日本語好きな人、寄っといで -26ページ目

 「日本語の音相」販売のお知らせ

book

  「日本語の音相」は、すでに絶版となっておりますが、当研究所より希望者の方に販売します。
購入ご希望の方は、次のアドレスに下記項目を記入の上ご連絡ください。
①郵送希望先住所(郵便番号も記入ください)②氏名(ふりがな)③電話番号④購入冊数
注文先アドレスhttp://www.onsonic.jp/contact/index.html


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ことば分析1 「花火」

 夏の夜空に大輪の花を開き、瞬時にして「無」の空間へ消えてゆく…そんな花火の華やぎと儚さを、音相分析は次の表情語で捉えています。

 「高級感、充実感、静的、暖かさ、強さ、シンプル感、優雅さ」また、体験版では省略してありますが、それらを情緒解析欄では「人肌の温もり感、情緒的、クラシック、神秘的、夢幻的、哀感、不思議な感じ、大らかな感じ」でフォローしています。

 このような表情は、マイナス高輝性、逆接拍、濁音の多用から生まれたものですが、夏の夜の風物詩「花火」がもつイメージを一点の見落としもなく音響的に表現したまことにすぐれたことばであることがわかるのです。                               (木通)

ことば分析2 「団扇」(うちわ)

  次に、花火につきものの、「団扇(うちわ)」という語の音相を分析してみましょう。

 表情解析欄の上位に「庶民的、賑やかさ、シンプル、若さ、爽やかさ、動的、合理的、軽快感」等があり、前にあげた夢幻的な花火と反対の、庶民的、日常的、実用的な表情語が並んでいますし、情緒欄では「クラシックさ」を、コンセプトバリュー欄では、「簡便さ」「夏の風情」をなど捉えています。このような表情は、有効特性欄にある順接拍構成、プラス輝性、イ音の多用から生まれたものであるのがわかります。

 「花火」とはまったく違うが、これもまた美しいことばであることがわかるのです。                               (木通)

音相理論でなぜ名付けができるのか

 [みさき]という名前を聞いて、多くの人が「明るく活発な子」を想像したり、「イチロー」に「健康で行動的な子」をイメージしたりします。
それは日本人の誰もが、ことばの音に同じような音相感覚をもっているからです。

 生まれたときから「あいこ、あいこ」と呼ばれて育ち、自分自身を[あいこ]と意識してゆくうちに、この名の音がもつ表情がその子の表情となり、雰囲気となり、性格の中へと入って行くのです。それは極めて自然な心の流れといってもよいでしょう。
名前の音と人の性格の間にはこんな係わり合いがありますから、名前の音を分析すると、その人が基本のところで持っている性格がわかるのです。

 したがって、赤ちゃんの名前を考えるとき、「こんな子に育ってほしい」と思ったら、そういう子になるような音の入った名前をつけてあげなければならないのです。
 このことを具体的に説いているのが音相理論を用いた名付け法です。

(木通)

「音相」と「音象」とは大違い

 当社の登録商標である「音相」とよく似た「音象」ということばがホームページなどで最近時々見られるようになりました。調べてみると、理論も根拠もない、大衆をアッと驚かすだけの他愛ないもので、ことばの音のイメージ研究を営々と50年間行ってきた当研究所がこれと混同されたりしてたいへん迷惑をしています。


 「音象」という語の起こりは、昨年「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」(黒川伊保子著、新潮新書)が発行され、テレビで著者の派手なパフォーマンスがあったことがはじまりでした。 
 この書の著者は、当研究所に3年ほど、たまに出入りをしていましたが、深く研究するようなこともなく、ことばが作るイメージを、一部の五十音を単音単位で取り上げて、それに当所が開発した果実の一部に自分の主観を入れて、「これは潜在脳の機能を説くものだから文句なしに信じなさい」という内容のもの。
 そのように説く以上、潜在脳とイメージの関係を理論的に説明するのが筆者としての義務であり、私もそれを本人に求めたのですが、1年を経た今もまったく回答ありません。
 複雑な構造を持っている「ことばのイメージ」が、単音のようなラフなもので捉えられるはずがないのです。
 これについては、すでに評論家宮崎哲弥氏の書評(「諸君」04年10月号)や作家山本弘氏のウエブの掲示板に厳しい指摘があり、また後藤和智事務所のHP[若者報道と社会]では後藤氏がその暴論ぶりを論駁しておられます。心ある方にご一読をいただければと、その論文を《リンク》させていただきました。

 後藤氏が指摘しておられるように、「音象」は何の知識も持たない素人に「潜在脳」などというわけのわからぬ呪文をかぶせて、目晦ましをしているだけのものなのです。
 また、当研究所を訪ねるまで知ることのなかった「語音が作るイメージ」の存在やその構造などの教えをうけた私を前に、「これまでことばの音のイメージ研究を行なった人は、世界中どこにもいなかった。これは私が始めて行なった世界初の研究だ」(同書)などと臆面もなく広言する。学術的にも、文筆を業とする人の道義からも、ただあきれるばかりです。


 単音だけでイメージが捉えられるのはごく一部の音の、それもごく限られた範囲でしか認められない「お遊び」程度のものなのです。
 ことばが奥深くに持つイメージは、単音を構成している調音種やそれらの重なり合いから生まれる表情や、いくつかの表情語の響きあいから生まれる「情緒」を総合することにより、初めて得られるものなのです。     (木通)

むずかしい新子音の使い方

モダンだがよそよそしさも


 昭和の、とりわけ終戦以後に広く使われるようになった子音を、私は「新子音」と呼んでいる。新子音にはティ、トゥ、ディ、ドゥ音、ヴァ行音、ファ行音とその幼音がある。拗音とはドゥに対するデュのように二つの子音を持つ音節をいう。


 新子音はその昔、撥音(ンの音)、促音(ッの音)、拗音といった音が、漢語の流入を契機に使われるようになって以後、日本語が久方ぶりに獲得した新たな音韻と位置付けることができる。英語の流入などがその背景にあることから、新子音が使われることばには新しさやモダンさや西欧風のムードがあり、最近はネーミングなどに意図的に使われるケースも増えている。

 だが、この音はそういう音相を持つ半面、ネーミングとして使うには好ましくない「よそよそしさ」と「言いにくさ」という大きな欠点を持っている。
 学者の中には、日本人の口辺の筋肉の付き具合からみて、ヴァ行音の正しい発音は基本的に不可能だという人もいるほど。この種の発音が不得意ということから、日本人はこれらの音を生理的な面から拒む傾向を持っている。

 そのことは、「ディジタル」「ティケット」「ヴォイス」「ドゥリンク」などを「デジタル」「チケット」「ボイス」「ドリンク」に読み換えないと普及できない多くの例を見れば明らかだ。これらの音が一般に使われはじめて半世紀近くなるが、だれもが原音を自然に発音できるようになるには、さらに長い時間を要することだろう。


 だが、現在でもこれらの音が割合抵抗無く受け入れられている例が一部にある。その例を次に示す、
 セフィーロ(車)、オプティ(車)、ディアマンテ(車)、ハンディカム(カメラ一体型VTR)、テスティモ・ルージュ(口紅)、フェアルーセント(化粧品)、ニフティ(社名)、フェイス(社名)……

 いずれも、よそよそしさや言いにくさという欠点を逆用した例といえようが、こういう冒険ができたのは、会社の業容や商品コンセプトに「西欧風」や「先端性」などをとりわけ多く持っているからだ。大衆性や汎用性の高い商品などに使った時はその成功度は相当低いといってよいだろう。
 新子音にはイマっぽさやカッコ良さがあり、つい使いたくなる音ではあるが、日本人には基本のところで近づきにくく、人肌のぬくもりを感じにくい音なのだ。
 使ってみて一応格好がついたようにも思えても、このマイナスは目に見えないところで人気の足を引っ張り続ける要因になることを忘れてはならないだろう。


(日経産業新聞ネーミングNOW 1995.01.26)

意味より音への時代がきた

ビール工場を分析


 最近のネーミングには、「ビール工場」や「焙煎麦茶」「小さなチーズケーキ」「そのまんまトースト」のように、商品の材料や工程を素材にしたものが増えている。即物的でロマンがないという人もいるし、面白ネーミングやこの種のものの出現は、「意味」を中心で考えてきたネーミングの行き詰りを示すものだという人もいる。

 ネーミングは多くの関係者たちの時間をかけた討論の中で生まれるから、意味や理屈は人を説得しやすいし、うまく使えば印象度を高める効果にもなる。
 だが、ネーミングの受け手である消費者は、よほどのものでない限り、意味にはあまり関心がなく、語音の響きや字形など、感覚的なものによって評価を決める傾向が強い。
 この食い違いが見落とされているところに、今のネーミング作りの問題点があるようだ。


 前出の「ビール工場」を、一般の消費者たちがどんなイメージでとらえているかをみてみよう。
 語音を分析すると、この語には下表のような六つの特徴があることがわかる。


「ビール工場」の音の特徴
 1.語音の明るさ -B6(陰指向の高い語)
 2.調音種の数  6音種(標準より少ない)
 3.母音の種類  3種(標準より少ない)
 4.有声音の数  6音(標準より多い)
 5.頸輝拍の数  3音(標準より多い)
 6.逆接拍の数  3音(標準より多い)


公式を使ってこれらを組み合わせていくと、有効なものとして次のような表現が表れる。

 1×6…雅(みや)びやか、豪華、文化的、落ち着き、安定感
 2×6…異質感、男性的
 2×5…鋭さ、強さ、男性的、異質感
 2×3…異質感、個性的
 3×5…強さ、鋭さ、新鮮さ、男性的、異質感
 4×5…落ち着き、豪華、安定感
 5×6…落ち着き、豪華、安定感

 ここで数多くでてきたものは、種々の角度からとらえられた信ぴょう性の高い表情といってよいものだ。それらを中心に文章にすると「豪華さ、異質感、重厚感のある男性的な語」という評価が生まれ、その周辺に「文化的」「新鮮さ」「鋭さ」などのニュアンスを含んだ語であることが明らかになる。
 「ロマンに欠ける」といわれる前記の商品名も、音の面から見直すと、このような新たな味わいと存在感がみえてくる。意味的な納得よりも語音のイメージが尊ばれるこれからのネーミングの一つのパターンといって良いようである。(木通)


(日経産業新聞ネーミングNOW 1993.06.16)

ビールの音相と人気について

明るい商品イメージ 重厚な言葉使い表現


 ことばの音の明るさや暗さを測る尺度として、「総合音価」というのがある。明るさや活性感のあることばは一般に総合音価がプラスとなり、ゴージャス感、重厚感や暗いイメージのものはマイナスを向くのが通例だ。


 ビールに対して多くの人が抱くイメージはスポーティー、庶民的で明るい感じのものだといえようが、そのネームを分析するとマイナス指向のものが大変多いことがわかる。この商品を明るさの方向からとらえたものに総合音価+B1の「一番搾り」がある。このネームは語音の強さがきわめて高く(H10)、八種類の調音種をすべて使い、輝性の揺れも+- +-と上下に大きな振幅を作って活性的で明るい響きを強く打ち出しているのが一見できる。一番搾りはこれまでのビールのネーミングの傾向を大きく方向転換させたところに人気が出た隠れた理由があったのではないかと思われる。
 ビールという商品のイメージをマイナス指向(ゴージャス感や重厚感)でとらえることはそのコンセプトから見てやや無理があり、他によほど優れた要素がない限りネーミングとしての成功は難しいといってよいだろう。

 また「スーパードライ」と「キリンラガー」はいずれも輝性の揺れにプラスを入れて語のマイナス化をカバーしており、ともに優れたネームであることがわかる。
 次にゴージャス指向のものの中には-B9の総合音価を持つ「ビア・ヌーボー」が光っている。輝性(語の明るさ…Bの値)の高い三音をすべてマイナス方向に抑えたうえ、調音種比を低めて厚みのあるゴージャス環境を作っており、マイナス指向のネームの中でとりわけ豊かにそれを表現していることがこの表からわかる。


(日経産業新聞ネーミングNOW 1990.11.21)

音相は、ことばの機微を捉える

・・・ ある生保会社の実験より ・・・
 電話によるセールス、「テレマーケティング」を行っているある大手生命保険会社がかかえている課題は、平素取扱者に十分な指導訓練を行っていても勧誘成績の上がる人と上がらない人がいることと、種々検討を行ってもその原因が不明なことでした。
それが、ことばの音の使い方によるものではないかと思いつかれた幹部の方が、当研究所を訪ねてこられました。

 成績優良者と、良くない人30人づつの実録テープを聞きましたが、普通に聞くかぎりほとんど区別はつきませんでした。
 その原因が、取扱者の仕事への取り組み方の違いにあるのではと考えた当所では、心理面や感性面を捉える際に有効な「音相基」(注)の使用状況を調べることにしました。
  (注)音相基とは破裂音、有声音、多拍、少拍、濁音など、

  ことばに表情を作る40種類の音の単位をいいます。

 電話セールスを行う人には次の2つのタイプがあるようです。
1 商品の品質の良さや、事業や会社の社会的貢献度などを意識しながら発話するタイプ。
2 そうした意識をソフトなことばに包んで発話するタイプ。


 十分な訓練を受けている人たちの場合、両者の間には微妙な差しか生じないはずですが、①のタイプの人たちは、硬い響きを作る破裂音系(パ行、タ行、カ行)の音が入ったことばが自然に多くなるはずですし、ソフト・ムードで訴える人は、穏やかさを作る摩擦音、流音、鼻音などが多くなり、破裂音系の音は減少するはずです。

 そこで60人の実録テープをもとに破裂音系の使用状況を調べた結果、成績優良者は不良者に比べ破裂音系の音の使用が15%も多く、また破裂音系の通常の使用標準より少ない人は優良者にはなく、不良者には40%の人が見られました。
 保険会社では、この調査結果をもとにして、取扱者の訓練や新規採用方針などに幅広く利用され成果をあげておられるそうです。

 ことばの「音相」が人の心に与える影響の大きさのことはこれまで種々の機会に述べてきましたが、この調査によって、普段、音相などに関心のない人たちでも、相手が使う破裂音系の音の僅かな違いで商品への信頼度を高め、「加入」を決める動機になっていることが明らかになったのです。
音相に無関心な人たちが、なぜそうっした高度な判断ができるのか。
 それは日本人の誰もが音相感覚という共通の遺伝子を先祖伝来持っているからで、流行語が数日を経ずに国中の人が使いはじめるなども、日本語の音相という遺伝子の働きによるのです。
 音相は人の思考や行動を内面から規制しますから、企業内で多発しているこのような行動科学的な課題にも広く応用できるのです。(木通)

ニート、フリーター、プータローを比較する

研究員レポート



「ニート」
 学校には行かず、職にも就かず、世間に背を向けて暮らす若者たち…これがこの語の実態といってよいようです。英語の頭文字をとった呼称のため「ニート」そのものに意味はありませんが、この語の音を分析すると、イ音の使用が多いため「異常感(普通でない感じ)」が強いうえ、逆接拍が多いため活力がない、後ろむきの姿勢が感じられますし、拍数の少なさから物事をあまり考えない単純な内容をもった語であるのがわかります。
 その実態を適切な音を使って表現したまことに優れたことばであることがわかるのです



「フリーター」

  学校は卒業したが、定職には就かず、気分次第で次々にアルバイト先を変えてゆく若者を指した和製英語。
 音相を分析すると「イ音の多用」と「順接拍」、「プラス高輝性」、それに「複雑度ゼロ」が目立ちますが、これらの音の響き合いから、「単純な中に現代的な異常感や無責任さ」が感じられる、実態をうまく捉えたことばであるのがわかります。




「プータロー」

 この語の実態は、就職に奔走はしたがどこの会社にも採用されず、やむなく浪人。だが、それをとりわけ気にすることもなく、「無職を楽しむ」面ももっている…
 この語の音相的な特徴には、「オウ音」と「逆接拍」の多用が作る暗く重たいイメージと、情緒解析欄の「大らかさ、孤高感」から生まれる、半ばあきらめに似た開放感と哀歓がある。

 人々に人気のある語は、このようにどの語を見ても、意味にふさわしい音(音相基)をもっているのがわかります。   

 今の世で特殊な生き方をしている「ニート」と「フリーター」。それに30年ほど前からあった「プータロー」は、それぞれの実態の違いを音相がどのように捉えているかを音相分析で明らかにしてみました。 学校は卒業したが、定職には就かず、気分次第で次々にアルバイト先を変えてゆく若者を指した和製英語。
 音相を分析すると「イ音の多用」と「順接拍」、「プラス高輝性」、それに「複雑度ゼロ」が目立ちますが、これらの音の響き合いから、「単純な中に現代的な異常感や無責任さ」が感じられる、実態をうまく捉えたことばであるのがわかります。
ことです。