先日から頻繁にお坊さん事件を更新させて頂いているのだが、古い新聞の切り抜きを整理していたら、まだこんな記事が洩れていた。
「2012年 修行の厳しさに耐え兼ねて京都の有名な禅宗の僧堂を抜け出した僧籍のある男が、京都のインターネットカフェで他人の健康保険証を盗むなどして逮捕された」
なにぶん古い記事なので、その後、この男性は立派に心を入れ替えておられるかも知れず、余計な迷惑を掛けてはいけないと思い、当時の記事にはしっかりと僧堂のお名前が記されていたが、今回は伏せさせて頂いた。
ただ、私は同じお坊さんとしてこの記事を読んで、ああ、やはり厳しい修行に耐え兼ねて修行道場を抜け出したくなる人もいるんだなあと感慨深く思うので、この記事を消さずにここに記録しておきたく思う。
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2004年 大阪府 「実在しない寺」の名による度牒(お坊さんの得度証明書)を発行し、氏名を変更して金融会社から借金をさせた事件。
2009年 滋賀県 同じく「宗教法人」が借金目的の名義変更のために度牒を発行。
2009年 天台宗のインド人僧侶サンガラトナ師の知人を名乗って寄付を募る偽インド人僧侶に対する注意喚起が、サンガ師より天台宗各寺院に連絡される。
2011年 京都市内の天台宗古刹が、寺院什物・土地・建物を競売に掛け、住職が僧籍を剝奪される。寺院は名称(宗教法人格)だけ残して、他の宗教団体に売却される。
2012年 修行の厳しさに耐え兼ねて京都の有名な禅宗の僧堂を抜け出した僧籍のある男が、京都のインターネットカフェで他人の健康保険証を盗むなどして逮捕される。
2013年 京都の臨済宗の某門跡寺院の住職が、霊感商法的に信者に仏像を販売して訴えられる。
2015年 寺門宗系の僧侶が弟子に法名を与える形で、度牒(得度証明)を使った詐欺を行う。ちなみにこの手口による同様の事件は非常に多い。
2013年 京都のとある禅宗系の尼門跡 霊感商法まがいの行為により住職が逮捕。
2018年 奈良県 華厳宗僧侶による強制わいせつ。
2018年 京都 浄土宗の寺院 塔頭内で次期住職の座を巡る脅迫事件など。
2019年 大阪府 浄土真宗の住職によるあおり運転事件。
2019年 京都府 僧侶による強制わいせつ。
2019年7月 京都市内の天台宗の有名観光寺院の役僧が、路上で女性に良からぬ行為を働き逮捕される。
2019年10月 大阪市阿倍野区の真言宗の有名寺院の住職一家が行方不明になり、寺が競売に掛けられた。
2021年4月 茨城県の日蓮宗寺院住職が、交通トラブルの相手をボンネットに乗せたまま車で逃走。
2021年 香川県 僧侶による強制わいせつ。
2021年 京都府 僧侶による強制わいせつ。
2023年6月 鳥取県内の僧侶が母親に暴力。
2023年7月 東京都の臨済宗寺院住職が他人の妻に横恋慕し、別れさせ屋を使って違法なことを画策。
2023年8月 栃木の臨済宗寺院住職が、坐禅に誘った女性の身体を警策(坐禅指導のための禅杖)で触って逮捕される。
2023年9月 京都市内の天台宗の有名観光寺院の役僧が、盗撮目的で女子トイレに入り逮捕。
2023年10月 東京の寺院住職が境内墓地の経営を委託した霊園業者とのトラブルで、その墓地の地下納骨堂で練炭により殺害される(事件そのものは7月に発生)。
2023年12月 岐阜県各務原市の真言宗系の寺院に勤める僧侶が大麻所持で逮捕される。
2023年12月 茨城県つくばみらい市の浄土宗寺院の僧侶が女性に対する暴行罪で逮捕される。住職の息子であるこの僧侶は以前から同様の余罪で問題を起こしていたとのこと。
2024年1月 四国の天台宗寺院住職が得度させた女性を長年に渡って心身共に支配。当該住職と住職を女性に紹介した回峰行者を懲戒処分にするよう、本山に訴える(2024年11月、天台宗はこの二人の男性僧侶に対し、懲戒審理が相当という判断を示す)。
2024年10月 日蓮宗の一派である本門仏立宗の寺院で師僧が弟子の尼僧に性暴力。逮捕されていたのは5月だが、上記の天台宗事件に触発された被害者が会見し、10月に発覚。
2024年11月 前年7月に東京の寺院住職が霊園業者とのトラブルで練炭により殺害された事件の初公判が行われ、犯人が起訴内容を認める。
2024年11月 天台宗で得度した男性芸人千原せいじ氏(法名・靖賢)が、仏教系一般社団法人「日本仏教協会」(公益財団法人「全日本仏教会」とは全く関係のない団体)の顧問に就任したとのニュースが報じられる(追記:2025年に退任とのこと)。
2024年11月 大阪の浄土真宗本願寺派の寺院で住職の死後も同寺の役僧だった僧侶が住職を名乗り法務を続けていた件が「僧侶なりすまし事件」として報道される。
2024年12月 草津市のスーパー銭湯で京都市の僧侶が、男子中学生を撮影して逮捕される。
2025年1月 大津市の円満院門跡を懲戒解雇された僧侶2人が寺側を訴える。事件は約3年前のものだが、この度、判決があったのでニュースとなる。この事件は派遣僧侶に関する興味深い問題点を含んでいるように思う。
25年2月11日 京都にある浄土真宗大谷派が運営する僧侶の養成機関「大谷専修学院」の指導主事と指導が、同意なく役職の異動換を命じられたのを不服として、宗派を訴える。
※以上の内、本願寺派僧侶のなりすまし事件、大谷派の学院事件、および先日書かせて頂いたインドの鶏足山を尊足山と呼ぶ件については、インドにお詳しい知り合いの真宗僧侶の方が、近々インドに行かれるそうなので、一度お聞きしてみようと考えています。
おしまい。
※「ホームページ アジアのお坊さん 本編」もご覧ください。