2008年7月・熊本旅行(7)
- 阿蘇の自然に遊ぶ -
7月20日(日)。天気は快晴。
前夜は居酒屋で飲んだ後、部屋でも独り飲み直し、かなりの量を飲んだのだが、それでもスッキリと目覚めることが出来た。バイキング形式の朝食を頂き、ちょっとゆっくりと、9時過ぎにホテルをチェックアウトして出発する。
普段、旅行の際は少しでも多く色々観て回りたいからと、ついつい早起きして行動してしまうのだが、たまには少し遅めに起きてゆったりとしたプランで動くのもいい。
タクシーで駅へ向かい、ここからバスに乗車する。9時50分発の阿蘇山方面へ向かうバス。
バスは路線バスの扱いなのだが、さすが観光地と言うべきか、立派な観光バス風の車両がやって来た。乗車率は4.5割くらい。外国人の観光客も結構いる。
バスは街を抜け、すぐに阿蘇の山の方へと入って行く。山道をどんどんと登って行く。山道と言っても大きな道で、勾配もカーブもキツくは無いので、車酔いする様なことも無い。
車窓には阿蘇の山並みが映る。緑に覆われた山はなんとも優しい感じだ。
また、この辺りでは放牧が行われていて、たくさんの牛や馬が草を食んだり、水を飲んだり、遊んだりして思い思いに時を過ごしている。なんとものどかだ。
…が、ふと思った。
そう言えば、熊本の名産は赤牛料理に馬刺し。
と言うことは…ここで戯れている牛馬は食用か!! そう思って眺めていると、生き生きと遊ぶ牛馬がだんだんとただの肉塊に見えてくる。平和に過ごしている彼等をやがて待ち受けるのは突然にして理不尽な「死」。この一見牧歌的に見える光景も、実は案外とグロテスクな風景なのだ。…などと考えてしまう僕は少し病んでいるのかもしれない。
阿蘇の駅を出て40分。10時30分に、バスは「草千里」に到着。阿蘇の火口までは行かず、まずはここで降りる。
ここには、土産物屋や食堂などの施設が幾つもあり、そのうちの一角には「阿蘇火山博物館」「オルゴール響和国」がある。
「阿蘇火山博物館」の方は阿蘇山にまつわる色々な展示を行っている。短編映画(の様なもの)の上映も行っていて、ゆっくり観て回って40~50分くらいか。「オルゴール響和国」の方は入れ替え入場制になっていて、係員が付きっ切りで説明しながら様々なオルゴールの演奏を聴かせてくれる。
見学を終えて、草千里の草原へ。この草千里ヶ浜と言うところは、見渡す限り緑の平原が広がり、小高い丘やら湿地(沼?)やらと、とにかく自然いっぱいと言った感じの場所だ。日差しは厳しいが、青空の下、高原の風を浴びて草の香りを一杯に感じて歩き回るのはとても楽しい。
馬もいる。これは食用では無い(笑) 料金がかかるが、乗せてもらうことも出来る。
馬に乗って散歩。おおよそ5分程度だが、草千里の草原を馬の背中から見渡しての散歩は気持ちいい。かなり揺れるのでちょっと怖いが、係りのおじさんがちゃんと引き馬をしてくれるので安心。
草原に寝っ転がって青空を見上げる。太陽が眩しい…。
草千里で、自然の息吹きに包まれながら過ごす一時。気が付けば、ここで2時間あまりもの時を過ごしていた。
ここで再びバスに乗る。今度は火口を目指す。
バス停終点のすぐそばにロープウェイ乗り場があり、そこからゴンドラに揺られて5分ほどで阿蘇山の火口に辿り着く。
噴煙が立ち上がる阿蘇の火口。中にはエメラルドグリーンの水が溜まっている。火山が穏やかな時は、こんな風に湯だまり(火口湖)が観られるのだとか。
再びゴンドラでふもとへと降り、〆には阿蘇山上神社を参拝。旅の無事を祈願。(と言ってももう旅の3日目だが)
ところでこの神社。入り口の階段の真ん中あたりに木製の柵がかかっている。最初は、「あれ? 立ち入り禁止なのかな…?」とも思ったのだが、どうやらこの柵は「牛馬避け」と言うことらしい。この辺りに放牧されている牛や馬が境内に入り込むのを防ぐ為のもので、人間は柵の間を通って入って下さいと書かれてあった。
初めて訪れた熊本・阿蘇。半日たっぷりと阿蘇山で過ごしたが、とても楽しい、良い場所だった。火口も見応えがあって面白いのだが、しかしそれよりも何よりも、草千里が最高過ぎる。まさに大自然の楽園。やはり人間には緑が必要なのだ、などと思ってしまう。
さあ。これからはバスで駅へと戻り、そして再びの「あそ1962」乗車。目指すは熊本だ。
2008年7月・熊本旅行(6)
- 阿蘇での一夜・しかしその前にちょっとした事件 -
南阿蘇鉄道のトロッコ列車を満喫し、再び立野の駅へと戻った僕。しかし、ちょっとした事件が待ち受けていた。
南阿蘇鉄道の駅から、JRの駅へと入ると、列車が運休だとかなんだとか駅員氏が言っているのが聞こえる。どういうことだ?と思い尋ねると、阿蘇方面へ向かう列車が車両故障を起こし、ダイヤが乱れているのだとか。熊本方面へ向かう普通列車は遅れの為、先にやって来る特急列車に乗る様に(特急料金は取らない)と乗客達に案内している。
ならば、僕の向かう阿蘇方面はどうなるのか。再び尋ねてみると、車両故障だから列車はいつ来るのか分からないの一点張り。ならばどうすれば良いのかと聞けば、他の交通手段を使うしか無いとアッサリ言われる。
とは言え、こちらは地元の人間じゃあない。他の交通手段と言っても何が走っているのかサッパリ分からない。再び尋ねると、バスがあるとの答え。だが、駅近くにバス停など見当たらない。どこにバス停があるのか聞いてもまるで要領を得ない返答(恐らく把握してないのだろう)。結局、バス会社に電話し尋ねてもらい、国道まで出たところにあるから、あとは国道に出てからまた誰かに聞いて下さいと言った適当な答えが返ってくる。
まあ、仕方が無いのでとりあえず国道まで出て歩いて探してみるも、結局見つからないのだ。思うに、案内が幾らなんでもいい加減過ぎるのだ。
散々歩き回ったところで見つかりそうも無く、駅へと戻り、駅員氏に見つからない旨を言うが、やはり要領を得ない答えしか返ってこず、自分はバス会社の言った通りに案内しただけだと言ったその態度にさすがにキレた。
結構な勢いで文句を浴びせ、更にはバス会社(駅員氏が再び電話をした)にも電話口でクレームを浴びせてしまった。
列車が故障で止まるのは仕方が無い。だが、その後の対応が不味過ぎるだろう。こういった不測の事態に、公共交通機関同士で密に連絡取り合って、代替輸送なり何なり出来なかったら、何の意味も無いんじゃあないか? こういった、いい加減な対応が客離れを招くのだ。ただでさえ、地方ローカル線中心に鉄道離れが激しいと言われる昨今。ならば尚更、こういった事態にきちんと対応出来なくてはいけないだろう。
JR九州は、旅客サービスに力を入れている会社だと思っていたし、実際、この日の朝からそれは何度も実感していた。それだけに、この駅での、この対応はとても残念に思った。
普段は、旅先で何かイヤなことがあっても「旅先だから」と我慢してしまうのだが、それで後になって後悔することも多く、今回は思い切って言いたいことを言ってしまったが、しかしそれもそれでやはり後になって何とも嫌な気分が残った。結局どうするのが一番良かったのか…今でもよく分からない。
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結局、戻ってきた立野の駅で40分かそこら待ったところで列車が来たので、これで阿蘇へと向かう。車両はキハ40。正確に言えばキハ140か。
九州にはキハ40系列をエンジン改造を行ったものが走っていて、これは形式がキハ140(系列)と区別されているらしい。内装は普通のキハ40。固定クロスのセミクロス。そして暑い。昔、真夏に枕崎線でキハ140に乗った時にも思ったのだが、どうも九州のこのキハ40系列は冷房の効きが恐ろしく悪い気がする。
当初の予定よりも遅れて、結局阿蘇の駅に着いたのは18時半くらいかそこらだったか。
ここから歩いてホテルへと向かう。今夜の宿は「阿蘇の司ビラパーク」 。駅から近いかと思い歩いてみたら意外と離れていた…。徒歩で15分くらいか。
「阿蘇の司ビラパーク」はかなり大きな温泉リゾートホテルと言った趣き。
部屋は和洋室。半分が和風の居間の様になっていて、半分がツインベッドの洋寝室。結構広い。こんなところに独りで泊まってイイんだろうか(笑) でもこのホテル、「一人旅応援プラン」と言って、ネットでも独り客の予約を受け付けているので、まあ、イイんだろう。
部屋からは阿蘇の山が見える。洋風の建物が立ち並ぶはるか向こうに阿蘇の頂。なんともリゾートな雰囲気満点だ。
そう言えば独り旅でこんな、「リゾートホテル」に泊まるのは初めてだ。大体、ビジネスホテルか温泉宿のどっちかだからなぁ。
早々に浴衣に着替え、まずは温泉を堪能。さすがに温泉リゾートなだけあって、館内には何ヶ所も大浴場がある。そのうちの2つを楽しんだ。1つには小さいながらも露天風呂があり、他の客が出て行った隙を見計らって独りで湯船に浸かり、旅先の開放感からつい歌など歌ってしまう。旅の疲れが取れ、先程立野の駅での出来事のもやもやした気分だとかも吹っ飛んで行く…。今日はこうして、あとは酒でもガンガン飲んで全て忘れて楽しもう。そう、せっかくの旅行なのだから。
夕食は館内にある、「天空」という居酒屋の様な店に入る。店主(恐らく)のおじさんの、人柄の良さそうな雰囲気につられてぶらりと入る。
メニューはごくごく普通の居酒屋メニューと言った感じのものが大半だったが、さすがに酒どころ熊本。焼酎の種類がたくさんある。おまけになみなみと注いでくれる。ロックで頼むと、氷の入ったグラスと、別に焼酎だけをコップに入れてくれるのだ。東京の居酒屋で飲む焼酎ロックの2倍・いや下手すると3倍くらい注いでくれている。
あれこれとつまみを頼んだ中で、むかご(山芋の芽の様なもの)と、フグの唐揚げが非常に美味かった。そこに米焼酎「鳥飼」。この組み合わせが最高過ぎる。鳥飼の吟醸香と、むかごの野趣溢れる風味とがなぜか良く合うのだ。
独りで飲んでいると、別のテーブルに座っていた見知らぬおじさんが、「一緒に飲もうよ!!」と声をかけてきた。どうやら地元の人らしく、たまたま仕事の用事で来たこのホテルのこの店で一杯やっているとのこと。旅先で独り飲むのが好きな僕だが、こうして全く知らぬ人と飲むのもたまには悪くない。これも旅ならではの縁と言うもの。
おじさんとは何故か話があって意気投合し、2人して散々焼酎を飲んでワイワイとやり、阿蘇での夜はとても楽しいものとなったのだった。
2008年7月・熊本旅行(5)
- 南阿蘇鉄道のトロッコ列車 -
宮地駅を出て、まず向かったのは「阿蘇神社」。
駅からタクシーでほんの数分。歩いても15分かからないくらいか。まあまあの大きさの神社、だが。思っていたよりも何も無く、あっと言う間に参拝も見学も終わってしまう。
再び駅へと戻り、13時36分発の特急「九州横断特急3号」に乗車。車両はキハ185系。元々は国鉄末期に四国の特急運用に用いる為に造られた車両だが、現在、こうしてJR九州で走っていたりする。
JR四国所属のこの車両はブルー系の大人しいいでたちだが、九州のは全身真っ赤…この南国の真夏の炎天下に見る赤と言うのはかなり強烈な印象だ。
外見も凄いが、中身も凄い。
グリーン系のシートモケットで、全体として落ち着いた印象のインテリアだが、床や荷物棚など、至るところに木材が使われている。今朝乗った「あそ1962」もそうだったし、後日乗った「いさぶろう・しんぺい」「はやとの風」も内装にはウッドが多用されているのだが、これが今のJR九州のトレンドなのか?
阿蘇の雄大な風景を車窓から眺め、14時04分。立野に到着。ここで降りる。と、この駅では数分間の停車時間があるのだが、すると客室乗務員のお姉さんがホームに降り、乗客の記念撮影の手伝いだとかをしている。と言うか、実は駅到着直前にその旨のアナウンスを車内で流している位なのだ。「あそ1962」の様な週末運転の観光列車ならまだしも、毎日運転の単なる特急列車でもこんなサービスを行っているとは…改めてJR九州は凄いと思った。
…ちなみに、せっかくなので記念写真を撮ってもらったのは言うまでも無い(笑)
立野の駅は、南阿蘇鉄道との乗換駅。だが、非常に小さな駅で、荷物を預けるロッカーすら無いのはちと参った。大きなキャリーバッグをかついでトロッコに乗らねばならないとは…・。
南阿蘇鉄道側のホームで待つことしばらく。緑色のディーゼルカーを先頭に列車が入ってくる。このディーゼルカーはトロッコ仕様では無い。恐らく、地元客用の一般型車両なんだろう。(青森の津軽鉄道ストーブ列車もそうだったが、元々の本数が少ない中で観光客向けの特別料金徴収車両を走らせているから、一般客救済の措置としてその編成の中に特別料金不要の車両を連結しているものだと思われる)
逆の先頭側には小さな可愛らしいディーゼル機関車。その後ろに3両トロッコ客車が繋がれている。
予約客・予約無しの客、と言った区分けで乗る車両が分かれている模様。電話で事前申し込みをしていた僕が乗るのは2両目の車両。結構な数の乗客が乗ってきたが、幸いにも荷物を置くだけのスペースは確保できてホッと一安心。
トロッコ列車「ゆうすげ5号」は、14時30分に立野駅を出発。小さなトロッコは、線路からの振動をもろに感じて結構揺れる。
立野を出てすぐ、鉄橋を2つ通過する。この鉄橋がかなり高いところにあり、真下を見下ろすとスリル満点。
しかもご丁寧にも、鉄橋の上で一時停車してくれる。アナウンスで「サービスでうんぬん」と言っているが、高所恐怖症の人にとってはいらぬお世話だろうな(笑)
トロッコ列車は、阿蘇の雄大な自然の中をトコトコと走って行く。トロッコだから当たり前だが、列車に窓なんかは無く、自然の風が心地良い。外の気温はかなりの高さなのだが、列車が走っていれば爽やかな風が入ってきて、涼しく気持ちが良い。
列車の車窓に映るのは、どこまでも続くのどかな田園風景。昔と変わらない、「正しいニッポンの風景」がここにある。青い空、緑の大地。太陽の光と高原の涼やかな風と。ああ…俺はこんな夏が欲しかったんだ!!
阿蘇の山々、清流のせせらぎ、ユニークな駅…。移り変わる風景を爽やかな風と共に楽しむ。
トロッコ列車も色々と乗ったが、この南阿蘇鉄道のトロッコ、そのロケーションの良さもあってかなり乗り応えがある。機関車も客車も小ぶりで、まるでミニチュア列車に乗っているかの様で、それもまた独特の味があって面白い。
15時22分。立野を出て50分ほどで、終点の高森に到着した。
高森の駅は構内に土産物などの売店がある。この南阿蘇鉄道の駅の中ではかなり大きな方だ。また、駅前にはなぜかSLが一台静態保存されている。
高森駅で、戻りの列車の時間までしばしのんびりと時を過ごす。日差しがきつく、何もせずに立っているだけでも汗が出てくる程だが、こんな「熱い」夏を期待してこの九州までやって来たのだから、むしろ願ったり叶ったりだ。
駅の近くの木立で、なにやら小鳥が綺麗な声でさえずっている。今まで聴いたことの無い声だ。高原だから、平地とは全く異なる鳥達もいるのだろう。
遠く離れた地の、ローカル線の終着駅で過ごす一時。何もしない、ただぼんやりと過ごす、そのゆとりのある時間は何とも贅沢なものにも思える。
16時20分の列車で立野へと戻る。車両は、南阿蘇鉄道の一般型車両。MT2000形と言うらしい。
いかにもレールバス、と言った感じの車両だ。車内はセミクロスシートとなっている。
トロッコでの旅を振り返りながらぼんやりしているうちに、立野へと戻ってきていた。立野着は16時46分。トロッコが50分以上かけて走ったところ、この列車はほんの25分ほどで走ってしまった。トロッコ列車は観光目的と言うこともあって、かなりゆっくりと走っているのだろう。
さて。この立野駅から再び豊肥本線に乗り換え、阿蘇方面へと向かうのだが、ここでちょっとした事件が起きてしまうのだった。































