「重版出来!」第6話~勝ち続ける仕事術・・・新人ツブシの秘密とは? | 日々のダダ漏れ

日々のダダ漏れ

日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

「重版出来!」



第6話
勝ち続ける仕事術・・・
新人ツブシの秘密とは?



編集者残酷物語。
漫画はビジネス。
夢を託すものではない。

**********

~6年前~

(回想)
土日に来るから意味があるんだ。
週間連載を2本掛け持ちの
売れっ子、加藤了先生。
うちの雑誌でも、
何としてでも描いてもらいたい。

休みがなくなっても、
私生活を犠牲にしても、
それでも俺は、
あなたの作品が欲しいんです。
あなたの才能に、惚れているんです。

**********

仕事は、夢を託すものではない。

**********

心) あの~何がショックで?
中田) 僕の絵、下手だったんです。
心) えっ?
中田) 他の人の漫画と、見比べてみたら、
    プロってすごいんですね。
心) 中田さん。今まで私に、何度も
  何度も何度も、絵の描き直しさせ
  られましたよね?
中田) はい。
心) それ何だと思ってたんですか?
中田) 僕の絵が、個性的だから。

**********

心) これ全部、模写して下さい。
  絵がうまくなる近道です。
中田) 三蔵山先生のところで、
    働きたいです。
心) えっ?
中田) アシスタント。
    日曜だけじゃなくて、毎日。
心) 今のお仕事は?
中田) 辞めます。
    三蔵山先生、雇ってくれますかね。
心) 頼んでみますけど。
中田) 模写も全部やります。
    絵が、上手くなりたいんです。
    上手くなりたいんです。
心) はい! 一緒に頑張りましょう。
中田) 頑張るのは僕です。
心) そうなんですけど。そうですけど。
  ごめんなさい。感動して。
中田) 黒沢さんは変わった人ですね。


**********

栗山) お~巨匠。
棚橋) お前、自分の絵が下手なことに
    気付いてなかったんだって?
中田) 驚きました。
(笑い声)
沼田) 今までは、お客様扱いだったけど、
    これからはチーフとして、
    少し、厳しくさせてもらうね。
中田) よろしくお願いします。

**********

棚橋) 中田君、実際どうなの? 女の担当。
    めんどくさいことあったりしない?
中田) 黒沢さんは、女というか…神様です。
棚橋) ん?
中田) 僕を見つけてくれた、女神です。


**********

心) 前に先生、おっしゃってましたよね。
  編集者に頼って、ダメになった
  漫画家をたくさん見てきたって。
  それって、どういうことなんでしょう?
三蔵山) 楽なんですよ。編集者に言われた
     とおりに描くっていうのは。そうやって
     人にゆだねてばかりいると、自分では
     何にも考えられなくなる。
心) 道具になってしまう?
三蔵山) 言い方は悪いですが。それで一生
     やっていけるのなら、いいのかもしれ
     ませんが。何のために、漫画を描くの
     か。それに尽きると思います。
心) 何のために?
三蔵山) 黒沢さんはどうですか?
心) えっ?
三蔵山) 何のために仕事をしていますか?


**********

締め切りをきちんと守り、
それなりのクオリティーを保つ。
漫画家に望むことは、それだけだ。
漫画は商品であるのだから。


**********

五百旗頭) いまだに、分かりません。
      正しい編集者とは、何なのか。


**********

心) 安井さんって…安井さんって…
  何なんですか? 何なんでしょう。
五百旗頭) ツブシの安井。黒沢も、
      どっかでそれ聞いたんだろ?
心) はい。
五百旗頭) 前はああじゃなかったんだけどな。
心) えっ?
菊地) 昔は、作家さんに安ちゃんって
    呼ばれてたんだよ。
心) 安ちゃん?
五百旗頭) ホント熱心な編集者だった。
      今でいうと…。
菊地) 黒沢さん。
五百旗頭) 黒沢が一番近いか。
菊地) 「コミックFLOW」って知ってる?
    副編集長が和田さんで、僕と安井さんは、
    当時「FLOW」の編集者だった。安井さん
    は、加藤了先生の担当で、ガッツリ組ん
    で漫画をつくってた。
心) その雑誌、今ないってことは…。
菊地) 売り上げが伸びなくてね。廃刊になった。
五百旗頭) いい漫画たくさん
      載せてたんだけどな。

**********

漫画家が必死で描く。
編集者がそれに応える。
本気でぶつかり、高め合い、
生み出される作品の数々。

だが、どれだけ
素晴らしいものをつくっても、
会社が評価するのは数字。
数字だけなのだ。

**********

(回想)
あるはずだ。
廃刊を止める手立てが、何か。

編集部員を減らす。
発行ペースを週刊から月2回に変える。
その代わり主要連載のページは多めにとり、
単行本の刊行ペースは落とさず維持し、
売り上げ増を図る。
役員が納得するシミュレーションと出せば、
廃刊の決定を覆せる。
決定が覆るまで、
廃刊の話は外には漏らせない。
絶対に極秘だ。

安井) 申し訳ございませんでした!
加藤) もういい。分かった、廃刊は決定。俺の
    連載を「バイブス」で続ける件も了解した。
    ただしもう、君のことは信用できない。
    俺の担当を外れてもらう。
    廃刊のことをなぜ黙ってた。
    どうしてよそから聞かなきゃならない。
安井) 廃刊を阻止しようと動いてたんです。
    それで報告…。
加藤) それはあんた達の事情だろ!
    俺には責任があるんだよ。
    アシスタント養って、家族抱えて。
    仕事の采配を1つでも間違えば、
    全員を路頭に迷わすことになる。
    分かってんのか?
    会社に守られて給料もらって、
    何のリスクも取らずに仕事してる、
    サラリーマンのあんたとは違うんだよ。
安井) (泣)


**********

(回想)
まさみ) 話があるの。
安井) またにしてくれ。話す気分じゃない。
まさみ) 気分…ねえ、ちょっと待ってよ。
安井) 仕事で…。
まさみ) 別れましょう。
     土日も仕事、昼も夜も仕事。あなたが
     仕事好きなのは知ってる。お給料稼
     いでもらって感謝もしてる。でも家族
     って、それだけじゃないでしょう?
安井) 俺は、俺だって努力は…。
まさみ) 今日、何の日か分かる?
安井) 今日? 火曜だから、校了でさ…。
まさみ) じゅりあの誕生日。パパの事待って、
     泣き疲れて、寝ちゃったわ。あなたの
     人生には、仕事しかない。私たちが
     待つ家は、必要ない。そうでしょう?
安井) アハハハハハハハ…。会社に守られ、
    何のリスクも取らない…。ハハハハ…。 


**********

(回想)
菊地) 何で廃刊にするんだって、
    こっちが聞きたいよ。
安井) 菊地、異動だって?
菊地) 版権部へ行けって。雑誌取り上げられ
    て、編集の仕事も取り上げられて。八丹
    さんもようやくデビューが決まってこれか
    らだったのに。何でこんなことになっちゃ
    ったのかな。
濱田) よう。お疲れお疲れ。
編集部員) おい、役員のお出まし。
編集部員) あの人が決めたんだよな、廃刊。
濱田) 悪いな。お前らに敗戦処理させて。俺が
    現役時代に立ち上げた、最後の雑誌が、
    こんなことになるとはな。俺が作った雑誌
    は、必ず売れて、無敵の濱田なんて言わ
    れたもんだが、勘が鈍ったかな。引き際
    はさ、きれいに引くんだよ。男の花道とま
    ではいかないが、この「FLOW」を、俺の
    墓標と思って、胸に抱いて、死んでいくよ。
安井) 酔ってんじゃないよ。
濱田) あっ?
安井) 何が無敵だ。
    時代に恵まれてただけだろ。
濱田) 何だ? お前。
    誰に向かって言ってんだよ!
(浜田に殴りかかろうとする安井)
菊地) 安井さん!
和田) やめろって。
菊地) 安井さん! 安井さん!
安井) ふざけんな! ふざけんじゃねえ!
    雑誌はあんたのもんじゃない。
    あんたの墓標なんかじゃない。
    一からみんなで育ててきたんだ。
    みんなで育てた、家なんだ!
    漫画家と編集者。みんなの家なんだよ!
和田) 落ち着け。
    すいません。申し訳ないです。

**********

五百旗頭) 「バイブス」に移ってからの
      安井さんはもう、数字優先の
      スタイルになってた。
菊地) 僕は、そうなった安井さんを
    責められない。僕だって、二度
    とあんな思いはしたくない。
ミサト) ホントに、いろんな人の人生が
     変わってしまったわね。
心) 理想の編集者って何なんだろう。


**********

まさみ) 私が言うのも変だけど、仕事した
     かったら、もっとしてもいいのよ。
安井) (小声で) してるよ。
    やり方を変えただけだ。


「理想」だけで仕事ができる人は、
この世にどれだけいるのだろう。
いい作品をつくることだけに
向き合えるのなら、
どれだけ、幸せだろう。


**********

東江) そのお話、お断りします。すいません。
    安井さんと仕事をしている間、ずっと考
    えてました。自分は、何のために描い
    て、どうして漫画家になりたかったのか。
    私、漫画が好きなんです。
    嫌いになりたくないんです。
    大好きな漫画で、   
    道具にされたくないんです。
    今まで、ありがとうございました。
安井) じゃあ、失礼しま~す。

**********

心) 東江さん。
東江) お久しぶりです。
心) お久しぶりです。何か、明るいような。
東江) 黒沢さん。私、もう一度自分の漫画
    を描きます。ちゃんと大学卒業して、
    バイトしながらでも、時間はかかるか
    もしれないけど。そしたら…もう一度、
    見てもらえますか?
心) もちろんです。喜んで。
東江) 私、黒沢さんの手を離したことを、 
    ずっと後悔してました。黒沢さん、
    あんな一生懸命、私のこと考えて
    くれてたのにって。
心) 東江さん。離した手は、
  もう一度つなげばいいんですよ。


**********

和田) 安井。いつもありがとな。
    お前が確実に稼いでくれるおかげで、
    他の作品で冒険できる。
    勝負するところで勝負できてんだ。
安井) 給料分の仕事を、してるだけです。


**********

心) で、同業者みたいなんですよ。
壬生) 漫画の?
心) はい。「編集者残酷物語」って
  アカウントらしいんです。 河さん
  が、とにかく読んでみてくれって。
壬生) どんなやつよ。
心) 河さんいわく、殺伐としたつぶやき
  なんだけど、漫画への深~い愛情が
  にじみ出てるって。あっ、これかな?
  あれ? 今あったのに。
壬生) 見間違えじゃねえの?
心) おっかしいな~。
安井) お先で~す。
心) 安井さん。お疲れさまです。


**********

安井が嫌な奴のままで終わるわけがないと思
ってはいたけれど、こんなに泣かされるとは…。

「理想」だけで仕事ができる人は、
この世にどれだけいるのだろう。
いい作品をつくることだけに
向き合えるのなら、
どれだけ、幸せだろう。

本当に、そんなことができたら、どれだけ、幸せ
であり、奇跡であることか…。みんながみんな、
夢を追って、理想を追求していたら、会社は潰
れてしまう。確実な利益があってこそ、新しい
冒険ができる。開発も、できるというもの。誰か
がその役を引き受けなければいけない。その
ことに安井は気付き、その役割を担った。彼だ
って、作家と共に、熱く、いい作品を作っていき
たい人だったのに。うぅ~泣ける。こういうのに
弱い。「駕籠に乗る人、担ぐ人、そのまた草鞋
を作る人」。中学の部活の先生が、よく言って
いた言葉を思い出す。更には、「捨てた草鞋を
拾う人」とも続くらしく、世の中にはいろんな役
割りの人がいて、そうして成り立っているのだ
と、時々この言葉を思い出す。いろいろあって、
みんないい。和田のねぎらいにホロっときたよ。

安井の編集者残酷物語のTwitterが、オンエア
時には同時進行で見られたのが、ドラマで安井
がそのTwitterを消したと同時にアカウントが消
えるという、何とも粋な計らいに、やられた~と、
ニヤニヤしてしまった。画面を保存しておくんだ
ったと思いつつ、これがリアルだ!とも思ったり。

今回の一番のツボは、心に、「何がショックだっ
たんですか?と聞かれた中田画伯のこの一言。

僕の絵、下手だったんです。


えぇ~~!? そこ!? 中田画伯面白すぎ~。
絵は下手でも、面白い漫画確かに存在する。そ
の逆もまた。両方兼ね備えた漫画家は、神だ…。


「重版出来!」関連ブログ↓
第1話~夢を描いて感動を売れ!
第2話~これが僕の仕事だ!幽霊社員の本気の営業!
第3話~天才VSド新人編集!先生の信頼を守りたい
第4話~目指せ金の卵発掘!新人ツブシに宣戦布告
第5話~運を使いこなせ!なるかド下手新人デビュー
第6話~勝ち続ける仕事術…新人ツブシの秘密とは?
第7話~天才VS凡人・・・マンガの神様に愛されたい!
第8話~鬼編集長男泣き!14歳の笑顔を取り戻せ!
第9話~好きです突然、愛の告白…成るか!?初連載!
第10話~私は忘れない!心が震える瞬間を・・・

●「重版出来!」HP


ランキングに参加しています。
ポチっとしていただけると、嬉しいです♪


にほんブログ村


重版出来! 7 (ビッグコミックス)/小学館
¥596
Amazon.co.jp