2008年7月・熊本旅行(1)
- 旅立ち・寝台特急「はやぶさ」の一夜 -
2008年7月17日(木)。 この日はいよいよ、待ちに待った九州旅行へ出発する日だ。仕事を早めに切り上げ、一旦帰宅、着替えと準備を済ませて夕刻の東京駅へと向かう。
駅へ着き、弁当などを買ってホームへ急ぐ。時間は17時半ごろ。僕の乗る、寝台特急「はやぶさ」はもうホームに居た。
ヘッドマークが「富士」となっているが、この列車は正確には「はやぶさ・富士」。2列車が併結して九州へと向かい、途中で分割してかたや熊本行きの「はやぶさ」、かたや大分行きの「富士」となるのだ。ちなみに九州方向に「はやぶさ」が連結されているのだが、そちらの方は先頭の機関車がホームからはみ出す形になってしまっていて写真を撮ろうにも撮れない。
何枚か列車の写真を撮り、車内へと乗り込む。今回は奮発してA寝台個室「シングルDX」に部屋を取った。
一方の窓側(海側)に狭い廊下、そこには個室の扉がずらりと並ぶ。この廊下の雰囲気を見る限り、同じシングルDXでも、例えば「あけぼの」や「北陸」あたりのと比べると、若干飾り気が無い印象を受ける。
部屋はこんな感じだ。
部屋一杯にソファー兼用のベッドが広がる。木目調のインテリアにレースのカーテン、金具類には金色がふんだんに用いられている。そのデザインは全体として、落ち着きがあって悪くは無いのだがいささか古めかしく、時代遅れな感は否めない。
また、正直言って部屋はそんなに広くは無い。同じ「シングルDX」でも、何年か前に乗った「サンライズ」のあの広さとは大違いだ。もっとも造られた年代があまりに違うのだから、時代背景だとか色々考えればあまりに当然だ。
これが、この「はやぶさ」のシングルDXが、国鉄時代の贅沢な寝台個室だったのだ。それを懐かしむ旅だと思えば、この小さな個室も決して悪くは無い。まあそれに「広くない」と言っても、天井方向には高い。同じ個室でも、B寝台のソロだったら2段になっているところを、1つの個室だけで天地方向は使いきっているのだから、天井への開放感はかなりのものだ。
この個室内、もっとも特徴的なのは洗面台。
窓側に小テーブルがあるのだが、これが蓋を開けると洗面台へと早代わり。別にどうと言うことの無い仕掛けと言えばそれまでなのだが、この個室の登場当時はきっと驚きをもって迎えられたのだろう。
乗り込んでまもなく、列車が出発するよりも前に車掌氏がやってきて改札を済ませる。車掌氏と少し話したのだが、この日は個室はA・B共に満室、開放B寝台に至っても下段は全て埋まっているとのこと。ブルートレインの本数がどんどん少なくなり、九州行きのブルトレは今やこの「はやぶさ・富士」1本のみ。ブルトレが過去の遺物へと成り行くこの現代において、それだけの利用客がいると言うのはなんとなく嬉しい。
ただその一方。この列車の発車直前、車内でウロウロしている不審人物(?)がいたのだが、車掌氏曰く、車内のモノ(寝具などか)を物色しに来る輩がいるそうだ。一部の心無い鉄道マニアなんだろうが、こういった人種がいると言うのは悲しく寂しく、そして腹立たしくもある。
車掌氏から、本日の乗車記念にタオルを貰った。
A個室の客全員に配られるもので、「はやぶさ」を始め、歴代九州ブルトレのヘッドマークが描かれている。こんなグッズはとても嬉しい。
さて。「はやぶさ」は18時03分、東京駅を出発した。
車内をあれこれ見て回ろうかとも思ったのだが、今となってはロビーカーも何も無くなってしまい見るものも何も無さそうだったので、早々に浴衣に着替えて個室に閉じこもる。
そして酒。寝台での旅の楽しみと言えばコレに尽きる。
山口県のお酒「獺祭」の純米大吟醸。300ミリの小瓶なのに2000円もした。高い…が、まあ、たまには贅沢もイイだろう。せっかくのA個室で過ごす夜なのだから。
酒の共には駅弁。北海味メッセと言うのを。これも結構な値段の弁当だ。と言うか、よくよく考えてみたら冬の青森旅行でもこれ食べた気が…。
酒は文句無しに美味い。華やかな吟醸香と、しっかりとした酒のコク・味わい。移り行く車窓を眺めながら、これから始まる九州での5日間の旅に思いを馳せながら、酒が進んで行く。
いつしか日は暮れ落ち、闇夜に月が浮かび始める。窓を流れる夜景を見ながら、日本酒をビールへとチェンジし、酒は一層進む。
心地良い酔いと、列車の揺れに身を任せ、いつしか僕は眠りに落ちていた。
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翌朝、目を覚ますと列車は中国地方を走っていた。車窓には一面の海。そして綺麗な朝日が海面を照らす。
徳山から車内販売が始まる。前夜たくさん飲んだにも関わらず、二日酔いなどは無く、それどころかしっかり腹も減っている。「あなご飯」と言うのを買い、空腹を満たす。味の染みたあなごがしっかりと乗ったご飯は美味い。
列車は8時32分、下関に到着。ここで機関車が交代する。それまで引っ張ってきたEF66とはここでお別れだ。
代わりに、EF81と言う機関車が連結される。海の下の関門トンネル用として、塩害対策等を強化されている車両らしい。
トンネルをくぐり抜け、8時46分に門司に到着。すると列車はここで「はやぶさ」「富士」とが分割し、更にまた機関車が変わる。なんとも忙しい。
九州へといよいよ入った。尚も列車は走り続け、10時10分に博多に到着。ここでこの「はやぶさ」とはお別れだ。
最後はED76牽引となった「はやぶさ」を見送る。さあ、ここからがいよいよ、今回の旅のスタートだ!!
九州へ。
明日の夜から、九州へと旅立つ予定。
勤め先の会社が長期休暇を奨励していて、この度、5日間連休が取れることになったので、どうせなら遠くへ行きたい。そう思い、北海道か九州か悩んだ挙句、九州に行くことに決定。
北海道は魅力的なんだけど…ただ、なぁ。九州にはあって、北海道には無いものが一つある。もっと正確に言えばJR九州にはあってJR北海道には無いもの、と言うべきか?
つまりさ…。
九州には旧型気動車…て言うかキハ58が走ってるでしょ!!
熊本の、阿蘇の辺りを走っているヤツ。「観光列車あそ1962」てヤツね。
まあこれって、いわゆる「ジョイフルトレイン」(て言い方も最近あまり聞かないが)の一種みたいなヤツで、鉄的にはちょっと邪道なのかもしれないけどでもそんなの関係ねぇ!!
内装は水戸岡マジックで綺麗にリニューアルされているけど、外見はカラーリング以外は原型のままだし、それに確かエンジンがオリジナルのDMH17Hだったと思うし(ちょっと不確か)。
と言うか、もうキハ58好き過ぎて、どんな形であれ走っていれば乗りに行かずにいられない。そう、止められない恋心!!(バカ)
と言うワケで、愛しのキハ58に会う為に、はるばる九州まで出かけてきます。と言っても5日間もあるのにそれだけなんて言うワケは勿論無い。肥薩線の「いさぶろう」「しんぺい」に「はやとの風」と言った面白気動車。行きは寝台特急「はやぶさ」のシングルDXに、帰りは多分近い将来にいなくなっちゃう500系の「のぞみ」。うん、鉄ばっかだ。
あとは阿蘇の大自然に人吉の温泉に、それに球磨焼酎、と。辛子蓮根なんかの名物も食べたいし、球磨川のライン下りに熊本城と色々見て回って遊び倒したいし。
今回の旅も色々と盛りだくさんで面白いことになりそうだ。
2008年5月・初夏の北陸旅行(7)
- 魚津観光・そして旅のラストスパート -
大満足の昼食を終え、魚津観光へと繰り出す。
駅前でタクシーをつかまえ、まずは「魚津埋没林博物館」 へ。この時乗ったタクシーが、運転手が女性の方だったのだが親切で面白い人だった。また、このタクシー会社、確か「金閣自動車」とか言う名前だったと思うが、車内でおしぼりをサービスしてくれる。これには驚いた。
駅からタクシーで5分少々。「魚津埋没林博物館」へ到着。
ちょっと変わった作りで、入り口(左の写真)から入ると道路の下をくぐる形になっている。そして、道路の向こう側にある三角の建物とドーム状の建物(右の写真)が展示館となっているのだ。
中へ入るとまず、展示館へと続く長い通路。その通路では、この博物館のイメージポスターがずらりと展示されている。毎年作り替えているのだが、どれもきちんとしたデザイナーに依頼したものらしく、非常にカッコいいデザインのものばかり。見とれてしまう。
奥へ進むと、そこでは「蜃気楼」についての展示がされている。魚津の町は、蜃気楼が観測出来る町として有名らしく、この「魚津埋没林博物館」は、埋没林の他に蜃気楼に関する展示も色々と行っているのだ。建物の屋上へ上がるとそこは展望スペース。蜃気楼が出ていれば、ここから観ることも出来るらしいが、この日はあいにく、発生していなかった模様。
そしていよいよ、埋没林に関する展示館へ。この展示館自体も3つあり、ドーム形の展示室、それに埋没林を水中展示した展示室、乾燥させた状態で展示してある展示室。
そもそも「埋没林」と言うものは、その名の通り「埋もれた林」と言うこと。過去のいずれかの年代に地球環境の何らかの変化によって地中に埋もれた林が、世界各国のあちこちにあるらしい。その埋没林がこの魚津でも発見され、それをそのまま博物館展示しているのがここ、と言うことだ。この埋没林を調べていくと、その年代の環境だとか様々なことが分かるらしい。
あれこれ観ていくとなかなか興味深く、思っていた以上にここで時間を費やしてしまう。平日の昼下がり、と言うこともあって、客もほとんどおらず(一組小さな団体客?がいた他は、個人客はいなかった模様)、ゆっくりと観て回ることが出来た。
ここでタクシーを呼び、今度は「魚津水族館」 へ。ここから10分くらいかかったか。
魚津水族館は、あまり規模の大きくない水族館。どちらかと言うと、地元の人が遊びに来るスポットと言った雰囲気か。実際この日も、地元の人と思しき若いカップルだとかが来ていた。
中へ入るとまず、富山の淡水魚の展示。外来魚なども含め、現在富山県に生息している淡水魚が色々と飼育されている。こういった、その土地に基づいた展示がされているのはなかなか好印象。
奥へ進むと、大型水槽に様々な海水魚。まあ、この辺りはどこの水族館でもやっていることだが、例えば先程昼に食べた「げんげ」の様な、富山湾名産の魚なんかもいたりする。
館内中央にある、大型水槽では、ダイバーによる魚の餌付けショーなんかもやっていた。
また、ちょっと変わっていたのが、恐らく期間限定だが、「ドクターフィッシュ」の体験なるものをやっている。この「ドクターフィッシュ」とは「ガラ・ルファ」と言うトルコ原産の魚で、現地では温泉に住んでいるらしい。そしてこの魚、温泉に入ってきた人間の皮膚の古い角質を食べると言う習性があり、皮膚病の治療にも効果があるのだとか。最近日本でも結構な話題になっている様だ。
魚津博物館では、水槽の中にたくさんのドクターフィッシュが飼われ、その水槽の中に自由に手を入れて体験出来る様になっていた。
手を入れるとこんな感じでたくさん寄ってきて皮膚をつっついてくる。勿論痛かったりはしない。それどころかとてもくすぐったいwでもちょっと気持ちいい。
魚自体も小さくどこか愛嬌のある顔立ちで、なるほど、話題になるのも分かる気がする。
…これで、ガラ・ルファに混じってカンディール(アマゾンの吸血ナマズ)でも入れておいたら惨劇だな…とか考えてしまった俺はちょっとおかしいかもしれない。
魚津水族館でも結構な時間をかけて見学をし、全て観終わった時点で時間は17時。本当はまだ行きたかった場所もあるが、もう時間が無い。戻ることにする。
タクシーで魚津駅へと戻り、そこから普通列車に乗って富山駅で。
さあ。いよいよ今回の旅もラストスパート。
今日のトリを飾るのは、富山を18時59分発の特急「はくたか23号」。車両は681系(683系?)。個人的にはこの車両、JR西日本車よりも、北越急行所有のいわゆる「スノーラビット」の方がカッコ良いと思うのだが、やって来たのは西日本の車両だった…残念。
今回の旅は北陸フリー切符のグリーン車用を使用しているので、当然、グリーン車に乗車。ソファーの様にゆったりとした大きなシートが3列に並ぶ。居住性、雰囲気ともに申し分無い。やはりグリーン車はこうでなくては。どこかの東日本の会社の様に普通車と大して変わらないスペックの座席4列とかそんなのグリーン車とは認めない。
富山を後にし、動き出した車内でまずは乾杯。先程、富山駅の売店で買った日本酒に白海老の押し寿司。思えば今回の旅行、食事はずっと白海老尽くしだったな。
ゆっくりと酒を飲みながら今回の旅を振り返る。…色々あったが、面白い、いい旅だったなぁ。
列車は20時07分に直江津到着。ここを出てしばらくすると、やがて高架線へと登って行く。それと同時に、それまでとは比べ物にならない程に速度を上げて走って行く。…ああ、そうか。北越急行線に入ったのだな。北越急行線内では、在来線最高速度の160キロ運転を行っている。初めて体験する160キロ運転。確かに凄いスピード感だ。
それをゆっくり…じっくりと味わおう…などと思いながら、いつしか僕は眠ってしまっていた。旅の疲れに、酒の酔いが心地良く回った様だ。
そして20時59分。終点の越後湯沢に到着。更にここで上越新幹線に乗り換え、22時28分に東京に到着。今回の旅、全てが終わった。
初めて訪れた北陸。噂に聞いていた通り、海の幸の美味さが印象的だった。今回の旅、本当は行こうと思いながらも行けずに終わってしまった場所も幾つかあり、また、兼六園にしろ黒部峡谷鉄道にしろ、季節が変わればまた違った表情を魅せてくれるだろう。更には、北陸三県のうち、福井県だけが未だ未到達の地となってしまった。
またいつか…機会を作って再度訪れてみたい。そう思わせる北陸路の旅だった。





















