「重版出来!」
●相関図
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第1話
夢を描いて感動を売れ!
涙と勇気がわきだす新人編集者奮闘記!
20社を超える企業の面接を受けた、
訳も分からず必死で、
まわりが見えないまま挑み、
全てに落ちた。
その中で、分かったことがある。
面接は、柔道と同じだ。
たった10人の採用。
私は、まわりを蹴落とすんじゃない。
10人に、選ばれる。
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面接は、柔道と同じだ。
慣れると見えてくる。
相手の心の動き、息づかい。
技は、
相手が息を吐くと同時に、
仕掛ける。
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ネームとは、コマ割りや人物の配置、構図、セ
リフなどを大まかに示した、漫画の設計図だ。
作家さんがネームを作り、担当編集者のチェッ
クをへて、実際の原稿作成に入る。作家さんに
よって、ネームのタイプは様々で、完成原稿に
近いものもあれば、セリフだけのもの、何だか
全く分からないものもある。「ネームを読む」、と
いうことを音楽にたとえるなら、楽譜。楽譜が読
めなければ、メロディーを想像できない。つまり
編集者にとって、ネームを読む力を身につける
ことは、基本中の基本であり、必須だ。
「週刊バイブス」は、毎週、月曜発売。発行部数
50万部の青年向け漫画雑誌。青年誌の中では、
「週刊エンペラー」に次ぐ、2位の座にある。ちな
みに、「バイブス」発刊から今まで、一度たりとも
「エンペラー」に勝てたことは…ない。
心) これが…。
心) こうなる! 車!?
心) すご~い!
編集者達の出勤時間はバラバラ。担当作家が
夜型か朝型かによって、働く時間帯も変わる。
各自2~3人の作家を受け持ち、表紙や特集ペ
ージといった、連載以外の担当ページも持って
いるが、私はまだ、何もない。
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菊地) 編集部、汚くて嫌でしょ?
心) いえ、落ち着きます。部室みたいで。
においも近いです。
和田) 男所帯でどうかと思ったが。
五百旗頭) 心配なさそうすね。
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三蔵山龍先生は、
「バイブス」の看板作家であり、漫画界の
最高峰の1人とまで言われる、重鎮だ。
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心) 三蔵山先生、どんな方なんですか?
五百旗頭) 言い方は悪いけど、
巨匠なのに手のかからない作家。
心) はあ…。
五百旗頭) ネームの完成度は高いし、締め
切りは決して破らず、何週間分も
前倒しで入稿。それでいて人格者。
「ドラゴン急流」。
三蔵山先生のライフワークともいえる、
ドラゴンシリーズの最新作。
ある王国を舞台に、
九龍家の末えい・九が、
戦乱の世に翻弄されながらも、
たくましく生きる姿を描く大河ロマン。
その重厚で骨太な物語は、
シリーズ開始から30年を迎える今も、
多くのファンから愛され続けている。
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三蔵山) 現役時代の会心の一本は、
どんな感じですか?
心) 「無」…ですね。何もない無。
相手の一瞬の隙に、考えるより先に、無意
識に体が動いて、相手の体重も感じません。
頭の中も…あたりもシンと静まって、永遠み
たいな一瞬のあとに、主審の、「一本!」っ
て声が響いて、仲間の歓声が、ウワッと耳
に入ってきて。そのとき初めて、決まった!
とった!って分かるんです。
この話、楽しいですか?
三蔵山) はい。気分いいでしょうね、その瞬間。
心) はい! と~っても!
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神原) 俺のネームが分かんねえのは、
アンタのセンスが古いからだろ。
ネットでもみんな言ってるよ。
三蔵山はもうダメだ。絵が伸びてる。
三蔵山) 伸びてる?
沼田) 神原!
神原) アンタみたいな老害がのさばってっから、
若いもんがデビューできねえんだよ!
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八反) 三蔵山先生から、電話があったんです。
「はっちゃん。オワコンって何?」って。
和田) オワコン?
心) 「終わったコンテンツ」の、略です。
和田) カーッ、ひでえ言葉だな。
八反) 僕、単に、若者のはやり言葉を聞か
れたと思って、言っちゃったんです。
(回想)
電・八反) 「オワコン」は、「終わったコンテンツ」
って意味です。要するに、「時代遅れ」
とか、「もう必要ない」っていうような。
電・三蔵山) 必要ない? そうか…。
八反) あとになって、ファックスのこと聞いて。
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三蔵山) 絵のバランスが崩れてることに気付
かないまま描いてたんだ。潮時だろう。
でも、それよりもショックだったのは、
私は漫画を通して
ずっと伝えてきたつもりだった。
人間は尊く、美しく。
やさしさこをが強さなんだと。
だがまったく、届いてなかった…。
彼らにも…
ずっと近くにいた、神原君にさえも。
情けない…ホントに自分が情けない。
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五百旗頭) 週刊連載っていうのはさ、ゴール
のない、マラソンみたいなもんなんだ
よ。駅伝みたいに、誰かにたすきを渡
せるわけじゃない。サッカーみたいに、
パスを出す相手もいない。たった一人
で、毎週の締め切りに向けて走って、
やっと着いたと思ったら、また次の週
の締め切り。毎週毎週ネームを描い
てペン入れしてを繰り返して、走り続
けなきゃならない。三蔵山先生は、週
刊誌で30年以上休みなく、第一線を
走り続けてきた。並大抵のことじゃな
い。そんな人が、走るべき道を見失っ
た時、どんな言葉をかければいいの
か…。編集者とは何か…それは自分
が見つけることだって、黒沢には偉そ
うに言ったけどさ。俺もまだまだ道半
ばだ。
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スポーツ選手は、
毎日のトレーニングを怠らない。
できるだけ長く、強い選手でいるために、
筋力を保つ努力を重ねる。
それでも、年齢に逆らうのは難しい。
老いとともに、どうしても筋力は落ちていく。
まして40年もの間、
ひたすら机に向かい続けた、
三蔵山先生は…。
心) あっ!
壬生) 何だ?
心) 三蔵山先生、復活できるかもしれません。
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心) 先生の絵、デッサン狂ってません!
五百旗頭) いやお前、話の順序ってもんが…。
心) 今が仕掛けるタイミングかと。
三蔵山) どういうことですか?
心) 失礼ながら先生は、猫背でいらっしゃい
ます。でも、昔はそうじゃなかった。
心) 先生は当時からずっと、同じ道具を、同じ
ように使い続けています。画版の角度も、
当時と今と、同じです。ところが、先生自身
もお年を召され、腹筋と背筋が衰え、姿勢
が前かがみになった。今の目の高さと、当
時の目の高さ、同じように描いているつもり
でも、見る角度が違えば、バランスのおかし
な絵になる。
心) デッサンが来るって見えた絵も、先生の
見ていた角度から見ると、昔と変わらない、
バランスの取れた絵でした。
心) 描けなくなったんじゃない。
見ている角度が、おかしかったんです。
五百旗頭) 描くときの姿勢が、どうしても下が
ってしまうようなら、画版の角度を調
整して、正対して描けるようにすれば。
三蔵山) 恥かしいものを世に出さなくてすむ?
五百旗頭) はい。
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五百旗頭) 黒沢、グッジョブ。会心の一本。
心) これは…皆さんの一本です。
いつか私も、あの一本を。
あのとき感じた、
心が震える瞬間を、
新しいこの場所で、
今度は…
誰かのために。
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五百旗頭) これはまた随分変わりましたね。
三蔵山) これからは、
デジタルにも挑戦しようと思ってね。
筆圧も弱くなってきてるし。いかに、
作品の熱量を保つか、勝負だよ。
私には、まだ伝えたいことがある。
年なんかに負けちゃいられないんだ。
これからは、色々と相談させてもらうよ。
五百旗頭) ありがとうございます。
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五百旗頭) これ、
柔道の創始者の言葉なんだな。
心) はい。嘉納治五郎先生のお言葉です。
精力善用、自他共栄。
自身の力を最大限に使って、
よい行いをし、他者を敬い感謝する。
互いに信頼を育めば、
助け合って生きていける。
五百旗頭) いい言葉だな。
心) はい!
壬生) いい言葉だな。
心) はい!
壬生) やっ!
心) はっ!
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心) あの…重版出来って?
五百旗頭) ああ、本を売り切ったあと、更に
増刷がかかることそういうんだよ。
重版かかれば、たくさんの読者の
手に届く。コミックを作るなら、重版
出来が目標だ。
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心) 私も早く言いたいです!
壬生) 10年早いわ。
心) よし…。
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面白~い! 期待通り、いや、期待以上に面白
かった。体育会系に見えない黒木華ちゃんが、
ちゃんと柔道女子に見えたし、真っ直ぐで一生
懸命なキャラが自然で嫌みなく、とても魅力的。
いや~ホント、何もかも素晴らしくちょうどいい。
過剰に出しゃばらずウザくならない感じの良さ。
華ちゃんの持つ雰囲気がうまくはまってる感じ。
出演者がこれまた芸達者ばかりで安定感抜群。
五百旗頭役のオダジョーキャラが超~好み。春
ドラマでようやく萌えを見つけたような…。吉田
君…じゃなくて壬生が着ているTシャツがいちい
ち面白いというか。あのチャーハン柄のTシャツ、
めっちゃ欲しい~。ブログ「編集者残酷物語」に、
書き込まれる小熊情報もかなりツボ。本物の漫
画家さんたちがガッツリ協力しているおかげで、
漫画原稿の迫力が半端ないのも魅力のひとつ。
ちなみに、今回の三蔵山先生の原稿を実際に
描いていた漫画家さんは、「ゆうきまさみ」先生。
ゆうきまさみ twitter
映画「バクマン。」や、漫画家さんたちが実際に
描いているところを見る事ができる「漫勉」やら、
今回の「重版出来!」と、漫画を取り巻く世界を
垣間見る機会が増えて、嬉しくてたまらない~。
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