僧坊の別名…会下と学寮 | アジアのお坊さん 番外編

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半年ほど前に修行時代の姉弟子、と言っても、ひと回り以上も年上の庵主さんの所を訪ねた話を書かせて頂いたのだが、さて、先日、その方とは別の方で、やっぱり天台宗のある古刹の住職を務めておられる尼僧さんのお寺を、お参りさせて頂く機会があった。

その方が、比叡山行院のことなども含めて色々とお話して下さった中で、先日の「ブラタモリ」、ご覧になった? 高野山と言えばあんな感じで有名なのに、比叡山のことは、私たち、もっと宣伝して行かなければ駄目ね、みたいなことを仰っておられたものだ。

ところでその番組を余り見たことのない私が、たまたまその高野山の回だけは縁あって見させて頂いたのだが、内容はさて置き、番組中に初めて知った言葉があり、とても興味深かったので、今回はそのことについてのお話を。

高野山のお若い修行僧の方が三人ばかり映って、私たちの暮らすこの建物は「会下(えか)」と言います、と仰ったのだが、私にはその言葉が分からない。お寺や宿坊や僧坊に関する言葉や、それらを表す英語についてなどにはいたく興味があり、このブログでも度々書かせて頂いているのに、これは一大事と思って調べてみた。

まず、「佛教語大辞典」(東京書籍)を見ると、確かに「会下」という言葉があって、「①説法の会座。一人の師僧のもとに集まって学ぶ所。②師の門下として修行している僧。またその修行僧全体のこと」とある。

そして、より分かりやすい現代語の情報を含む編集方針の「新・佛教辞典」(誠信書房)の「会下」の項には、「説法談義の集会(会座)に来て教えを受ける門下。禅宗では門下、教系の意に用い、浄土宗では学寮研究生を指す」とある。

つまり「会下」という言葉は「僧坊」を直接指すのではなく、元の意が転じた「学寮」の意味で使われるということだと分かった。

と言うことは、英語で言えば、「monk's quarter」や「cell」といった、「僧坊」を指す言葉よりも、「a dormitory in a monastery」という意味合いである「dorter」という単語が、「会下」「学寮」を表すにはぴったりだということだ。

そんなこんなで、自分の行院時代やそれ以前に小僧修行させて頂いた、学寮という名目の付されていた京都の寺院のことなどを、様々思い出した次第。

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                         おしまい。


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