松田道弘氏の奇術とミステリに関する随筆「とりっくものがたり」に、アイザック・アシモフ「黒後家蜘蛛の会」の一編「ロレーヌの十字架」のことが載っていて、そこにラリという奇術師が演じるトリックのことが記されていたのを10代の頃に読んだ。
そして、この程はじめて「黒後家蜘蛛の会 1」を読んでみたら、とても面白い。読み終わってから、瀬戸川猛資氏の「夜明けの睡魔」を確認してみたら、「黒後家蜘蛛の会」のことを「これは短篇ミステリの連作として近年最高のものである」と書いてあったのだが、瀬戸川氏の仰っている「黒後家蜘蛛の会 1」の最終話「死角」などは本当に素晴らしかった。
だがしかし、肝心の「ロレーヌの十字架」が収録されているのは「黒後家蜘蛛の会 3」であり、第1巻が面白かったからと言って「黒後家蜘蛛の会 2」をわざわざ全作よむのはちょっとしんどい。そこで「ロレーヌの十字架」の入っている第3巻の「黒後家蜘蛛の会 3」だけを図書館で借りて読むかどうかを、現在、思案している最中だ。
おしまい。
「アシモフの描くラリという奇術師の演技はクロースアップ・マジックはかく演ずべしという演出のお手本です。文句のつけようがありません」
ー 松田道弘「とりっくものがたり」(筑摩書房)より
※「ホームページ アジアのお坊さん 本編」もご覧ください