※宅建Tシリーズについては序章をご覧ください。24年/25年の使用テキストについてはこちら

A) 相続人が空き家を放置するとどうなるか?

P: 前回に引き続き、読売新聞の記事「不要土地相続」(上・中・下 24年12月18~20日。リンク先ページは読売新聞読者会員は閲覧可能)の(下)より、祖父Eから相続した故郷(S県)の空き家を20年放置していた父Fさん・子G(Eの孫)さんのケースですね。

ある日、Fさんに1通の手紙が…。

S: このケースでは、高齢のFさんに代わって、Gさんが固定資産税を支払っていたそうです。

S県の田舎なので、おそらく固定資産税の額は、負担にならない程度だったのでしょう。

問題は、祖父母が亡くなってから空き家になった家です。

たとえば、山梨県上野原市だと、空き家に関する苦情が寄せられた時に、市から所有者へ「適正管理のお願い」の通知を送っています。

 

 

上記の市HPに書いてあるように、「空き家」の所有者は、『家の倒壊や、屋根瓦やトタンが飛散することで、通行人や近隣の家屋に被害を及ぼした場合、その建物の所有者・管理人は、損害賠償などの管理責任をとわれることがある』と、上野原市では 『賃貸や売却、除却など早期の対応』を呼びかけています。

他の自治体も、同様だと思います。

A-1)数次相続で問題が複雑化

P: ここで、空き家の相続人が、F・Gさん親子だけなら問題なかったんですが…。

祖父Eには、Fさんの他に娘H(Gさんの伯母)、そしてHさんの子Iさん(Gさんのいとこ)がいて、空き家の取り壊しには、H・Iさんの同意が必要だったと。

S: この新聞記事のケースだと、空き家の取り壊しにはなんとかOKをもらえたものの、土地の相続=遺産分割協議は、難しい状況のようですね。

P: この記事のGさんも、前回のCさんと同様、固定資産税よりも、空地の草刈の心配をされていましたね。 

A-2)空き家と更地の固定資産税額

S: 実はGさん、取り壊しの翌年(たぶん今年? )の固定資産税の納付通知を見て、驚かれるかもしれません。

P:  というと?

S:  宅建試験のテキストが手元にある方は、「固定資産税」の項目で、「課税標準の特例」を確認してください(合格テキスト第4編:24年版だと126ページ)

P: テキストが手元にない方のために、生成AI(gemini)に、「課税標準の特例 わかりやすく」で聞いてみました。

「課税標準」については、前回記事で簡単にふれてますので、今回関係するのが、

『住宅用地の特例
    住宅が建っている土地は、その面積に応じて「小規模住宅用地」と「一般住宅用地」に区分され、それぞれ課税標準額が軽減されます。
*   **小規模住宅用地**:200平方メートル以下の部分。課税標準額は価格の6分の1になります。
*   **一般住宅用地**:小規模住宅用地以外の部分。課税標準額は価格の3分の1になります。
例えば、300平方メートルの住宅用地の場合、最初の200平方メートルは小規模住宅用地として価格の6分の1で計算され、残りの100平方メートルは一般住宅用地として価格の3分の1で計算されます。』 (2025年1月19日 部分)

S: E宅が60坪の住宅=小規模住宅だったなら、年α万円の固定資産税が、6倍になるわけです。

もっと詳しくは ↓

A-3)空き家法の改正

P:  だったら、取り壊し費用もかかるし、無事に相続した家だとしても、そのまま放置しておこうという人が多そうですね。

S: そこで、「「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空き家法)が改正されて、自治体が、「管理不全空き家」・「特定空き家」を認定したあと一定の手続きをへて、上の「住宅用地の特例」の適用の解除ができるようになりました(下図:縦の色枠)

24年12月の施行なので、25年度の宅建試験に出題される可能性もあります。

https://www.gov-online.go.jp/article/202403/entry-5949.html#secondSection より

P: 管理不全空家でも、上記の特例から除外できる=課税額6倍 になったわけですが、特定空家だと、行政が強制撤去もできるんですね。

S: 先日(24年12月)、山陽小野田市が、空き家を強制撤去したニュースがのってました↓

P: こちらは、相続人の「相続放棄」のため、市が税金1000万円以上を投入して撤去するしかなかったと…。

相続放棄は、宅建04で触れましたが、全員の相続放棄で、誰も相続人がいなくなったら、相続財産はどうなるか? 生成AI(geminiに)「相続放棄 相続人がいなくなる」できいたら、最終的には国庫=国の財産になるわけですね。

だとすれば、今後は不要土地問題がらみで「相続放棄」もふえそうな。

S: 「空き家」以外に、相続財産がなくて、「相続を知ってから3か月以内」なら、そういう選択肢もありですが、ほかにも相続財産があって、空き家/空地の処分費用を引いても、相続できる金額が上回るときは、同じく宅建04で紹介した「限定承認」も考えられます。

ただし、「相続放棄」は他の相続人がいても、単独でできますが、「限定承認」は共同相続人全員で、家庭裁判所に申し込む必要があります。

こちらも、「相続を知ってから3か月以内」のリミットがあり、ハードルがたかいので、あまり利用されていません。

B)続報・「相続土地国庫帰属制度」 長野県のケース

S: 「利用のハードルが高い」のは、実は「相続土地国庫帰属制度」も同じで、下の信濃毎日新聞の記事

 

によれば、司法書士に相談をたものの、説明を聞いて申請をあきらめる相談者が多いようですね。

それでも、長野法務局に、61件の申請(23年4月~24年11月)があったそうですが、国有化されたのは17件(約28%)。内訳は宅地4件、農用地2件、森林3件、その他(原野など)が8件。

P: 記事中にも書いていますが、「所有者がいらないという土地は、国にとっても利用価値が低い」ということで、条件を厳しくしているわけですよね。

S: 所有者や行政が「不要」と思っても、実は民間の知恵で、活用できるケースもあります ↓

 

 

そして、宅建業でも、下記のような宅建業法の改正がありました。24年7月施行なので、こちらも25年の宅建試験に出題される可能性があります。

 

 

P: 要するに、宅建業者の報酬を増やすから、地方にある低廉な空き家を、なんとか工夫して売ってほしいということですよね。

S: そうですね。

自治体によっては、空地の草刈を放置すると、過料(金銭罰)が課されるところもあります(下は、千葉県山武市)。

 

たぶん、こういう罰則をもうける自治体は増えると思いますので、空家所有者のみなさんは、空き家の取り壊しの前に、法改正でやる気がアップした、地元の不動産屋さんに相談してみてもよいでしょう。

なお、東京都の空き家については、下記の窓口にまず相談してみると良いでしょう。

 

 

 

P: 次回以降は、いったん「保証・連帯債務」の説明(たぶん数回)をしてから、根抵当権・根保証契約の順で、予定をしています。

【BGM】

S選曲:Number_i 「HIRAKEGOMA」

P選曲:VOWWOW 「GO INSANE」

【写真】

上・下 提供:Pixabay 中:筆者撮影(東京都多摩地区)

※宅建Tシリーズについては序章をご覧ください。2025年の使用テキストについてはこちら

A)不要土地相続と固定資産税
P: 前回予告したとおり、今回は、読売新聞の記事「不要土地相続」(上・中・下 24年12月18~20日。リンク先ページは読売新聞読者会員は閲覧可能)の話題だそうですね。

S;はい。

「相続土地国家帰属制度」は、昨年、宅建16で制度の概要を紹介しました。

今回紹介する新聞記事の(上)では、実際にこの制度を利用した方の体験談が載ってましたので、この制度の利用を検討する方の参考になるはずです。

なお、当ブログで昨年、

 相続登記義務化(宅建03)

 法定相続(宅建04)

 遺産分割(宅建05)

 不動産登記(宅建09)

などの関連知識を取り上げていますので、参考にしてください。

さらに、「不要土地相続」問題は、自治体に支払っている「固定資産税」ともかかわりがあるので、こちらは、「合格のトリセツ③」(24年版 124ページ~)の「税」ほか、宅建受験の参考書が手元にあれば、一読してください。

P: 固定資産税ですか?

S: 持ち家の方には、毎年、お住いの自治体から、納入通知が届くので、いきなり金額が跳ね上がった…などの問題がなければ、粛々と支払うことが多いと思います。

Pくんのように、自分でこの税金を支払ってない方のために、生成AI(Google gemini)に、「固定資産税とは わかりやすく」で質問しました。

『固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地や家屋(建物)、償却資産(事業用の機械など)を持っている人が、その資産の価値に応じて市町村(東京23区内は東京都)に納める税金です。
もう少し詳しく説明しますね。
◎固定資産税の対象となるもの
 土地: 田畑、宅地、山林など
 家屋: 一戸建て、マンション、店舗、工場など
 償却資産: 事業に使っている機械、備品など(自動車は自動車税の対象なので含まれません)
◎固定資産税の仕組み
 評価: 市町村がそれぞれの固定資産の価値を評価します。この評価は3年に一度見直されます。
 課税標準額: 評価額をもとに、税金を計算するための基準となる金額を算出します。
 税率: 市町村によって税率は異なりますが、標準税率は1.4%です。
 税額の計算: 課税標準額に税率をかけて税額が決定します。
例えば…
もしあなたが1月1日に土地と家を持っている場合、その土地と家の価値に応じて固定資産税を納めることになります。
◎固定資産税の納付
 納税通知書が送られてくるので、それに従って納付します。通常は年4回に分けて納めます。
◎簡単にまとめると
 固定資産税は、土地や家などを持っている人が納める税金で、その資産の価値によって税額が決まるということです。』(25年1月11日 Gemini1.5Flash ◎は筆者が付加)

P: おしまいに「まとめ」までつけてくれてますね~。

S: AIの説明に出てきましたが、土地や建物は、3年ごとに所在の自治体が「評価」をして、そこから一定の方式で税額が算出されます。この算出には、いろいろ特例などがあって、それが宅建試験でよく出題されるんですが、制度がしばしば変わるので、「宅建の参考書は毎年買え」と言われるわけです。

P: 「評価額」⇒課税額が上昇する可能性があるのは、首都圏など、まだ地価が値上がりしている場所ってことですよね? (補足1)

S: はい。たとえば、吉祥寺に観光客が目立つ、東京・武蔵野市のホームページは ↓

 

こういう場所にお住いのかたは、地価上昇はうれしい(資産価値がアップ)けれど、固定資産税は比例して、だんだん上昇するわけです。

P: こういう場所では、「不要土地」問題は起こりませんよね?

S: はい。ふつうに、不動産業者が買い取ってくれるような土地・建物だと、逆に「相続問題」が起きるわけです。

 

B)不要土地処分の実例

S: では、実際に、先にあげた読売新聞記事(上)に掲載された、愛知県T町のケースです。

祖父Aから、父Bが200㎡ほどの空地を相続しました。

P: 失礼ですが、上の写真みたいな場所ですと、固定資産税はあまり高くないのでは?

S: 上は、イメージ写真ですが、地域のきまりで、空地の管理(草刈り)をする手間が大変だったようで、父Bが月に2回くらい作業していたそうです。

そして、子どもCらに、この負担を残したくないということで、親子(BC)は、まず地元の不動産屋に相談したそうですが、買い手はないだろうという返事で、最終的に、宅建16で紹介した「相続土地国家帰属制度」を利用して、国に引き取ってもらったそうです。

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00454.html (法務省HP)

 

P: 手続きについて、Geminiがけっこう要領よく説明してくれてましたね。

『制度を利用するには、国庫への帰属申請を行い、法務局の審査を経て承認を受ける必要があります。申請には、土地1筆あたり14,000円の審査手数料と、承認を受けた場合の10年間の土地の管理費用相当額の負担金がかかります。また、引き渡せる土地の要件が細かく決まっており、満たさない場合は利用できません。』

S: 宅建16では、制度の概要を紹介したわけですが、実際に手続きをしてみると、まず、土地には農業用水の負担があったので、これを関係機関に解除してもらったり、申請に必要な図面(補足2)を作成する手間が大変だったようです。

BCさんは、書類準備に4か月かかり、23年9月に申請して、24年3月に申請が認められたそうです。

P: 国に10年分の管理費用(通常20万円)を支払い、さらに書類準備の手間暇がかかる VS 毎月の草刈…となると、筆者が相続人になったら、どちらを選ぶか悩みますね~。

S:BCさんのケースは、無事に国に引き取ってもらえましたが、

 ・建物が建っている

 ・土地の境界があいまい(BCさんはこの図面作製で苦労)

 ・抵当権がついている

などの土地は、引き取ってもらえません。24年11月現在で、申請数は3008件、うち94件が、申請却下や不承認になったそうです。

ちなみに、BC父子は自力で申請しましたが、行政書士や司法書士などの専門家をたのむと、数十万円かかるそうです。

P: 記事によれば「相続土地国家帰属制度」の利用の前に、無料であげる(とくに、隣地所有者)や、(中)では、自治体に寄付した事例が載っていますね。

S:(中):Dさんのケースは、北海道の原野・山林4か所で、所在自治体に相談したら、2か所は引き取り拒否で、最終的に「相続土地国家帰属制度」を利用したそうですが、2か所の山林は、自治体に引き取ってもらえたようです。

林業の盛んな土地だったり、防災の観点などから、引き取りしてもらえるケースもあり ↓ ということで、

 

不要土地を手放したい方は、まず地元の自治体のホームページを調べたり、自治体の担当部署に問い合わせ・相談してみてください。

 

P:次回は、読売新聞の記事「不要土地相続」の(下)を参考に、空き家問題と「空き家対策特別措置法」などについて予定しています。

 

※25年2月22日 追記

P: 読売新聞 2月19日号に、今回紹介した記事の「反響編」が掲載されました(本編と同様、読者会員は全文を読めます)

下記のタイトルにある、198人を相手に裁判…というのは、高祖父(祖父の祖父)から相続で順繰りに農地を受け継いだ男性が、自分に土地の名義変更をしようとしたら、相続人が198人いた…。名義書き換えの裁判を起こしたところ、裁判費用が250万円!  ちなみに、農地は他人に耕作を頼んでいて、資産価値は数万円くらいだそうです。

S: 「相続土地国家帰属制度」についても、1月末までに、4万件超の相談があったが、実際の申請は3300件にとどまるそうです。

記事にも書かれてましたが、今後、より利用しやすい制度への見直しがされるとは思いますが…。

 

 

 

 

補足1 北海道・北広島市(札幌市に隣接)は、プロ野球・日本ハムファイターズの本拠地移転で発展中で、地価も上昇。ちなみに、球場のネーミングライツ(ES CON FIELD HOKKAIDO)を取得した日本エスコンが中部電力傘下の不動産開発業者だというのは、筆者も、今回調べてはじめて知りました。

 

補足2  隣地境界確定は、土地家屋調査士の業務ですが、本文の父子BCさんのように、自力でやることも可能なんですね。

 

 

【BGM】

S選曲:Imagine Dragons 「Take Me To The Beach (feat. Ado)」 

P選曲:KINGSLAYER ft. BABYMETAL 「BRING ME THE HORIZON」

【写真】 提供:Pixabay

A) 宅建の25年・新基本テキスト選び

P: タイトルとは逆に、まず2025年からの新テキストについてですね。

S: はい。前回、予告したように、今年は、「出る順宅建士 合格テキスト 1 権利関係」

 

を使います。

P: 年末に、書店で見比べた結果、このテキストを選んだ理由は?

S: 24年は、「合格のトリセツ」(24年版)を、使いまして(下は25年版)

 

 

Pくんのように、まったくの法学の初心者がとっつきやすいという点では、選んで正解だったと思います。

ただ、実際の宅建試験の過去問とは落差があって、当ブログ記事でも、都度、民法の条文を紹介しました。

そこで、2年目の今年は、Pくんも「合格のトリセツ」(権利関係)の内容は頭に入っている前提で、より実戦的な、「合格テキスト」を使います。

P: 筆者は、テーマごとにまず、手元の「合格のトリセツ」(24年版)を読んでから、「合格テキスト」…という順になると思います。

あと、生成AI(Gemini)には、今年もお世話になります。

 

※下が、「合格のトリセツ(基本テキスト)」 3分野合本のうちの「1 権利関係」 226ページ。「合格テキスト1 権利関係」 438ページ

A-1)初学者用の「合格のトリセツ」と、「合格テキスト」の違い

S: ふたつのテキストの内容は、一部がPDFでWEB上から確認できます。

「合格のトリセツ」(25年版)

https://online.lec-jp.com/images/goods/pdf/TD09746_t.pdf

「合格テキスト 1 権利関係」

https://online.lec-jp.com/images/goods/pdf/TD04812_t.pdf

P:「合格のトリセツ」は、カラーイラストが多かったですが、「合格テキスト」は2色刷りで、文字(テキスト)中心。見た目もはっきり違いますね。

S:「合格テキスト」:PDF12~15ページに、「超合理的宅建試験合格法」が書いてありまして、民法については、

『内容的には非常に面白く,ついつい時間をかけて勉強したくなる科目ではありますが,かけた時間のわりに点数に結びつきにくいことが多いのです。そこで,権利関係については,試験でよく出題される分野で,かつ,点数の取りやすい項目を優先的に押さえ,あまり深入りしないほうが無難』 

とあります。

宅建試験の短期合格をめざすなら、そのとおりなんですが、当ブログではあくまで「住み替えに必要な知識を身につける」が第一目的で、宅建合格は「手段」なので、今後も関連情報は随時載せていきます。

ちょうど、24年12月の読売新聞に、「不要土地相続」のタイトルで、3回にわたって「相続土地国庫帰属制度」などの紹介記事が掲載されていましたので、次回は、そちらを紹介の予定です。

P: 宅建16で、いちど取り上げていますよね?

S: そうなんですが、R6年度の試験でも、下記のように所在不明者の共有持分について出題されています。

25年以降も、不要土地をはじめ相続=共有に関わるトラブルや、相続登記義務化(2年目)など、身近なところでの課題は増えるはずなので、当然、宅建試験(権利関係)にも関連事項の出題がされると思います。

B 法定地上権…「合格のトリセツ」と、「合格テキスト」の説明を比べてみると

P: では、前回(宅建30)予告した、「法定地上権・一括競売」について、せっかくなので、「合格のトリセツ」と、「合格テキスト」と、「合格テキスト」の説明を両方紹介します。

まず「合格のトリセツ」(24年版127・128ページの2ページ)は、筆者が。

 

「法定地上権」とは、aの土地と建物があり、そのうち土地にだけbが抵当権を設定。

その後、抵当権が実行されると、落札者cの土地の上に、aの建物がある状態になります。

この場合、aの建物を保護するために、aの土地が落札されると、自動的に「地上権」が設定される、これが「法定地上権」。

法定地上権の成立要件は、Geminiに、「法定地上権 成立要件」で聞いた4要件

『法定地上権が成立するには、次の4つの要件を満たす必要があります。
 ①抵当権設定時に土地に建物が建っていること
 ②抵当権設定時に土地と建物の所有者が同じであること
 ③土地と建物の片方または両方に抵当権が設定されること
 ④抵当権の実行により、土地と建物の所有者が別になっていること』(25年1月3日 丸数字は筆者が付加)

ですね。

また、「一括競売」は、aの土地にbが抵当権を設定後に、aが建物を建てたケースで、この場合、法定地上権は成立しません。ただ、ここでもaの建物を保護するために、土地と建物を一括して競売することも可能としたと。

S: 実際、「住み替え」で中古住宅を探すと、土地+古屋ありと(取り壊し前提)いう物件もけっこう見かけますが、土地と建物どちらの所有権も売主がもっていないなら、私は買いませんね。

P:「一括競売」の注意点は、抵当権者bが優先弁済を受けられるのは、あくまでも「土地」の売却代金の範囲ということですね。

S:一方、「合格テキスト」(25年版236~239ページ)では、いきなり「競売で建物だけ入手した場合、土地所有者に追い出されるのか?」という、ケーススタディから始まります。

上図の「合格のトリセツ」の場合は、土地だけが競売されてcの所有になったわけですが、このケースでは、逆に建物だけが競売されて、cが落札。

土地はまだaの所有という場合、法定地上権は成立していますか?

P: 上の成立4要件をみると

 ①抵当権設定時に土地に建物が建っている
 ②抵当権設定時に土地と建物の所有者が同じa
 ③土地と建物の片方または両方に抵当権が設定されること
 ④抵当権の実行により、土地と建物の所有者が別(土地a、建物c)

なので、成立します。

S: そうですね。「合格テキスト」では、「法定地上権・一括競売」の最終ページ(239ページ)のまとめで、この4要件がでてきます。

そして、説明文中で、重要条文として、民法388条

『土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。』

が紹介されています。

P: ①~④の要件を、まとめると、こういう条文になるんですね!

S:逆に、388条の記述をわかりやすくしたのが、4要件といえます。

ちなみに、この条文中の「みなす」と、「推定する」の違いは、法学入門などで、真っ先に習う基本事項なので、参考に、生成AIの回答を載せておきます。

『法律用語における「みなす」と「推定する」の違いは、反証が認められるかどうかです。
「みなす」は、事実がどうであってもその事実があったものとして取り扱うため、反証は認められません。一方、「推定する」は反証がない限りその事実があったものとして取り扱うため、反証する余地があります。
「みなす」の例としては、民法の失踪宣告の効力(民法31条)や履行遅滞中・受領遅滞中の履行不能に関する帰責事由(民法413条の2)などがあります。
「推定する」の例としては、商法205条2項の「株券の占有者は之を商法の所持人と推定する」などがあります。』(25年1月3日)

P: なるほど。反証の余地なく、地上権が設定されてしまうと。

b-1)過去問

S:前回(宅建30)で予告した、宅建試験の過去問では、22年の問4・肢3

ですね。

これはどうですか? Pくん。

P: 「一括競売できる」であって、しなければならないわけではないので、×ですね。

S:そうです。ちなみに、宅建試験に今後も出そうな過去問として

 「合格のトリセツ」 2002年問6 肢4、2009年問7 肢1

 「合格テキスト」 2002年問6 肢2

が紹介されていました。

参考に、2002年問6(肢1~4)の解説記事へのリンクを載せておきます。

 

 

P: 次回は、本文中でふれたとおり、「不要土地相続」について。

あわせて、これまで取り上げた「相続」「不動産登記」「共有」などで、「合格テキスト」に重要な関連事項がのっていたら、補足するそうです。

 

 

【BGM】

S選曲:B'z 「Ultra Soul」

P選曲:m.c.A・T 「ごきげんだぜっ!」 featuring ISSA & 屋良朝幸

 

【写真】 提供:Pixabay(トップ写真 撮影 ochii_kai)

最終写真のみ、筆者撮影(境内の錦鯉)。勝運のご利益のある、原宿・東郷神社に初詣に行き、Sさんはじめ、みなさまの宅建試験合格を祈願しました。

※宅建Tシリーズと「24年・基本テキスト」については「序章」をご覧ください。25年試験向けの基本テキストについては年末の記事を予定。

 

P:さて、今回は、抵当権者・設定者以外の第三者(複数の場合あり)がいた場合についてですね。

S:基本テキスト(24年版:124ページ~)では、

 ①抵当権のついた土地・建物の賃借人と、競売後の落札者との関係

 ②抵当権のついた土地・建物を抵当権設定者から買った人(第三取得者)と、抵当権者との関係

 ③土地のみに抵当権がついていた場合の、抵当権設定者(建物所有者)と土地競売後の落札者との関係

が紹介されています。今回は、①②の事例を確認してみましょう。

①抵当権のついた土地・建物の賃借人と、競売後の落札者との関係

P:アニメ・となりのトトロにでてくる「サツキとメイの家」みたいに、家をまるごとCが借りているケースで、家主のBの土地・建物が、競売にかけられてDが落札。

つまり家主がBからDへと変わったわけですが、もしDが賃借人Cに対して「立ち退いてくれ」と言った場合、Cは立ち退きを拒否できるか? ということですよね?

もし、筆者がCの立場だったら、あれ? Bとは3年間借りるの約束をしていて、まだ1年半だけど? と思うはずですが…。

S: そこが「競売」の特殊なところで、Dが新しい家主になった時点で、B・C間で結んだ賃貸借契約は終了します。

くわしくは、「賃借権」のところで触れますが、通常の賃貸借で、家主が賃借人に退去してもらうには、

 ・家賃滞納など、信頼関係がなくなった

 ・家主が自ら使うなどの「正当事由」

のどちらかが必要ですが、「競売」でDが新しい家主になったときは、「正当事由」がなくても、DはCへ立ち退いてくれと言えるんですよ。

ただし、A-B間で抵当権の設定登記をする前に、Cが不動産の引き渡しを受けている(占有している)か、賃借権の登記をしていれば、Dに対抗できます。

 

逆に、抵当権設定後に、賃貸契約を結んだのなら、「知ってて借りたんだよね?」ということで、保護されないというわけです。

ふつうは、入居前に、物件を管理する管理会社等が「抵当権付き~」と、説明してくれるはずですから ※補足1

P: 筆者も、もし新しい部屋へ引っ越しをするときは、要注意ですね!

 

S: ただし、実際には、賃貸マンション・アパートのオーナーが金融機関に借金して、マンション・アパートを建てることはよくあります。そして、金融機関が「競売」までするケースはあまり多くないので、心配しすぎない方がいいですよ!

 

 

そして、競売手続きの開始前から住んでいた賃借人は、万一、立ち退きを迫られても、6か月の猶予があります。

民法395条1項

『抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から6箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。
 ① 競売手続の開始前から使用又は収益をする者
 ② 強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者』

ただし、これは「明け渡し」を猶予されているだけで、6か月間、引き続き家賃を支払って、住み続けられるわけではないんですよ。

ちなみに、宅建試験の過去問では、22年の問4・肢2

で、「土地」での引っ掛け? 問題が出題されています。

他の肢についてものちほどふれますが、先に下記の解説記事で、チェックしておくとよいでしょう。

ちなみに、競売以外の手段(たとえば任意売却)でDが新オーナーになったときは、賃借人Cに395条の猶予はありません。

 

②抵当権のついた土地・建物を抵当権設定者から買った人(第三取得者)と、抵当権者との関係

P: この関係の方が、①よりシンプルですね。

要するに、Eは抵当権が付いた不動産を、Bから購入したと。

S: そうです。

宅建07(所有権移転登記)で、二重譲渡の対抗問題を取り上げましたが、今回のケースでも抵当権設定登記(AB間)と、所有権移転登記(BE間)の先後が重要です。

抵当権設定登記の方が先なら、Pくんの言ったとおり、Eは抵当権が設定されていることを承知のうえで、Bから不動産を買ったわけですからね。

P: 筆者だったら、抵当権のついた不動産を買う気にはなれませんが…。

S: 前回も話題にした、「住宅ローン」は抵当権といわばセットなので、なんらかの事情で「住宅ローン」が残った不動産が売りに出されることは珍しくありません。

が、その場合は、いったん売主が買主からの売却代金で「住宅ローン」を一括返済して抵当権を抹消してから、不動産を引き渡すことが多いようです。

https://o-uccino.com/front/articles/54545

Pくんは、将来の中古マンション(新築は高そうなので)購入も視野に入れ始めたみたいですが、Pくんが買うときに、あらためて住宅ローンをくんだときは、当然、抵当権が設定されます。

P: 中古マンションでも、たぶん全額キャッシュでの購入はきついでしょうね…。

S:基本テキスト(24年版)126ページに、抵当権付きの不動産を買ったE(第三取得者)のような立場の人を保護する手段として、次の3つが掲載されています。

 ① 第三者弁済

 ② 抵当権消滅請求

 ③ 自ら競落

P:①の第三者弁済は、宅建23で、民法474条
『①債務の弁済は、第三者もすることができる。
 ②弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、この限りでない。(後略)

を紹介してましたよね。

S:そうです。

今回のEは「正当な利益を有する者」なので、第三者弁済ができるわけです。

Eは、弁済したお金を債務者に、請求できます。

そして、②の抵当権消滅請求は、

民法第379条
『抵当不動産の第三取得者は、第383条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。』

民法383条

『抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求をするときは、登記をした各債権者に対し、次に掲げる書面を送付しなければならない。(後略)』

のような条文があります。

383条は、細かい手続きの規定なので、詳細は省きましたが、要するに「抵当不動産の第三取得者(今回はE)」は、書面で、抵当権者(登記した者。今回はAですが、後順位の者がいれば、全員)に、書面で「○○の代価を支払うから、抵当権を消滅させてくれ」と請求し、もし2か月以内にAが競売の申し立て(抵当権の実行)をしなければ、Eの提案をOKしたものとみなされます。

民法口語化(2004年)の前には「滌除(てきじょ)」と呼ばれた制度がありました。※補足2

 

P: 「滌除」って…漢文でも見覚えないし、このブログをやってなければ、おそらく縁のない言葉でしたね!

S: そして、③は、抵当権者Aが、Eが購入した抵当権付きの不動産の抵当権を実行した=競売にかけたときに、E自らが落札する方法で、

民法390条に
『抵当不動産の第三取得者は、その競売において買受人となることができる。』

とあります。

P: 購入した不動産を、わざわざまた落札するんですか?
S: 一般の住宅取引ではあまりないと思いますが、バブルの名残の「越後湯沢のリゾートマンション」などでは、「1万円落札」も珍しくないそうなので、わけあり物件購入代金+落札金額 < 相場 なら、買おうと思う人もいると。

 

 

ここまでの説明で、先にあげた宅建試験2022年問4の残り(肢1・4)も回答できると思います。

P: 肢1は、第三者弁済(○)。ただ、肢4は、土地を買い受けたBが、そもそも「債務者」なので、Bは「第三取得者」といえるのか? 迷いました。

S: Pくんが迷ったところが、ここも肢2と同様、「ひっかけ」(債務者や保証人は、「第三取得者」とはいえない)の部分で、試験会場だととっさに判断できない人が多かったと思います。

下記の記事が分かりやすかったので、参考にしてください。

 

 

P:上記・問4の肢3については、次回「法定地上権・一括競売」で触れる予定です。

次回からは、25年の新・基本テキストでリスタートなので、その新テキストの紹介もかねるそうで。

S:あっという間に12月下旬になり、書店で実際にいろいろな本を見比べた結果、

 

を購入しました。

くわしくは、次回。

 

【補足】

※1 基本テキスト(24年版) 宅建業法の81ページに、重要事項の説明項目・「登記された権利の種類・内容」で、抵当権については、たとえ「近々抹消される予定でも説明」と赤色文字で強調されています。

※2 「滌除」と「抵当権消滅請求」の違いは ↓ 

 

【BGM】

S選曲:EXILE Liveバージョン「WON'T BE LONG」
P選曲:-真天地開闢集団-ジグザグ ライブMV 「五月ノ雪」

【写真】先頭:提供Pixabay、中間・末尾(千代田区・行幸通り) 筆者

※宅建Tシリーズと「24年・基本テキスト」については「序章」をご覧ください。25年試験向けの基本テキストについては年末の記事を予定。

序:住宅ローンと抵当権

P: 前回は、将来、筆者もお世話になるかもしれない「住宅ローン」で、実は抵当権が設定されて、もしもローンが返せなければ、最悪マイホームが「競売」される…という、流れ? の紹介でした。

S:  Pくんも、今支払っている家賃と同じくらいの返済額なら…と、考え始めたようですね。

いざとなったら、住宅ローンについては、FP(ファイナンシャル・プランナー)に相談してもらうとして、今回は、もう少し細かく抵当権の中身について、みていきます。

 

まず、前回も紹介した、法務省の見本(PDF)の乙区と共同担保目録だけを、再掲載しました。

住宅ローンだと、通常は、上図(目録部分)と同じように、

  土地

  建物

セットで抵当権を設定します。

 

 

P:「親類の土地を借りるので建物だけ」とか「土地だけ」だと、いわゆる住宅ローンを借りるのは難しいようですね。

 

S: マイホームを建てるための「住宅ローン」ではなく、通常の借金の担保として「建物」だけに抵当権を設定する、などはできます。 ※補足1

が、まずはシンプルにマイホームの土地・建物に、住宅ローンの抵当権が設定されているとイメージしてください。

A) 抵当権の効力が及ぶ範囲

S:今、「土地・建物に抵当権を設定」といいましたが、そもそも土地や建物には、庭木や柵だったり、雨戸やベランダの受信アンテナなど、いろいろなものが付いています。

どの範囲まで、抵当権が及ぶか? は、

民法370条

『抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び債務者の行為について第424条第3項に規定する詐害行為取消請求をすることができる場合は、この限りでない。』

と決められています。

P:これだけだと「付加して一体となっている物」はどんなものか? は分かりませんね。

S:生成AI(Google gemini)に、「民法370条の付加して一体となっている物の具体例は」で聞いたら、

『土地の附合物:分離できない造作や、取外しの困難な庭石など

 土地の従物:宅地に対する石灯籠や、取外し可能な庭石など
 建物の附合物:建物の内部を構成する部材や設備、たとえば建具、畳、床、鴨居、水道設備、空調設備など 

 建物の従物:建物に対する畳や建具など』(2024年11月30日 ※並び順は比べやすいように変更)

P: こんどは、「附合物」と「従物」ですか…。

S: 附合物は民法242条に、

『不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。ただし、権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げない。』

一方、従物は、民法87条1項で

『物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。』

で、違いはあるんですが、宅建試験では、2007年の問7肢4で、

『借地人が所有するガソリンスタンド用店舗建物に抵当権を設定した場合、当該建物の従物である地下のタンクや洗車機が抵当権設定当時に存在していれば、抵当権の効力はこれらの従物に及ぶ。』

という、有名な判例をベースにした出題が目立つくらいなので両者の違いまで覚える必要はないと思います。

P:大学生は、民法のレポートのネタにできそうですね。

S: 実務では、「特約」(370条の「別段の定め」)で定めることが多いはずです。※補足1

B)優先弁済の範囲と抵当権の順位

S:A)では、土地・不動産を競売などにかけるとき、どの範囲までを対象に含めるか? でした。

続いて、「優先弁済の範囲」ですが、これは民法375条に、

『(1)抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。
(2) 前項の規定は、抵当権者が債務の不履行によって生じた損害の賠償を請求する権利を有する場合におけるその最後の2年分についても適用する。ただし、利息その他の定期金と通算して2年分を超えることができない。』

とあります。この条文だけだと、Pくんも?だと思いますので、生成AI(Google gemini)に、「抵当権 優先弁済 特別の登記」できいたら、

『①抵当権者は、債務が履行されない場合、抵当不動産を売却した代金から優先的に弁済を受けることができます。これを優先弁済的効力といいます。
②抵当権者は、被担保債権の利息や遅延損害金についても優先弁済を受けることができます。ただし、利息や遅延損害金は、満期後に特別の登記をしない限り、最後の2年分のみ配当を受けることになります。
満期後に特別の登記をすると、それ以前の定期金についても、その登記の時から抵当権を行使することができます(後略)(24年12月1日 ①②③は説明用に付加)

①は、抵当権設定登記(最初の図)に設定した内容で、不動産を売却した代金から優先弁済してもらえるということ。

さらに、②は、住宅ローンの支払いが、たとえば半年間遅れていたら、その分の利息や遅延損害金も、優先弁済の対象になるということです。

P: 満期後に「特別な登記」をしない限りは、「最後の2年分のみ」ということですね?

S:  この「特別な登記」は「貸す金融機関」が専門家(たぶん司法書士)と考える課題で、宅建の過去問では出題された形跡がなかったんですが、条文にはでてきますので、Pくんのように疑問をもつ人のために、あえて打消し線付きで載せました。

一方で、宅建試験で重要なのは、基本テキスト123ページでも紹介された、1995年・問6・肢2の

『抵当権の登記に債務の利息に関する定めがあり、他に後順位抵当権者その他の利害関係者がいない場合でも、Bは、Aに対し、満期のきた最後の2年分を超える利息については抵当権を行うことはできない。』(×)

 

後順位抵当権者」がいるかどうかは、押さえておく必要があります。

P:「後順位抵当権者」というのは、抵当権の登記欄の順位番号が2、3…の抵当権者ということですね? 

S: そうです。「抵当権」では、この登記欄の順位がとても大事で、たとえば、競売代金が1000万円で、第一順位者が総額(上記の利子などを含む)550万円、第二順位者が同330万円受け取る権利があるとしたら、もし第三順位者が250万円貸していたとしても、120万円しか弁済をうけられません。

逆に、上の問題(肢2)のように、後順位抵当権者などがいなければ、第一順位者は、満期のきた最後の2年分を超える利息についても弁済を受けられるわけです。

ちょうど、23年の問10で、「順位の放棄」も交じえていますが、第一~第三順位者がそれぞれいくらもらえるか? が出題され、下記のページの解説に、順位放棄のない場合についても記されています。 ※補足2

 

 

 

C)物上代位

P:「物上代位」については、基本テキストの123ページに、具体例として「抵当権を設定した住宅が火事になったときに、抵当権者は保険金を差し押さえができる」とあって、イメージしやすかったです。

S:生成AI(Google gemini)に、「物上代位 具体例」できいたら、

『物上代位とは、担保物権の目的物が売却や賃貸、滅失、損傷などによって金銭などの別の価値に変わった場合でも、その価値に対して担保物権の効力が及ぶ性質を指します。
物上代位が認められる担保物権には、抵当権、質権、根抵当権、先取特権などがあります。また、譲渡担保権者も物上代位が可能です。
物上代位の手続きは債権執行の方法に準じて行われ、目的物に代わる金銭等の「払渡し又は引渡し」前に差し押さえる必要があります。』(2024年11月30日)

とありまして、Pくんの挙げた例だと、火災保険金の支払い前に抵当権者が差し押さえの手続きをする必要があります。

宅建試験で、物上代位については、下記の2つの過去問をチェックするくらいで良いと思います。

 

 

 

P: 2007年、2012年の問題の肢3とも、火災保険の例ですね。あと、賃料への物上代位についても、どちらの年でも出題されていますね。

S: 過去問では、まだ、当ブログで説明していない権利についてもあわせて出題されていますが、予習のつもりでチェックしてみてください。

ちなみに、2012年問7肢1は、登記/差し押さえの先後についての説明もあるので、重要です。

 

P:次回は、抵当権者/設定者と第3者の関係についてです。

【補足】

①詐害行為取消請求権(民法424条3項)については、下記のサイトの記事が参考になります。

Sさんが、今後、別記事で触れるかは、未定だそうです。

 

 

② 「順位の譲渡」の過去問は、下記記事で触れましましたが、「順位の譲渡/放棄」は、根抵当権についても、過去に出題されたことがあるので、「根抵当権」の学習後にまとめて説明する予定とのことです。

 

 

【写真提供】Pixabay、最後の写真のみ筆者(撮影地:渋谷)。

【BGM】

S選曲:バブルガム・ブラザーズ「WON'T BE LONG.」

P選曲:Acid Black Cherry 「YES」