こんばんは。

アレテーを求めて~

今日もトコトコ( ・ω・)

弁護士の岡本卓大です。

 

宇宙一わかりやすい僕らの憲法のお話( ・ω・)

 

 

今回のテーマは、

 

『三権分立 独裁者を生まないためのシステム』

 

です( ・ω・)

 

みなさん、第一話の立憲主義のお話で、例に出した独裁国家の憲法

覚えているでしょうか?

 

 

1 国王の命令は絶対である。

2 国王は、いつでも国民に税金をかけられる。

3 国王は、いつでも国民を死刑にできる。

4 国王は、いつでも国民に労役(強制労働)または軍役(徴兵)を課すことができる。

5 国王は、単独で、他国との条約締結等の外交

または戦争の開始あるいは戦争の停止を決定できる。

6 軍の最高指揮権は国王に属す。

7 国王の権力は、いかなる者にも制限することができない。

 

もし、仮に、あなたがこんな憲法のある国に生まれてきていたとしたら、

あなたの人権が守られることはあるでしょうか?

 

答えは、否です。

 

すべてが独裁者である国王の思いのままの世界。

それは、そこに生きるすべての人間が

独裁者である国王の奴隷のようなものです。

 

では、仮に、この憲法を少し修正してみればどうでしょうか?

 

1 国王の命令は絶対である。

2 国民に税金をかけるには国王の諮問機関である議会の承認を必要とする。

3 国民に刑罰を科すためには、国王の名による裁判所による裁判が必要である。

4 国王は、他国との条約締結等の外交または

戦争の開始あるいは戦争の停止を決定する際には、国王を輔弼する(補佐する)

内閣に諮らなければならない。

5 軍の最高指揮権は国王に属す。

6 国王の権力は、いかなる者にも制限することができない。

 

議会や裁判所、内閣が出てきました。

これなら、国民の人権を守ることができるでしょうか?

 

答えは、否です。

 

形式的に、議会、内閣、裁判所が出てきても、

それが絶対権力者である国王の諮問機関、補佐機関、王の名に基づく裁判をする機関であれば、

それは、結局は、独裁者である王の意思でなんでも決定できることと変わりません。

形式的な三権分立のように見せたシステムがあるだけでは、独裁の歯止めにはならないのです。

 

万世一系、神聖不可侵の天皇を統治権の総覧者としていた大日本帝国憲法は、

天皇を補佐するという名目で行われた軍部の独裁を防ぐことができませんでした。

議会は、大政翼賛会により、なんでも承認するだけのものになってしまいました。

 

 

ここで、少し、我々の世代の司法試験合格者のほぼ全員が読んでいるであろう

芦部信喜先生の「憲法」から、権力分立(三権分立)の記述を抜き出してみましょう。

 

権力分立は、国家権力が単一の国家機関に集中すると、権力が乱用され、

国民の権利・自由が侵されるおそれがあるので、国家の諸作用を性質に応じて、

立法・行政・司法というように「区別」し、それを異なる機関に担当させるよう

「分離」し、相互に「抑制と均衡」を保たせる制度であり、そのねらいは、

国民の権利・自由を守ることにある。

 

はい。ここ大事( ・ω・)

三権分立(権力分立)のポイントです。

 

①国家権力が集中=権力の乱用が起こる=人権、自由が侵される。

②権力を立法・行政・司法に分けて、「抑制と均衡」を保たせる。

③そのねらいは、人権・自由を守ること。

 

現代社会では、コスパがどうのといいますが、

一人一人の人権・自由を守るためには、独裁者にコスパの良い政治を

させてはいけないということになります( ・ω・)

 

日本国憲法でも、当然にこの三権分立を取っています。

立法権は、国会(憲法41条)

行政権は、内閣(憲法65条)

司法権は、裁判所(憲法76条)

とそれぞれの担当機関を独立させています。

 

このように、権力を三つに分けて、分立させる目的は、

権力の集中を防いで、

国民の権利・自由(人権)を守るためなんですね( ・ω・)

 

では、民主主義国家で、三権分立がされている日本では、

独裁者は、生まれ得ないか?

ここが、次回の記事につながる大きな問題です。

 

今、私が、独裁者になりたい極悪人であったとしたら、

これがあれば、独裁者になれるという簡単な方法があるのですよ。

 

それが、次に予定している

 

『補講』より深く憲法を知りたい人へ特別編

「今、知っておくべき緊急事態条項の問題」

 

です。

 

 

 

 

 

弁護士 岡本卓大の憲法連載シリーズ。

次回の特別編は、いよいよ、本丸の一つに切りこみます。

カミングスーン。

こう、ご期待( ・ω・)