THOUSAND WINDS -44ページ目

魔女ポプリ(7)

「いやぁ~、たびたび失礼いたしました」
どうでもいいけど、そこなじいさん、
あぶら汗みたいなのが滝みたいにあふれ出してるんですけど。何とかとりつくろうとしてるみたいだけど、
もう遅いからね。
何かもう飽きてきちゃったから、
お腹の方も腹八十分位になった事だし、
そろそろまた気ままな一人旅に出かけたい気分なの。
お師匠に見つかるまでの命だけどね。
あえて無言で、さも怒ったみたいにして、
おもむろに立ち上がって、
すこすこと出口の方向かって歩いてみたらね、
後ろの方からひぃ~みたいな奇声とか、
どうかお慈悲を~みたいな懇願してたり、
食べないでねってあたしオオカミ男みたいなんじゃないし、
いろいろ連中ぱにくってて、
ああいとおかし、
もうちょっとからかってやろうかな。
昨日あんな目にあったんだしなあ。
「どうか、このまま行かないでおくんなまし。
ご希望の物、何でも包んでお渡ししますので、
あれはごく一部の者のしでかした事。
きやつらは早々に処分する所存にてございますゆえ、
何とぞお機嫌をお直し下され!」
あんたが命じたんだろ?
何かね、いつもこんなんで末端な人が、とかげの尻尾になるのよね。
「ギャアアアアアッ」
ああ、早速シッポさんの絶叫が聞こえる。
早々にこんな気持ちの悪いとこ退散しないと、
また犠牲者が出るわね。
哀願する村長さんほっといて、
玄関力任せにビシッて開けたら、
おもむろに壊れてしまったり。
何て安ふじんな作り、
また今ので後ろおびえてるし、
玄関開けて外に出たら、
ヒュンって風切る音がして、
気がついたら何だかあたし
首輪はめられてるし、
首輪には細いけど頑丈そうな
ロープ結びつけてあるし、
これは一体?!
「よお。待たしたな。色々と取り込んでてな、
遅くなって悪かったな。
こんな所で何遊んでいるんだ、さあ、帰るぞ」
お師匠だあ!ついに見つかっちゃった!!
別に逃げ出して来たわけじゃないけどね。
でもこれでまたいつもの
地獄のお仕置フルコース確定だぁ。
しかも今回無断で魔法も使っちゃったからね。
「ウワアアアアッ、た、助けてくれ、し、死にたくない~っ」
あっ、さっきの大男さんだ。
裏から逃げ出して来たみたいね。
体中ムチのアザみたいなのやら、
なぜかろうそくのろうがいっぱい裸の上半身に
こびり付いているんですけど。
あんた一体どんなおしおきされたの?
その大男、あたしのお師匠の足元にしゃがみ込んで、
必死になって嘆願してるのね。
「ゲシッゲシッ」
無慈悲にもお師匠、すがりつくその大男、こともあろうに
つま先でひっきりなしに
蹴り入れてるし、ああ可愛そうにね。
「ああっ、おにいさん、いいっ!!
・・・もっと下さい」
あんたM夫なんかいな!
もうやっとれんわ、お師匠、
もうどうなったっていいですから、
帰りましょう。
今回のであたし、こりました。
もう一人でふらっと出ていったりしません。
世間がどれだけ異常なもんであるか、思い知らされましたから、
早くこのけったいな所から退却しましょ。
あたしだんだん頭おかしくなりそうなのね。
ちょっと長くなりました。
ここらで筆を置きます。
きりがないし

魔女ポプリ(6)

「いやぁ~、このたびは失礼いたしました。
どこぞの高名な魔導士様でいらっしゃいましたか。
ぜひとももう一度お名前お聞かせ願えませんか。
えっ?お答え出来ない。
さようでしたか」
まだ一言も言ってないし。
知らん間に朝になってて、
またあの集会場みたいな所に来てる。
ショックで気絶していたからね。
あんなの見たら誰かって気絶するわ。
目の前でオオカミ男の体がバラバラになったのを見たからね。
あれなんだろあたしがやったんだなきっとそうなんだけど、
何かねあたしが気絶したタイミングで収まったみたいなんだけど、
オオカミ男さんだけでなくって、
あの魔法、あちこちに被害与えまくってたのね。
昨夜いたあの森みたいな所、
植林林だったみたいなんだけど、
半分ばかしあちこち木がなぎ倒されているし、
村外れの家ですか、数件ばかし全壊してるみたいだし、
幸い怪我人は出なかったけどね。
家畜小屋あの怪しい光の帯直撃したみたいで、
おかげさまで今日は朝から
滅多に食べられない肉料理のフルコースだったりするし!
何でもやってみるものね。
って何もわざと狙ってやったんじゃないわよ。
「あの~お取り込みの所申し訳ないのですが、
こんなささやかなおもてなししか出来ませんでしたが、
ご満足されましたでしょうか」
あたしいつも少食だから、こんなに一杯出されても食べられないし。
ごめんね、ニワトリさん、クロブタさん、
君たちの尊い犠牲は忘れないよ。
でも結構かたっぱしから食い散らかしてるけどね。
「知らない事とは言え、昨晩は大変失礼を致しました」
村長さん、あんた昨日あたしのなり見て、
魔導士様って既に呼んでたやんか。
ああ、ついお里なまりがでちゃったわね。
そうだ、昨日のあのほこらみたいなやつ、
あれ一体何だったんだろ。
ちょっとすみっこで小さくなってる、
昨日あたしを連れて行った
大男に聞いてみたれ。
「ああ、あれのことか。
あれはほこらなんかじゃなく
檻だ。
ほら屋根なんて無かっただろう。
あの中にいけにえなんかほり込んで、
ワーウルフおびき出す為のわな、グッ!!」
グッ?今どうやら言ってはいけない事を言いましたね。
そのおっさん速攻で隣に座ってたいかにも格闘技やってますよ
みたいな、余分な贅肉ついていないご立派な体型した
初老の人にみぞおちを一撃され悶絶、
昨日あたしがされたように
2人の男に両手引っ張られて退散しました。
ちょっと長くなったので、
ここで区切るね
ってこれは作者サイドの話。
こっちの世界に戻って来ないと

魔女ポプリ(5)

松明の明かりがこうこうと燃え盛ってる。
あたしの前に一人、そして後ろにもう一人。
両方から挟んで、逃げられないようにしてるのね。
しかもあたしには、なぜか腰のあたりに
頑丈そうな縄がしばりつけてあって、
その縄の一方を後ろあるいてるでかぶつがしっかり握ってる。
そうまでしてあたしを逃がさないようにって、
あんたら、本当にあたしの事信用してるの。
きっと信用なんてこれっぽっちもしてないのね。
だったらいくら魔導士のなりしてるって言ったって、
本当はあたしみたいな奴じゃあ、オオカミ男なんかに
太刀打ち出来ないって思ってるじゃないの。
悔しいけどそれ正解だしね。
だんだん暗いうっそうとした森みたいな、
木の多い小道をたんたんと進んでいる。
何かね、気のせいかも知れないけど、
むしろあたし、オオカミ男のいけにえにされるみたいな
そんな気がしてくるんですけど。
何かこいつら、さもオオカミさんの居場所、
分かってるみたいに迷いなく歩いてるみたいだし。
何となく、誰が見たってほったて小屋もとい
ほこらにしか見えないようなのが建っていて、
その中に何かいる?いや何もいないな。
あれ何だろ、中からっぽなのに。
こんなとこ来て、っていやっ、何するのあなたたちっ。
そんなとこつかまないでよぉ。
もう今さら何言ったってこいつら聞いちゃくれないけどね。
「さあこの中に入って。
ここにいてくれれば、それで終わるから。
みんな、本当はあんたの事なんかあてにしちゃいない。
せめて一人でも今夜の村人の犠牲が出なくて済めば、
そうすれば誰か明日にでもふもとの町へ出向いて、
討伐隊をお願いすることだって出来るし。
だから、あなたは今晩ここにいて、
オオカミ男と遭遇してくれたら。
私らの願いとは本当はそれなんだよ」
さあどうしようか。こいつら本気で張り倒して、
力の限り逃げ出そうか。
でもあたしにこんな大男始末できる力ってないし。
かよわい乙女でございますものね。
そして再び、力づくでその狭いほこらの中に押し込まれて、
まるでカゴの中のニワトリみたいね。
言っててしゃれにならなくなってきた。
わあ、どうしよう。こんな状態でもしもオオカミ男が現われでもしたら、
一貫の終わりってことよね。
そのまま無言で大男たちは去っていってしまったわ。
しかもせめてもの頼みのつなの、たいまつまで持っていかれちゃったから、
辺り真っ暗で全然見えませんけど。
せめて最期の時位は何も分からないままって言う
せめてもの心づかいなの?
ザッザッザッ。
ああ嫌な音が聞こえてくる。
あれ絶対オオカミ男の足音だよね。
まるで申し合わせたかのような、絶妙のタイミング。
きっと村の連中、オオカミ男とグルね。
何だか頭が変ななってきちゃった。思考がおかしくなってきてるし。
確かにそいつは、3m近い身の丈で、横幅はクマみたいで、
全身毛むくじゃらみたいに見える。
えっ、どうして暗闇でそれが見えるかって?
まあ一応外は満月だし、真っ暗ってほどじゃないし、
それより大事なことは、
そいつがよく見える程、ずっと近くにいるってこと。
「ギャーッ!」
一応叫んでみたけど、ひるむ相手じゃないわよね。
くそ、こんなことになるんだったら、
お師匠の寝室忍び込んで、
魔導書の一つで持ち逃げしといたら良かった。
ほこらの前の格子状の戸びら、これだけが
今あたしとオオカミ男とをさえぎる唯一の防壁。
こんなもの一撃で壊されるでしょうね。
そしてあたしはこいつの今晩のお食事にされてしまう・・・
「グルル・・・。これは一体何のまねだ」
あれ?こいつ人間の言葉しゃべるじゃない。
もしかしたら、対話で何とか回避出来たららっき。
「普通じゃない・・・何だこいつ。お前は何者だ?」
あたしはポプリ、こう見えても世界一の魔女だからね。
自称だけどねはさすがにここじゃ言えなかったね。
もうどうせ終わりだと思ってたから、
言いたいだけ言っとかないとね。
でないと絶対この世に未練とか残るし。
「・・・なるほど、魔女か。そうか、それでか。
お前の中からはみ出してくるそれは何だ。
人間にしてはあまりに大きすぎるキャパシティ、
しかもそれが俺を排除しようとしている。
やつら一体何たくらんでる?
こんなので俺を始末しようと言うのか?」
こんなので悪かったわね。何よ、男だったら一思いにやりなさいよ。
このごに及んでじらすんじゃないわよっ。
もう自分でも何言ってるんだか分からなくなってきてる。
ただ相手が何かちゅうちょしてるようには見えるんだけど。
「ふふ、俺あてのいけにえのつもりなんだろうが、馬鹿な村人たちだ。
こんなのが食えるか。
残念ながらこれ以上近づけば、俺がどうにかなってしまうわ。
こいつの中からあふれてくる、途方もない魔力の波動が
俺を支配しようと待ち構えてやがる」
で、何よ。それってあのドラゴンと同じネタ?
あたしの持ってる魔力に屈しましたってやつ?
そりゃあたしってば、世界一の魔女だし。
ここは一つ、魔法でも見せて退散させてやろうかしら。
確かお師匠はこんなの言ってたよな、
「アブダッ、カッ、タブラ?」
あれ違ったかな、それじゃこれどうかな。
「うっ、何をしようとしてる。やめろ!
お前が魔法なんぞ使ったりしたら・・・
お前何にも聞かされてないのか?」
もう一度、何とかの一つ覚えだ、どうとでもなれ!
「アブダ、カタブラ~!」
その時ですよ。あたしの右手の甲に描かれてあった
魔方陣からその絵柄がそのまま、光になって
あたしの頭の上に何か大きな光の輪みたいに浮かんできて、
そこからおびただしい程の光の帯があちこち放出され、
そこら中の地面を焼き焦がしたりしながら、
オオカミ男にも襲い掛かった。
奴の全身あちこちにその光の帯が突き刺さり、
無言のままオオカミ男は、
あたしの目の前で、
くだけ散った!!
「イヤァ~ッッ」
今度こそあたしは遠慮なしに、山向こうまで聞こえる見たいな声張り上げて、
絶叫してしまった。
そこから後は覚えてない。
だって気を失ったみたいだしね。

魔女ポプリ(4)

いやあ何だな、久しぶりにごちそうってもんを食べた気がするな。
何せあたしってこの村の救世主らしいからな。
まだ何にもやってないけどね。
一体村の人あたしに何やって欲しいんだろうなあ。
どうせ魔法一つ使えないけどね。
そう言えばお師匠に聞きたかったことがあったんだが、
この右手の甲にね、何だか知らんけど
魔方陣みたいなのが墨か何かで描いてあるんだ。
あたしがすやすや眠ってる隙にね。
お師匠これ一体何なの?って聞こうと思ったら、
突然いなくなっちゃうし。
でも朝ごはんの支度はしてあったけどね。
本来なら弟子ってば、お師匠いなくなったんなら、
どこへ行ったんだあって、探しに行くのが普通なんじゃないの。
あんなお師匠、どうなったっていいけどね。
一度も魔法使わせてくれなかったじゃないの。
ほんとはあたしだって、魔法の一つや二つ、使えるんだから。
自信はあったんだからね。
なにせあのちぢんでたドラゴン、よみがえらせたんだから。
有無を言わさず魔力を吸い取られたんだけどね。
「あの~、魔導士どの、そろそろ構いませぬか。
村の者も先に話をしとかないことにはと申しておる故。
ささやかなおもてなしではありましたが、ご満足なされましたか。
どうか私らの頼みを聞いてくださいまし」
この人、村の長老さんだな、きっと。一番年取ってるし。
他の人らは大体普通の若い衆みたいで、女の人もいるな。
大体20名くらい、えらい小さい村だな。
もしかしてほとんどがあれにやられたのかな。
まさかと思うけど、
何か分からないあれを、
退治してくれって言ってるのかしらね。
「そう、その通りでございますじゃ。
よお我らの願い事を察していただけましたな。
さすがは魔導士、お見それしました」
そうなの?ついいつものくせで
ひとりごと言っちゃっただけなんだけどね。
「あれの正体をまだご存知ないと思われるので、一応ご説明しときます。
かれこれ一週間前でした。最初の犠牲者が出たのは。
やはり村の共同畑に向かう農道で、かなり暗い夜道のことです。
あれの亭主がむざんな姿で殺されてました」
スキンヘッドなおっさんが、さっき居た奥さんの方を指さして言うのね。
そうか、それで彼女ここに居合わせてるのかしらね。
「目撃者は数少なく、そのほとんどがあれにやられたようです。
既にこれで5人目にあたります。ここんとこ毎日のように
誰かが犠牲になり、いっそのこと村を捨てて出て行こうかなどと
申すものまで出る始末」
結構切羽詰ってるな、この人ら。やっぱしあたしじゃ無理だわ。
何とか強引にお断りしようかな。
ごちそう頂いた後で申し訳ないんだけどね。
「それはどうも人狼のようだったと、唯一の目撃者が申しております。
背が高くて、体中が黒い毛でおおわれた、
かろうじて人の面影を残した凶悪なモンスター。
しかも今夜は満月、おかげで外はうす明るいのですが、
もしも人狼が事実ならば、今夜どんな被害が我らにふりかかることか。
人狼は満月の夜、もっとも凶暴になると言われています。
そして、その間はほとんど不死の体になると。
もはやこの村の者では太刀打ち出来るものはおりませぬ。
どうか、今晩外を見回りに出て頂いて、
運良く遭遇された時には、速攻で退治して頂ければと」
運悪くだろ?そんなもんにあったが最期、食い殺されるだけじゃん。
いつもみたいに小言言おうとしたら、
突然どこから現れたか知らない大男二人が近づいてきて、
あたしの両手を根元からひしっとでかい手でつかんで、
問答無用でそのままずるずるって、このうす暗い表にほり出そうとしてる。
「それじゃあ頼みましたよ。
村人一同しっかり家に施錠して、影ながら応援しとりますので。
くれぐれも、お逃げなさらぬように。
この者たちよりも、
もっと物騒な輩を自警団として組織しております故」
だったらその物騒な輩さんら一杯使って、
一気に片付けたらいいでしょ。
ああ何て不幸なのあたし。
今宵はオオカミ男のいけにえにされるのかな。
こんな時にドラヤキがいてくれたら、あれ違うな
ドラ夫だったかな。もうどうでもいいや。
誰か、助けて・・・

魔女ポプリ(3)

あいつどこ行った、ドラモン。
何かに似てるって?きっと気のせい。
ドラゴンだからドラモン、ああ何て分かりやすいネーミング。
使い魔にして下さいって言っときながら、
さっさと行方くらましやがって。
そんな名前やだとか言ってたっけ。
まあいいか、それよりあたしの新しい旅立ちに乾杯!
わき水だけどね。
あんなお師匠の隠れ家にじっとしてるいわれなんかないわ。
すぐ戻ってくるからって言っといて、
一体いつまで待たせるつもりなの。
今日で3日目だけどね。
きっと見捨てられたに違いないんだ、そう決めた。
だからもうあたしは自由ってわけよ。
見つかると事だけどね。
でも何であたしはあんなとこにずっといたんだろ?
さして魔法もろくに教えてもらわなかったし、
ただの小間使いだったわね。
くそ何か話がうまいと思ったんだ。
うまいことだまされて、
こき使われたわけね。

あれ何か人集まってる、ここって天下の公道だよね。
ちょっと面白そうだから見てこうか。
「ああ何てことだ、これで5人目だ」
「どうにかならないものか」
「このままじゃあ、村人が全滅してしまう・・・」
何かみんな暗そう。げっやなもん見てしもた。
それは誰か知らないけど、無残な亡骸のような、
もう何か形も残ってないくらいぐちょぐちょな、
ああやだ、想像したくもない。
何かやばそうなんで、とっととあっち行こう・・・
「お待ちくだされ、旅のお方」
「おお、あれはまさしく魔導士どの」
「村の救世主が来られた!」
おいおい、ちょっと待て。
話のなりゆきが見えないんですけど。
かくして自称魔女のあたしポプリは、
村の救世主呼ばわり受けて、
えらいことに巻き込まれることになったとさ。
これマジやばいんだけどね。

P.S. このままとっとと続き書かずに
逃げようか。



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