「みのもんたの日本ミステリー」第4回目放送分の感想 その3
前回の続きです。
邪馬台国は四国にあった!?
番組ホームページから
『女王・卑弥呼が治めた邪馬台国。その所在地は九州とも畿内ともいわれ、未だ結論が出ない歴史上最大のミステリーの一つとなっている。しかし昨年、卑弥呼の即位と同じ頃に造られた古墳や神獣鏡が四国で発見された! 日本中の歴史学者や考古学者を震撼させた“邪馬台国は四国にあった”という新説を、「魏志倭人伝」の記述とあわせ検証していく。その過程で次々と明らかになる衝撃の事実とは!?』
では「邪馬台国は四国にあった説」ですが、番組では根拠は5つほど上げています。
①2007年3月、徳島県鳴門市に、日本最古の前方後円墳が発見された。「萩原2号墓」といい、石積式の前方後円墳。年代測定によると西暦200年前後となり、時代的には卑弥呼・邪馬台国の時代となる。当時、徳島に力のあった豪族がいた証拠となる。
解説は徳島文理大学教授 石野博信氏で、「卑弥呼が登場するのに大きな役割を果たした一族の墓である」と語り、邪馬台国四国説を推す。
また、国史研究家・高校教諭 林博章氏の解説によればこのあたり一帯は古墳だらけだということ、八人塚古墳は全長60mもあり、付近一帯には1000基の古墳がある。古墳密集地だということ。
②邪馬台国があったとされる場所については様々な説があるが、有力なのは「近畿説」と「九州説」の2つ。
だが、ともに矛盾点がある。「魏志倭人伝」によれば、近畿説(一般的には畿内説というが、番組では近畿説となっているので、近畿説で以下統一)は「方向が違う」、九州説は「距離が合わない」といわれる。
そこで、古代史研究家 大杉博氏の研究によれば、朝鮮から出発した使者は、上陸地が高知県宿毛町あたりではないかと推測(ここが投馬国)、そこから距離的に見て、徳島に至ったのではないかということだ。
③魏志倭人伝によると、邪馬台国について「その山には丹がある」と書いてある。
丹とは水銀のことで、邪馬台国に中には水銀丹(朱)の出る山があると、書き残している。邪馬台国時代の水銀鉱山跡というのは、徳島阿南市の若杉山遺跡でしか見つかっていない。水銀を生産している遺跡は、他の場所から発見されていないので、ここだけらしい。よって「丹がある」という一文からすれば、四国説はかなり有力となる。
④邪馬台国の時代から続く1800年続く一族「阿波忌部一族」がいる。
この一族は、古代から現在まで続く天皇家の宮廷の祭祀をしていたという。儀式の中で、(大嘗祭のことか)、麻で作る織物(アワタエ)を献上する役割である。現在の当主は三木信夫氏であり、番組内でインタビューに答えている。その中身は「阿波には大きな先進文化をもった部族がいたことは確かで、その後、この部族は阿波から近畿へ移動して日本の礎を築いた」と語っていた。
⑤近畿と四国の地名の一致。山城、伊賀、大阪、河内、勝浦など近畿にある地名は、徳島にもある。
徳島や香川で作くられた壺などが、同じようなものが近畿でも出土している。徳島と近畿に何らかの関係があるということか。
と以上が番組内容。
私的感想。
今放送の中では一番信憑性がある。(この説が正しいという意味ではなく、内容があるということ)
というのも、邪馬台国所在地としては、近畿説、九州説のほかに、吉備、出雲、四国、尾張、千葉県、甲信、岩手県などがある。どうやら、四国説はその中でも有名なものであるらしく、この説を唱える人の研究も充実しているようだ。だから「佐々木小次郎は暗殺された」とか「関が原の戦いはエリザベス女王が黒幕だった」などのトンでも説よりもネタ元が確りしている分、中身があるということだ。
私は、鯨統一郎「「邪馬台国はどこですか?」(創元推理文庫)の東北説が好きですね。

ほかに、地名でいえば、「阿波」の人が、関東に流れて「安房」という地名をつけたという話があって、文化が西から東に移動していったという話を思い出した。そう考えると徳島あたりに大きな勢力があったと考えてもいいかもしれない。(ただしそれが邪馬台国かどうかは分かりませんが)
日本のルーツは古代イスラム 天狗の正体は古代イスラム人だった!?
番組ホームページから
『第1回の放送から番組が追い続けている壮大なテーマ「日本のルーツは古代イスラエル!?」の調査過程で我々は奇妙な情報を得た。かつて牛若丸が天狗から兵法を学んだという鞍馬山。その中腹にある鞍馬寺には、なんと古代イスラエルのシンボル“ダビデの星”が存在していた…!更に日本各地の天狗の伝説・遺物を調べていくと、その高い鼻や頭につけている兜巾、ホラ貝、大きな葉の団扇と古代イスラエルの共通点が次々と明らかに!?果たして天狗の正体と、そのルーツとは…!?』
ということでこれは、日本人ユダヤ人同祖説。
学研「ムー」ブックスによくあるようなネタ。
番組全体として見ても「ムー」色が強いです。
さて、こういった歴史ものを扱うときは、番組最後とかに参考文献や参考資料といったものが、エンドロールで流れたりします。それを視聴者が見て参考にし、その説はどこが元になっているのかを知るわけですが、この番組にはそういったものが流れません。参考にした資料を全部流せとは言わないが、主なものを言わないとダメです。
多分、この番組はネット情報を主として番組を作っているようです。ネット検索で調査した場面が何度も放送されているので多分そうでしょう。つまり「ハローバイバイ関の都市伝説」くらいのレベルのものが多いということです。
ほかに「NASAが研究する不食現象 日本にも不食の超能力者がいた!?」がありましたが、これはどうでもいいです。
追記 前回の記事で公式番組ホームページからコピーしたものに「石田光成」という記述がありました。正しくは「石田三成」です。
「みのもんたの日本ミステリー」第4回目放送分の感想 その2
「みのもんたの日本ミステリー」第4回目放送分の感想 その2 前回の続き
関ヶ原の戦いの黒幕はエリザベス女王だった!?
番組ホームページから「1600年、徳川家康と石田光成が対決した「関ヶ原の戦い」は、当時世界最大規模の重火器戦で、武器量に勝る東軍が僅か7時間という短時間で勝利を治めたのである。家康がその際に着用した甲冑には、鉄砲の玉をはじき返す西洋式の構造が用いられていた。これら最新の西洋式兵器の入手先は、大分に漂着した1隻のオランダ商船リーフデ号。そしてその陰にはイギリス女王・エリザベスⅠ世の陰謀が隠されていた…!?」
いわゆる、トンでも説です。
その前に番組の内容を書き出します。
①日光東照宮にある家康の西洋風甲冑「南蛮胴具足」を紹介。これは西洋の甲冑と日本のものを折衷したもの。
②西洋のフランキ銃(大砲)を家康は関ヶ原の戦いで使った。大砲の数、西軍5に対して東軍30以上あった。ここは静岡大学教授 小和田哲男氏が解説。
では家康はこういった西洋のものをどこから入手したのか、という問題提起をします。
1600年当時、世界を支配していたスペインとポルトガルは、日本に宣教師が送りこみ、布教の名目で勢力を拡大し、貿易を独占していた。これに対抗するため、イギリスのエリザベス1世は、日本に目を付けたというのだ。当時の日本は銀の産出量が多く、貿易をイギリスが独占しようと考えた、というのだ。
(まあいいでしょう、しかしここからが酷い)
ここからは、歴史研究家 天堂晋助氏の解説。
そこでイギリスが送り込んだ人物が、ウィリアム・アダムスのちの三浦按針だという。アダムスの解説はここでは省きます。
経歴等は下記から。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%80%E3%83%A0%E3%82%B9
家康がアダムスを重く用いたのは、エリザベス女王の密命があったからだというのだ。
理由
①リーフデ号(オランダ船)には大量の武器が積まれていたが、これはアダムスが大量の武器を密輸し、家康に手渡そうとしたもの。これによって関ヶ原の戦いに勝利したからだという。
②ロンドン大英図書館には、アダムスがイギリスに送った11通の手紙が保管されている。その中にエリザベス女王と密接な関わりを持つ手紙があったという。それはイギリス東インド会社に送った手紙で「東インド会社がイギリスに残された妻に、多額のお金が渡っていた」「我々はもともと日本を目指していた」などと書いてあったという。
ここで、「日本には偶然漂着したのではなく、アダムスは女王の密命を帯びていた」と番組では強引に結び付けていた。(飛躍しすぎ)
③ ではなぜ、エリザベス女王は、家康に勝って欲しかったのかといえば、西軍にはキリスト教信者が多く、スペイン・ポルトガルとの関係が密接だった、これに対抗するために、関ヶ原の戦いでは家康側に勝って欲しくて、加担したというのです。
以上が番組内容。
私的感想。 一言でいえば「ちょっと……」です。どこから突っ込んでいいのか分らないほど、欠陥が多い説だ。
まず、リーフデ号はオランダの船です。英国女王の密命をなんで外国の船で行うのか分からない。それにアダムスはただの雇われ航海士の一人に過ぎない。そんな小人にこんな重要な任を任せるのか。それに、リーフデ号をはじめこれらの船団は航海中に何度も災難にあって、110人いた船員が24人までに減った。ほとんど死んだんですよ。しかも日本に辿り着いたときは、漂着という形だった。アダムスが密命を帯びていたとしても、途中で死ぬ可能性の方が高く、日本にたどり着いたのは偶然に近い。一国の重要な国策が成功するかしないかといったことを、「神頼み」みたいなことに任せていいのか。
それにリーフデ号の武器も家康に献上したような形で放送していたが、これらはただの没収であり、これが家康に渡ったとすれば、偶然の類です。
またここでは、同じく漂着したヤン・ヨーステンが全く扱われてませんけど、これはおかしい。ここでオランダ人を入れると、この説が成り立たないから省いたのかもしれません。大体、そんな重要な密命を帯びているのに、イギリスは一船員のアダムス1人しか送り込んでこないのが不思議。貿易をしたいのなら、イギリスの船で、もっと権限のある人を送るはずです。大英帝国がこそこそする必要などない。
それに、エリザベス女王が関ヶ原の戦いの黒幕みたいな放送だけど、英国にいた女王に、家康が石田三成と戦うなんて予想ができるはずがない。だって、リーフデ号が出航したのは、戦いの2年も前のこと。この時点で誰が誰と戦って、これから先日本がどうなるなんて、誰も予想が付くはずもない。秀吉死後から関ヶ原の戦いまでの激動の時代だ。当時の日本人だって分りゃしない。
それにたとえ情報の行き来があったとしても、通信がない時代のことだ、アダムスに指示を与える機会などない。(リーフデ号が漂着したのが1600年4月、関ヶ原の戦いが9月。つまり5ヵ月しかない。これ以前は海の上にいて情報なんてないわけだ。2年前の日本の状況しか分からないのに、どうやって日本の状況を知ることができたのか。だれが指示を出すのか、考えてみても不可能)
それに最大の欠陥は、もし家康がエリザベス女王の密命を受けて、女王のおかげで勝利したのなら、なぜ鎖国して、オランダとだけ貿易をしたのか、ということ。イギリスを省くようなことをしたら、それこそ誇り気高い英国が何も言わないのがおかしい。(ただしに鎖国が完成したのが、1639年。その間はイギリスと貿易をしていたのか、少し調べてみないと分からない)
この説はみんな後付けなんですよ。家康が関ヶ原で勝った→そのときアダムスが家康側にいた→アダムスはイギリス人→イギリスとスペイン・ポルトガルは対立している→西軍はキリスト教徒(カトリック)が多い→イギリスは対抗するために家康に味方した……。みたいな連想ゲームみたいな説なのだ。
この説を唱えている人は、きっと「映画007シリーズ」が好きで、女王に忠誠を尽すジームス・ボンドとウイリアム・アダムスを重ね合わせているのだろう。
次回に続く。「邪馬台国は四国にあった?」
「みのもんたの日本ミステリー」第4回目放送分の感想 その1
番組宣伝では
「日本の歴史や事件の裏に隠された様々なミステリーを解明する知的バラエティ第4弾。我々の住むに住む国、日本。この科学の発達した国にも、まだ解き明かされていないミステリーは数多く存在する。次々と解明されていく日本ミステリーという壮大なロマンに隠された謎!みのもんたを司会に、知的好奇心を満たしてくれる衝撃の事実盛り沢山でお届けする。」とある。
いわゆる「歴史ミステリー」ということで、番組を見てみた。過去に「家康、信玄親子説」というトンでも説を出した番組。
まあ真偽はともかく番組内容と解説を書き出してみます。
『佐々木小次郎はキリシタンだった。巌流島の決闘は暗殺だった!?』
巌流島では、小次郎の霊が祟るという、その理由はなぜか、という問題提起から始まります。(すでに怪しい)
1612年、宮本武蔵と佐々木小次郎が対決したとされる「巌流島の決闘」。決闘の立会人は細川藩の家臣だった。
だがここで大きな疑問があるという。①細川藩剣術指南役の小次郎の記述が、細川藩の公式記録に残っていないということ。②武蔵の著書「五輪書」の中に巌流島の決闘の記述はないこと。③武蔵は決闘後、細川藩に匿われていた。鉄砲隊までつけて領地の外に出されていたこと。(沼田家記)
ここで小次郎キリシタン説が出てくる。
長州藩の記録「防長風土注進案」には、小次郎の妻の墓があるという。場所は山口県阿武町の太用寺。この近くの山麓にあるというのだ。
記録では、妻の墓と書かれているが、実際は「小次郎の墓」だった。
言い伝えによれば、小次郎の妻が、遺髪をこの地まで運び、墓にしたということだ。この周辺には隠れキリシタンの墓が多くあり、小次郎の墓とされる横には、6角形の墓がある。これは神父の墓を意味するというのだ。また墓に刻まれた文字は「佐々木古志らう」とある。「古」を分解すると「十」「口」となり、「十」は十字架を意味する。こういったことは、隠れキリシタンが密かに行ったことである。(これは確かにあったことだ)
よって、小次郎=キリシタンとなる。(?)
ここでキリシタンである小次郎を殺すために、細川藩が決闘という名目で「暗殺」を行ったという説を出す。
小次郎は豊前佐々木一族、福岡県の添田の豪族の子孫であったという。
1587年に佐々木一族が中心となったキリシタンらが起こした豊前一揆があった。
このことから、佐々木一族の一員である小次郎を密かに抹殺すことが目的であったというのだ。
キリシタンらを押さえ込み、一揆の誘発を恐れた細川藩が武蔵を使って小次郎を殺した、という結論だ。
巌流島はもともとは船島という名前だったが、決闘後、小次郎の剣の流派の名前「巌流」から取っているという。祟りを鎮めるため、恨みを残して死んだ者の名前を付けたという。(これは正しいと思う)
武蔵のこの後の行動も不自然であり、多くを語らなくなった。これは真相を語りたくなかったのではないのか、ともいっている。
解説は、歴史家・杉山光男氏が行った。
個人的意見
たとえ、佐々木小次郎がキリシタンだとしても、細川藩が小次郎を殺す意味が結局分からない。小次郎がキリシタンを扇動して一揆をおこすような力があったとも思えない。小次郎が殺されたからといって、一揆が起こるほどの人物であったとも思えない。また豊前佐々木一族の一揆にしても、時代は秀吉であり、実際にキリシタンの一揆だったのか。たとえ、そうだとしても、のちの江戸時代である、ここで小次郎、キリシタン一揆、細川藩などがどうも結びつかない。つまり肝心な点が曖昧なのだ。この説を考えた人は、1612年家康のキリスト教廃止の命令、1637年の島原の乱など、一連のキリシタンの事件があって、それを小次郎=キリシタン一揆の首謀者であるというのを念頭に置いてして論を進めたような感じがする。
この杉山光男氏は「家康、信玄親子説」を唱えている人で、ほかに「本能寺の変の首謀者は秀吉だった」といった奇説、珍説を唱えている方。
まあ、これもちょっと怪しい説ですね。(お前が言うなって言われそうですが……)
『聖徳太子は大予言者だった。』
これは、聖徳太子が未来のことを予言して書いたといわれる「未来記」のことを指している。
番組では、
①日本書紀には、聖徳太子を「兼ねて未然に知るろしめす」と書いている。聖徳太子は未来のことを知ることができたと記している。
②楠木正成は、四天王寺にあった「未来記」を見たという。(ただし今は現存しない。)
③京都・大谷大学に写本として「未然本紀」が残っている。これをもとに話を進めていた。
(立教大学教授 小峰和明氏が紹介していた。)
ここで、秋山眞人の解説が入る。(怪しい) 本能寺の変や秀吉の天下統一などが的中していたことを解説。そして、第二次世界大戦やアメリカの9.11テロ事件まで予言していた、語っている。こうなるとかなり怪しくなる。
ここから将来の予言を紹介。
2020年ころ 埋蔵金発見
同じころ 首都移転。北東の方角に移転するという、番組では「那須阿武隈あたり」としている。
2030年地球崩壊。地球に小惑星「アポフィス」が激突か、NASAの観測を紹介。
とここまでが番組内容。
私的感想。
「ムー」か!それだけです。
まあ面白いんですが、あまり「恐怖心」を煽らない方がいいと思います。ノストラダムスの予言が外れたので、次は「これか」って感じ。
さて、楠木正成が「未来記」を見たというのは、「太平記」巻六 正成天王寺未来記披見事 に出てくる。
元弘2年(1332年)9月 楠木正成は天王寺を参詣、そこで長老の僧に「聖徳太子がその昔、百代の帝の治世の安危を慮られて、日本国の未来記を書き置かれたといいますが、それは本当でしょうか。もし差し支えなければ、当代に相当する巻だけなりとも、ひとめ拝見させてください」と頼んだ。僧は「聖徳太子が逆臣物部守屋を討たれ、はじめてこの寺を建立されてから、仏法を日本国中にひろめられたのちに、神代から持統天皇の御代までのことを記した書三十巻は、先代旧事本紀といって、卜部家が代々伝承して有職の家となっております。しかし、それ以外にも一巻の秘書を残されました。これは持統天皇以後末世にいたる代々の帝の御治世および天下の治乱のことを記しております。この書を安易にひもといて見ることはできないのですが、特別のお計らいでひそかにお目にかけましょう」といって正成に見せた。そこに皇朝九十五代目のときに天下が乱れるが、動乱が治まると国は本来の治世に戻る……。などと書かれていた。九十五代目は後醍醐天皇のことであったので、これは天下の動乱も長くはあるまいと正成は確信したという。
ここにもあるように、「未来記」は天皇の治世について書かれたものである。よって、外国のテロ事件なんて全く関係のないことが分かる。「未来記」を使って「ノストラダムスの予言」的にいろいろとこじつけていくのは、どうも無意味である。
だが、「未然本紀」「未来記」を全く否定することもよくない。これらは歴史的な史書としてみるべきであって、そこに書かれている内容や、成立背景を調べたり、なぜ書かれたのか、本当に聖徳太子が書いたものなのか、といった学術的研究がされるべきなのです。
次回に続く。「関ヶ原の戦いの黒幕はエリザベス女王だった」「邪馬台国は四国にあった」など。
週刊「歴史のミステリー」第9号
目次
歴史検証ファイル 日露戦争で日本は本当に勝利したのか?
キング牧師暗殺事件の首謀者は誰だったのか?
遺跡に眠る謎 ボロブドゥール寺院
疑惑の真相 ヒンデンブルグ号爆破はテロだった!?
芸術の裏側 「裸のマハ」フランシス・デ・ゴヤ
語り継がれる伝説 浦島太郎伝説
人物再発見 二宮忠八
「日露戦争で日本は本当に勝利したのか?」
日露戦争…1904年(明治37年)、日本とロシアが朝鮮・満州支配をめぐる対立から起こした戦争(~05年)
三国干渉後、ロシアは中国から満州における権益を得、北清事変後は、日本の満州撤兵要求を実行せず、満州の支配のみならず韓国進出の野心を示したので、日本と激しく対立した。日本は日英同盟(02年)によるイギリスの支持を背景に、04年2月仁川沖の奇襲で戦争開始。日本軍は有利に戦いをすすめ、05年3月奉天会戦で大勝、海軍も日本海海戦でバルチック艦隊を撃破した。しかし、日本軍は軍事・財政的に戦争遂行能力が限界に達し、ロシアでは05年1月、血の日曜日事件がおこり、国内の危機が急迫した。日本を援助したアメリカ・イギリスも一方の決定的勝利による満州独占をおそれ、アメリカ大統領セオドア=ルーズベルトの仲介で、同年9月ポーツマス条約が締結された。これにより、日本は韓国を保護国化し、南満州を勢力範囲とした。しかし、死者10万余人、戦費は約20憶円を要したが、賠償金は得られず、民衆の不満は日比谷焼打ち事件などを引き起こした。
(日本史辞典より)
「歴史のミステリー」では ①日本に勝算はあったのか? ②日本は破竹の勢いで勝ち続けたのか? ③両国が講和したのはなぜなのか? ④講和条約の内容はどのようなものだったのか? で日露戦争を検証しています。日露戦争そのものよりも、なぜこの戦争が起こったのか、この戦争の背景と、戦後の影響が書かれています。参考資料として、「太平洋戦争」の本を3冊挙げているので、日露戦争を、第一世界大戦時代を経て第二次世界大戦に突入するまでの切っ掛けとらえていて、その経緯が分かるような説明になっています。よって、日露戦争の「203高地」と「日本海海戦」、「乃木希典」「秋山真之」などはほとんど出てきません。
今週発売の「新説・戦乱の日本史」も日露戦争を取り上げていますが、こちらは、戦いの様子そのものを扱っているので、日露戦争の経過が知りたければこちらを見る方がよいでしょう。
似たような2冊の本が、同じ週に「日露戦争」を取り上げているのに、そのとらえ方が全く違い、まさに対照的です。
「歴史のミステリー」では、「日本は形式だけの戦勝国だった」として、「列強諸国の代理戦争」「敗戦を意味した戦争継続」と項目を立てて説明しています。
最後に、「(日露戦争後) いったい何が残ったのか?」ということで、イギリスとアメリカの目論見は「日露双方の一方だけが決定的なダメージを受けず、拮抗する勢力、軍事力を保持して満州や極東地域で緊張状態を保ってくれることが望ましいという考えがあった」ということが書かれています。アメリカの真意は、アジアの主導権を握ることにあったので、日露の講和を進めたのであったという。また欧米列強国に操られたのは日本、ロシアであり、両国の中国大陸進出の勢いを鈍化させる目的であった。結果的に、日露戦争は、第一次世界大戦の火種が新たに作られたに過ぎない、と結論付けています。
「キング牧師暗殺事件の首謀者は誰だったのか?」
1968年4月4日、公民権運動の指導者マーチィン・ルーサー・キング牧師が、メンフィスで暗殺された。JFK暗殺に次ぐ「アメリカの偉大な損失」といわれるこの事件は、脱獄犯ジェームス・アール・レイの犯行とされているが、暗殺の背後に黒幕がいたという説も囁かれている。(本文より)
「暗殺犯断定の証拠は十分だったのか?」「どのような裁判が行われたのか?」「明確な犯行動機はあったのか?」「レイに背後関係はなかったのか?」ということで、犯人とされているレイが本当に暗殺したのかに疑いの目を向けています。それに人種差別的秘密結社・KKK(クー・クラックス・クラン)や白人至上主義者のアーサー・ヘイニーズ弁護士の動きを追って、レイが実行犯ではないという証拠を示しています。
結論としては、キング牧師が暗殺されたのは「ベトナム反戦運動が原因ではないか?」としていて、首謀者としては、FBI関与説(人種差別主義者のジョン・エドガー・フーバー長官がキング牧師に強い憎悪を抱いていたという)やマフィアや軍事産業が関与したという説を押しています。ノーベル平和賞を受賞した牧師の影響力を警戒し、これ以上ベトナム反戦運動が高まらないようにするために、暗殺したのではないか、と推測しています。
やはりこれも、ケネディ大統領暗殺と同じような陰謀が隠されていると見ている。そして、このあとにロバート・ケネディ大統領候補が暗殺されるわけなので、一連の暗殺事件はすべて関わりがあると見た方が自然ではないか。
ボロブドゥール寺院
インドネシアにある巨大仏教遺跡。密林の中にあって発見されたのが19世紀だという。8世紀ころに作られたもので、ヒンドゥー教のシヴァ神寺院から仏教寺院へ変化したので、建築様式が独創的である。
ヒンデンブルク号 爆破はテロだった!?
1937年5月6日、巨大飛行船ヒンデンブルクがアメリカ・ニュージャージー州の飛行場に着陸する寸前に、爆発炎上。乗員・乗客97人のうち35人が死亡した。だが、当初、船体の浮上に使用された水素ガスへの引火といわれた事故原因は、結局、特定されなかったのである。(本文より)
豪華巨大飛行船の爆発は、水素ガスの引火が原因だと言われていたが、1972年にマイケル・ムーニーの本から「テロ説」が提唱された。この説では、爆破予告が事前にあったことや反ナチスによる犯行であったこと、実行犯は乗務員でないかということを挙げている。
また近年言われているのが「ナチスによる自作自演説」だという。ヒンデンブルク号を作ったツェッペリン社はナチスの圧力のもと国策会社に組み込まれてしまい、ヒンデンブルク号をアドルフ・ヒトラー号に改名するように迫ったが、これを会社側が拒否したために、ヒトラーに恨まれていたという。そのためにナチスが仕組んだという説だ。
どちらにしても、この事件後、ツェッペリン社は活動を停止され、飛行船時代は終わりを告げ飛行機の時代となった。
画像は、ハードロックの名盤、レッド・ツェッペリンのアルバムから。
「浦島太郎伝説」お伽噺に隠された謎のメッセージ
浦島伝説のルーツは「丹後国風土記逸文」にあるという。丹後半島にいた日下部首の子孫ということになっていたという。この浦島の祖先の日下部氏は、農耕技術、養蚕織物、稲作に欠かせない鉄の文化を導入したとされる。これらの文化が地方に伝播されるとともに浦島伝説が広まったのではないかという説を解説している。
全国各地に残る浦島伝説には様々なバリエーションがあり、中国や朝鮮半島にも似たような話がある。神仏信仰である龍神信仰と、仏教思想が結びついたものであり、また稲作文化が雨を司る龍神が結びついてできた伝説だということも書かれている。また徐福伝説のあるところにも浦島伝説がある、というのが興味深い。
今号で紹介されている浦島伝説のある場所、京都の宇良(浦嶋)神社、網野神社、嶋児神社。香川県三島詫間町、岐阜県中津川市、各務原市の市杵島神社、長野県上松町「寝覚の床」神奈川県横浜市の観福寺、慶雲寺など。
また、沖縄の旧国名である「琉球」は「竜宮」から転訛したものといわれる。これはいい説明だ。
画像は江戸時代の浮世絵師・歌川国芳の描いた浦島太郎
映画監督・アンソニー・ミンゲラ死去
類を見ない才能の持ち主で、1996年~2003年に公開された『イングリッシュ・ペイシェント』、『リプリー』、『コールド・マウンテン』では、アカデミー賞で計24部門にノミネートされた。
アンソニー・ミンゲラといえば「イングリッシュ・ペイシェント」が代表作でしょうが、私的には「コールド・マウンテン」が良かったですね。
見る前は「南北戦争で純愛物語」というので、あまり期待していなかった。だが、それが逆に良かったのかもしれない。
ニコール・キッドマンとジュード・ロウのメインストーリーよりも、サイドストーリーが良くて、レネー・ゼルウィガー(レニー・ゼルウィガーとも表記)の役は最高だし、フィリップ・シーモア・ホフマンがエキセントリックな曲者の役で出ていて、物語の幅を広げていた。
また、ジュード・ロウがBS・NHK「アクターズ・スタジオインタビュー」でインマン役について自ら解説していて、司会者のジェームズ・リプトンも鋭い質問をしていたので、作品がより深く理解できるものとなっていた。確か「インマン」という役名の意味、とかだった。またナタリー・ポートマンとの場面も詳しく解説していたが、これも結構印象的な挿話となっていた。たしかに、あとになっても記憶に残るシーンだった。
「アクターズスタジオ・インアタビュー」ではナタリー・ポートマンやレネー・ゼルウィガーらも出ていて、「コールドマウンテン」の話をしていたので、出演者たちにとっても重要な作品になっているのだろう。
アンソニー・ミンゲラは、「イングリッシュペイシェント」「コールドマウンテン」「リプリー」のようにハリウッドスターを使う大作でありながら、その人間の内面描写に迫る繊細なものが撮れる監督という評価があるらしい。確かに、主人公ら登場人物が、何かに(戦争や歴史、または「リプリー」ように魅力的な人とか) 翻弄される人間を描くのが上手いと思う。
映画監督としては、54歳といえば、まだこれからという年で、死去するには余りにも若すぎる。もっと長生きしていたらデビット・リーンのような監督になっていたかもしれない。そう考えると実に惜しい。



