モットの髪は銀色に輝いていた。隅田川の心地よい風にモットは目を細めたこう言った。「ひとみ・・・それから、その金属の物体はどうなったの?」私は、小林先生からは口止めをされていたのだが、モットの言葉は魔法の様に私のそういった気持ちを解き放ってしまった。「うん、何か政府の秘密機関が持ち去って行ったみたい・・・今、アメリカと共同で研究を始めたって・・・小林先生もそのメンバーに入っているんだって。」モットはまた遠くを見つめてこう言った。「ひとみ、地球に住んでいたのは俺たち人間だけじゃないんだ・・・その金属の物体は彼らの乗り物・・・そう命をつなぐための乗り物なんだ・・・彼らは大昔から人間と戦ってきたんだ・・」モットは私の方に振り向きこうも言った。「俺は彼らと戦う為に生まれてきたんだ。彼らの名前はシーケイダ・・・とても人間の勝てる相手じゃない」私はモットの言っている事をできるだけ理解しようとしたけど判らなかった。「でも人間はこうして生き残っているんじゃない?」モットはうなづいた。「たまたま、前回の戦いは幸運だっただけだ。彼らの文明は俺たちのはるかかなたにあるんだ。かれらは今もこの地球の奥深くに何十億ものカプセル、そうあの物体に入って生き続けているんだ。そして戦いはこれからまた始まろうとしている。」隅田川に雨が降り出した。夏の日の夕立だった。
それは、金属自体が発光していて本当に心が奪われる様な物体だった。今までに経験した事が無い様な気分になった。どうやら他の人も同様の様で皆、目がうつろだった。私は小林先生に向かって言った。「せ・せんせい・・・これって・・」それから先は言葉にならなかった。東北大学の山城先生が・・・彼は小林先生の後輩だったのだが、その彼がポツンと言った。「警察に言った方が良いのでは・・・」しかし皆にはその声は届かなかった。皆は完全に心を奪われていたからだった。小林先生は突然、猛烈な勢いで自らの手で物体を掘り起こし始めた。もう誰も止める事はできなかった。そして2人3人と同じように何かに取り付かれた様に先生に同調した。そして1時間位たっただろうか、その物体の全貌が皆の目の前に明らかになった。その物体は大きさが2mほどあり、青い光をぼんやりと放っていた。しかし目を凝らしてよく見てみるとそれは透明で中の様子をうかがい知る事ができる様だった。小林先生はその物体に顔を近づけ中をのぞいた。次の瞬間、2m位後ろに飛びのいた。「な・・中に何かいるぞ!!」
私は、高校の考古学研究サークルに入っていた。サークルと言っても先生と生徒は3人だけのこじんまりとした物だった。夏の暑い日の事だった。私たち3人は顧問の小林先生と栃木県の星野遺跡に発掘のボランティアに参加していた。星野遺跡は東北大学によって調査が行われていて、小林先生は東北大学出身であったため、その関係で参加を許されていた。発掘調査が始まって3時間位たった時だったろうか、小林先生が叫んだ。「おい。これは何だ!」発掘の調査団は私たち3人を含めて総勢で20人位だったろうか、みんなが一斉に小林先生の方に集まった。小林先生が見つけたもの、それは明らかに金属でできた物体だった。青白く発光しておりいままで見たことも無い様な物体であった。皆に緊張が走った。私は言いようも無い恐怖を感じた。それは、とても地球上の物と言う感じはしなかった。
彼の自転車は荷台がなかったので、車輪の横に突き出たボルトに足をかけ彼の肩につかまっていた。隅田川の川べりをずっと下っていくともう海のにおいがしてきた。真夏の強い日差しの中で、自転車を止めモットと私は川べりに寝っころがって流れる雲を見つめていた。せみがすごい勢いで鳴いていた。これでもか・・・これでもか・・・と言う位だった。モットが言った。「せみは7年間地下で幼虫として生活し地上に出て7日で死んでしまうんだよね?その7日間で子供を作るためにオスはメスを呼ぶためにこれでもかっていう位に鳴くんでしょう?あれ鳴くのはオスだったっけ?」モットはそう言うと少年の様に微笑んだ。私はこう答えた。「そうオスだよ。おなかに鳴く為の器官があるらしいよ・・・」その時、私たちにはこれから起こる恐ろしい出来事について知る由もなかった。ただ、せみの声だけが隅田川に吹く風に乗って遠いかなたまで飛んでいく様だった。
東京の下町に彼は住んでいた。皆からはモットと呼ばれていた本名はわからない。年は多分17才か18才かどちらかだった。モットはとにかく彼の住んでいた町では知らない者はいなかった。子供の頃に駅前の10階建てのビルから誤って落下したが奇跡的に街路樹に落下した為、命は取り留めた。その時から、彼には何か人を寄せ付けない見えない力が備わった。町では奇跡の子供と呼ばれていた。話は10年程、さかのぼる。
彼のお気に入りの黄色いビューエルはいつもの心地よいサウンドを聞かせてくれていた。研究施設はモヘェットフィールドの郊外ではあったが、町そのものが小さな町であったのでほんの15分で到着した。エリックは愛車を駐輪所に止め社員通用口に母親のIDをスラッシュさせ研究所に入った。研究施設は人もいなくガランとしていた。彼は2Fにある母親の研究室の前まで来た。母親のIDカードを再度スラッシュさせ扉を開けたその瞬間、エリックは息を呑んだ・・・・そこにはまだ何人かの人間が仕事をしていたからだった。「やばい!!」と思ったが、どうする事もできず立ち尽くすしかなかったエリックであったが、研究員の一人が立ち上がりエリックの方を振り返った次の瞬間、その研究員の顔を見て、エリックは気を失いそうになった。なんとその研究員の皮膚は透明で透き通っていたからだった・・「ハ・ハイ」エリックはそう言うしかなかった。研究員はその透明の唇を動かし流暢な英語でこう言った。「リサの息子さんですね?お会いできて光栄です。我々はこの研究所で生まれました。この研究所を一歩も出た事はないんですが外の世界はモニターする事が許されています。あなたの事もモニターして知っていました。バイクがお好きな様ですね・・我々は人工的に作られた生命体なんです。」エリックはその研究員の透明な顔に赤い血液が流れているその動きが不思議な感じでまだ現実感が無かった。彼は話を続けた「人間は宇宙に行った事に一応なっていますが、本当は生身の人間は宇宙の放射能に耐えられないのです。そこで人工的に我々が作られ、人間になりすまし宇宙に行っているのです。このことは当然、米国の最高機密になっています。こちらにどうぞ、もっと面白いものを見せてあげましょう!」エリックはその透明人間?に導かれ隣の部屋に入った。その部屋は入り口は狭いものの中は野球場位の大きさがあった。そこでエリックが見たものは・・・宇宙船・・そうあきらかにUFOと呼ばれる空飛ぶ円盤だった。「こ・これは一体・・・」エリックは夢を見ているのかと思った。その研究員は言った。「UFOと呼ばれる飛行物体も実は地球製なんです。このテクノロジーは遠い古代,地球外生命体から与えられたテクノロジーで脈々と一部の組織に受け継がれて来ました。残念ながらそのテクノロジーは未だに地球のテクノロジーをはるかに超えたところにあります。それでは研究室に戻りましょう。」エリックは茫然
としながら研究室に戻ったが、次の瞬間意識を失った。そして目が覚めると自分の部屋のベッドの上だった。時間はもう朝の6時30分をまわっていた。頭ががんがんした。「なんだ・・一体何があったんだ・・」エリックは必死に思い出そうとしたが何も思い出せなかった。窓から差し込んで来る朝日がいやにまぶしい朝だった。
「エリック!もう寝なさい。何時だと思っているの?!」母親の怒鳴る声にエリックは答えた。「わかったよ。もう寝るよ。かあさんも明日、早いんだろ。寝たほうがいいよ。じゃ・・・GOOD NIGHT!」エリックは2階の自分の部屋に駆け上がるとベッドに入った。ここはカリフォルニアのモヘェットフィールドと言う町だった。彼の母親は彼の小さな時に離婚をして現在はNASAの研究施設に働いていた。正直エリックは母親がどの様な仕事にかかわっているのかは知らなかったが、彼女は離婚した父親と同じく生物科学すなわちヴァイオテクノロジーの分野の研究をしていた。現在、父親はパサディナの研究所に勤務しており、1か月に1度会うか会わないかと言う感じであった。エリックも高校生になって母親の勤める研究施設の清掃関係のアルバイトをしていた。その夜は、蒸し暑い夜で、エリックはなかなか寝付けなかった。夜も12時を回った時、エリックは明日学校のクラブ活動でどうしても必要な資料を研究所に忘れてきた事を思い出した。「やべー、あの資料がなきゃ明日の研究発表はできないじゃないか?何をしてるんだ俺は?!」それはエリックが所属する天体研究クラブの年に1回の研究発表には欠かせない資料だった。エリックはそっと階下におり、家を抜け出そうとした、その時、彼の目にとまったのが母親の研究施設のIDだった。実は研究施設にはそれぞれのIDの権限に応じて入れる施設が限定されていて、当然、彼のIDでは研究室関連の部屋には入れない様に限定されていたのである。以前からエリックは母親がどの様な研究をしているのか非常に興味があった。一度母親に聞いてみたこともあったが、母親もあまり話したくない様でうまくはぐらかされてしまった。どうも父親との離婚の原因もこの研究にあった様で、父親とも研究の事で言い争っていた記憶がエリックにはあった。「よし、研究施設の見学ツアーと決め込むか?」エリックは愛用のバイクにまたがり研究所に向かった。悪いことをすると言う後ろめたさは彼には無かった。ただ、夜のカリフォルニアの風の心地よさに気分が高揚した。
ニールはジェレミーホテルの向かいのビルの屋上にいた。彼は屋上に愛用のスナイパーライフル1448をセッティングした。そして1448のスクリーンボタンを押した。ニールの目の前に801号室の様子が手に取るように現れた。1448はそのスクリーンボタンで一旦、ターゲットをロックしてしまえば追跡システムが作動しターゲットを100%確実にHITする事ができた。ただし、相手がシールドを装着している場合は手の打ちようがなかった。しばらくすると男が801号室に入ってきた。背格好はニールと同じくらい180cmは優に超えていた。「おいでなすった。」ニールはつぶやいた。次の瞬間ニールは息を呑んだ。ターゲットは自分と同じ顔をしていたからだ。「こ・これは俺じゃないか?」ニールはサイモンをスクリーンに呼び出そうとコールした。が、サイモンは出てこない。「おい、おいどうなっちまったんだ・・・俺は俺を殺さないといけないのか?」ニールの額に緊張の汗が一筋伝った。シールドに雨の叩きつける音が一段と大きくなった気がした。「ニールおいどうするんだ?自分で自分を殺すのか?おいお前はいったい誰なんだ?」ニールは混乱した。過去に自分がこの世から抹殺した人物の顔が次から次へと目に浮かんだ。彼らがニールに言った。「お前はプロのヒットマンだろ。何を躊躇しているんだ。お前は与えられた任務を確実に遂行することだけを求められているんだ。それがプロと言うものだろ!」ニールは叫んだ「そうだ、それがプロの仕事だ!俺は自分を殺す事に躊躇しているんでは無い。ただ、ただ・・・」ニールのスナイパーライフルが火を噴いた。
ニール・シンプソンは22世紀のスナイパーだった。正確には2130年のイギリスに生きていた。そう確かに生きていた。彼はイギリスの特殊部隊センチュリーに所属をしていたが、2年で部隊を辞めている。理由は不明だが、間違いなく政府の仕事を請け負うスナイパーだった。もしかすると除隊は名目上の話で政府の要請でニールはスナイパーをしていたのかもしれない。そう、それは雨の降る6月の話だった。「12番のジャガーを出してくれ。」ニールは駐車場の係員にそう言った。そのシルバーのジャガーは自走装置によって
ニールの目の前で止まった。「ありがとう」駐車場の係員がシールド傘をニールが車に乗り込む際にさしてくれた。実際には何も無いのに雨がシールド傘の表面を叩く音がした。ニールがジャガーのドアノブを触っただけで生態認証が行われドアが自動的に開いた。ニールは駐車場係りにチップを渡しジャガーに乗り込んだ。水素エンジンの音を響かせ静かに駐車場を出た。ニールはウォーレンストリートに向けて車を走らせた。シールドワイパーが雨をはじき視界は良好だった。ニールはもう一度、今日の任務を確認する為に
ウィンドウ スクリーンに政府機関からの指令画面を再生した。サイモンの顔が映り彼はこう言った。
「ニール、今回のターゲットは君と同じスナイパーだ、非常に優秀なスナイパーで、今回は君にとっても
タフな仕事になるかも知れない。心して取り掛かってくれ。相手の名前は判らない、とにかく優秀なスナイパーでジョナサン首相を狙っている。やつがウォーレンストリートのジェレミーホテルにいると言う情報がCTUに入った。時間がない。即座に始末して欲しい。801号室に奴はいる。幸運を祈る。」ニールは雨のウォーレンストリートに到着した。
ラガシュは3人の後について川に向かった。次の瞬間、ラガシュは信じられない光景を目のあたりにした。なんと川が二つに割れ地下に続く階段が現れていた。「恐れることはない。」その魚人間はラガシュに言った。
そして地下に続く階段を下り、大きな部屋に案内された。そこには同じ魚人間が他にも2人いた。「ラガシュ、勇気あるシュメールの英雄よ、君に文明とは何かを見せてあげよう。そこの椅子に座り見てなさい。」魚人間はそう言い、椅子の様な物体を指差した。ラガシュはおとなしくその指図に従った。ラガシュは言った。「あなたの名前はなんと言うのですか?なんと呼べば良いのですか?」魚人間は言った。「人間は私たちの事をフィシャーマンやシャーマンと呼ぶ。どちらでも良い好きな言い方をしてくれ。それでは文明を見せる。しっかりつかまっていてくれ。」そう言うとその部屋は低い音を発し振動を始めた。そして次第に壁が透き通って来て映像が映り始めた。それはこれから人間が行う戦争の歴史であった。さまざまな戦争が映し出された。特に原爆の投下された映像はラガシュにショックを与えた。そして次に映し出されたのは9.11のワールドトレーディングセンタービルの倒壊シーンであった。ラガシュは息を呑んだ。「これが、文明と言う物なのか?いったい人間は何を求めているのか?」ラガシュは悲しくなってしまった。すべての映像が終わった時には
ラガシュは川辺の焚き火のそばの木の下にいた。「あれは何だったのだろうか?」ラガシュは茫然としていた。月の光を受けてラガシュの手に握られたカンデランが輝いていた。ラガシュはそのカンデランを川に投げ込み、月を見つめ誓った。シュメールをすばらしい世界にすると言う事を・・・・