一年くらい前に、2018年開催予定の平昌冬季五輪について以下のような問題があるという記事書いていました。
・気候の問題(雪不足、気温の高さ)
・競技施設の問題(アルペンスキーの傾斜、施設建設の遅れ、施設運営ノウハウなど)
・宿泊施設の問題
・アクセスの問題
・観客の問題
・競技の公正性の問題
気候の問題については人為的に解決することが難しいですし、昨年の仁川アジア大会をみても観客や競技の公正性の問題についても解決される見込みは全くありません。
競技施設の問題は、むしろ危機的状況になってきています。競技施設の建設が遅れ、アルペン、スキーフリースタイル、スノーボードなどは、2016年に予定されているプレ大会の開催は不可能だと言われています。
スノーボードとスキー・フリースタイル競技会場は、国際スキー連盟(FIS)から大幅な改修が必要と指摘され、改修費用が当初予算の5倍に高騰する可能性があります。ただでさえ資金不足に陥っていますので、追加で改修費用を捻出するのは相当難しいと思います。
工事の進捗が遅れているのは当然ですが、それ以前の問題も解決されていません。アルペンスキーのゴール付近では、10世帯の立ち退き自体がまだ決まっていないようです。
スキージャンプの会場は、2011年以降に国際大会が一度も開催されていなく、施設のあちこちが錆びついているようです。また、元々は観光施設として建設されたため、山頂付近にジャンプ台があります。
FISの規定では、秒速3メートル以上の風が吹くと競技が中断され、秒速5メートル以上になるとその日の試合はキャンセルになります。しかし、平昌のジャンプ台では、昼間は3メートル以上の風が吹き、最大では5メートルに達するようです。
冬季は特に風が強く、韓国代表も練習ができない状態だということです。2009年に行われた大会では、米国の選手が突風で失速して怪我を負うこともありました。
宿泊施設の問題も全く解決の見通しが立っていません。観覧客用の宿泊客室数が2千室以上も不足しています。しかし、五輪以外の需要がないため、民間企業では宿泊施設を増やす動きがほとんどありません。
宿泊施設が不足を補うため、宿泊客に一般家庭にホームステイさせる案が浮上しています。実は2002年の日韓ワールドカップでも、ホームステイを活用していたようです。ホームステイ以外にも、教会や寺院など宗教施設、公民館、24時間サウナなどを宿泊施設として活用する案も出ているようです。
F1韓国グランプリでは、宿泊施設が不足してチームスタッフや取材しているジャーナリストまでラブホテルに宿泊を強いられました。このままだと、平昌五輪ではラブホテルに宿泊できる観客は、まだましな方だということになる可能性があります。
アクセスについては、立候補の際に約束していた高速鉄道の建設は既に反故にされ中止となっています。道路の拡張を計画していますが、建設予定地の真ん中に家が建っているところもあり、立ち退き交渉で揉めている状態です。建設費用が不足していて、立ち退き料が不当に低い額しか提示されていないので、容易には解決されない見込みです。
資金不足も浮き彫りになってきています。建設費用などを負担する国と自治体は財政難に陥っており、追加の費用負担は難しい状況にあります。
オリンピックの大会運営には、インフラ関連を除いた予算の4割以上となる約920億円をスポンサーの支援で賄うことになっています。スポンサー契約をする企業は目標では30社となっていますが、4社しか決まっておらず、金額にすると30%しか集まっていません。
韓国経済は急速に落ち込んでいるため、企業の業績は低迷しており、スポンサーになる余裕がある企業は非常に少ないでしょう。そもそも、韓国では冬季五輪の多くの競技に対する関心が低いため、スポンサーになってもメリットがあまりないと言われています。
昨年、平昌五輪について記事を書いたときに比べて、状況は改善されるどころか悪化しているような気がします。昨年の仁川アジア大会は「史上最低のアジア大会」と言われましたが、このままいくと平昌冬季五輪も「史上最低のオリンピック」となる可能性が高いですね。
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