家族ゲーム 第4話 「家庭教師強引にデートを仕込む!」 | 日々のダダ漏れ

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家族ゲーム
 
第4話
弟にラブレター??
家庭教師強引にデートを仕込む!


☆管理人「マキ」
貴方は私に二つの嘘をつきました。
一つは、貴方に信頼できる人間がいるということ。
もし貴方に頼れる人間がいるのなら、
私に相談などしないはずです。
貴方は誰も信じていないから、顔も見えない私に
助けを求めているのではありませんか。
二つ目の嘘は、貴方が弟の心配をしているという
こと。貴方の本心は別にあるように思えます。
貴方は、信頼できる相手を見つけた弟に
嫉妬しているんじゃないですか。
本当に孤独なのは、貴方なんじゃないですか。
貴方の回答からは人間性が伝わってこなかった
ので、メッセージはこれで終了いたします。

☆「慎一」
もう一度、自己紹介させてください。
沼田慎一、十六歳。
優等生を演じている高校二年生です。
親も友達も彼女も本当の僕を知りません。
僕は自分以外、誰も信じていません。
むしろ、みんなを見下しています。
吉本荒野のことを知りたいのは、
弱みを握られているからです。
あいつの存在が邪魔だからです。

**********
 
吉本) いいか?友達は共感。恋人は直感だ。友
    達に必要な共感は得るのに時間がかかる。
    しかし恋人に大事な直感は、運命を感じさ
    せれば一発だ。
それは演出できる。

**********

☆管理人「マキ」

本心を打ち明けてくれたので、
貴方を同志と認めます。
私の名前は、立花真希。
二十一歳。現在はフリーターです。

私の家族は、三年前に一家心中を図りました。
原因は吉本荒野です。

 
私が留学している間に、吉本は弟の家庭教師に
なりました。そして、あいつは弟だけじゃなく家族
までボロボロにして一家心中まで追い込んだん
です。
だから貴方の家族に吉本が介入してきた
ら気をつけて。
あの男を止めないと取り返しのつ
かないことになる。

**********



茂之) 真野さんって、手汗すごいですよね。あ、
    いや、その、いや、う~ん、あ~僕が、乾
    燥肌なんですよ。
あ~、だからその・・・。
    だから、2人合わせてちょうどいいってい
    うか? 
ん~だから、あ~その・・・
僕の手
    を、ずっと、握っていてくれませんか?
    僕も、その手を、絶対に離しませんから。
    僕と、つきあってください。
真野) いいよ。


**********




吉本) 言ったでしょう。お母さんがお父さんに対
    して冷めた気持ちのままだと困るって。お
    父さんに興味ないままあの画像見せても
    効果は期待できないからねえ。だから、お
    父さんへの情熱を再燃させてあげたんだ
    よ。
ほら、愛情は憎しみに変わりやすいっ
    ていうでしょ?
慎一) 茂之のデートを母さんに見させたのもこ
    のためか!
吉本) お母さん、本当に壊れちゃったかもねえ。
    次はお父さんかなあ。それとも君か?

**********

 
慎一) バラしたきゃバラせよ。
    親にでも学校にでも。
吉本) カッコイイねえ。だったらこれは? う~ん、
    それともこれかな? 君を陥れる材料なん
    ていくらでもあるんだよ。
これを切っ掛けに
    あることないことでっち上げれば、
君の人生
    は間違いなく終わる。
慎一) そうやって俺達家族を崩壊させるつもりか?
吉本) 学校の教師じゃできないからねえ。生徒の
    教育のために家庭環境変えるなんてさあ?
慎一) 正気の沙汰じゃない。
吉本) この国自体が歪んでるんだからしょうがな
    い。今の時代に、真っ当な教育なんか通じ
    るわけがないんだよ。
慎一) 勝手なこと言うなよ。俺たちは、この国も今
    の教育も間違ってるなんて
思っちゃいない!
吉本) はっはっは。ホントにそう思ってるのか?
    考えることを放棄して、まわりの意見に流さ
    れてるだけじゃないのか? 

    だったら歴史の授業を例に取ってみよう。    
    人類の誕生から始めて俺達に身近で重要
    な筈の近代史はなぜか3学期に駆け足で終
    わらせる。
100年もたっていない首相の暗殺
    事件でさえ、
教科書ではたった数行しか語
    られない。
どんな背景があってどんな思い
    があって殺されたのか。
本来はそういう事を
    学ぶべきなんじゃないのか? で
も誰もそれ
    をおかしいとは思わない。
なぜなら、そんな
    詰め込み式の教育でも社
会がそれなりに
    機能していたからだ。
だがその歪みはアイ
    デンティティーの喪失として
表れた。自分の
    ルーツを曖昧にしか理解できていな
俺達
    は、自分に自信が持てなくなり
戦う事を怖れ
    て他人と同調するようになった。
メディアに
    踊らされて一方的な意見で物事を
括りたが
    るのがその最たる例だ。
俺達はいつの間に
    か個性を奪われて、
誰かに依存しなければ
    生きていけない
骨抜きにされているんだよ。
慎一) 何言ってんだよ。
    いや、そんな話俺たちに関係ないから!
吉本) あるんだよ。関係あるんだよ!



吉本) そんな教育を受けて平和ぼけに漬かって
    いる人間が、無意識のうちに、悪意だと感じ
    ない悪意で! 

    汚れなき弱者を、追い詰めているんだ!

**********

吉本) 俺がお前たち家族を崩壊させるか、
    それともお前たちが持ちこたえるか。
    これはゲームだよ。か・ぞ・く・・・ゲーム。

**********
 
そう、ずっと思っていた。なぜ、いつも歴史はどう
でもいいような原始時代から、大昔のことばかり
に熱心で、肝心な今に近い歴史を教えないのだ
ろうと。中学も高校も、現代に行きつくことはなく、
学校で習う歴史ではなく、テレビで観た歴史だけ
が記憶に残った。最も身近な太平洋戦争ですら、
まともに習った記憶がない。それらを勉強する時
間はいつもなかった。あったとしても、ざっと目を
通す、そういえばそんな箇所があったという記憶。
近代史は、3学期に疾風のごとく走り抜けてゆく。
ゆえに、日本人は歴史認識どころか、その歴史
を知らないまま社会に出る人が多いのかもしれ
ないし、だからこそ無関心でいられるのかも・・・。

なんてマジなテーマも織り込みつつ、相変わらず
家庭教師の意図は見えず、何が起こるかわから
ない状態。家族を崩壊させられるのか、持ちこた
えられるのか、そんな家族ゲームだという吉本。
立ち向かえるのは慎一だけ・・・のような気がする
わけで、慎一もこれから変わりそうで、期待大♪


●「家族ゲーム」HP

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第1話 「君は成績を上げたいと思うかい?」
第2話 「弟が家庭教師の犬になる!」
第3話 「誕生日会に家庭教師がクラス全員招待!」
第4話 「家庭教師強引にデートを仕込む!」
第5話 「慎一は沼田家が生み出したモンスターだ」
第6話 「緊急家族会議!議題は家庭教師解雇の件」
第7話 「沼田家の崩壊は3年前から始まっていた! 母佳代子の絶望」
第8話 「家庭教師による家族ゲーム、結果発表!」
第9話 「吉本の衝撃の過去!崩壊の先に・・・」
第10話 「あの男が家庭教師になった理由~彼は誰を殺したのか?」


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