリで動かそうとするのは、止められても止まらない習性というものです。


以上、下手な私の言い訳でした。しかし実際に「受信機より送信機の方が簡単」と口にする人のほとんどに自作経験は無かっただろうと思います。理由を尋ねて、「ダイナミック・レンジが、内部雑音が・・」とか言い出すようであれば、相当な手練れか耳学問か、そのどちらかでしょう。多くの自作記事を著されたJH1GJF 住広氏が製作記の末尾で「VFOの直線性と内部雑音を減らすのに苦労した」と書かれていたのが記憶にありますが、これは達人の証拠です。