先日の記事で書きましたが、人間が運動するときには、脳に記憶された運動のパターンを引き出して調節を行い、各筋肉をどのように動かすのかを脳からの指令によって行っています(詳しくは「筋肉には記憶力がある?」 参照)。
運動神経は生まれ持った遺伝的なものではなく、ほとんどが後天的なもので、鍛えることによって運動神経を発達させることができます。
運動神経には、大きく伸びる時期と伸びにくい時期があり、大きく伸びる時期というのは3つあります。最初の時期は直立して歩くようになった1歳から6歳までの期間です。第2期は9歳からの約3年間で、第3期は15~16歳から22~23歳頃までです。この時期に運動神経を鍛えると飛躍的に向上させることができます。
効率的に運動神経を発達させるためには、それぞれの時期に合った運動をすることが必要になってきます。
第1期の1歳から6歳までの期間は、走る、投げる、捕る、蹴る、打つ、転がるなど基本的な運動の種類を数多く経験することです。フォームなどは気にせず、とにかくそれぞれの動作を経験することが必要です。この時期に経験していない運動を後になって身に付けるようとすると、経験している運動に比べて多くの時間が掛かってしまうようです。
第2期には、正しいフォームを身に付けるようにします。正しいフォームを身に付けるためには反復練習を行うことです。あくまでも正しい動きを身に付けるのが目的であり、筋力アップのためのトレーニングは必要ありません。そして、この時期にも多種多様な動作を経験させることで、様々な動作について正しい体の使い方を覚える必要があります。以前は、外で体を使って遊ぶことが多く、遊んでいるときに自然と様々な動作を経験していたのですが、現在では意識的に色んな動作をさせる必要があると言われています。特定の種目だけに絞って運動するよりも複数の種目に取り組むことによって、その後に運動能力が大きく伸びることに繋がります。
第3期では、運動に必要な筋力を付けるトレーニングに注力します。但し、第2期で正しいフォームが身に付いていない場合は、本来鍛えるべきでない筋力を鍛えてしまうことがあるので、正しいフォームを身に付けた上で筋力アップを図るようにします。誤ったフォームのまま筋力アップをしてしまうと、変な癖が余計に強くなってしまうことがあるので注意が必要です。
それぞれの時期にやるべきことを行っていると、最も効率的に運動神経を発達させることができます。また、それぞれの時期に合った運動をしていなくても、後になってからでも運動神経を発達させることはできます。伸びる時期にできなかったことを順に追って行っていけば、多少時間がかかりますが身に付けることは可能です。
一方、筋肉には持久性に優れた性質の遅筋と、瞬発力に優れた速筋があります。遅筋と速筋の割合は人によって異なり遺伝的な要因で決まります。
陸上のマラソン選手は遅筋の割合が高く、短距離選手は速筋の割合が高くなっています。遅筋と速筋の割合は遺伝的な要因で決まってしまいますので、筋肉のタイプによって向いている運動というのはある程度決まってしまいます。
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