「エリック!もう寝なさい。何時だと思っているの?!」母親の怒鳴る声にエリックは答えた。「わかったよ。もう寝るよ。かあさんも明日、早いんだろ。寝たほうがいいよ。じゃ・・・GOOD NIGHT!」エリックは2階の自分の部屋に駆け上がるとベッドに入った。ここはカリフォルニアのモヘェットフィールドと言う町だった。彼の母親は彼の小さな時に離婚をして現在はNASAの研究施設に働いていた。正直エリックは母親がどの様な仕事にかかわっているのかは知らなかったが、彼女は離婚した父親と同じく生物科学すなわちヴァイオテクノロジーの分野の研究をしていた。現在、父親はパサディナの研究所に勤務しており、1か月に1度会うか会わないかと言う感じであった。エリックも高校生になって母親の勤める研究施設の清掃関係のアルバイトをしていた。その夜は、蒸し暑い夜で、エリックはなかなか寝付けなかった。夜も12時を回った時、エリックは明日学校のクラブ活動でどうしても必要な資料を研究所に忘れてきた事を思い出した。「やべー、あの資料がなきゃ明日の研究発表はできないじゃないか?何をしてるんだ俺は?!」それはエリックが所属する天体研究クラブの年に1回の研究発表には欠かせない資料だった。エリックはそっと階下におり、家を抜け出そうとした、その時、彼の目にとまったのが母親の研究施設のIDだった。実は研究施設にはそれぞれのIDの権限に応じて入れる施設が限定されていて、当然、彼のIDでは研究室関連の部屋には入れない様に限定されていたのである。以前からエリックは母親がどの様な研究をしているのか非常に興味があった。一度母親に聞いてみたこともあったが、母親もあまり話したくない様でうまくはぐらかされてしまった。どうも父親との離婚の原因もこの研究にあった様で、父親とも研究の事で言い争っていた記憶がエリックにはあった。「よし、研究施設の見学ツアーと決め込むか?」エリックは愛用のバイクにまたがり研究所に向かった。悪いことをすると言う後ろめたさは彼には無かった。ただ、夜のカリフォルニアの風の心地よさに気分が高揚した。