家族ゲーム
第８話
家庭教師による家族ゲーム、
結果発表！
沼田一茂。昭和40年9月10日生まれ、B型。順風満
帆の人生だった。東大に入れなくても、そこそこの
大学には受かったし、一流企業にも就職できた。見
合いだったが、美人の妻とも結婚して、２人の子供
にも恵まれた。妻の実家が経営している取引先と
のトラブルで、営業部から人事部へ異動はしたが、
課長にもなれた。そんなときだった。吉本先生に出
会ったのは。彼は、これまでにいないタイプの家庭
教師だった。先生が家に来た頃、一人の女性に出
会った。名前は、浅海舞香。彼女との浮気が原因
で、夫婦の仲に亀裂が入った。しかも彼女は、息子
の恋人だった。一体、彼女は何者なのか？ そんな
ことを考える暇もなく、今度は妻が株で、1000万円
もの大金を損失していたことが発覚した。来月中に
返済できないと、この家を抵当に入れることになる。
そうなったら、家族もバラバラになってしまう。
この状況を立て直せるのは・・・俺しかいない。
吉本） 茂之、お前が家族を救え。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
さあ皆さん。僕が仕掛けたトラップにどれだ
け引っ掛かったのでしょうか。
今から、その答え合わせをします！
まずは～～～浅海舞香！
を落とした彼女の代わりにランチをごちそう
してからのまさかの再会。
ん。芝居です。
一茂） なんだと？
した。
会話盗聴したり、キスの写真撮れるわけ
から～の～浮気発覚！ お父さんの浮気
は、何で気づきました？
・・・そう、ワイシャツの口紅。
佳代子） うっそ・・・
吉本） ウソじゃありません。あれも僕が用意しま
した。主婦仲間に浮気を匂わせるメールを
したのも僕です。
と思わなかった？ たまたまホームページ
で知り合った管理人が親父の浮気相手だ
ったなんて。
事を見つけて勝手に君が共感してくれそう
なお話を作っただけ。うすうす感づいていた
んだろう？ 立花真希が俺とつながっている
んじゃないかって。でも君は信じたかった。
裏切られたくなかった。胸がキューンとなっ
たり、締め付けられるように苦しかったり～。
切られた悲しみ。そして恋愛のときめきと失
恋の苦しみ。そういうものを教えてあげよう
と思ってねえ～。いい経験になったでしょ？
よ～。ギャンブル初心者が株に大金を注ぎ
込んで大損。あの95万までは俺の想定内
だった。でも何を血迷ったか1000万まで借
金しちゃうんだからびっくりしたよ～。しかも、
せっかく俺が実家に掛け合ってやったのに
かした揚げ句に会社を首になって。ホント、
どこまで崩壊させれば気が済むんだよっ！
吉本） この最悪の結末は、
沼田家は、壊れるべくして壊れたんだよ。
ちゃんと、契約書に書いてあるじゃない・・・
100万円は、後日、あらためて、という事で。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
茂之） 先生！ 先生！ 先生！
あとはお前が自分でやったことだ。
園田と仲なおりできたのも、三井、市原、
竹下が仲間に入れてくれって言ってきた
のも。いじめの主犯だった山尾を今度は
お前がいじめていることも！ はあ・・・
やっぱりお前はダメダメな生徒だったよ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
それが親のすること？
慎一） 何も言えなかった母さんも同罪だと思
うけどな。そんな２人に育てられた俺達
はもう、被害者だよ。
ゃないか。
万引なんかに走ったんだろ。
あのな、出来の悪い弟を持って、こっちは
がかかってたんだよ。わかんねえのかよ！
ゃない。兄ちゃんと比較なんかされなけれ
ば、もっと普通に生きられたんだよ。
一茂） 何でもかんでも人のせいにするな！
いか！ 母さんだって兄ちゃんだって！
こんな家族だったから・・・
吉本荒野に潰されたんだろう？！
この家は、壊れるべくして壊れたんだよ。
上辺だけの家族。
こんな家族崩れちまえばいいんだよ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
自分をいじめた相手に、自分がされたことを
やり返す痛み、自分がかつて傷ついたように、
今度は自分が、人を傷つけた拳の痛み。そ
の痛みにモヤモヤする茂之。う～ん・・・残念。
茂之が友情を取り戻すまでは、自分の力だっ
たのに、いじめの辛さを誰よりもわかっていた
はずだったのに、あと一つ変われなかった茂
之。それでも、家族の誰よりも、変わろうとし、
変わりつつあった茂之こそが、家族を救う鍵。
吉本が、「茂之、お前が家族を救え」と言った
言葉が、きっと、沼田家を救うのだろうと期待。
家族全員が本音を語り、不満を口にし、それ
ぞれが自分を反省することもなく、人のせい
にしあうその姿に、茂之は気づく。こんな家
族、だった事に。こんな家族だったから、潰
され、壊れるべくして壊れる運命だった事に。
次回は、早々に答え合わせをして家を出て
いった吉本の過去が明かされるようですが。
予告で言っていた「俺が守ってやるから」の
セリフが、幽かな彼女での神山先生の過去
のセリフとかぶって・・・。誰かを守ってやる
とか、救ってやるとか、そう思うことは、悪く
なくても、実際には、そんなことは不完全な
人間には不可能なことなのかもしれないと。
他人の力を借りている内は、救われないと
いうか、もし、なにか出来るとしたら、本人の
生きる力を、立ち向かう力を育てる手伝いぐ
らいなんじゃないかと。・・・そんなことを、２
つのドラマを通して、思ったりしたのでした。
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