19世紀の刺青写真 | 歪んだものほど美しい

19世紀の刺青写真

江戸時代中期に完成したという和彫り文化は、19世紀に入ると 飛脚、江戸火消し、鳶などの職業を中心に一気に広まったんだそうです。

当時の古典的な彫り物とは いったいどんなものだったのか、見てみたいですよね? 実は100年以上前に撮影された鶏卵紙写真(塩を混ぜた卵の白身を紙に塗り、乾燥後 硝酸銀溶液を塗り感光紙としたもの)に手作業で彩色したカラー写真?が多数残されているんですよ。


関連記事⇒テキストリンク「続・19世紀の刺青写真」



©ブロックハウス・エフロン百科事典 1890‐1907年 挿絵
ロシア革命前の19世紀末に書かれた百科事典「ブロックハウス・エフロン百科事典」に和彫りが紹介されています。
$歪んだものほど美しい-ブロックハウス・エフロン百科事典 刺青01

$歪んだものほど美しい-ブロックハウス・エフロン百科事典 刺青02


©Capital Collections
A Tattooed Man 1881年(明治十四年) 手彩色写真
Photo by von Stillfried-Ratenicz,Franz

$歪んだものほど美しい-A tattooed man 1881

©djibnet 町火消しの若者 1870-80年代 手彩色写真
写真解説には「二人の若い飛脚」とありますが、左の人物は右手に屋根や天井を壊すのに用いる「鳶口」を持っており、もう一人は取っ手のついた「弓張提灯」を持っていることから、町火消しだと思われます。
$歪んだものほど美しい-Firefighters have a tattoo

©Okinawa Soba 1885-1895年 手彩色写真
$歪んだものほど美しい-The old Japanese tattoo 1885-1895

©長崎大学附属図書館 古写真データベース STLLFRIED & ANDEREN 1876年
$歪んだものほど美しい-STLLFRIED & ANDEREN 1876

©長崎大学附属図書館 古写真データベース
$歪んだものほど美しい-刺青姿の男性 撮影者未詳

©Capital Collections
Portrait of a tattoed man By Raimund von Stillfried-Rathenitz,c.1875
$歪んだものほど美しい-刺青の男の肖像 1875

©Wikipedia
Bestand:Beato,Felice(1834–1907) Tattooed japanese men - ca.1870
$歪んだものほど美しい-Tattooed japanese men - 1870

©Okinawa Soba 飛脚 1896年 手彩色写真
$歪んだものほど美しい-tattooed post runner 1896

これらの写真の何人かは髷を結ってますが、江戸時代ではなくすべて明治に入ってから撮影されたものです。
明治政府によって1871年(明治4年)に散髪脱刀令(断髪令)が出されたにもかかわらず、一般庶民の中には20年以上もチョンマゲ姿を続ける者もいたという事実に驚きました!!


実は、当時チョンマゲにもいろんな種類があったんらしいですよ。髷の長さや頭に乗せる位置などでバリエーションを持たせていたんだそうです。
「理容美容学習事典」昭和43年刊 に詳しく図解されていて面白いです。

ちなみに僕のお気に入りのチョンマゲは 「野郎髷」
にひひ
$歪んだものほど美しい-野郎髷
©理容美容学習事典

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在りし日の「滝さん」を髣髴とさせる、紅葉と般若の彫り物が見事な刺青キューピー携帯ストラップ"滝さんモデル?"を見つけましたにひひ 凄い完成度!
$歪んだものほど美しい-刺青キューピー



【参考文献・資料】
芸術新潮 1995年11月号 (特集・東京大学のコレクションは凄いぞ !)/著者不明

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■違式註違条例の研究-文明開化と庶民生活の相克- 春田 国男
■生きている浮世絵 刺青展
(1973年に小田急デパート新宿店で開催された展覧会図録)


東大医学部標本室の展示物の背景・エピソードを詳しく紹介(トルソー型標本の白黒写真掲載)
漱石の脳 (叢書死の文化)/斎藤 磐根

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福士勝成氏の病理学的見地からの刺青解説(標本写真掲載)
原色日本刺青大鑑 (1973年)/著者不明

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刺青標本の献体者「滝さん」の一枚般若の標本写真掲載
死体の本 (別冊宝島 228)/著者不明

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福士勝成氏と原皮状態の刺青標本の写真掲載
Pranks: Re/Search, No 11 (Re/Search, No. 11)/著者不明

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1936年初版発行の刺青解説書 貴重な戦前の刺青写真を多数掲載
文身百姿 (1956年)/玉林 晴朗

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"刺青の皮を剥ぐ博士"親子二代に渡って刺青の標本を蒐集する福士親子の話
死体の文化史/下川 耿史

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死体と戦争 (ちくま文庫)/下川 耿史

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ついて詳しく解説されています。(標本写真掲載)

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刺青標本の献体者「滝さん」のエピソードを題材にしたと思われる 第72話「イレズミの男」を収録
ブラック・ジャック―オールカラー版/手塚 治虫

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