リオ五輪が閉幕して既に1カ月以上経過しました。そのリオ五輪ではドーピング問題で多くのロシア選手の出場が停止となりました。

 

そして、あまり話題にならなかったのですが、リオ五輪ではクウェートが出場停止処分を受けていました。国際五輪委員会(以下IOC)は、クウェート政府がスポーツ界への干渉を理由に、クウェートの五輪参加資格を停止処分にしていました。五輪予選を通過した選手は、個人資格でリオ五輪に参加していました。

 

IOCが政府介入を排除するのは、過去の五輪が政治に利用されたり政治に介入されたりしたことがあったからです。

 

1936年のベルリン大会はナチス政権下のドイツで開催され、反ユダヤ主義や領土拡大計画を緩和し、外国人の観衆や記者に平和で寛容なドイツのイメージを印象付けるために利用されました。

 

1980年のモスクワ五輪と1984年のロサンゼルス五輪は、西側と東側の諸国による政治的なボイコット合戦となりました。

 

五輪憲章にも、政治的・民族的宣伝活動の禁止を定めており、五輪は国家間の競争ではなくナショナリズムを持ち込むことを否定しています。

 

 

先のリオ五輪の閉幕式では、東京五輪をアピールするパフォーマンスが非常に高い評価を得ましたが、安倍首相がマリオに扮して登場したことに対して、五輪の政治利用だと批判する声があります。

 

スポーツ評論家の玉木正之氏は、リオ五輪の閉会式で安倍首相が登場したことについて、以下のように述べていました。

 

閉会式で安倍晋三首相が登場したことには大いに違和感があった。スポーツは政治から独立したもので、主役は選手。政治家はあくまで応援する存在であり、首相は出てくるべきではなかった。東京五輪・パラリンピックを、政治色を排して開催できるのかは今後の課題だ。

 

近年の五輪で、最も政治利用されたのは2010年の北京五輪でした。チャイナは共産党独裁政権ですので、そんな国で五輪を開催するのは五輪を政治利用する以外の何物でもないと思います。

 

玉木氏は北京五輪開催について、どのくらい反対する論陣を張ったのでしょうか。玉木氏は北京五輪を毎日喜んで見ていたようですね。また、2022年の冬季五輪は、また北京で開催されますが、それは五輪の政治利用にならないのでしょうか。

 

また、各競技団体は国から補助金を受け取って競技力の強化を行っています。政治介入云々を主張するのであれば、国は競技団体に強化費を出すなと言うべきだと思うのですが、玉木氏からそのような意見が出たことを聞いたことがありません。

 

IOCにしても、五輪を政治的・民族的な宣伝活動を禁じるのであれば、独裁国家での開催を認めなければいいのです。独裁国家の都市での開催を認めていること自体、五輪を政治利用することを許しているようなものです。

 

 

また、五輪開催についてIOCは開催都市がある国に対して政府からの財政保証を求めます。開催する国に対して金だけ出せさて口を出させないというのは、身勝手というか傲慢なような気もします。

 

五輪を開催することで、IOCはスポンサー料などで多額の利益を得ますが、開催することによる経済的なリスクについては自分達は回避するという、非常に都合の良い立場に置いていることになります。

 

まあ、IOCFIFA(国際サッカー連盟)などと並んで、碌でもない組織ですから仕方ないかもしれないですね。



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