「あまちゃん」第61回~ミズタク、恋と琥珀を置いて去りぬ | 日々のダダ漏れ

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あまちゃん 第61回(完全版)
第11週 「おら、アイドルになりてぇ!」
ミズタク、恋と琥珀を置いて去りぬ
 
 
ある夏の夜、ユイと水口は、
家出を企てました。しかし…
 
大吉) 封鎖だ。
 国道45号線封鎖だ!
菅原) よし! 組合長に、連絡!
(サイレン)
スピーカー・長内) 「国道45号線、
 封鎖しま~す!」。
 
**********
 
夏) 何だ? 何だ何だ?
スピーカー・長内) 「国道45号線、
 封鎖しま~す!」。
 
**********
 
水口) 何かやばい。一回戻ろう。
長内) 中さ誰かいる!
大吉) 誰だ?
長内) こら! こら~!
 
ユイの上京大作戦は、
失敗に終わりました。

**********
 
<海女カフェ>
大吉) 水口君、説明してもらおうか。
長内) その前に大吉、国道45号線の
 封鎖、解除していいか!?
大吉) うん?
吉田) 駅長も、
 言ってみたかっただけですもんね。
大吉) んだ。言ってみたかっただけだ。
長内) よ~し! 封鎖、解除だ!
(出て行く長内)
かつ枝) 北鉄のユイちゃん
 家出したって!?  おっ!
弥生) …いだ!
美寿々) 水口君!
大吉) 1人減って4人増えたぞ。
菅原) まだまだ増えるど! さっさと謝れ!
水口) だましてごめんなさい。
夏) それじゃあ、おめえさん本当に…。
水口) はい、大手芸能プロダクション
 ハートフルのスカウトマンです。
美寿々) じぇじぇ!
弥生) じゃあ、
 「考古学の研究してる」つったのも…。
水口) 嘘です。
 琥珀なんて興味ありませんし、何が
 面白いのかさっぱりわかりません。
勉) この野郎~!
一同) 勉さん、勉さん!
足立) 詳しく話、聞かせてもらおうか。
春子) 聞かなくていいよ先生!
 どうせあれでしょ? 例のさ、観光協会の
 ホームページ見てさ、アキとユイちゃん
 の事知って、まあ人気あるみたいだし、
 そこそこかわいいし…あっ違うか、普通
 にかわいいから、アイドルだのデビュー
 だのさ、そういう調子いい事言ってりゃあ、
 所詮、世間知らずの田舎もんだし、ホイ
 ホイ、乗っかってくるって、そんな感じで
 しょ!?
水口) そんな感じです。
足立) そんな感じなのか?
水口) はい。全くそんな感じで
 弁解の余地もありません。
花巻) 開き直ったぞ。
水口) ほんと、ごめんなさい!
美寿々) 謝って済むか、バカ!





春子) バカにすんなよ。
 要するに、うちら田舎もん事
 バカにしてんでしょ!?
水口) それはないです。
春子) 嘘だね。業界人なんてね、
 こんな奴ばっかなんだよ!
かつ枝) ミズタクが、
 水炊きみてえな名前のくせによ!
弥生) ポン酢とゆず胡椒で食っちまうぞ!
大吉) 春ちゃんはな、
 1年前まで東京で暮らしてたんだぞ!
水口) 知ってます。
春子) え?
水口) 歌手を目指してたんですよね。
春子) え?
水口) そういう親が1番厄介だっていうの
 もスカウトマンの常識です。反面、自分
 の叶えられなかった夢を娘に託そうと
 する母親も多いので、味方に付ければ
 心強いって…。
春子) 敵よ、あんたなんか! 敵! 天敵!
 何なの知ったような事言って!
 あの人何!?
アキ) 落ち着いてけろ、ママ!
水口) あ~いやでも、どっちみち、
 アキちゃんは本人が、乗り気じゃな
 いという事で、ユイちゃんだけでも
 オーディション受けてもらおうと…。
春子) えっ、何? オーディション!?
水口) はい。全国のご当地アイドルを
 一堂に会した新ユニット、GMT47の
 オーディションです。
夏) ああ駄目だ。ついてけねえ。
弥生) 夏ばっば、
 あきらめるのはまだ早いぞ!
水口) 「地方から日本を元気にしよう」という
 のがコンセプトで、47都道府県のご当地
 アイドルを集めた、まあ、いわばアイドル
 の甲子園ですね。
弥生) (あくび) 終わったら起こしてけろ。
かつ枝) おらも完全に迷子だ…。
夏) 大吉っつあん、おめえ、分かるか?
大吉) まあ、大体、アウトラインはつかめた。
全員) お~!
大吉) だが、いいかミズタクよ~く聞け!
 ユイちゃんはな、この北三陸の救世主な
 んだ。分かるか!? 産業も観光も、100円
 ショップもねえこの町の、廃線寸前のロー
 カル線を、普通の女子高生が復活させた
 んだ!



弥生) いいぞ、いいぞ大吉!
吉田) 何が「日本を元気に」だ。
 こちとら、25年間ず~っと元気ねえど!
菅原) 2人のおかげでやっと
 人並みだぞ! 病み上がりだ!
大吉) ユイちゃんの代りはいねえ。
 誰にもつとまんねえ! どうしても欲し
 かったら、刺し違える覚悟で来い!
かつ枝) お~よく言った!

(拍手)
ユイ) 私の気持ちは
 どうでもいいんですか!?



大吉) え?



ユイ) 私の東京に行きたいっていう
 気持ちとか、アイドルになりたいっ
 ていう子どもの頃からの夢とか
 聞いてもらえないんですか? そん
 なに町おこしが大事なんですか?





春子) ユイちゃん…。
ユイ) だから嫌だったんです、
 ミス北鉄なんて…。こういう事に
 なるのわかってたから。
 私、北鉄がどうなろうと、
 町がどうなろうとどうでもいい。
 関係ない!
ヒロシ) ユイ、そのぐらいにしておけ。
ユイ) だって本当の事だもん! 



ユイ) もちろん皆さんの事好きだし、
 田舎をバカにしてる訳じゃないけど…。
 でも、これ以上犠牲になるのは嫌。
 こんなところで一生を終えるなんて
 ありえない!
(出て行くユイ)



ヒロシ) ユイ!
アキ) ユイちゃん!?
よしえ) ほんとにもうお騒がせ
 してすいません! ユイ!
足立) 大吉君…すまん!
大吉) こっちこそ、いつまでも
 ユイちゃんに、頼ってしまって…。
足立) いやいや、それは違うよ大吉君!
 みんなの郷土愛が、北鉄愛が、その
 象徴として、ユイや、アキちゃんが
 いるんだから、誇りを持ってくれ! 
 なっ! みんな、すまん…。ありがとう!
(頭を下げ、立ち去る足立)
夏) さあ、そろそろ、
 海女クラブも退散すっか。
 美寿々、行くぞ。美寿々。

(腕につけたミサンガを、
 水口に投げつける美寿々)
夏) かっこよかったぞ。
春子) え?
夏) 「うちら田舎の人間をバカにすんな」。
 おめえが言うとは思わながった。



春子) やめてよ。違うから、えっと…。
夏) 帰るぞ。
春子) 違…あっ。
夏) おい、美寿々。はいはい。

 
この晩の出来事は、
人々の心に、深い爪跡を残しました。


**********



ユイは部屋にこもったきり、
へ出なくなってしまいました。



アキ) ユイちゃん、そろそろ帰るね。
水口) 僕も一旦東京戻るけど、ちゃんと
 営業するから。君も、ご両親とちゃんと
 話し合って、3月まで頑張りな。
アキ) 3月なんかすぐだべ、ユイちゃん。
水口) 待ってるから。
(ドア越しに話しかけるアキと水口)
(部屋でクッションを抱え、
 一点を見つめているユイ)
 
**********
 
<喫茶リアス>
菅原) 怪しい怪しい。
 聞いた事ねえべ、ハートフルなんて。
吉田) んだんだ! いかがわしい
 プロダクションだから、
 経歴偽ってたんだ!
ヒロシ) ちゃんと、
 実績のある事務所らしいですよ。
菅原) ん? んだの?
春子) 上野に自社ビルと専用
 の劇場持ってて、しょっちゅう
 イベントやってんだって。
吉田) へえ…。あっ、そうなんだ。
春子) 大吉さんどうしたの?
大吉) 昨日のユイちゃんの言葉、
 胸にささったじゃ…。

(回想)
ユイ) 私の東京に行きたいっていう
 気持ちとか、アイドルになりたいっ
 ていう子どもの頃からの夢とかは、
 聞いてもらえないんですか? そん
 なに町おこしが大事なんですか?

大吉) 25年前、春ちゃんが
 この町出てった時とダブ
ったべ。

(回想)
春子) もう、どいてよ!
大吉) すいません!
 申し訳ないです! すいません!
 すいません! すいません! 申し訳ない。


春子) 私も…。昔の自分を
 思い出して、息がつまった。
菅原) (ため息) 確かに、おらたちが
 町おこしに集中するあまり、17歳の
 少女の、夢ば食い潰そうとしてた
 のかしんねえな。
大吉) 1度しかねえ青春だもんな。
吉田) じゃあ、東京に行かせるんですか?
大吉・菅原) それはねえべ。
吉田) 何だよ…。
 
**********
 
<海女カフェ>
(アキが水口を連れてくる)
かつ枝) 何だおめえ、まだいたのか。
水口) 今日帰ります。
弥生) 美寿々なら浜だ。
かつ枝) 行ってみるか?
水口) いえ…。
 くれぐれも、よろしくお伝え下さい。

(頭を下げ、立ち去る水口)



アキ) 車ですか?
水口) 北鉄で。
 裏切っちゃったからね。
 最後ぐらい乗らないと。
アキ) ユイちゃんのごど、
 よろしく頼むぞ。
 本当に約束だぞ!
(小さく頷き、出て行く水口)

**********
 
<駅舎>
勉) 合わせる顔がねえだろうから、
 誰も呼ばなかった。
水口) はい。
 ご迷惑をおかけしてすいません。
(ポロシャツのポケットから、
 小さな琥珀を取り出す勉さん)
勉) これ、持ってけ。
水口) いや、これは受け取れませんよ。
勉) 持ってけ!
 こんなもの、元はただの樹液だべ。
 磨いて磨いてやっと価値がでる。
 お前の仕事も
そんだべ?
 どんないい原石もよ、磨かねがったら、

 宝石にはなんねえ。




水口) ああ…。
勉) 「ああ…」って、わがったのか?
アナウンス) 「間もなく宮古行きが
 発車します」。



水口) あっ、時間ないし。すいません。



美寿々) タクちゃん!



勉) た…たくちゃん?
(先の尖った道具を手に、
 水口に近づく美寿々)
美寿々) 行っちゃうの? 
 私のこと置いて行っちゃうの?
(道具を見つめ、後ずさりする水口)



美寿々) ごめん。ウニ獲ってたから…。
(道具を置く美寿々)
水口) あ…あの、美寿々さん、
 何て言ったらいいか。

(水口に抱きつく美寿々)







美寿々) よし! もう吹っ切れた。
 若え頃なら、この勢いで駆け落ちも
 したけど、もうそんな無駄な事はし
 ねえ。次だ次。ありがとう。
 楽しがった。じゃあな。


 
(笑顔で立ち去る美寿々)
(美寿々を目で追う水口)
水口) かっこいい…。



水口は、東京へ帰っていきました。
アキとの約束を、
彼は叶えてくれるのでしょうか。
 
(ベンチに置き去りの琥珀)
勉) あの野郎! 忘れていきやがった!



**********

あさイチ有働アナの美寿々への思い入れが半端
ない! 「40過ぎた女にあのイチャイチャはOKの
サインですよ」
って・・・。怖い怖い。それ言うと、も
っと怖がられるから!
さらに男が逃げるからっ!
 
美寿々さんは、さすが恋に生きる魔性の女、北の
海女。思い込みも激しい代わりに、去り際も潔い!
ギュっと抱きしめて、ぬくもりを感じつつ吹っ切る。
水口も見惚れるカッコよさ。美寿々さんカッケー!
惚れちゃいました。最後の最後に魅せられた~♪

勉さんもすっごくイイことを言ったのに・・・ホントに
興味がなかったらしい琥珀は置き去りに。まあね、
琥珀はその価値がわかる人が持っている方がい
いと思うし。勉さん、ファイト! 磨けば磨くほど、人
生は輝く・・・はず! 勉さんのハートは輝いてるよ。

今日はもう、美寿々さんの男前な別れにハートを
鷲掴まれ、全部持ってかれちゃいました。はふ♪


2015年の再放送時の感想はこちら↓
あまちゃん日記(61)~第11週「おら、アイドルになりてぇ!」

 

2023年の再放送時の感想はこちら↓
第61回~第11週「おら、アイドルになりてぇ!」


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