2008年7月・熊本旅行(13)
- 球磨川下りと球泉洞 -
7月22日(火)。今日も天気は快晴の模様。今日はこの熊本旅行、最後の日だ。
目覚めたのは7時前かそれ位だったか。昨晩、あれだけ飲んだ割にはスッキリと起きられた。やはり焼酎は悪酔いしない酒と言うのは本当だ。
朝食もしっかりと食べられた。僕は基本的に朝は何も食べない派なのだが、旅行先では食欲が出て食べられる。また、以前は旅先でもどちらかと言うと朝は洋食を選ぶことが多かったのだが、最近はこんな、純和風の朝食が嬉しい。
ご飯を食べ終え、準備を整え、宿をチェックアウト。「人吉旅館」、本当に気分の良い宿だった。もし、再び人吉の地へ来ることがあるのなら、また是非とも泊まりたい。
8時半位に、迎えが来て出発する。今日はこれから、球磨川の川下りの船に乗るのだが、事前予約をしておいたら宿まで車で迎えに来てくれた。
宿から車で10分少々。乗船場に到着。
僕が乗るのは9時出発の「急流コース」。この「球磨川下り」、他にも「清流コース」などがあるらしい。
船はとても小さい、木造の船。当然エンジンなど付いていない。船頭さんが櫂で一生懸命に漕いで走らせる、昔ながらの船だ。
僕は旅先では観光船によく乗るのだが、こういう旧式の小さな船はあまり乗ったことが無く、新鮮に感じる。
9時。船はゆっくりと出発する。乗客は10人くらいだろうか。どうでもいいことだが、乗客で独り客風なのは僕一人。あとは家族連れか夫婦連れ。一人旅をする人間はまだまだ少ないのだろうか。
2人の船頭さんが乗船し、一人が後ろで櫂を持って漕ぎ、もう一人は前方に立って安全確認などしたり、乗客に色々話をしたりなどしている。
この船を漕ぐという作業、かなりの重労働そうだ。後ろで漕いでいる船頭さんは汗びっしょり。そりゃあそうだろう。何もせずに乗っている僕ら乗客だって暑いのだから。
透き通った清流に、荒々しい岩肌。なんとも男性的な景観が広がる。それらを眺めながら、のんびり…のんびりと船は下って行く。色々な鳥もいる。アオサギ・トビ…。ヤマセミと思しき鳥も川の上を飛んでいた。自然の中で、美味しい空気を吸って…いい船旅だ。
が、安心していてはいけない。そう、これはただの川下りじゃあない。「急流コース」なのだ。
と言うことで、船は途中、何度も急な流れの「瀬」を通過する。白濁した波が激しく打ち寄せ、船を飲み込もうとする。それをひらりとかわしながら、そしてその流れを上手く掴みながら、船は波に乗って猛スピードに加速して下って行く。かなりスリル満点だ。
この「瀬」といかに上手く戦い、逆にその流れを味方につけるか。まさに船頭さんの腕の見せ所だ。
そして、当然ながら波しぶきが船に何度もかかる。船の中にも水が飛び込む。僕の向かいに座っていた乗客に何度も水がかかっていた。また、前方の方に座っている乗客にも被っていた。(僕は最後尾に座っていた)
…どうやら、僕はもっとも安全な場所に座った様だ。うん。などと油断していたら思いっきり水かかった。
どの客にもきちんと均等に水がかかる様になっている模様(笑)
こうして雄大な風景を楽しみつつ、水しぶきに悲鳴を上げつつ(?)、一時間半ほどの船旅は終了。
下船場はすぐそばに大きなつり橋がかかり、なんともいい風情だ。
ここからは、リフトで上に上がれる様になっている。
上がりきったところには、「球泉洞」と言う鍾乳洞がある。せっかくなので見学して行く。
結構大きな鍾乳洞で、そのうち、普通に見学出来るところは限られているのだが、それでもじっくり見て回れば40分くらいかかる。ちなみに、通常とは別に奥の方まで行ける「探検コース」と言うのもあるらしく、ちょっと興味を惹かれたが、ヘルメットに長靴着用になると言うことで面倒臭くなってやめた。
球泉洞のすぐそばには「森林館・エジソンミュージアム」と言うのがあり、ついでにこちらも見学する。と言うか球泉洞とセットの入場券を買ったのだが。
森に関する展示と、発明王エジソンに関する展示と、全く関係の無い2つの展示を一つの場所で行っていると言うよく分からないコンセプトの博物館。展示はそれなりに面白かったが、とりあえずエジソンの動いて喋る人形が気持ち悪過ぎる。
全て見学を終え、時間はお昼前。ここで駅へ向かって移動を開始する。
再びリフトに乗って川辺へと降り、先程下船場から見た吊り橋を渡り(スリル満点・怖い)、反対側へと渡ってひたすら歩く。とにかく歩く。
球磨川の清流を眺めながら歩くのは気分が良いが、しかしとにかく暑い。たまらなく暑い。
球泉洞を出て30分近くも歩いただろうか。ようやく、球泉洞の駅に到着した。
球泉洞の駅は山間の小さな無人駅と言った風情。ホームの駅名表示板には、「九千坊号」と書かれ、なにやら可愛らしい河童のイラスト。「九千坊」とは昔この辺りに住んでいた(と言われる)河童のことらしく、「九千坊号」と言うのはこの路線を休日に走っている愛称付きの普通列車だ。
駅近くの日用品屋さんで荷物を受け取り(川下りに乗る際に預けた荷物を、ここのお店で預かっていてくれる)、そのついでに缶ビールを1本購入。駅のホームで、色々な虫の音など聴きつつ、グイッとビールを飲み干す。歩き回って疲れ切った体と、乾ききった喉とを潤して行く…。
さあ、ここから熊本を目指すのだ。旅の最後に訪れるは、有名な熊本城!!
2008年7月・熊本旅行(12)
- 人吉温泉での一夜 -
人吉の駅を出て、まずは駅前にある「あおやぎ」と言う土産物屋へ。ここには球磨焼酎がたくさん売られている。せっかく人吉まで来たのだから、球磨焼酎を買わない手は無い。店内では試飲もさせてもらえるので(但し専用の器を買わなくてはいけない)、あれこれと飲ませてもらい、3本ほど購入。
それに、「そらぎゅう」と言うこの地方独自の酒器。これ、底がとんがっていて下に置くと中身がこぼれてしまう。即ち、飲み干すまで置けないと言うとんでもない杯。さすが酒飲みの土地と言うか何と言うか。
それに「キジ馬」と言う地方玩具も買ってしまった。聞く所によると、この地に逃げ延びた平家の落人が造ったものと言われていて、そう聞くとなんだか悲しげにも思えるのだが、実際には素朴で愛らしい玩具だ。
土産をあれこれ買ったので、宿へと向かう。今日の宿は「人吉旅館」。駅から歩いて10分しない位のところにある。
木造の趣のある建物で、見るからに純和風の旅館。
木の温もりを随所に感じる館内は落ち着いた雰囲気で、しっとりとした大人の宿、と言った風情だ。そんなに大きな宿ではないが、従業員さんの応対などアットホームな温かみと親切さを感じてなんとも心地良い。
部屋でくつろぐのもそこそこに、まだ時間も早いので再び出かける。
宿のすぐ近くにある「青井阿蘇神社」。それに宿から歩いて10分ほどのところにある「永国寺」。この「永国寺」と言うのは実は「幽霊寺」として有名で、昔のここの住職さんが書いた幽霊の掛け軸なんかが置いてある。また、中庭の池にも幽霊が出てくるとかなんとか…。
橋の上から球磨川を眺めてぼんやり。清流のある風景と言うのはやはりいい。
本当は、お城跡の方へも行こうかと思ったのだが、歩くと結構な距離がありそうだったので断念。宿に戻ることにする。
宿に戻り、まずは温泉へ。せっかく温泉宿に来たのだから入らない手は無い。この人吉旅館の温泉は、そんなに大きな風呂ではなく、露天などでも無いが、浴槽がちょっと深めに作られていて、またお湯がそんなに熱くなく、ゆったりのんびりと入れる感じだ。お湯は少し茶色みを帯びている様に見える。なによりこの日、僕以外に客がいないのか(?)、誰も風呂には入ってこず、思う存分にリラックスして温泉を愉しむことが出来た。
温泉の後は、お待ちかねの夕食。この人吉旅館は、夕食は部屋食と言う形になっている。部屋で待っていると、仲居さんが色々と運んで来てくれた。
随分色々とある。山芋の寄席豆腐風に、前菜盛り合わせ。鮎の刺身に天ぷら、それにホタテのバター焼き。
前菜は小さなサトイモや枝豆、それに茹でたサワガニ。サワガニは幼い頃、飼育していたことはあるのだが、食べるのは実は初めてだ。殻ごとバリバリ食べると、香ばしい中にもカニの風味。
鮎の刺身は、味も良いが何よりこの姿かたちが良い。日本人は昔から鮎を珍重するが、確かに日本人の美意識にあった美しい魚だと思う。
ところでこの人吉旅館、僕はインターネットでここのHPから宿泊を申し込んだのだが、その際、「苦手な食べ物」を書く欄があったので、「肉類が一切ダメだ」と言うことを書いておいた。(全ての獣肉・鶏肉が幼い頃から苦手でほとんど食べられないのだ)
するとすぐに返信があり、「淡水魚などは平気か?」など色々と気を使ってくれている模様。肉類以外には全く食べられないものは無いので、その旨を再度返信しておいた。
するとこの日のメニュー、本来なら肉のものが全て魚介類へとさし換わっていた。一番奥のホタテだが、これは本来なら肉の皿(熊本だから恐らく馬か赤牛のステーキだろう)と言うことらしい。
鍋物も、この日はすき焼き風の鍋で、恐らく本当は牛肉でも入っているのだろうが、中に入っていたのは豆腐とネギ、ミツバ、それにウナギ。
ウナギをこんな風にして食べると言うのも新鮮で、美味い。ドジョウの柳川にちょっと似ているが、それよりももっと濃厚でコクがある感じだ。
何より、こんな気遣いは本当に嬉しく、ありがたいものだと思う。好き嫌いのある人間にとって、旅先の宿での食事は楽しみでもあり、ちょっと不安でもある。(だから最近は食事付きの宿よりもビジネスホテル等に泊まって自分で街へ食べに行く方が多いのだが)
しかし、こんな風に、宿泊客のことを考えてメニュー創りをしてくれると言うのは本当に素晴らしいことだ。こういうことこそが、真の意味でのサービス、「真心」と言うものだろう。
料理はどれも美味しく、何より、この真心が最高の調味料。酒もついつい進む。球磨焼酎を2種類頼み、飲み比べをしながら、肴の数々に舌鼓を打ちながら。
最高の美酒と美味。それに最高の「もてなし」。人吉での夜は大満足のうちに更けていくのであった。
2008年7月・熊本旅行(11)
- 肥薩線の面白気動車・折り返しの旅 -
鹿児島中央駅にて、所用を済ませる。ここに来て手持ちの金が無くなってきてしまったので慌ててATMへと走り、そして駅弁を買って折り返しの「はやとの風4号」へと乗り込む。
先程乗ってきた「はやとの風1号」がそのまま吉松へと戻る「はやとの風4号」となる。列車は13時14分に鹿児島中央を出発。先程同様、車内は空いている。
お昼時と言うことで、駅弁を広げる。鹿児島は枕崎名物のカツオを使った弁当。思えば枕崎は6年前に行ったなぁ…。人の温かい、いい場所だった。思い出に浸りつつ、その味を噛み締める。
それに車内販売で、地ビールとおつまみの鰹スティックと言うのを購入。地ビールはいわゆるヴァイツェン(小麦麦芽を使った白っぽいビール)で、クローブの様なバナナの様な独特の香りがするビール。個人的に好きな種類だ。ちなみに瓶のラベルにはしっかり「はやとの風」の文字。
昼下がりに列車内で飲むビールはやはり美味い。
列車は、行きと同様、幾つかの駅で数分間ずつの時間を取って停車をする。せっかくなので、その都度車外へと降りて駅舎など色々と見学。
嘉例川駅と大隈横川駅。どちらも木造の古い、味のある駅舎。肥薩線にはこんな駅がたくさんあって、古き良き時代のローカル線の姿をそのまま現代に伝えている。
古い駅舎と黒い特急との並び。こうして見ると、キハ40と言うのもなかなか渋くてカッコイイ車両だなぁ。
「はやとの風4号」は、14時47分に吉松に到着の予定だったが、列車は遅れて、14時50分くらいに吉松駅のホームへと滑り込んだ。おまけに到着番線の変更まであり、通常なら向かい側のホームに「しんぺい」が停まっていてすぐに乗り換えられるのが、一度階段を登って別のホームへ渡らなくてはならないハメに…。
本来なら14時49分発の「しんぺい4号」が停まっている。「はやとの風4号」からの乗客をきちんと待ってくれているのだ。
まあ、当然と言えば当然なんだが。だってこの区間、一日に列車5本くらいしか無いし。これで置いて行かれたら本気で途方に暮れる。
「はやとの風4号」からの乗客が全員乗ったことを確認して、「しんぺい4号」はゆっくりと動き出す。
行きに乗った「いさぶろう1号」の満員盛況ぶりに対し、今度の「しんぺい4号」は車内は空いていて、どこかゆるりとした雰囲気が漂う。僕の指定のボックス席にも他に乗客はおらず、足を伸ばしてのんびりとくつろぐ。
列車は数分遅れで吉松を出発しているにも関わらず、行きの「いさぶろう」同様に、一つ一つの停車駅で観光の為の停車時間を設けてくれる。スピード重視の大都市圏では考えられないことだが、観光列車だからこその措置、と言えるだろう。
真幸では、行きと同様に外人の駅員さん(?)が出迎えてくれ、先程書いた様に駅で入場券を購入。矢岳では再びSLを観に走る。
矢岳越えの絶景が車窓一杯に広がる。こんな場所まではきっと、一生のうちにもそうそうは来れないだろう。しっかりとその風景を目に焼き付けておかなくては。
矢岳駅停車中の「しんぺい」。こうして見るとキハ40、やはり渋くてカッコイイ。国鉄型気動車の中ではありふれた車両だから、今まであまり何とも思ってなかったキハ40だけど、段々好きになってきたかもしれない。
行きの道中では降りなかった大畑駅。今回は降りてみたのだが、ちょっとビックリだこの駅。
駅舎は味のある、昔ながらの木造駅舎なのだが、その内部にはびっしりと、おびただしい数の名刺が貼り付けてある。「しんぺい」乗務員のお姉さんによると、なんでもこの駅に名刺を貼っつけると出世すると言うジンクスがあるのだとかなんとか…。一体どこからそんな噂が出たんだか。ちなみにお姉さんも名刺を貼っているらしいw
そして、列車は16時03分(多少遅れたかもしれない)、終点の人吉へと到着した。肥薩線の面白気動車2種類を充分に満喫し、今日の列車旅は大満足だった。
人吉は温泉と球磨焼酎、昔ながらの城下町として知られる町。城下町と言うだけあって、駅前にはお城を模したからくり時計が置かれている。
さあ、泣いても笑っても、熊本で過ごすのはあと一日。最後の夜をこの町で愉しもう。









































