「重版出来！」第４話～目指せ金の卵発掘!新人ツブシに宣戦布告

「重版出来！」

第４話
目指せ金の卵発掘！
新人ツブシに宣戦布告

五百旗頭）　本気でうまくなりたいと思ってるや
　　　　　　つは、こっちの反応をしっかり見てく
　　　　　　る。作品持って勝負しに来てんだ。
　　　　　　読んでる人間の反応を気にするのが
　　　　　　当たり前。マナーが悪くても、コミュニ
　　　　　　ケーション能力が低くても、作品さえ
　　　　　　面白ければかまわない。でも、最低
　　　　　　限学ぼうって姿勢がないとな。新人
　　　　　　なんだから。
心）　修練せずして勝てる柔道家なんて
　　　いませんもんね。
五百旗頭）　うん。うんっ？

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

壬生）　持ち込みの電話、
　　　　受けた人が面接担当。
心）　ああ。
（受話器を取る心）
壬生）　まだ鳴ってねえ。
心）　素振りです。
壬生）　何を言ってんだ。
菊地）　黒沢さんが羨ましいです。
　　　　僕らが逆立ちしても取り戻せない
　　　　感覚持ってるんだろうな。
五百旗頭）　時代をつかむ感性。
　　　　　　若い読者に最も近いセンサー。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

中田）　どうしたら絵がうまくなりますか？
　　　　今の絵じゃ、
　　　　デビューできないと言われました。
沼田）　ああ。丸描いてみ。フリーハンドで
　　　　きれいな丸が描けたら、絵がうまく
　　　　なるってよ。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

中田）　うまい絵が描きたいんじゃない、僕は。
　　　　面白い漫画が描きたいんです。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

和田）　黒沢。その新人真面目か？
心）　はい。すっごく熱心で真面目で、
　　一生懸命です。
和田）　そういうやつほど早く結果見せて
　　　　やらないと、萌え尽きるぞ。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

中田）　僕は漫画が描きたいんです。今、
　　　　新人賞の原稿描きながら、連載用
　　　　のネーム作ってるんですけど…。
東江）　連載？
中田）　デビューしたらするでしょう。
　　　　その、ネームで悩むって、
　　　　どういうことなんですか？
東江）　えっ？
中田）　頭の中に流れる映像を、そのまま、
　　　　ネームにすれば、いいんじゃないで
　　　　すか？どんどんどんどん流れてい
　　　　って、描くのが、追いつかなくっても
　　　　どかしいんです。漫画家って、みん
　　　　なそうじゃ…。そうなんじゃ、ないん
　　　　ですか？

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心）　夢って、かなえばいいけど、かなわない
　　夢を追い続けるのって、すごく、つらい。
　　すごく、つらいから…。でも、東江さん、才
　　能あると思うんです。誰にでも替えがきく
　　ようなことじゃなくて、あとちょっとで、東江
　　さんにしか描けない漫画、描けるって。
小泉）　それ、本人に言ってみたら？
　　　　人の人生に責任は獲れないけど、黒沢
　　　　さんはもう、関わってしまってるわけだし。
　　　　この数か月頑張ってきた東江さんの為
　　　　にも、今の気持ち、伝えた方がいいよ。
　　　　とにかくやってみるのが、黒沢さんでしょ。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

信じてもらえない事が悲しいんじゃない。
才能があると言えない自分が、
ふがいなくて、情けなくて。
ホントは私が一番信じたい。
自分の力を。
私に、夢へとのぼっていける
力があるって事を。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

心）　あの、東江さん。私ね、東江さんには、
　　とても才能があると思っていて。
東江）　ありがとうございます。
　　　　励ましてくれて。
心）　いや、あの、ホントに。
東江）　私、黒沢さんに会えてホントによかっ
　　　　たです。あのとき黒沢さんが私に声を
　　　　かけてくれてなかったら、あのまま逃
　　　　げて帰って。それで、普通に就職して、
　　　　結婚して、おばあちゃんになって思う
　　　　んです。あ～あ、漫画家になりたかっ
　　　　たなって。若い時、チャレンジしておけ
　　　　ばよかったなって。でも、その時には
　　　　もう遅いんです。安井さんの連載の話、
　　　　受けてもいいでしょうか？自分の力を、
　　　　試してみたいんです。
心）　きっと、いい連載になります。
　　頑張ってください。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

心）　私、今なら悪魔にだって魂を売れます。
五百旗頭）　売るな売るな。店壊すな。
ミサト）　魂と引き換えに何手に入れるの？
心）　五百旗頭さんです。
（お猪口を落とす五百旗頭）
ミサト）　あら、もう。
心）　何してんですか？
五百旗頭）　お前が何言ってんだよ。
心）　五百旗頭さんになりたいんです。
五百旗頭）　はあっ？
心）　私が、東江さんにもっと的確な助言が
　　できてたら。もし、担当が私じゃなくて五　
　　百旗頭さんだったら。もっと早く、大塚さ
　　んみたいにデビューして。
五百旗頭）　そんなもしもばっか考えても
　　　　　　仕方ないんだよ。相性もあるし、
　　　　　　タイミングだってあるんだから。
　　　　　　編集者と漫画家の出会いなんて、
　　　　　　それこそ、運命みたいなもんなん
　　　　　　だよ。星の数ほどいる中で、出会
　　　　　　った以上は、全力で、相手の事を
　　　　　　思って、その気持ちに応える。
　　　　　　その繰り返しだよ。
心）　五百旗頭さん…。
五百旗頭）　うん？
心）　恋バナですか？
五百旗頭）　仕事の話だよ。
心）　恋バナでしたよね？
ミサト）　五百旗頭さん、ロマンチストだから。
五百旗頭）　違いますよ。
心）　でも、今の恋バナのおかげで、
五百旗頭）　だから違うって！
心）　腑に落ちました。この、悔しくて、
　　せつなくて、やるせない気持ち…。
　　失恋だ。私、東江さんに、
　　失恋してしまいました～（泣）。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

五百旗頭）　雑誌にとって、
　　　　　　漫画家は貴重な財産です。
　　　　　　安井さんの異名、
　　　　　　発動しないで下さいね。
安井）　異名？
五百旗頭）　ツブシの安井。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

三蔵山）　　彼の原稿見たことありますか？
沼田）　ええ、最初に来た時にチラッと。
三蔵山）　誰に習ったわけでもないのに、
　　　　　彼は漫画の見せ方を知っていた。
　　　　　視点の誘導、フキダシのポジション、
　　　　　構図で表す心理描写、完璧です。
　　　　　ヘタなのは、絵だけ。彼を見つけた
　　　　　黒沢さんは、見る目がある。
　　　　　とはいえ、才能があっても埋もれて
　　　　　いく者は山ほどいます。
　　　　　全てはこれから、本人次第です。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

中田が、東江に悪気なく言ったあのセリフ…。

頭の中に流れる映像を、そのまま、

ネームにすれば、いいんじゃない
ですか？どんどんどんどん流れて
いって、描くのが、追いつかなくって
もどかしいんです。
漫画家って、みんなそうじゃ…。
そうなんじゃ、ないんですか？

そういう人もいれば…そうじゃない人もいる。
絵が上手な人みんなが、物語をつくるのが
上手い訳じゃない。物語を構成していく人と、
物語が勝手に浮かんでくる人と、いろんな形
があるんだと思う。絵が上手くて、ストーリー
も面白くて…なんて漫画家は、ホント化け物
だと思ってしまう。絵画やイラストなら画力で
勝負となるけれど…漫画は、それだけじゃな
いのが面白いところ。絵が下手でも面白い、
惹きつけられるって漫画は確かにあって…。
絵は嫌いでも、話が面白そうな漫画が困る。
（コミックスを買うかどうか悩むんだよね～ｗ）

心が、五百旗頭になりたいというところから、
五百旗頭のアドバイスを恋バナとして理解し、
自分が、東江に失恋したような気持ちになっ
ている事に気付く流れが楽しかった。心、か
わいいよ～。心が悪魔に魂を売るところ、ち
ょっと見てみたいかも～。な～んて、心には、
ずっとあのピュアで真っ直ぐなままでいてほ
しいけど。ツブシの安井の憎々しさ。中の人
が上手すぎる～。こんなに面白いのに、よく
できたドラマなのに、視聴率が低いってのが
信じられない。視聴率ってホント当てになら
ないと思うこの頃。見なきゃ損するよ、ホント。

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