「重版出来!」第3話~天才VSド新人編集!先生の信頼を守りたい | 日々のダダ漏れ

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「重版出来!」



第3話
天才VSド新人編集!
先生の信頼を守りたい



黒沢心。
「週刊バイブス」編集部のド新人で、柔道の
元日本代表候補という変わり種。つい最近、
「ツノひめさま」の担当編集者になったばか
りだ。「ツノひめさま」は、「週刊バイブス」で
一・二を争う超人気作品。アニメ化もされ、
海外にも多くのファンがいる。

ツノ国の姫、ツノひめさま。



百年に一度、強い人間の男を婿取り
しないと滅びる一族の姫君で、



最強の妖術使い。



下界で、女子高生として生活しながら、
伴侶となる強い男を探すツノひめの前に、





ツノ国滅亡をもくろむ勢力が現れる。





ラブコメと、バトルが融合した、
エンターテインメント漫画である。



**********





作者の高畑一寸は女好き。
そこで、「バイブス」の紅一点、
黒沢が担当を任されたという噂だ。



高畑) 女っつーか…小熊?


**********

壬生) 何だこれ?



心) 「ツノひめさま」のアオリです。
  うまくあおれなくて。気付いたら
  終電逃して泊まってしまいました。


アオリとは、作品の扉や最後の
ページに入れる、短い文章の事。





編集者が毎号、
内容に合わせて考える。
作品を盛り立てる装飾であり、
編集者の、腕の見せどころでもある。



ただし、アオリがうまいからといって、
特に出世はしない。

**********

五百旗頭) 黒沢、これ、全部ボツな。
      どれも、読者の興味を引かない。
      アオリはさ、俺たち編集者から、
      作家へのメッセージでもあるんだよ。
心) メッセージ…。
五百旗頭) 明日の入稿までに
      もう一回考え直せ。
心) はい…。


**********

壬生) 漫画ってのはな、柔道とは違うんだ。
    数こなせばいいってもんでも、
    スポ根が通用するもんでも…。
心) 教えてください。壬生さんの、編集道、
  聞きたいです! 是非に!

**********

壬生) アオリってのはな、むやみにあおれば
    いいってもんじゃねえ。次号への興味を
    持たせつつ、ネタバレしちゃいけねえし、
    悪目立ちしてもなんねえ。食いもんでい
    えば、マスタードだ。
心) マスタード?
壬生) ちょっとつけて食うと、
    肉の旨みが増す。
心) 旨み!
壬生) 旨みだ。
心・壬生) チャーシュー盛りください。
店員) は~い。
心) アオリを考えるのに、
  読者アンケートも読んだんです。
壬生) アンケート?
心) 私、担当なんで。でも、バイトさん達が
  集計してくれた結果を見るだけじゃつま
  らないし、参考になるかと思って、過去
  3ヵ月分を読んでみたんです。
壬生) 3ヵ月分? 週に、2,000通として…。
心) 約、24,000通です。
壬生) スポ根。
心) 「ツノひめさま」の今後の展開を
  考える上でも、参考になりました。

壬生) バカチン!
    読者の意見に左右されてどうすんだ!
心) えっ?
壬生) 俺達はな、読者に媚びを売ったりせず、
    漫画家と二人三脚で、
    ひたすらいいもんつくりゃあいいんだよ。
    さすれば、結果がついてくる。
心) はあ…。
壬生) それが、編集道だ。
心) 勉強になります。
壬生) 読者アンケートが何だってんだ。
    くだらねえ。


**********

心) まさか、初めての入稿作業が
  綱渡りになるとは…。
小泉) 間に合ったならよかったじゃん。
心) でも、ネーム指定も高畑先生の
  お宅でバッタバタでつくって。
小泉) ネーム指定?
心) 原稿と、セットで入稿する指示書です。
  文字の大きさや、フォントの指定を書き込む
  んです。自分で指定する漫画家さんもいる
  みたいですけど、基本的には編集者の裁量
  で。あっ、アオリも一緒に入稿します。
  明日にはもう校了紙が出来上がって、
  それをチェックして、OKだったら印刷所に
  まわして、印刷に入る。一方、原稿を完成
  させた漫画家さんは、すぐに次回のネー
  ムに取りかかって、ネームができたら、下
  描きして、ペン入れして、来週の今日には、
  また完成原稿の締め切りです。
小泉) 毎週繰り返すんだから
    相当な気力が必要だよね。
心) 体力もです。
小泉) うん。
ミサト) そういうの聞いちゃうと、気軽に
    読むのが申し訳なくなっちゃうわ。
心) 読者さんは、
  ただ楽しんで読んで下されば。
小泉) 売る側も考えないとダメだよね。
    漫画家さんが苦労して作った
    大切な作品を、どう売っていくか。

**********

自分で作りたいと言いだしたのは、
成田さんだった。

(回想) 
成田) 実は高校の時、ジオラマ部だった。
壬生) うまいっすね。
成田) 「ビロビロ☆マン」の小ヒットから、満を
    持しての自信作、「黄昏ボンベイ」
初単
    行本。
その表紙を、成田メロンヌ自らが
    手がけたジオラマが
飾る。
壬生) 成田さん。
    イケメン漫画家路線を捨てて、
    ジオラマ漫画家路線に、転身ですか?
成田) そ、それは…まさかのムンバイ!
壬生) 振り向けば
成田・壬生) ガンジス!
(笑い声)

あの頃、俺は成田さんに信頼されてた。
二人三脚ができてたはずだ。
どこだ。どこで間違った?

**********



切手代をケチって、送らないまま、
毎週書き続けてた。



ガキの頃から兄貴と比べられて、
何をやってもうまくいかなくて、
毎週水曜に発売される、
雑誌だけが、楽しみだった。






漫画だけが、
しょぼい現実から救ってくれた。


(回想)
壬生) 何だよ、この展開。分かってねえな。






**********

五百旗頭) お前さ…最初にこのネーム
      読んだ時、どう思った?
心) それは…。でも、先生は、
  先生のご意向を汲んであげたいと。
五百旗頭) 漫画家に自由に描かせるのはいい。
      でもな、楽はさせるな。描く側の苦しみ
      は、作品の出来に比例するんだよ。
      俺たち編集者は、 
      誰に給料もらってると思う?
心) …会社?
五百旗頭) 読者だよ。読者の喜びのために、
      作品を最も高いクオリティーにまで
      引き上げる。お前がそれしないんだ
      ったら何のためにここにいるんだよ。

**********

心) 甘えなんじゃないですか?
高畑) はあ!?
心) 先生のプライベートが大変なのは、
  読者には関係ありません。今のネーム
  じゃ、読者がワクワクできないんです。
高畑) 新人に何が分かんだよ!
心) 分かります! 私はこないだまで、一読者
  でした。だから分かるんです。今のネーム
  じゃダメなんです。嫌われても憎まれても、
  言うべきことは言わせてもらいます。
  作品を守ることは、先生を守ることです。
  このネームを通したら、読者がガッカリしま
  す。担当である以上私は、先生の信頼に、
  絶対に傷をつけさせません!
  今週号のカンプです。見てください。
  ネームの直し、
  明日のお昼までにお願いします。
高畑) 誰が直すか!
心) 待ってますから!
高畑) クソ女!
心) 待ってます!


**********







高畑) つまらん! バカか!



高畑) 何じゃ、こりゃあ~!


**********

高畑) うるせー小熊! てめえが考えたクソ
    アイデアの100倍面白いもん描いてん
    だから大人しく待ってろ、ドあほう!
梨音) ただいま。温泉行ってきちゃった。
    いっちゃん?



高畑) (泣)



**********

壬生) なぜ、「黄昏ボンベイ」が、ヒットしなか
    ったのか。読者アンケートと、ネットの
    声をまとめました。我々は、暴走逆と不
    条理ギャグを、突き詰めようとしました。
    8週目あたりまでは、好意的な意見も
    多く、この先への期待もかいま見えた。
    が、徐々に、人気は下落。次第に、「わ
    からない」、「置いてきぼり」、「何を楽し
    んでいいのか」、という声が増えました。
    中でも、我々の一押しのお約束ギャグ。




壬生) これは、タイトルのボンベイが古い地
    名で、現在は、ムンバイと改められてる
    ことを、逆手に取ったギャグ。もう、ボン
    ベイじゃないって分かっちゃいるが、そ
    れは言わない約束よ、の意味でした。
    追い打ちをかける、「振り向けばガンジ
    ス」は、ボンベイからガンジス川は、遠
    すぎて、振り向いても、見えるはずがな
    い。それも分かっている。ダブル分かっ
    ている。つまり、「アンタの言うことは正
    しいよ」、「正しいけど、そんな事言わず
    に楽しもうじゃないか」という、エンジョ
    イ精神が詰まった渾身のギャグ「まさか
    のムンバイ、振り向けばガンジス」、でし
    たが…。ほとんどの人に、理解されてま
    せんでした。
成田) だよな。
壬生) この、残念な結果は、担当編集者であ
    る、自分のせいです。ごめんなさい。俺、
    マジで、面白いって思ってて。分かるや
    つだけ分かればいいって。分かんねえ
    やつがバカなんだって。センスねえんだ
    って。読者のこと、バカにしてました。
    本当なら俺が、成田さんの面白さが、
    どうしたら、読者に伝わるのか、一番に
    考えなきゃいけなかった。せっかく、分
    かってくれてた人も、いたのに。



壬生) この、読者さんのためにも、俺が
    できること、もっと、あったはずなん
    です。だから、今回のことは…。
成田) もう、何が面白いのか、俺の感覚が合っ
    てるのか、分かんなくなって。壬生さんは、
    面白いって、そのままでいいって言ってく
    れるけど、アンケート落ちていく一方で。
    俺の漫画、誰にも必要とされてないって。
    世間が、読者、みんなが、敵みたいで。
壬生) 味方です。読者は、味方なんです。
    味方、増やしましょう。もっと増やして、
    今度こそ、当てましょう。
    この人の、ためにも。
成田) うん。うん…。


二人三脚してるつもりだった。
理解して、寄り添ってたつもりが、
一人で溺れさせてた。

俺にとって漫画が、
しょぼい現実から救ってくれる、
浮き輪だったように、漫画家には、
読者っていう浮き輪が必要なんだ。
その浮き輪をつなぐのが、俺の仕事。
二度と、溺れさせちゃいけない。
成田さんのためにも、
作品を待っている、読者のためにも。


壬生) 頑張りましょう。
成田) うん。頑張ろう。

**********





**********



高畑) 俺は弱くねえ。
    漫画だけはな。



**********

成田) 「下町の巨ムシ」はないわ。
壬生) それは、まさかのムンバイ。
成田) 振りむけばガンジス。



壬生) 振りむけばガンジス。
成田) 何回もぶっこんでくるね。



**********

心) 編集者って、幸せな仕事ですよね。
  大好きな作品の、
  一番最初の読者になれるんだから。
壬生) ちょっと待った!
    いいか、編集者ってのはな、
    読者第一号であると同時に…
心) 作家と読者の間をつなぐ、
  かけはし、ですよね。
壬生) あっさり言いやがって。
心) はい?
壬生) この、スポ根ガール。


**********





小泉) 柔道の神様に並んじゃいましたね。
    あっ、勝手に…。あ…。
心) 小泉さん、それ! あっ。
小泉) いや、違う違う。それ、
    五百旗頭さんが勝手にはがして。
五百旗頭) だってそれ、
      著作権は俺にあるからね。
心) 利用許諾申請出せばいいですか?
小泉) どこに出すの?


**********

心) コミックバザール?
壬生) 出張漫画編集部。
    新人の持ち込み受付けんの。
小泉) へえ~。
心) 行きたいです! 行ってもいいですか?
和田) イキのいい新人発掘してこい。
心) はい!
和田) ホームランを狙え!
心) 一本決めます!
和田) 「バイブス」売り上げ三割増し。
心) はい!
和田) 宿敵「エンペラー」を倒せ!
心) はい。そしていずれは…。
和田) いずれは…。
心) 「ジャンプ」をも、ぶっ倒す!
和田) それはない。
心) えっ?
菊地) 土俵が違うもん。
心) えっ?
壬生) デカすぎんだろ、「ジャンプ」は。
心) 目標は大きい方が…。
菊地) 部数考えなきゃ。
壬生) 怖いよ、ちょっと。
心) 新人発掘か…。
小泉) 新人発掘といえば
    安井さんが有名だよね。
心) そうなんですか?
小泉) うん。メガヒットした「ロッククラウン」も、
    風ハテル地」も、安井さんの企画だって。
心) えっ、「ロッククラウン」私持ってます!

**********

アオリ…気にしてなかったけれど…手元にある
雑誌を見てみると、意識はしていなかったけど、
何気に読んでいるというか…サブリミナル効果
的に、いつのまにか目の端に入っている感じ?
改めて読んでみると、確かに人によって違うし、
まさに、編集者から作家へのメッセージ、ラブレ
ターみたいなものなのかも…って、思えてきて。
これからはアオリも意識して見ようって、新たな
楽しみが増えたような。マジ、勉強になります!

そして、これまたよくある読者アンケート。雑誌
をずっと買い続けている割に、アンケート葉書
を出した覚えがない…。作家さんや漫画への、
熱い思いはあったものの、伝えようとは思わな
かったんだよね。何だろう? 勝手にもう、伝わ
っているような気になっていたというか…私が
こんなに好きなんだから、わざわざ言わなくて
も、この漫画の良さは、みんなに伝わっている
はずだと思っていたような。でも、ドラマを見て
いたら、昔の自分に言いたくなった。その気持
ちを漫画家さんに伝えてあげればよかったと。
読者が思いを伝えることが、作家さんの浮き輪
になるのなら…少しでも力になるんだったら…。

実は、私がブログを始めた理由の一つに、そう
いう昔から好きだった漫画のことを、書いてみ
たいという気持ちがあって。それがいまだに実
現していないのは、好きなものを語るのは、裸
になるような恥ずかしさがいまだにあるからな
のだけれど…。一読者として、一漫画ファンと
して、「好き」をちゃんと伝えたいかな~と、ドラ
マを見て、伝えたい想いが高まってきたという。
ドラマが終わる頃には、漫画愛がかなり高まっ
ていそうなので、私もそろそろ頑張ろうかな…。

今回、高畑一寸先生の中の人、絵を描いてい
たのは、「とめはねっ!」の河合克敏さん。そし
て、成田メロンヌ先生の中の人は、アフロ田中
シリーズの「のりつけ雅春」さん。Twitterは↓
のりつけ雅春Twitter

「とめはねっ!」は残念ながら読んだことはない
のだけれど、「アフロ田中」はかなり好きかも~。

とはいえ、ドラマの中の「ツノひめさま」はマジで
売れそう。黄昏ボンベイは…ギャグの説明を受
けても、やっぱりピンと来ない~w 来ないけど、
言ってるうちに、ジワジワ来そうな気がして怖い、
まさかのムンバイ!!振り向けばガンジス!!

給料は読者からもらってるんだ! by五百旗頭

意識してなかったけど、そう…買わないと、売れ
ない。作家さんが漫画を描けなくなるのよね…。
好きな作家、漫画は、新刊で買わなくちゃねっ。
漫画も絶版になると知らなくて、買いそびれて
手に入らない漫画がある。そう…本は、漫画は、
買える時に、買っておかないと~! by taa」。

ドラマはもちろん、ドラマを観てざわつく漫画家
さんたちのつぶやきを見るのも楽しい、一粒で
二度美味しいドラマ。元気が出るドラマです~。


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●「重版出来!」HP


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