刺青 女 画像 「二代目彫宇之の妻女」 | 歪んだものほど美しい

刺青 女 画像 「二代目彫宇之の妻女」

有名な「背中に観音像を彫った女性」の全貌が、
遂に明らかになりました!

denverpost.com ©  (AP Photo/Charles Gorry)  1948年9月2日撮影
背中に騎龍観音、左腰に童子、右足に金魚・ウサギなどの彫物が確認できます。
 

敗戦翌年の1946年LIFE誌の専属カメラマンHorace Bristol氏により都内の銭湯で撮影された一連の写真に写っている騎龍観音を彫った女性こそ、
二代目彫宇之の妻女 おひさ だと思われます。

Tattooed Bathers at a Public Bath Tokyo, Japan 1946  © Horace Bristol
 

一番手前の一枚般若を彫った人物は、刺青標本で有名な元岩井町の瀧さん
 
右端に おひさ、一番手前の木鼠小法師怪伝を彫った人物は、神田 西出福氏
 


二冊の書籍「文身百姿」「幕末明治 女百話」に、おひさについての詳しい記述がありますのでご紹介します。

「文身百姿」 (1936年) 玉林 晴朗・著 恵文社・刊
・文身師の女房 より引用
二代目彫宇之の妻女 おひさ は背中に其の亭主の作になる騎龍観音が彫ってあり、この人も元芳町の芸者であって、張りきった白い肌に観世音菩薩が浮き出している。
このおひさの文身は会って
スタール博士も見たがって居り、前々から評判されていたが、例え数百円を積んでも見せないと云って居たもので 極く内輪の人以外誰も見た者はなかったが、昭和九年の夏 王子名主の瀧の納涼会でこれを公開して話題になった。
※フレデリック・スタール: (1858-1933)アメリカの人類学者 納札の蒐集・研究を行ったことから日本では「お札博士」として親しまれた

・彫金と二代目彫宇之
より引用
  彫宇之は最近 騎龍観音が彫ってある女房と別れ××の方へ引込んでしまった。
文身百姿 (1956年)/玉林晴朗
¥価格不明
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「幕末明治 女百話(上)」 篠田 鉱造・著 岩波文庫・刊
・近江のお兼の刺青女性 より引用
おかみさんが三十四、五ですが背中は『観音さま』で、 『登り竜降り竜』と、『風の神』左右の腕に彫っていなさいます。
幕末明治 女百話 (上) (岩波文庫)/岩波書店
¥693
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「ほりゅうの 記念ホームページ ほりゅうの物語」 より引用
22歳で近衛第2連隊へ入隊、1年間原隊にいて、2年兵になって台湾に派遣される。
台湾で匪賊討伐の軍に加わる。
2年後(兵役3年)帰郷。
親戚一同の要望で 鈴木りん と結婚、長男勇が生まれる。
※おひさは後妻だったようです。
 
 

完成前に撮られた思われる写真を発見しました。
解説文には作者不詳、図柄は天女と書かれていますが、上の写真を見ると右わき腹から右腰にかけて龍が彫られているのが確認できます。龍騎観音のような気がするんですが…

作者不詳(背天女・腕般若) 文身百姿(1936年)より
筋彫り段階 部分的にぼかしが入っています
文身百姿_背は天女・腕は雲に般若 
完成間近 右腕にオカメを彫り足す前に撮られたと思われる写真
 


おひさ
が自身の刺青を初披露したという、昭和9年に名主の滝で行われた納涼会の写真には、残念ながら おひさの姿は見当たりません。
しかし、ひときわ目を引く 中央の二匹龍の刺青の女性「二匹龍のお妙」について、文身百姿に記述がありましたので ご紹介します。

王子名主の滝 納涼会 江戸彫勇会 1934年(昭和9)8月29日 男性77名・女性3名
右から二番目の正面を向いている男性がご主人の笹岡勝次郎 氏 胸に鉞を持った金太郎と、うわばみの刺青が確認できます。
原色日本刺青大鑑(1973年)より
 

「文身百姿」
(1936年) 玉林 晴朗・著   恵文社・刊
・お国 お君 お若 お妙 より引用
「二匹龍のお妙」と云うのは下谷大門町の鳶頭の妻女、もと神田明神の芸者小濱と云った人である。 その二匹龍の文身は彫五郎の作になるもので、一匹は青龍の真向きで極く珍らしい図であり、両腕は牡丹に獅子の図で其の牡丹の芯には純金を刺して居る。
この文身は洵に細かく見事な作であって、三ヶ月で仕上げてしまったそうである。 男でもこれだけのものを三ヶ月等の短日月で完成する人は極く極く稀であって其の忍耐の強いのに皆驚いている。 このお妙は毎年六月の鳥越神社祭礼に、手古舞姿で片肌を脱ぎ神輿について町を練り歩くので大変な評判となっている。

又昭和九年秋に中目黒の正覚寺で三澤初子(例の政岡)の銅像除幕式が行われた際、彫勇会の連中が余興に梯子乗りをやった。 其の時もお妙は男同様褌一つになり秋雨のしとしと降る寒い中を威勢よく走り廻り、当日出席した伊藤興宗伯や小笠原長生中将を驚かした。


二匹龍のお妙 文身百姿(1936年)より

 
18年後、65歳になった 二匹龍のお妙こと 笹岡 妙さん
彫り始めたのは47歳から、夫・笹岡勝次郎氏の彫金作 一匹龍に対抗して始めた。
アサヒグラフ 1952年5月14日号より

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"野ざらし"をテーマにしたグッズを探してみました。
こちらは、昭和30年代のヴィンテージカフスを基にデザインしたものだそうです。
小野小町の句「我死なば焼くな埋むな野にさらせ 痩せたる犬の 腹を肥やせよ」を、ススキと髑髏のレリーフで表現しているんですね。

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江戸後期~明治期の古布を基にデザインされた こちらのシルク製アロハシャツには、"痩せたる犬" も きちんと描かれています。素晴らしい!
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