平成278月の訪日外国人数は、8月として過去最高だった昨年の111万人を大きく上回る1817千人となりました。これで、平成27年の1月から8月の訪日外国人数は1,2875,400となり、9月中にも昨年の1,3413,500人を上回りそうです。

 

 

東京オリンピックが行われる平成32年に、訪日外国人数2,000万人という目標を政府は立てていましたが、このままいくと今年にも達成しそうな勢いです。

 

訪日外国人が増えて、その分国内消費が増えれば日本のGDPも増加します。但し、急激に増えてしまうと、受入態勢が整わないことから様々な問題が生じてきますし、訪日外国人が増えると外国の経済変動の影響を受けやすくなるという面も出てきます。

 

既に、宿泊や交通機関については以下のような問題が起こっています。

 

・宿泊施設が不足して、宿泊料金が高くなり、予約が取りにくくなっている。

・航空機、新幹線などの交通機関の予約が取りにくくなっている。

 

8月は訪日外国人客の増加に夏休みが重なったため、宿泊施設への需要が高くなっていました。特に、東京や大阪などの大都市の宿泊施設はどこも満杯で、郊外でないと宿泊施設が確保できないこともあったようで、国内ビジネス客の出張にも影響が出始めています。宿泊施設の稼働率が上がったことで、宿泊料金も上昇しています。

 

通勤客で混み合う電車に大きな旅行バックを持った外国人が乗ったり、路線バスに大勢で乗ってきて病院へ向かうお年寄りが席に座れなかったりなど、日常生活と観光客との摩擦が起きています。

 

そして、外国から観光で日本に来た外国人旅行者を対象としたジャパンレールパスというものがあり、これはJRグループ6社の路線を利用でき、新幹線など特急列車も利用することができます。このパスで特急列車の制定席を取ることができますが、指定席を取るだけ取ってキャンセルもせず乗らずに放置するケースが多発しているようです。そのため、他の人が席を取れないのに空席のままということも珍しくないようです。

 

 

また、訪日外国人数が増えている地域は、地価が上昇しているようです。東京の都心部や大阪の心斎橋などでは20%を超える上昇率となっています。北海道のニセコ町へ多くの外国人客が訪れるため、隣接する倶知安町では別荘地としての需要が拡大し、住宅街であっても3.6%上昇しています。

 

不動産価格が上昇するのは悪いことばかりではありませんが、実質賃金が中々上がらない状況で地価だけが上昇してしまえば、弊害が出てきてしまいます。

 

 

そして、マナーの悪さも訪日外国人数が多くなるにつれて問題となってきています。日本と外国とでは習慣が異なるので、ある程度の軋轢は生じるとは思うのですが、実際に以下のようなことが問題となっているようです。

 

・予約の直前のキャンセルや無断キャンセルが多い

・畑や私有地に無断で立ち入る

・物を盗む

・トイレのマナーが悪い

・売り物の生鮮食品に手でベタベタ触る

・古い家屋や物品に無闇に触る

・社寺などでも平気で大声で騒ぎ、どこでも構わず騒ぐ

・社寺などでの落書きや器物破損が頻発

・富士山の石にスプレーで落書き

・列車の指定席を取っていないのに、勝手に居座りどかない

・列に並ばず割り込みを平気でする

・ゴミを路上に捨てていく

・横に広がって歩道を歩き、他の通行人の邪魔になる

・飲食店に飲み物や食べ物を持ちこむ

・レンタカーを運転する外国人ドライバーの交通事故が増加

 

以前に、チャイナ人観光客のマナー違反や犯罪行為を紹介しましたが(詳しくは「訪日外国人客は量だけでなく質も重視すべき」 参照)、これらの行為はチャイナ人以外の訪日外国人にも当てはまることです。

 

京都では、外国人のマナー違反に困っているため、外国人向けに日本のマナーを書いたリーフレットを作成して配っています。

 

京都では、外国人が舞妓さんを追いかけて取り囲んで撮影することが多く、無理やり写真を撮ろうとして舞妓さんの着物が破れたということも起きています。料亭や茶屋で舞妓さんが伝統芸を披露するのですが、それ以上のサービスを要求してくる外国人がかなり多いようです。

 

京都の社寺ではマナーが悪い外国人観光客が多く、境内の狭い通路に三脚を立てて写真撮影して通行の妨害をしたり、立ち入りが禁止されている植え込みなどに入ったり、重要文化財に触り傷を付けたりということが起きています。外国人の迷惑行為の結果、京都では撮影禁止にする社寺が増えています。

 

最近外国人観光客に人気の新宿のゴールデン街でも、外国人観光客に関するトラブルが増加しているようです。外国人の中にはナンパ目的の人もいて、周りの日本人客に連絡先を聞きまくっていることもあるようです。店が混雑している時に56人で一気に押し寄せ、一杯だけ飲んで店を出ていってしまうこともあるようです。

 

その他にも、韓国人観光客が100円硬貨に100ウォン(約10円)硬貨を混ぜて使用するという詐欺が急増しています。そういえば以前、自動販売機が韓国の500ウォン(約50円)硬貨を日本の500円硬貨と誤って認識してしまったことから、それを利用した詐欺が多発していましたね。

 

 

訪日外国人が増えることにはメリットもありますが、あまりに急激に増えると上記のような問題が一気に噴出して対応が遅れてしまうことになります。日本政府としては、訪日外国人が目標を上回るペースで増えたことに対して、目標を上げるのではなく受入態勢を整備することや訪日客の犯罪行為が多い国からのビザ発給要件を厳しくするなどの対応を優先するべきではないでしょうか。




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