※宅建Tシリーズについては序章をご覧ください。24年/25年の使用テキストについてはこちら
A) 相続人が空き家を放置するとどうなるか?
P: 前回に引き続き、読売新聞の記事「不要土地相続」(上・中・下 24年12月18~20日。リンク先ページは読売新聞読者会員は閲覧可能)の(下)より、祖父Eから相続した故郷(S県)の空き家を20年放置していた父Fさん・子G(Eの孫)さんのケースですね。
ある日、Fさんに1通の手紙が…。
S: このケースでは、高齢のFさんに代わって、Gさんが固定資産税を支払っていたそうです。
S県の田舎なので、おそらく固定資産税の額は、負担にならない程度だったのでしょう。
問題は、祖父母が亡くなってから空き家になった家です。
たとえば、山梨県上野原市だと、空き家に関する苦情が寄せられた時に、市から所有者へ「適正管理のお願い」の通知を送っています。
上記の市HPに書いてあるように、「空き家」の所有者は、『家の倒壊や、屋根瓦やトタンが飛散することで、通行人や近隣の家屋に被害を及ぼした場合、その建物の所有者・管理人は、損害賠償などの管理責任をとわれることがある』と、上野原市では 『賃貸や売却、除却など早期の対応』を呼びかけています。
他の自治体も、同様だと思います。
A-1)数次相続で問題が複雑化
P: ここで、空き家の相続人が、F・Gさん親子だけなら問題なかったんですが…。
祖父Eには、Fさんの他に娘H(Gさんの伯母)、そしてHさんの子Iさん(Gさんのいとこ)がいて、空き家の取り壊しには、H・Iさんの同意が必要だったと。
S: この新聞記事のケースだと、空き家の取り壊しにはなんとかOKをもらえたものの、土地の相続=遺産分割協議は、難しい状況のようですね。
P: この記事のGさんも、前回のCさんと同様、固定資産税よりも、空地の草刈の心配をされていましたね。
A-2)空き家と更地の固定資産税額
S: 実はGさん、取り壊しの翌年(たぶん今年? )の固定資産税の納付通知を見て、驚かれるかもしれません。
P: というと?
S: 宅建試験のテキストが手元にある方は、「固定資産税」の項目で、「課税標準の特例」を確認してください(合格テキスト第4編:24年版だと126ページ)。
P: テキストが手元にない方のために、生成AI(gemini)に、「課税標準の特例 わかりやすく」で聞いてみました。
「課税標準」については、前回記事で簡単にふれてますので、今回関係するのが、
『住宅用地の特例
住宅が建っている土地は、その面積に応じて「小規模住宅用地」と「一般住宅用地」に区分され、それぞれ課税標準額が軽減されます。
* **小規模住宅用地**:200平方メートル以下の部分。課税標準額は価格の6分の1になります。
* **一般住宅用地**:小規模住宅用地以外の部分。課税標準額は価格の3分の1になります。
例えば、300平方メートルの住宅用地の場合、最初の200平方メートルは小規模住宅用地として価格の6分の1で計算され、残りの100平方メートルは一般住宅用地として価格の3分の1で計算されます。』 (2025年1月19日 部分)
S: E宅が60坪の住宅=小規模住宅だったなら、年α万円の固定資産税が、6倍になるわけです。
もっと詳しくは ↓
A-3)空き家法の改正
P: だったら、取り壊し費用もかかるし、無事に相続した家だとしても、そのまま放置しておこうという人が多そうですね。
S: そこで、「「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空き家法)が改正されて、自治体が、「管理不全空き家」・「特定空き家」を認定したあと一定の手続きをへて、上の「住宅用地の特例」の適用の解除ができるようになりました(下図:縦の色枠)
24年12月の施行なので、25年度の宅建試験に出題される可能性もあります。
https://www.gov-online.go.jp/article/202403/entry-5949.html#secondSection より
P: 管理不全空家でも、上記の特例から除外できる=課税額6倍 になったわけですが、特定空家だと、行政が強制撤去もできるんですね。
S: 先日(24年12月)、山陽小野田市が、空き家を強制撤去したニュースがのってました↓
P: こちらは、相続人の「相続放棄」のため、市が税金1000万円以上を投入して撤去するしかなかったと…。
相続放棄は、宅建04で触れましたが、全員の相続放棄で、誰も相続人がいなくなったら、相続財産はどうなるか? 生成AI(geminiに)「相続放棄 相続人がいなくなる」できいたら、最終的には国庫=国の財産になるわけですね。
だとすれば、今後は不要土地問題がらみで「相続放棄」もふえそうな。
S: 「空き家」以外に、相続財産がなくて、「相続を知ってから3か月以内」なら、そういう選択肢もありですが、ほかにも相続財産があって、空き家/空地の処分費用を引いても、相続できる金額が上回るときは、同じく宅建04で紹介した「限定承認」も考えられます。
ただし、「相続放棄」は他の相続人がいても、単独でできますが、「限定承認」は共同相続人全員で、家庭裁判所に申し込む必要があります。
こちらも、「相続を知ってから3か月以内」のリミットがあり、ハードルがたかいので、あまり利用されていません。
B)続報・「相続土地国庫帰属制度」 長野県のケース
S: 「利用のハードルが高い」のは、実は「相続土地国庫帰属制度」も同じで、下の信濃毎日新聞の記事
によれば、司法書士に相談をたものの、説明を聞いて申請をあきらめる相談者が多いようですね。
それでも、長野法務局に、61件の申請(23年4月~24年11月)があったそうですが、国有化されたのは17件(約28%)。内訳は宅地4件、農用地2件、森林3件、その他(原野など)が8件。
P: 記事中にも書いていますが、「所有者がいらないという土地は、国にとっても利用価値が低い」ということで、条件を厳しくしているわけですよね。
S: 所有者や行政が「不要」と思っても、実は民間の知恵で、活用できるケースもあります ↓
そして、宅建業でも、下記のような宅建業法の改正がありました。24年7月施行なので、こちらも25年の宅建試験に出題される可能性があります。
P: 要するに、宅建業者の報酬を増やすから、地方にある低廉な空き家を、なんとか工夫して売ってほしいということですよね。
S: そうですね。
自治体によっては、空地の草刈を放置すると、過料(金銭罰)が課されるところもあります(下は、千葉県山武市)。
たぶん、こういう罰則をもうける自治体は増えると思いますので、空家所有者のみなさんは、空き家の取り壊しの前に、法改正でやる気がアップした、地元の不動産屋さんに相談してみてもよいでしょう。
なお、東京都の空き家については、下記の窓口にまず相談してみると良いでしょう。
P: 次回以降は、いったん「保証・連帯債務」の説明(たぶん数回)をしてから、根抵当権・根保証契約の順で、予定をしています。
【BGM】
S選曲:Number_i 「HIRAKEGOMA」
P選曲:VOWWOW 「GO INSANE」
【写真】
上・下 提供:Pixabay 中:筆者撮影(東京都多摩地区)









































