週刊「歴史のミステリー」第9号 | 「物語を物語る」案内サイト アメーバ版                          

週刊「歴史のミステリー」第9号



目次

歴史検証ファイル    日露戦争で日本は本当に勝利したのか?

               キング牧師暗殺事件の首謀者は誰だったのか?

遺跡に眠る謎      ボロブドゥール寺院

疑惑の真相       ヒンデンブルグ号爆破はテロだった!?

芸術の裏側       「裸のマハ」フランシス・デ・ゴヤ

語り継がれる伝説    浦島太郎伝説

人物再発見        二宮忠八

「日露戦争で日本は本当に勝利したのか?」

日露戦争…1904(明治37)、日本とロシアが朝鮮・満州支配をめぐる対立から起こした戦争(~05年)

三国干渉後、ロシアは中国から満州における権益を得、北清事変後は、日本の満州撤兵要求を実行せず、満州の支配のみならず韓国進出の野心を示したので、日本と激しく対立した。日本は日英同盟(02)によるイギリスの支持を背景に、042月仁川沖の奇襲で戦争開始。日本軍は有利に戦いをすすめ、053月奉天会戦で大勝、海軍も日本海海戦でバルチック艦隊を撃破した。しかし、日本軍は軍事・財政的に戦争遂行能力が限界に達し、ロシアでは051月、血の日曜日事件がおこり、国内の危機が急迫した。日本を援助したアメリカ・イギリスも一方の決定的勝利による満州独占をおそれ、アメリカ大統領セオドア=ルーズベルトの仲介で、同年9月ポーツマス条約が締結された。これにより、日本は韓国を保護国化し、南満州を勢力範囲とした。しかし、死者10万余人、戦費は約20憶円を要したが、賠償金は得られず、民衆の不満は日比谷焼打ち事件などを引き起こした。

(日本史辞典より)

「歴史のミステリー」では  ①日本に勝算はあったのか?  ②日本は破竹の勢いで勝ち続けたのか?  ③両国が講和したのはなぜなのか?  ④講和条約の内容はどのようなものだったのか?  で日露戦争を検証しています。日露戦争そのものよりも、なぜこの戦争が起こったのか、この戦争の背景と、戦後の影響が書かれています。参考資料として、「太平洋戦争」の本を3冊挙げているので、日露戦争を、第一世界大戦時代を経て第二次世界大戦に突入するまでの切っ掛けとらえていて、その経緯が分かるような説明になっています。よって、日露戦争の「203高地」と「日本海海戦」、「乃木希典」「秋山真之」などはほとんど出てきません。



今週発売の「新説・戦乱の日本史」も日露戦争を取り上げていますが、こちらは、戦いの様子そのものを扱っているので、日露戦争の経過が知りたければこちらを見る方がよいでしょう。

似たような2冊の本が、同じ週に「日露戦争」を取り上げているのに、そのとらえ方が全く違い、まさに対照的です。

「歴史のミステリー」では、「日本は形式だけの戦勝国だった」として、「列強諸国の代理戦争」「敗戦を意味した戦争継続」と項目を立てて説明しています。

最後に、「(日露戦争後) いったい何が残ったのか?」ということで、イギリスとアメリカの目論見は「日露双方の一方だけが決定的なダメージを受けず、拮抗する勢力、軍事力を保持して満州や極東地域で緊張状態を保ってくれることが望ましいという考えがあった」ということが書かれています。アメリカの真意は、アジアの主導権を握ることにあったので、日露の講和を進めたのであったという。また欧米列強国に操られたのは日本、ロシアであり、両国の中国大陸進出の勢いを鈍化させる目的であった。結果的に、日露戦争は、第一次世界大戦の火種が新たに作られたに過ぎない、と結論付けています。

「キング牧師暗殺事件の首謀者は誰だったのか?」 

196844日、公民権運動の指導者マーチィン・ルーサー・キング牧師が、メンフィスで暗殺された。JFK暗殺に次ぐ「アメリカの偉大な損失」といわれるこの事件は、脱獄犯ジェームス・アール・レイの犯行とされているが、暗殺の背後に黒幕がいたという説も囁かれている。(本文より)



「暗殺犯断定の証拠は十分だったのか?」「どのような裁判が行われたのか?」「明確な犯行動機はあったのか?」「レイに背後関係はなかったのか?」ということで、犯人とされているレイが本当に暗殺したのかに疑いの目を向けています。それに人種差別的秘密結社・KKK(クー・クラックス・クラン)や白人至上主義者のアーサー・ヘイニーズ弁護士の動きを追って、レイが実行犯ではないという証拠を示しています。

結論としては、キング牧師が暗殺されたのは「ベトナム反戦運動が原因ではないか?」としていて、首謀者としては、FBI関与説(人種差別主義者のジョン・エドガー・フーバー長官がキング牧師に強い憎悪を抱いていたという)やマフィアや軍事産業が関与したという説を押しています。ノーベル平和賞を受賞した牧師の影響力を警戒し、これ以上ベトナム反戦運動が高まらないようにするために、暗殺したのではないか、と推測しています。

やはりこれも、ケネディ大統領暗殺と同じような陰謀が隠されていると見ている。そして、このあとにロバート・ケネディ大統領候補が暗殺されるわけなので、一連の暗殺事件はすべて関わりがあると見た方が自然ではないか。

ボロブドゥール寺院



インドネシアにある巨大仏教遺跡。密林の中にあって発見されたのが19世紀だという。8世紀ころに作られたもので、ヒンドゥー教のシヴァ神寺院から仏教寺院へ変化したので、建築様式が独創的である。

ヒンデンブルク号  爆破はテロだった!?

193756日、巨大飛行船ヒンデンブルクがアメリカ・ニュージャージー州の飛行場に着陸する寸前に、爆発炎上。乗員・乗客97人のうち35人が死亡した。だが、当初、船体の浮上に使用された水素ガスへの引火といわれた事故原因は、結局、特定されなかったのである。(本文より)

豪華巨大飛行船の爆発は、水素ガスの引火が原因だと言われていたが、1972年にマイケル・ムーニーの本から「テロ説」が提唱された。この説では、爆破予告が事前にあったことや反ナチスによる犯行であったこと、実行犯は乗務員でないかということを挙げている。

また近年言われているのが「ナチスによる自作自演説」だという。ヒンデンブルク号を作ったツェッペリン社はナチスの圧力のもと国策会社に組み込まれてしまい、ヒンデンブルク号をアドルフ・ヒトラー号に改名するように迫ったが、これを会社側が拒否したために、ヒトラーに恨まれていたという。そのためにナチスが仕組んだという説だ。

どちらにしても、この事件後、ツェッペリン社は活動を停止され、飛行船時代は終わりを告げ飛行機の時代となった。




画像は、ハードロックの名盤、レッド・ツェッペリンのアルバムから。


「浦島太郎伝説」お伽噺に隠された謎のメッセージ

浦島伝説のルーツは「丹後国風土記逸文」にあるという。丹後半島にいた日下部首の子孫ということになっていたという。この浦島の祖先の日下部氏は、農耕技術、養蚕織物、稲作に欠かせない鉄の文化を導入したとされる。これらの文化が地方に伝播されるとともに浦島伝説が広まったのではないかという説を解説している。

全国各地に残る浦島伝説には様々なバリエーションがあり、中国や朝鮮半島にも似たような話がある。神仏信仰である龍神信仰と、仏教思想が結びついたものであり、また稲作文化が雨を司る龍神が結びついてできた伝説だということも書かれている。また徐福伝説のあるところにも浦島伝説がある、というのが興味深い。

今号で紹介されている浦島伝説のある場所、京都の宇良(浦嶋)神社、網野神社、嶋児神社。香川県三島詫間町、岐阜県中津川市、各務原市の市杵島神社、長野県上松町「寝覚の床」神奈川県横浜市の観福寺、慶雲寺など。

また、沖縄の旧国名である「琉球」は「竜宮」から転訛したものといわれる。これはいい説明だ。



画像は江戸時代の浮世絵師・歌川国芳の描いた浦島太郎